日本ボロ宿紀行

ボロ宿にあこがれ、各地のボロ宿を訪ねています。

富山の宿

「ボロ宿」というのはけして悪口ではありません。
歴史的価値のある古い宿から単なる安い宿まで、ひっくるめて愛情を込めて
「ボロ宿」といっています。自分なりに気に入った、魅力ある宿ということなのです。
もともと、できるだけ安く旅行をしたいということから行きついた結果ではありますが、
なるべく昔の形を保って営業している個性的な宿を応援していきたいと思います。
湯治宿や商人宿、駅前旅館など、郷愁を誘う宿をできるだけ訪ねて、
記録に残していくこともいずれ何かの役にたたないかなと‥‥。

静かでほっとできる魚料理たっぷりの駅前旅館 [富山県 入善町 ちとせ旅館](特別寄稿 by ゆずぽんさん)

仕事関係で出張が多く、あえて駅前旅館などに泊まっているという、「ゆずぽん」さんから宿泊レポートの寄稿がありました。そのまま紹介します。


入善駅前です。

駅前には酒屋さんが1軒、あとは何もありません。改札を出てロータリーを右に進み、最初の路地を左に曲がります。

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駅の渡り通路から。向こうが富山市内方面。駅のそばに右手にNECと京セラの工場。

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駅から徒歩2分程度、外観は改装したのか小奇麗で趣があります。

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入口はこんな感じ。

暖簾が何とも言えない雰囲気を出しています。あまり目立たないので近づかないと判らない程です。周りには居酒屋が2軒程ありました。

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通されたお部屋です。

1Fの和室を襖で仕切ってあります。広さは8畳ほど。到着した時には既にストーブと炬燵がついており、部屋は暖かで布団もひいてありました。

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部屋数はかなりあるようですが、本日の宿泊客は私一人。宿は60過ぎの元気なおかみさんが一人で切り盛りされているようです。

「先に食事なさりますか?」との問いに寒いし一杯やる前にまずお風呂と思い「先にお風呂いいですか?」と私。「うちのお風呂温まるまで時間かかるので20分くらいお待ち頂けますか?」っとおかみさん。

「ゆっくり待ってま~す」と炬燵に入りお茶を一杯(茶菓子はチョコレートでした)。その間、部屋の中と周りを少し探索。2方を廊下で囲まれ左の障子を開けると中庭がありました。またSoftbankのWi-Fiが入っていました。部屋の作りから見ると1Fは宴会場にもなるような、繋げるとかなり広い部屋になるようです。

15分ほどで「お風呂出来ましたよ!」とのお呼び。アメニティは浴衣、羽織、タオルにバスタオル、それに歯磨きセットです。着替えと浴衣、タオルを持っていざ浴室へ。部屋から中庭を囲いながら進むと洗面所とお風呂がありました。

床の間から見た部屋の様子。

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部屋出ると廊下に面して中庭があります。その先を左に進むと洗面所とお風呂場があります。中庭を見ながらくつろぐのも良いのですが、寒くって1分で挫折しました。

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中庭はこんな感じです。

雪が降って風情がありますが、廊下はとっても寒いです。

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廊下を左に曲がると洗面所、その奥の引き戸を右に入ればお風呂場です。突き当りは洗濯室になってました。

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お風呂は、まずまずの広さで浴槽も深く広かったです。木の桶がなんともいいですね。カコ~ンと音が響いてお風呂気分が盛り上がります。

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浴槽はこんな感じ。ちょっと見づらいですが大人3人程度は入れる広さです。

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お待ちかねの夕食です。玄関の脇に食堂があり、テーブルが4卓あります。

この日のメニューは左から松葉ガニ(小)焼き魚2匹、煮物、ブリのたたき、漬物、舞茸天ぷらと小鉢、途中の酒屋で買ったワンカップ3本持ち込みで、ささやかに1人宴会スタート(笑)

