日本ボロ宿紀行

ボロ宿にあこがれ、各地のボロ宿を訪ねています。

愛媛の宿

「ボロ宿」というのはけして悪口ではありません。
歴史的価値のある古い宿から単なる安い宿まで、ひっくるめて愛情を込めて
「ボロ宿」といっています。自分なりに気に入った、魅力ある宿ということなのです。
もともと、できるだけ安く旅行をしたいということから行きついた結果ではありますが、
なるべく昔の形を保って営業している個性的な宿を応援していきたいと思います。
湯治宿や商人宿、駅前旅館など、郷愁を誘う宿をできるだけ訪ねて、
記録に残していくこともいずれ何かの役にたたないかなと‥‥。

道後温泉再々訪。今回は伊佐爾波神社隣りの格安宿に一泊 [道後温泉 夏目旅館]

松山には仕事で訪問する機会が多く、すごく好きな街です。道後温泉にもこれまで2回行きましたが、今年4月にまたも行く用事ができました。今回の仕事は当日の午前中で終わるので、あとはひたすら道後温泉でゆっくりする予定。

今回は朝早い出発なので、羽田空港で弁当の朝ごはん。おにぎりと、おかずは賞味期限の迫っていたミートボール。松山空港へは9時過ぎくらいに到着しました。

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その後仕事が終わって、とりあえずバスで松山市駅へ。考えてみると特にやることもないので、市電で道後温泉方面に向かいましたが、まだ時間が早いので、松山城に寄ってみることにしました。

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大街道という駅で降りて、お城へ。坊ちゃん電車も発見しました。

今回はリフトで山にのぼります。

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松山城。今回は天守閣にはのぼりませんでした。

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天気が良い日だったのでここで周囲の景色を眺めたりして時間をつぶし、いよいよ道後温泉へ。松山の市電はどんどん来るので本当に便利です。

道後温泉駅。この日は駅前のからくり時計が動いているのを始めてみました。

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駅から歩いて今回の宿夏目旅館へ。道後温泉からはちょっと離れていますが、とはいっても歩いて5分くらいでした。宿は坂道を少し上った上にありますが、その隣に大きな神社がありました。伊佐爾波神社というそうな。階段がきつそうなので参詣はしませんでした。

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あとで調べるとかなり由緒ある神社で、社殿そのものが重要文化財になっているそうです。そうであれば、あの階段を何とか上って見学したら良かったかもしれません。

そして参道のすぐ隣に夏目旅館。

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もっとボロい外観を期待していたのですが、けっこうきれいです。

とりあえずチェックインして3階の部屋に案内してもらいました。お風呂が付いている部屋を頼んではいたのですが、やはり何はともあれ道後温泉に入ることにして出かけました。

玄関にはお風呂セットが用意されていて、宿泊客は自由に使うことができます。私は自分のお風呂セットを用意してきていたので、使用しませんでした。

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のんびり歩いて道後温泉へ。この道は前も歩いたことがあるのですが、並びに古い家が多いです。

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前に泊まった常磐荘も変わらずにありました。今回も常磐荘に泊まっても良かったのですが、人気宿らしく、この日は空室がありませんでした。

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道後温泉本館到着。これまでは季節外ればかりに来たせいなのか、今回は思った以上に人が多くてびっくりしました。適当にお湯に入ろうと思ったのですが、よく見たらみんな並んでいるようです。

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係の人に希望の部屋を聞かれたので、今回は一番安い大部屋を頼んだら-、そっちは割とすいているらしく、すぐに入ることができました。

風呂はいくつかありますが、基本的にどこも同じお湯です。この日はやはり混んでいて、常連客らしきじいちゃんが正しい風呂の入り方などを講釈しておりました。これは部屋の窓から外を見た風景。

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この窓から見える道後温泉麦酒館でビールを飲むのも、今回の目的。前に来た時と同じく鯛の刺身とじゃこ天を食べてみました。

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このあとしばらく散策して、さらにもうひとつの共同湯である椿の湯へ。ここは入ったことがないので今回が初めて。

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しかし道後温泉本館と似たつくりで、全体的に新しいというところが違うくらい。宿の女将さんの話によると、道後温泉本館より空いているので地元の人はこっちに来る人が多いそうです。

