日本ボロ宿紀行

ボロ宿にあこがれ、各地のボロ宿を訪ねています。

愛知の宿

「ボロ宿」というのはけして悪口ではありません。
歴史的価値のある古い宿から単なる安い宿まで、ひっくるめて愛情を込めて
「ボロ宿」といっています。自分なりに気に入った、魅力ある宿ということなのです。
もともと、できるだけ安く旅行をしたいということから行きついた結果ではありますが、
なるべく昔の形を保って営業している個性的な宿を応援していきたいと思います。
湯治宿や商人宿、駅前旅館など、郷愁を誘う宿をできるだけ訪ねて、
記録に残していくこともいずれ何かの役にたたないかなと‥‥。

全室離れ形式のレトロ感覚温泉[蟹江町 尾張温泉 湯元別館]

和歌山に行ったついでに帰りに名古屋に回るという仕事があって出かけました。初日は夜に和歌山に到着して寝るだけなので、和歌山駅前の便利なビジネスホテルを予約。2泊目は蟹江町の尾張温泉で湯元別館という宿を予約しました。今回の旅ではこっちがメインというか、楽しみ。

午後から東京を出て、新大阪から特急くろしおでJR和歌山駅に向かいました。夕食は駅弁。「大阪~神戸間開通140周年記念弁当」。たしか大阪~神戸間というのは新橋~横浜についで古い路線だったような。

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これが最近食べた駅弁の中ではかなり上位にくるおいしさでした。特に牛肉を甘辛く煮たやつが美味でした。

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電車に乗ってすぐに食べてしまったので、あとはすることもなく退屈。

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通天閣も見えていました。

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JR和歌山駅到着。

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少し雨が降ってきましたが、ホテルは駅裏(東側)のすぐ近くだったので傘もささずにチェックイン。部屋はこんな感じで、なかなかシックなムード。

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あらかじめ空気清浄機と加湿器が置いてあって便利。私は両方稼働させてみました。

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雨で外に出るのも面倒なので、そのまま寝てしまいました。

翌日の朝食バイキング。コロッケが揚げたてでおいしかった。

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この日は朝早くから紀三井寺駅まで行き、仕事が終わった帰りはお昼頃にバスで再び和歌山駅へ。和歌山駅から再びくろしおに乗って新大阪に向かいました。このとき、地下街で親子丼を食べましたが、何の変哲もないやつだったので紹介はパス。

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近鉄の蟹江駅から尾張温泉湯元別館までは少し距離があるので、タクシーで向かいました

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すぐに到着。

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何だか趣のある外観です。

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ここの特徴は部屋がすべて離れ形式になっていること。そのへんについてはおじゃるさんのブログ「温泉にいらっしゃい♪」で発見しました。私は温泉に行く時、このおじゃるさんブログをかなり参考にしています。

中に入ると普通の一軒家の庭のような雰囲気。どこに宿の人がいるかもわからないので、適当に声をかけるとご主人らしき人が出てきました。けっこう若い人でした。正面玄関の門限や、遅くなった場合の入口などを教えてくれて、お風呂の場所などを案内しつつ、部屋に案内してくれました。

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独立一戸建ての部屋の玄関はこんな感じ。

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この灯が懐かしいですね。昔の安普請の団地によくあったような。

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部屋はこんな感じでトイレと洗面台は付属しています。

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こういう一戸建て風の部屋が何軒か建っていて、一番奥のほうにお風呂棟があります。

脱衣所。

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お風呂自体はほかに客がいて撮影できませんでしたので、例のおじゃるさんのブログを参照してください。なかなか本格的な岩風呂で、非常に快適なお風呂でした。
到着後すぐにお風呂に行った時に2人の先客がいて、一人は背中に入れ墨満開の御方。ヤーさんかと思いましたが、「こんにちは」と挨拶するとヤーさんとは思えぬ穏やかな応対だったので、違うんでしょうね。

お風呂が気に入ったので、朝までに3回入りました。

お風呂にはシャンプーなどは置いていなくて、部屋に常備してあるのを持っていく形式。

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テレビ台の下に浴衣やタオル、ドライヤーなどが置いてありました。

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夕食は付けていなかったので、近所で外食しようと思っていました。飲食店やコンビニの場所を案内する手作りマップも置いてあり、少し歩けばいろいろ店はありそうでしたが、宿の真ん前がスーパーマーケットのバローだったので、ここで買い出しして済ませることにしました。