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ここでおかみさんと飲みながらおしゃべり。

「お客さん、お仕事?」「はい、でも入善は初めて来ました」「何もないでしょ!(笑)」「そうですね、でも静かでいいところですね」「私はつまらんので、この前も40日程、ベトナムとラオスへバックパッカーの旅をしてきたんですよ!」この旅話で盛り上がり1時間30分後、お酒もなくなったので切り上げました。
 
翌日は7:00に朝食をお願いしました。基本的にご飯はコシヒカリなのでとてもおいしかったです。左から目玉焼き、湯豆腐とろろ昆布柚子載せ、昆布巻き、ひき割り納豆、梅干し、焼き魚(めざし)味付け海苔、インゲンのマヨネーズ添えになめこの味噌汁です。

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ご飯はお櫃に山盛り入っておりましたが、美味しくてほとんど平らげてしまいました。

その後出発まで1時間あったので近くを散歩しました。海まで15分くらいなのですが、寒くて途中で挫折しました(泣)宿に戻りお会計(2食付6,500円)を済ませ、電車の時刻までおかみさんとおしゃべりしてました。「先週は工事関係者が沢山泊まってたんだけど、今週は工事も終わり暇なんですよ…」っと、おかみさん。静かで、ほっとできる良い宿だったなぁと思える富山の出張でした。


宿から10分ほど歩いた海へ向かう道から。遠くに日本海が見えます。この後、雪が降り出しいそいそと宿へ戻りました。これぞ冬の日本海沿岸の街って感じです。

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時々投稿をいただくことがありますが、大歓迎です。いいネタがあったらぜひ原稿と写真を送ってください。

[富山県  入善町  ちとせ旅館](2014年3月宿泊)
■所在地  富山県下新川郡入善町入膳7100
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ゆったりくつろげるほのぼのとした駅前旅館 [富山市 勝江旅館]

富山駅で下車するのは、この時が初めて。前に仕事で行った時は飛行機でした。中部山岳地帯を超える飛行機からの景色がすごく雄大で、感動的だったのを覚えています。今回の高岡、富山出張は、天気は良くてかなり暑かったのですが、湿気が多いせいか立山は霞んでいてよく見えませんでした。

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そこで駅中の立ち食い「立山そば」で白エビ天そばを食べてみました。かまぼこに「立山」の文字入り(笑)。しかしうまいそばでした。

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午後から仕事があったのですが、少し時間があったので駅周辺を散策してみました。富山の薬売りの像がやたらとたくさんあるのが印象的。

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富山地鉄の駅も見学してきました。

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仕事が終わり、夕方になりました。この日の宿は駅前の勝江旅館を予約済。本当に駅に近くて便利な立地なのですが、外観を見ると素朴なビジネス旅館風です。レンタカー屋さんの隣にひっそりと立っていました。商人宿らしき雰囲気がありますが、建物自体は戦後のものだと思います。そんなに古くは感じませんでした。

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翌日はさらに新潟に行く用事があり、その列車の時間が朝早かったため、素泊まり3800円でお願いしてありました。そこで夕食を食べてから宿に入ることにして、駅周辺をかなり歩きまわりました。狙いは富山ブラックラーメン(笑)

路地裏に入るとなかなかあやしい感じの歓楽街もありました。「富劇ビル食堂街」というビルにちょっと惹かれたのですが、まだ時間が早いせいかあまり店がやっていなくて、さらに歩き回ります。夕方とはいっても夏場のことでまだ明るいです。路面電車も乗ってみたかった。

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ようやく近代的なビルの中の飲食店街で、普通のラーメン屋さん「麺家いろは」を発見。ここで餃子とビールを飲んだあと、黒醤油ラーメンを食べてみました。味はそんなに特別ではなく、普通の濃いラーメンという感じですがおいしかったです。白飯を持ち込んで一緒に食べるのが通だとか。

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このあといよいよ宿へ。すでに場所は確認してあったので、まっすぐ向かいました。とにかく早くお風呂に入りたい気分。

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通りに面した宿の入口から声をかけましたが、後で確認したところ、宿の裏側にも立派な玄関があり、両方使用しているそうです。