そんなことをしているうちに日が暮れてきました。

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この日はラーメンでも食べて帰ろうかと思ったのですが、前に行った古いラーメン屋は廃業してしまったようで、ほかに無理に食べることもないのでそのまま宿に帰って寝ました。

ただ宿の前にうどん屋があって、遅くまでやっているのを見て、行ってみたい衝動にかられましたが、結果的にはがまんしました。

宿の部屋はこんな感じ。

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お風呂付き。本当は道後温泉に行けばいいのでお風呂はいらないのですが、せっかくなので私は一回入ってみました。

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トイレは部屋のすぐ前。全体的にリニューアルしてあるらしく、設備が新しく快適でした。

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朝は早めに出発。女将さんに見送られて宿を出ました。温泉にも近く安いので、ちょっと道後温泉に泊まるなら非常に便利な宿です。もちろん宿はほかにもたくさんありますが、けっこう料金が高いところが多いので、夏目旅館はお得な感じがします。

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道後温泉駅に行く途中、またも道後温泉本館の前を通ってみました。こちらは皇族専用の出入り口だったはずです。

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そして市電でJR松山駅へ。

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朝ごはんは駅の立ち食いでうどんを食べました。ここの立ち食いを食べるのは3回目です。

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この日は、高松から出るサンライズ瀬戸で東京に帰る予定。それまで何をするかの計画がまったくなく、とりあえず高松方面に向かってみることにしました。

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長くなるので、その話は次回に。

[道後温泉 夏目旅館](2014年4月宿泊)
■所在地  愛媛県松山市道後湯月町1-19
■楽天トラベルへのリンク→夏目旅館(道後温泉)
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創業110年。全焼から再建した港の真ん前の宿 [三津浜 浜本旅館]

正月早々、松山に仕事で行く用事ができました。せっかくなので一泊くらいしようかと思ったのですが、去年も道後温泉に泊まっていて、今回は少し違う企画を考えてみました。それは松山の三津浜から出ているフェリーに乗って、周防大島に渡ってみようという企画です。

周防大島は旅する民俗学者・宮本常一氏の故郷。瀬戸内海の島の中でも大きな島で、古い歴史を持っています。だいぶ前から、一度はいってみたいと思っていた島です。漁業や農業の営みだけでなく、海賊の勃興、毛利時代の戦いや幕末の長州征伐など、さまざまなできごとの舞台ともなった島。確か高杉晋作の奇襲作戦もこの近くだったような‥。そんな興味深い島の歴史を感じてみたいというもくろみでした。

松山からのフェリーに乗ると、周防大島の伊保田港からは、周辺の小さい島に渡る町営渡船も出ているそうで、そんなのに乗って小さな島を訪ねてみるのもおもしろそう。

そんなわけで、とにかく松山で仕事が終わったら三津浜近くに一泊し、翌日周防大島に渡ることにしました。今回、そんなに時間はとれない感じでしたが、とにかくまずは一歩上陸してみよう、という作戦でした。

そこで三津浜近くに一軒だけ発見した「浜本旅館」を予約。フェリーターミナルのすぐそばで、翌日周防大島に渡るのにすごく便利そうです。

当日はとりあえず松山空港から、バスで市内へ。今回はまず松山市駅に行って、だいぶ前にも寄ったことがある食堂に入りました。かなり寒い日だったので鍋焼きうどんを注文。

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仕事が終わったので夕方、三津浜近くをめざしました。市内電車で古町という駅まで行き、ここで伊予鉄道の高浜線というのに乗り換えます。

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この駅は軌道線と鉄道線が入り組んだ不思議な構造になっていて、乗り換えのシステムがよくわかりませんでしたが、とにかく何とか乗車。三津駅をめざします。

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三津浜港にも割と近く、予約した宿はここから歩いていけそうなところにあります。

三津駅に到着。駅舎は意外にハイカラな感じでした。

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駅の内部もなかなか雰囲気があります。

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しかし駅前には古そうな商店や、由緒のありそうな商店街も。