結果的に買ってきたのがこれ。

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コロッケパンを買った上に、ちょうど揚げたてコロッケが並べられているところだったのでそれも買ってきてしまいました。まあ何というか、貧しい感じといわざるを得ません。パンが2個とも「ビッグ」サイズなのがせめてものぜいたくか。

とはいえ、翌朝の朝食が付いているので安心。朝食は別棟の食堂で食べます。前日に食べる時間をいっておいて、その時間に行くと準備ができています。

この宿の朝食はまさに作りたて。煮物や卵焼きまで熱さが残っていて、大変おいしゅうございました。味噌汁は名古屋の八丁味噌風。ご飯はおひつにたっぷり入っていたので、私は3杯食べました。

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追加で出てきた干物も当然焼きたて。この宿に泊まるのはどんな人かと想像してみましたが、食事がおいしいので、それが目当てのビジネスマンもいるかもしれないと思いました。それと独立棟の部屋配置は、隣の音などが気にならないのでいいかも。

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そんなわけで朝食後にタクシーを呼んでもらい、名古屋での仕事に向かいました。

ご主人とはほとんど会話する機会がなかったのですが、「別館」という名前が付いているように、近くに本館の料理旅館があります。そちらとうまく客層を分けて、商売を続けているのかもしれません。

[蟹江町  尾張温泉湯元別館](2014年9月宿泊)
■所在地  愛知県海部郡蟹江町源氏3-59
■泉質 単純温泉 低張性弱アルカリ性泉(源泉掛け流し)
■楽天トラベルへのリンク→尾張温泉 湯元別館
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嵐の夜を名古屋の木賃宿で過ごす [名古屋 万保旅館]

名古屋の西口にはいろんなタイプの安宿が多いです。出張が多い人の間では知られたことかもしれません。

西口はもともとは戦後の闇市や寄場があったところだと思いますが、東京や大阪と違って、“ドヤ街”という雰囲気はありません。予備校なんかもありますし。

とにかくこの間名古屋で仕事があって夜7時くらいになりました。この日は朝から台風のニュースが繰り返されていて、東海地方を直撃するという恐れもありました。この台風は結局四国や紀伊半島に大きな被害をもたらしたわけですが、名古屋でも夜7時頃になると、かなり風が強くなっていました。それに断続的に雨が混じる程度。

新幹線のダイヤも乱れていたので、帰るのが面倒になってしまいました。そのまままっすぐ東京に帰れば何ということはないのですが、私は何かあるごとについつい出先で泊まりたくなる癖があるので、この日も名古屋で一泊することにしました。

グーグルマップの拡大図に出ている旅館名を目当てに太閤口方面に出て、いくつか簡易宿泊施設がありそうな東山線の亀島駅方面をめざして歩きました。風と雨が強まっています。

最初「平和館」というのをめざしました。「一泊1800円」の部屋に「空あり」の表示が出ていましたが、見た目、鉄筋風のビルで、あまりにも普通のビジネスホテル風だったので、どうかなと思い、もう1本先の通りにある「万保旅館」というのにたどりつきました。

ここは玄関に「一泊1400円~1700円」という貼り紙が出ている間口の小さな旅館でした。もうこれでいいと思って決定。ますます雨が強まり、後から食事に出かけるのも面倒なので、少し名古屋駅方面に戻ったコンビニで398円の弁当を買ってから、再び宿へ。

宿の引き戸を開けて入ると、思ったより奥に長く部屋が並んでいます。ボロいアパートみたいな感じ。

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廊下の柱にインターホンがあって、押すと「はい」と返事が。「今日泊めてください」というと、一番奥のガラス戸を開けて、女将さんらしき人が出てきました。

「ベットの部屋と和室がありますけど、どちらがいいですか」と聞かれたので「まあ、和室にしておこうかな」というと、一番手前の道路際の部屋を開けて、「ここが広めの和室で1700円」ということでした。

そのあと女将さんが「ちょっと説明しますね」と、奥のトイレや洗面台を教えてくれました。「これからお茶を飲むとか、お湯を使いますか」と聞かれたので「いや使わない」と答えました。使う場合は給湯器の元栓を開けてくれるみたいです。

玄関付近はこんな感じ↓

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2階もあるらしく階段がありましたが、中途半端な位置に謎のサンダルが。