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何だかいかにも親切そうなおかみさんが出てきて部屋に案内してくれました。シンプルなビジネス向けの部屋。「暑いようだったらここで調整してください」と、古いクーラーの温度設定のやり方を教えてくれましたが、すでに部屋はそこそこ涼しくなっていました。

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ふとんは折り畳んであって、広げるとすぐに寝られるスタイル。洗顔タオルやバスタオル、浴衣もセットしてあります。

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おかみさんが去ったあとしばらくするとまたやってきて、「ちょっと忘れていたけど、これどうぞ」といって新品のタオルをくれました。通された部屋は「立山」。

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お風呂にはもういつでも入れるというので早速お風呂へ。このお風呂がこういう小規模なビジネス旅館としてはかなり立派なやつで浴槽も広くて快適でした。おかみさんがけっこう几帳面な人らしく、シャンプーや石けんなどもきちんと整理されておいてありました。

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部屋に戻ってもやることなし。

誰もいない2階の部屋で廊下に出ると一番つきあたりが洗面台とトイレになっています。廊下には扇風機やマンガ本が置いてあったので、とりあえずマンガを読んで過ごしました(笑)

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とにかく翌日は5時起きくらいの感じなので、飲みに出るのもやめ、部屋でぼんやりしているうちに寝てしまいました。

朝になって窓を開けてみると、「勝江旅館」の看板の先に駅や線路がちらっと見えます。富山発の「北越1号」の時間は7時過ぎなのですが、駅でゆっくりコーヒーでも飲もうと、6時くらいに宿を出ました。

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前夜のうちに「朝が早いので」といって精算をしてあったので、お見送りもなし。すでに富山駅前には、山歩きに行くらしい装備の人々も集まっています。

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それで結局朝食はまたも「立山そば」。私もよく飽きないものだと自分でも感心しますが、どこに行っても立ち食いばかり食べているような気がします。今度は普通のかき揚げそばにしてみました。

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駅構内には「風の盆」のポスターも。いつかは仕事ではなく、こんなお祭りを見に再訪したいと思わずにはいられませんでした。

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このあと「北越1号」に乗り、長岡経由で新潟に向かいました。しかし富山と新潟は隣県とはいってもかなり遠いですね。

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[富山市  勝江旅館](2012年8月宿泊)
■所在地  富山県富山市宝町1-1-13
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駅前歓楽街に立地する便利で質素な宿 [高岡市 大黒屋旅館(後編)]

「大黒屋旅館」の続きです。

部屋でゴロゴロしていると、ノックがあり「お風呂の準備ができました」と呼ばれたので、さっそくお風呂へ。

とにかく暑い中を歩き回ったので、まずはお風呂に入りたい気分でした。この家は建物は古いのですが、お風呂はリフォームしているようで、なかなか立派で清潔な感じのお風呂でした。

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お風呂から出て部屋にいると、今度は「食事ができました」と呼ばれました。食事は1階の座敷で。いってみるとほかに客はいなくて、一人分だけ用意されていました。思った以上に豪華なメニュー。

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ハンバーグと、煮魚が中心で、何か白身魚の昆布巻や冷奴などがありました。おかみさんらしき人がいたので、めしよりもまずはビールを注文。

こういう宿屋で、地元の新聞なんかを読みながら、くつろいでビールを飲んでいると幸せを感じます。一人旅で話し相手もいないけれど、こういう時間が私は案外好きなのです。

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おかみさんはビールを出すと、あまり無駄口をたたかず裏のほうに去っていきました。あまり客にかまい過ぎないという方針なのかもしれません。

しかし何か気配を感じ、振り向くと、テーブルの下で猫が寝ていました。最初はぬいぐるみかと思いました。ちょっとつついてみましたが、起きようとはしませんでした。

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ごはんは炊きたてのやつが最初からジャーに入れて置いてありました。白米ではなく、たぶん玄米か雑穀を混ぜたような感じのごはん。