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だいたいの方向の見当でこの商店街に入ってみました。

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それなりににぎやかそうな通りなのですが、シャッターが目立ちます。

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脇の路地には歓楽街らしき雰囲気も。

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このあたり、古くて立派な家が目立ちます。

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なかなか高そうな鯛めし屋もありました。

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渋い町並みを歩いているうちに港に出ました。

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三津浜港というのは、古い歌に詠まれている「熟田津」であるといわれています。このへんから額田王が船出したのでしょうか。

熟田津に
船乗りせむと月待てば
潮もかなひぬ
今は漕ぎ出でな

なんちゃって。万葉のみやびな王女が詠んだ古歌に対して、平成の下品なオヤジが思いをいたす──。それもまた「いとをかし」といえないものかどうか。

いずれにしてもこの日は寒くて、月を探すどころではありませんでした。

宿は港のすぐ近くに立地。

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あまり情報がない中で、もっと古い宿をイメージしていたのですが、意外に新しい建物です。民宿みたいな感じ。隣はお食事処になっています。

ハートマークのウェルカム看板も(笑)

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ピンポンを押すとおばちゃんが出てきて、すぐに2階の部屋に通してくれました。「食事はいつでもできる」ということでしたが、先にお風呂に入れてもらうことにしました。

部屋も新しくきれい。仕事で泊まるのに十分な設備・備品が整っています。

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さっそくふとんを敷いて、気が向いたらいつでも寝ることができる体制を準備。

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6時くらいから食事にしてもらうことにして、まずお風呂へ。お風呂は普通の家庭用よりやや広めで、なかなか快適なお風呂でした。

時間になって1階の食堂に行くと、すでにおばちゃんが待ち構えていました。要するに「お食事処  はま路」のスペースが食堂になっており、宿泊客もそこで食べます。お食事処は今はやっていないみたいでした。

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夕食はこんな感じ。イカの刺身や煮魚、エビなどがそろって、なかなか豪華です。ごはんと味噌汁はあとにして、ビールを頼みました。

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なまこ酢があるのがいいですね。これがいいつまみになりました。

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そうしているうちに、もう一人若い男性客が来て、やはり飲み始めました。常連さんみたいでした。

出ているおかずを食べながらビールを飲んでいると、さらに追加で焼肉登場。

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そうなると、かなりのボリュームです。おばちゃんはテレビを見ながら、民主党の岡田さんの人相が悪くなったとか、ちょうどこの時広島で囚人が脱走したニュースをやっていたりして、いろいろコメントをしていました。なかなか話好きな人のようです。

おばちゃんは「今は松山も大街道とか銀天街が中心になっているけど、昔はこの港のあたりが一番の繁華街だったんだよ。今は商店街も寂れてしまったけれど、昔は映画館もあったし、向こうには遊廓もあったくらいだから」と自慢していました。今は産業構造や交通状況が変わりましたが、確かに重要な港の近くなので多くの人が集まる中心地だったのでしょう。

最後にごはんを頼むと「ふつうのごはんとカレーライスができますけど、どうしますか」といわれたので、せっかくなのでカレーライスを頼みました。しかし、私はこの前日、家でもカレーライスを食べたばかりだったし、おなかもけっこういっぱいだったので、「ほんの少しでいいです。小盛りにしてください」と頼みました。

おばちゃんは「はいはい」といってましたが、しかし、私の願いは無視。

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めいっぱいの大盛りが出てきました。

こういうものは残すのも悪いので必死で食べました。こんなにいろいろ出ると知っていたら、ビールを抑えておくべきでした。

おなかが苦しいので早寝。

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翌朝も寒い日で、四国の松山といえば温暖だと思っていましたが、やはり1月は寒いということが実感されました。

朝食も同じ食堂へ。

朝食を食べながらおばちゃん(この家の女将さん)に、いつ頃からやっている宿なのが聞いてみました。すると、かなりの古い歴史を持った宿だということがわかりました。

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女将さんの話によると、宿の開業は110年前。もともと松山の沖にある中島に渡る船便を創業したという由緒ある家だとか。しかし古い旅館の建物は、平成に入ってからもらい火で全焼。近くで天ぷらなんかの揚げ売りをしていた屋台の火の不始末から出火して、どうしようもなかったそうです。並びの家が9軒焼けたということです。