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部屋に戻りつつ、私が汗を拭いているのを見て、女将さんは「そう、今日は暑いね(笑)。クーラーがないので、それで何とか‥‥」と扇風機を指差しました。さっき見てきた「平和館」は「空調完備」とか書いてあったので、「そっちにしたほうが良かったか」と少し悔やみましたが、台風のせいかこの夜は極端に暑いわけでもなく、まあ何とかなるだろうとあきらめました。

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広めの和室という通り、部屋は4畳半の広さ。テレビ台の下に靴を置く箱が置いてありました。

典型的な簡易宿泊所っぽい部屋です。昔「がんばれ元気」の父ちゃんは、こんな部屋を泊まり歩きながら、土方をして元気くんを育てたそうな。

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ドア窓には布きれがたらしてあり、明かりがもれないようになっています。

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テレビは隣に迷惑にならないようにイヤホンで聞きます。この日はサッカー日本代表の北朝鮮戦の後半に間に合ったので、それを見ながらコンビニ弁当を食べました。しかし、つくづく侘しい(笑)。

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近くに銭湯らしきものもあったのですが、今日はパス。門限は10時と書いてありましたが、女将さんが「もし出かけて遅くなるなら、電話をしてくれれば開けるけど」といってくれました。でももう、出かける気力がありません。

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クーラーがないとなると、虫が入らないように電気を消して、窓を開けておきたいところです。しかしこの日は風雨が強いため、あまり開けてもいられません。

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窓の外には宿の看板が見えます。
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サッカーが終わるともうやることもないので、横になりました。

トイレに行ってみると、ひもで流す方式の懐かしい水洗トイレ。貼り紙に「ヒモは真下に引いてください」うんぬんと書いてありましたが、その末尾に落書きで「ハーイ、ワカリマシタ」と書いてありました。どこかののんきなおやじが退屈まぎれに書いたのでしょうか。

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うとうとしていると、夜中にかなり雨風が強まり、この家は大丈夫かとちょっと不安になります。

翌日は午前10時くらいには東京にいる必要があったので、朝5時くらいに出立しました。早朝なので女将にも声をかけず、そのまま宿を出ました。

まだ外はまっくら。宿の前の通りも人けがありません。風と雨の様子はあまり変わりません。

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名古屋駅までは歩いて5分ちょっとくらい。路地裏を通って駅に向かいます。途中、小守地蔵がありました。ちょっと拝んでいこうかと思いましたが、面倒なので風雨が強いので今回はやめておきました。

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駅に着くと、多少人は集まっていましたが、どうやらまだ新幹線は動いていないようで、シャッターがおりていました。駅構内のマクドナルドがオープンしていたのでそこで6時くらいまで時間をつぶしました。

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そのうちかなり雨が強くなり、駅に集まる人々も傘があまり効かないので小走りでした。

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結局始発ののぞみに乗りましたが、やはり強風のため途中区間で徐行運転になっていました。ただ大きな遅れはなく、8時くらいに無事東京駅に到着。

今回の宿はボロ宿といってもあまり風情を感じるようなものではありませんでした。でもこういう安い宿はどんどん減っていきそうなので、私としては何とか長くがんばっていってほしいと思います。

[名古屋  万保旅館](2011年9月宿泊)
■所在地  名古屋市中村区亀島2丁目2(正確な住所は不明)
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素泊まり2900円。120年の歴史を持つ家庭的な宿 [常滑 平野屋旅館]

年末年始にかけて知多半島に行ってきました。知多半島は何回も行ってはいるのですが、あまりゆっくり歩いたことはありませんでした。今回、年末の30日に一泊するつもりでネットで宿を探してみたところ、常滑の大野町という駅の近くで激安の「平野屋旅館」を発見。予約はすぐ取れたので、30日の午後からでかけました。素泊まりで2900円。築100年以上の建物だそうです。すごく楽しみ。

しかし30日はさすがに新幹線が混んでいて、「のぞみ」の空席はまったくありません。駅の窓口でいろいろ聞いたところ、「こだま」のグリーン車なら席が少しあることがわかりました。3時間くらいかかります。「のぞみ」の倍くらいの所要時間ですが、立って行くよりいいと思い、これで行くことにしました。