食事を終わって部屋に戻る途中、玄関先を撮影。古そうな立派な「大黒屋旅館」という書額が飾ってありました。

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部屋に戻るとふとんが敷いてありました。こういうビジネス旅館で、布団を敷いてくれるところは珍しいです。宿においてあった「沈黙の艦隊」を読みながら、くたびれていたせいか、この日はいつのまにか寝てしまいました。それにしても、この日は飲物を買い忘れていたのですが、ポットの冷たいお茶が朝までもったので助かりました。

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翌朝は頼んでおいた時間に、夕食と同じ場所で朝食。内容は普通の旅館の朝食という感じです。すごくおいしかった。

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この日はお昼頃までに富山駅に行く用事があったのですが、それまでどうするかを決めていませんでした。

とりあえず高校野球を見たり。

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しかし高岡まできて野球を見ていてもしょうがないので、とにかく出ることにしました。でがけに声をかけるとおかみさんが出てきたので、支払いをする時に少し尋ねてみました。

私「このあたりは飲み屋が多いですけど、昔からそういうエリアなんですか」
おかみさん「そうですね、ひと頃は飲み屋が増えて、最近はまた寂れてきていますけど、もともとは旅館街だったんですよ。駅にも近いですし」
私  「そういえば並びにも旅館がありますね」
おかみさん「あそこはもうやっていません。近頃はホテルが多いので、旅館もなかなか大変です」
私「私なんかはビジネスホテルに泊まるのがいやで、なるべく古い宿を探して泊まってるんですけどね。ここは食事もおいしくて宿泊料も安いし」
おかみさん「うちも古い家ですけど、食事だけは喜んでいただいてます‥‥。また良かったらぜひお立ち寄りください」

てな感じでした。宿の開業は戦後まもなくということでしたが、おかみさんもお嫁に来た人なので、本当に古い時代のことはわからないそうです。

そんな感じで宿を出ました。昨夜疲れて寝てしまいましたが、本当なら夜もちょっと散策してみたかった。

宿の前の通りには民家も含め、古い家が残っています。

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路地にも飲み屋があります。

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この路地をちょっと入ってみると、宿の裏手に出ることができて、そこは大きな神社になっていました。本当に古い街なんだなあと思います。この神社の敷地には祭りの屋台と思われる倉庫もありました。

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富山駅に正午到着ということになると、まだだいぶ時間があります。駅の反対側に有名なお寺があるので行ってみるとこにしました。

高岡駅周辺はまさに工事中。

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駅通路を通って、反対側の「瑞龍寺口」に向かいます。

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少し歩くと、参道みたいに整備された通りがあって、前田利長公墓所方面と、瑞龍寺方面に別れていて、私はお寺をめざしました。

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参道の途中には前田利長公の像。

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立派な門があり、

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寺そのものも立派。

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山門や仏殿は国宝になっているという、由緒ある寺です。確かに立派な雰囲気を持った寺でした。私はあまり寺に詳しくないのですが、こういうものがあるということからも高岡の歴史の重みを感じることができます。

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この日、午前中から早くも暑かったのですが、寺の建物の中はやや涼しく感じました。

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だいたいいい時間になったので、再び歩いて駅へ。駅の中にはおみやげ屋さんがあったのでのぞいてみましたが、けっこうそそられたのが鯛のかまぼこ。まだ仕事が残っていて、生ものを持ち歩けないので買いませんでしたが、今度来る機会があれば買ってみたい。

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店の人に「買わないけど、撮影させてください」と頼んで写真を撮ってきました。

さてこの日は富山で仕事があり、富山駅近くの旅館に泊まりました。その話しは次回に。

[高岡市  大黒屋旅館](2012年8月宿泊)
■所在地  富山県高岡市末広町9-6
■楽天トラベルへのリンク→大黒屋旅館<富山県>

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駅前歓楽街に立地する便利で質素な宿 [高岡市 大黒屋旅館(前編)]

富山と新潟に仕事で行く用事ができたので、1日前に現地入りし、高岡に一泊してみることにしました。高岡は初めての訪問。前に電車で通ったことがありますが、一度は訪ねてみたいと思っていた町です。

東京から富山方面に行くのは意外と不便で、前は飛行機で行きました。今回は越後湯沢経由のほくほく線経由のルートを利用。それにしても時間がかかります。新幹線ができると便利になるでしょうが、便利になり過ぎるのも寂しい気がします。

高岡といって私が思い出すのは、藤子不二雄せんせいの出身地ということ。ほかに何の知識もありませんでしたが、大仏だけは見てこようと思っていました。

湯沢でほくほく線の「はくたか」に乗り換え。

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高岡駅に到着すると、新幹線開通に備えているのか駅周辺は工事中でした。たぶん古くからの駅前とはずいぶん雰囲気も変わってしまうことでしょう。しかし懐かしい感じの駅前商業ビルが残っていました。

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工事中の駅前にあった「今庄」という店で立ち食いそばを食べてから、まず大仏へ。しかし、その前に古い宿屋を一軒見学に行きました。今回の高岡では「大黒屋旅館」を予約しました。しかし、直前まで迷ったのが駅前にある「川崎旅館」でした。ネットで調べた限り、こちらもなかなか魅力的でした。これを見るだけでも見ておこうと思ったわけです。

駅で市内の地図を入手しようと思っていたのですが、見つけれられず、だいたいの見当で歩いているとすぐに川崎旅館を発見。路地に入ったところにありました。

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見た目は小規模ですが、変わった構造でなかなか雰囲気のある旅館です。こういう宿が駅前でちゃんと営業を続けているというのは、本当にすばらしいことだと思います。2食付きで6000円以下と安いし、次に高岡に泊まる機会があれば、ぜひ泊まってみたいと思います。

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そして桜馬場とかいう通りを歩き、看板を頼りに大仏に向かいました。けっこう案内版が出ているので地図がなくても問題ありませんでした。

高岡大仏に到着。日本三大仏だそうな。

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大仏様の尊顔は、藤子不二雄のマンガでみた通りの顔でした。土台のなかに入ることができ、しばらく見学しました。この近くに古城公園もあるはずですが、歩くのがしんどいので今回はパス。

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それよりも高岡市内の古い町並みを見学しようと思っていました。土蔵造りの商家が並ぶ通りもここから近いはずなので、歩き始めました。それにしてもこの日は暑い。天気予報では曇りになっていましたが、かなりの好天で東京よりも暑いくらい。後で聞いたら36度を超えていたそうで、かなりしんどい町歩きになりました。

土蔵造りの通りも案内看板があるのでそれにしたがって歩くと簡単に見つけられました。

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通りには内部を見学できる建物があったので入ってみました。「旧宮崎家住宅」。資料館になっていて、確か見学料金は200円くらいだったと思います。おばちゃんが早速案内に立ち、説明してくれます。私はこういう家を見学する場合、一人でじっくり見たいと思うほうなのですが、だいたいは親切なスタッフがいて、いちから説明してくれることが多いのです。それはそれで、知らないことを教えてもらえるのでありがたいのです。

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おばちゃんによるとこの通りは「山町筋」というそうですが、それはお祭りの山車からきた町名だとか。そもそも高岡という町の成り立ちから説明してもらいましたが、普通の城下町とは違い、前田家が脇城として人工的に作った町であり、その後もいろいろ紆余曲折の歴史があるようでした。

「土蔵造りだから暑いでしょ。特に今日は格別暑いです。人力で何だけど、これどうぞ」といってうちわを貸してくれました。

「お客さんは東京からですか。それなら川越の蔵造りを見たことがありますか。あそこも有名ですが、このへんは一度大火にあっているため、防火のために建物全体を蔵造りにしているのが特徴なのです」ということです。それにしてもかなり歴史に詳しいおばちゃんでした。

この家を出て、しばらく土蔵造りの町並みを歩くと、やがて赤レンガの近代建築が見えました。こういうのがあるということは、やはり高岡も繁栄した歴史を持つ都市だということでしょう。この建物はいまでも銀行として使っているそうです。

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さてここからさらに西側に下っていくと、格子の家並みが続く金屋町筋というのがあるということです。さっきのおばちゃんに教えてもらった知識です。