しかしさすがに「こだま」は遅い。名古屋についたのがもう夕方で、宿に着くのもだいぶ遅くなりそうでした。宿の周辺には店がないと聞いていたので、名鉄のコンビニで弁当を買い、夕食はこれで済ませることにして、名鉄に乗り換えました。

まっ暗くなってから到着した大野町駅には人影はまったくなく、駅前にもにぎわいはありません。なぜこんなところに宿があるのかと思いつつ、駅から街道に出て、5分程度のところにあるはずの宿をめざしました。

しばらく行くと遠くに宿らしきあかりが見えてきました。

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暗くてよくわかりませんが、やはりかなり古い建物のようです。なかなか雰囲気がいいです。

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交差点に面した宿の正面が、斜めに切り取られたような変形建築。これは古そう。古い商人宿らしい雰囲気がめいっぱい漂っています。

宿に入って声をかけると女将さんが出てきて、「もう120年たつ建物なので、あちこちガタガタします。申し訳ありませんがご了承ください」などといいながら、2階の部屋に案内してくれました。

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部屋は6畳で、ふとんが一式出してあります。テレビや暖房器具もちゃんとありました。これで2900円なら上等。まったくもって期待通りの部屋だったので、うれしかったです。食事は頼んでいないので内容はわかりませんが、2食付きだと4700円になるようです。

女将さんが設備を案内してくれて、冷蔵庫やポットは別の納戸のような部屋にそろっていました。

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2階の廊下はせまく、入り組んでいて構造がよくわかりませんでした。部屋数は多そうです。

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浴衣もあったので借りましたが、かなり年期が入ったくたびれた感じの浴衣でした。糊の効いた固さがないので、お肌が弱い人でも大丈夫。

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お風呂は家庭用サイズですが、お湯の出も良く、まったく問題ありませんでした。私は長湯が好きなので、適当にうめながら長湯しました。この日はえらく寒くて風も強かったので、お風呂が気持よかったです。

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お風呂上がりには、みすぼらしい夕食。しかし本当に弁当を買ってきてよかった。この付近に営業している飲食店などは見当たりませんでした。コンビニや商店もなし。食べ物の入手は難しそうでした。そう思うと399円のコンビニ弁当がとても貴重に思えて、大事に食べました。

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常滑市内に泊まるのは初めてですが、何となく焼物で有名だったはず。最近は中部国際空港ができたので、交通拠点としても発展しているのかもしれません。宿でもらったパンフレットを見ると、この大野町周辺は古い商家などが残っているようです。翌日に散歩してみようと思いつつ、この日は早く寝ました。前日が徹夜だったので、ぐっすり寝てしまいました。

朝になって見ると、部屋の中はものすごく寒くなっていました。しかもこの日も風が強く、すきま風ががんがん入ってきます。ふとんから這い出して温風ヒーターをつけると、すぐに暖かくなりました。ちゃんと機能する暖房器具があってよかった。去年の年末に泊まった八戸の宿は、ストープ2台つけても寒かったことを思い出しました。

窓から外を見ると、昨夜は気がつきませんでしが、宿の前の街道にも古そうな家が並んでいます。

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でかける前にちょっと宿の写真を取っておこうと、2階の廊下や1階の入り口などを撮影。

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そんなことをしていると女将さんが出てきて、「お客さん、もし古い建物に興味がおありなら、ちょっと変わった造りの部屋があるのでご覧になりますか」と声をかけられました。そういうことであればぜひとも見せてほしいと頼むと、再び2階に案内され、私が泊まった部屋のさらに奥にある部屋に通されました。

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こちらは床の間付きの凝った造りの部屋でした。障子の明かり取りや、縁側の屋根の細工なども非常に珍しいものだそうで、確か川上貞奴の別荘と同じ造りだといっていたような。「うちの宿はペットオーケーなのですが、この部屋だけはペットはお断りしています」ということでしたが、当然でしょう。

1畳くらいある床の間も杉の一枚板だそうで、建築の専門家に聞くと、今では材料がなく再現不可能だといわれたくらい貴重だそうです。「一枚板でもかなり頑丈ですから、人が乗っても大丈夫です。乗ってみますか?」とといわれたので、一応乗ってみました。あまり床の間に乗った経験がないので、ほかとの強度の違いは評価できませんでしたが。

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欄間の細工も凝っているそうですが、「最近はプライバシーを重視される傾向が強いので、最近手直しした時に板でふさぎました。また世の中が変わって、古い造りが受け入れられるような時代になったら、板をはずせば元通りになります」ということでした。こういう宿が好きな人は、欄間の素通しなんて気にしないような気もしますが、やはりそうもいかないのでしょう。