早速行ってみるとこにしました。しかし思ったより遠く、道路を歩いていると汗がとめどもなく流れてきます。こんな暑い日に観光目的で歩いているやつは一人もいませんでした。しかもスーツ姿。

やがて小川が見えてきて、鳳凰橋というのにさしかかると、鳳凰の像がありました。なかなか立派な像ですが、どんないわれがあるのでしょうか。

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ここから金屋町まですぐでした。金屋町はその名の通り、高岡の鋳物産業の発祥の地で、そういう家が並んでいた通りのようです。観光案内の看板には「千本格子の家並み」と書いてありました。

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鋳物の町なので、スタイリッシュな子どもの像もありました。

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このへんを散策しながら、自販機で缶コーヒーを買って飲み、少し休憩。こんなことをしているうちに時間が4時くらいになってきましたが、まだ日差しは強く暑さは衰えません。

宿は駅方面に戻ったほうにあるので、ちんたら歩いて戻ることにしました。

来た道とは違う細い路地を歩きましたが、仏壇屋や箪笥屋が多いような気がしました。やや寂れた感じの古い家並みが続いていて、私のような偏屈趣味の人間にとっては、うらやましいようなすばらしい町です。

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夜の歓楽街らしき通りがあったので入ってみました。すると、ここに今夜の宿である「大黒屋旅館」がありました。

隣にも宿らしき家があって、このへんは宿屋街だったのでしょうか。しかし、飲み屋も多いです。

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とにかくまだチェックインするには時間が早いので、ドトールでもあったらアイスコーヒーを飲もうと、もう一度駅まで戻ることにしました。

路地を歩いていると古くて大きな料理屋などもありました。駅前の大きな通りに出たところで、感動の「文苑堂書店」を発見。

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この書店は藤子不二雄「まんが道」に何度も出てきます。人のいいタコおやじが店主をやっていたはずですが、さすがに入ってみるとタコおやじはいませんでした。

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駅前にはウィングウィングという複合施設があり、この1階にイタリアンレストランがあったのでここでようやくアイスコーヒーが飲めました。クーラーが効いていて、高岡に着いて以来、初めて涼しい思いをしました。それしても駅前にこんな施設ができると風情も何もなくなりますね。

ドラえもんの像や、

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万葉線の駅もすぐそば。

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そんなこんなで5時くらいになったので宿に向かいました。魅惑の歓楽街もまだ明るいせいか、なんとなく気分が出ません。歓楽街とはいっても、飲み屋ばかりで不健全系の店はないようでした。

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宿に到着。声をかけるとおっちゃんが出てきました。「早かったですね。部屋は2階です」といって案内してくれました。

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例によって間口の割に奥に細長い町家形式の建物。通された部屋は普通の6畳間でしたが、ラッキーなことにクーラーもありました。古いやつですが、ちゃんと稼働しております。

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部屋の前には共用の冷蔵庫も。やはり、工事関係者や仕事で滞在する人が快適に過ごせるように、細やかな気配りが感じられます。2食付きで5880円という安さも魅力。

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お茶は冷やで、お菓子付き。

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おっちゃんはあまり無駄口をたたかない人で、「お風呂の準備ができたら知らせにきます」といってすぐに去っていきました。

涼しい部屋でやれやれと横になり、お風呂を待ちます。暑い中をずいぶん歩いたのでくたびれてしまい、高校野球を見る気力もなく寝てしまいそうでした。

そういうわけで、この続きは後編に回します。

[高岡市  大黒屋旅館](2012年8月宿泊)
■所在地  富山県高岡市末広町9-6
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プロフィール

もんすけ

 古い湯治宿や駅前旅館など、日本が高度成長時代に入る前からあったような雰囲気の宿が大好きで、各地を回っています。
 どこにいってもそれなりに立派な宿が多く、個性的なボロ宿に出会うことは少なくなりました。
 10年、20年前ならもっといろんな宿が残っていたと思いますが、しかしいま現在でも、10年後、20年後に比べたら多くの貴重な宿が残っているはずです。そうした宿を記録に残していけたら、と思っています。

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