再び1階にもどって、入り口付近も解説してもらいました。出入り口とその上の部屋は五角形の変わった造りで、120年前にこの宿を建てた時から、かなり凝った造りだったことがわかります。昔の古い飲食店の営業許可証も掲げてありました。

結局このあたりは海産物や陶器、薬などを扱う商人が行き交う街道で、昔はとても繁栄していたようです。大野町というのは、城跡も残る城下町だそうですが、確かに以前の繁栄のなごりが、周辺の家からも感じられました。

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許可証の文字は読みにくくなっていますが、写真を撮りに来る人もいるようです。

女将さんはまだ若い人だったので、「この家のお嫁さんですか?」と聞いてみたところ、「いえいえ、2~3年前に3日間だけ手伝ってほしいといわれてアルバイトできたんです。なぜかその後居ついてしまいました。もとは郵便局員だったんですけど」と笑っていました。

でも、たまたま働くことになったこの家が気に入っているようで、「古い建物で不便もおかけしていますが、それでもお客様がいらしてくださるおかげで何とか維持できています」といっていました。やっぱり家族的な雰囲気の宿なので、常連が多いのかもしれません。女将さん、朝の忙しい時間にも関わらず、建物を案内してくれてありがとうございました。

そんなこんなで宿を出ると、何と雪が舞っていました。どうりで寒いはずです。温暖な知多半島で遭遇する雪は貴重かもしれません。

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この宿は伊勢湾台風の被害にもあったようですが、それでも建物が無事に残ったのは何よりでした。

ちょっと周辺を歩いてみようと思ったのですが、雪と風でほとんど泣きそうでした。しかし、今度いつこのへんに来れるかわからないので、無理やり歩きました。

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宿の前の街道。いい雰囲気です。

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歩いて5分程度で海へ。天気がよければセントレアや対岸の四日市方面などが見えるのかも。とにかく強烈な風です。カメラのレンズにも雪がたまる状況。

さらに歩くと、お寺があって、付近に2軒の宿を発見。「門前屋」と「恩波楼」。こっちも「平野屋旅館」ほどではないですが、古くてなかなか良さそうです。

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こんな宿があるということは、やはり昔はかなり栄えたところなんだなと思いました。

さらに歩いていくと川の向こうに古い家並みが見えたので、行ってみることにしました。

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川を渡ってみると、こちらにも古い商家群がありました。このへんは、観光地としてもある程度有名なところのようですが、私はまったく知りませんでした。

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そんな感じで思わぬ歴史的な街並みに出会い、寒いながらも滿足して再び大野町駅をめざしました。

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昨夜は暗くてよくわかりませんでしたが、駅前ではえびせんべいの店が営業しているほか、商店街の廃墟がありました。一軒だけ、営業しているかもしれない「喫茶店エルザ」があったので、ここで暖まろうかと思いましたが、まずは一気に常滑駅まで行くことにして、寄るのはやめておきました。

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駅前にも神社らしきものがあり、やはりそうとうな歴史を持った町だということが実感できます。市街地は狭いエリアに密集していますが、おそらく昔は商店や飲食店もたくさんあったのだと思います。もっと時間があれば、さらに探索してみたい感じのところでした。

このあと名鉄に乗って常滑駅をめざしました。常滑駅前でも古い旅館を発見したのですが、その話は次回にまわします。

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[平野屋旅館](2010年12月宿泊)
■所在地  〒479-0866  愛知県常滑市大野町2-84
■楽天トラベルへのリンク→
平野屋旅館
 
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下町情緒が漂う不思議な町を訪ねる [名古屋 四間道]

名古屋や大阪は出張ででかけることが多いのですが、日帰りがほとんどです。目的地に直行し、そのまま帰ってくる。そんなパターンが多いです。ところが先日あるブログで、名古屋の街中に江戸時代の商家街の風情が残っていることを知り、ぜひのぞいてみたいと思っていました。この6月に名古屋に行く機会があったので、寄ってみました。その町は「四間道」。そういうわけで今回は宿のはなしではありません。

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当日は朝早い新幹線で早めにでかけて、名古屋駅から地下鉄桜通線に乗って国際センター駅まで行き、そこから徒歩。「国際センター」は名古屋駅からも歩けるくらいのところで、仕事できたこともあります。まさかこんなビジネス街に古い町並みが残っているなんて想像もしませんでした。

詳しい地図を持っていかなかったのですが、とにかく行ってみればわかるだろうという考えででかけました。国際センター駅からとにかく堀川に出れば、運河に沿った古い町並みがあるはず。街がぼやっと白っぽく見えるような暑い日で、ちょっと歩いていると汗が流れ落ちてきます。

適当に裏道に入ってみると、確かに古い住宅や神社があって、なかなか風情がありますが、どこが「四間道」なのかわかりません。

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神社もありました。神社の塀に猫がいて、午前中からフラフラさまよい歩く私をあやしんでいました。

知らない町で道がわからない時は、人に聞くのが一番です。ちょうどいいことにヤマト運輸の配達のにいちゃんがいたので、「四間道はこっちのほうですか?」と聞いてみましたが、「いや~、何区ですかね。ちょっとわからないです。すみません」といわれました。

ヤマトのにいちゃんが知らないなんて、「案外知られていないところなのだろうか」と思いつつ、堀川を見つけたのでそれに沿ってだいたいの見当で歩いていきました。そしてついに発見。

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このへんの住所は「那古野」と書いて「なごの」という住居表示になっていました。「名古屋」という地名と何か関係あるのかどうか。解説看板によると、「四間道」は、名古屋城築城の際に、清洲から移転してきた商人の町だそうです。あまり人がいなくて、ひっそりしていました。

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ここまでくるのにずいぶん遠回りをして汗もかいたので、古い民家風の喫茶店に入りました。朝早く東京を出て、朝食は食べていなかったので、名古屋のモーニングというやつを食べてみようと思ったのです。

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古い家ながら、すごく雰囲気のある店内。常連らしきおばちゃんたちが、朝から集まって盛り上がっていました。4人組のおばちゃんたちの隣のテーブルに座って、よくわからないのでとりあえずアイスコーヒーを頼んだら、「モーニングにしますか? トーストが付きますけど」といわれたので「お願いします」と頼みました。

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このトーストがすごくおいしかったです。ごまが入っていたかも。ジャムと卵もすごくおいしい。アイスコーヒーだけ飲んでも、トーストを付けてもらっても同じ400円。それならふつうは頼むのではないでしょうか。さすが名古屋のモーニング。

だいぶ汗もひいたので、再び「四間道」の散策を続行。名古屋駅付近の高層ビルが見えるようなところなのに、古い蔵づくりの建物や、下町のような古い木造住宅がたくさん残っていて、神社や祠などもいくつもかありました。

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名古屋の街中なのに、とんでもなく渋いところです。まさに下町。しばらく歩いていると、古そうな商店街を発見。今回は時間がなかったので入りませんでしたが、なかなかおもしろそうな商店街です。このへんでおばちゃんの団体が散策しているのを見かけました。それなりに有名なのか、観光コースにもなっているようです。

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屋根神様を載せた家もありました。このへんに多い風習だそうです。

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普通の住宅がすごく魅力的です。時間があればあのきしめん屋さんにも行ってみたかった。

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名古屋にはこれまでそれこそ何十回も行っています。でも町の中をじっくり散策するということはありませんでした。しかし名古屋も歴史のある街なので、ちょっとその気になって目を向けて見ると、古い風情のある町が残っていたのでした。

この日、帰りはいつものように新幹線のホームで立ち食いのきしめんを食べて帰りました。

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[名古屋・四間道](2010年6月見学]
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プロフィール

もんすけ

 古い湯治宿や駅前旅館など、日本が高度成長時代に入る前からあったような雰囲気の宿が大好きで、各地を回っています。
 どこにいってもそれなりに立派な宿が多く、個性的なボロ宿に出会うことは少なくなりました。
 10年、20年前ならもっといろんな宿が残っていたと思いますが、しかしいま現在でも、10年後、20年後に比べたら多くの貴重な宿が残っているはずです。そうした宿を記録に残していけたら、と思っています。

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金具屋(渋温泉)
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新ほり井(別府温泉)
陽光荘(鉄輪温泉)
伯亭 若の屋(日田市)

長崎県
長崎にっしょうかん(長崎市)

鹿児島県
旭屋旅館(白木川内温泉)
妙見ホテル(妙見温泉)

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