そして建て替えて、改めて営業を継続しているのが現在の「浜本旅館」だそうな。そうとわかると、古い宿が焼けたのが本当に残念です。

女将さんは「私はこの辺の出身ではなく、砥部から嫁にきたのです。長く続いた宿を私の代でつぶすのは親に顔向けできないと思った。息子はこんな小さな宿をやっても中途半端でもうからないといってましたけど、とにかく続けるしかないと思った。金融公庫からお金を借りるのにも大変だったけど、やれるだけはやったので、何とか許してもらえるのではないか」といっていました。

許すも許さないも、こんなにがんばっていたら、たいしたもんです。

砥部の農家で生まれ育った幼少時代。小さい頃は山の中の小学校に通うのに魚などを入れるトロ箱を持って坂道をのぼっていき、帰りはそれをソリにしてすべって帰るのが楽しかったそうです。「でも時々私が林に隠しておいた箱を勝手に使ってすべる子がいてね~」と懐かしそうに話します。

おとうさんは宮大工だったそうですが、農業もしていて、肉牛、乳牛のほか、農作業用の牛も飼っていたそうです。「小さい頃は牛に草をやると、牛がもぐもぐ食べるのがおもしろくてね。牛の食べ方はかわいくておもしろいので飽きなかった」といいます。

そのほか「池でどじょうをとって近所のおっちゃんに持っていくと小遣いをくれた」とか、いろんな昔の想い出話をしてくれました。農作業も手伝ったそうです。

「子供でも働いたよ。一人でやると大変な作業でも、友達みんなを集めて分担してやる。そういうふうに仕事をうまく手配するのが得意だった。今でもそのおかげで足腰はしっかりしているよ」といっていました。確かに女将さんは小柄ですが、姿勢が良くて背中が伸びており、用があると走るように飛び出していくなど、すごく元気です。若く見えましたが実際は70歳を超えているとか。

私は「そんな山の中から港の宿にお嫁に来たということは、誰か世話をする人でもあったんですか」と聞いてみました。

すると女将さんは「いや、職場結婚」という意外にハイカラなこたえ。「伊予鉄の観光バスのバスガイドをしていて、夫は運転手をしていたのです」ということでした。

息子さんや実家の兄弟も、家業がある一方でいろいろな仕事をしており、あまり詳しく書くのもまずいとは思いますが、要するにそれぞれ立派な地位にあって元気に働いているそうです。

なかなかおもしろい話ばかりで、もっと聞いていたかったのですが、船に乗る都合もあるのでしばらくして出立することにしました。

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といっても港はすぐ前。フェリーターミナルも徒歩1分くらいのところにありました。

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窓口に行って、午前に出る船で周防大島の伊保田港まで行くチケットを買おうと思っていたのですが、「今、船がドッグに入っていて、伊保田港には寄りません」という返事。私は意味がよくわからず、「そうすると何時の船なら寄るんですか」と聞き返しました。しかし「今日から1週間、すべての船は伊保田港には寄りません。柳井港直行になります」という衝撃の返事。

私はこの日、周防大島の民宿を予約してあったのですが、島に渡れないとなるとどうすればいいのか。

少し落ち着いて作戦を考えようと思い、窓口のおっちゃんにちょっとタイムを告げて、待合室の椅子に座って考えました。

いろんな手が考えられます。まず今回は周防大島をあきらめ、宿をキャンセルして、松山からそのまま東京に帰るという手。あとは別ルートで別の島に渡ってみるという手。さらにはいったん本土の柳井まで渡り、そこからバスなどで周防大島をめざす手。このルートだとすごく遠回りすることになりますが、周防大島には本土から橋がかかっているので、たぶん本数は少ないにしても、バスで行けるはずです。

結局、とにかく周防大島にたどりつくことだけを目標に切り替え、島のいろんな場所は見学できなくても、「とにかく島に行くだけは行って、一泊して帰ろう」と決めました。

いつもきちんとした計画を立てず、ろくに調べないで出かけるのでこういうことになります。

出航までには少し時間があり、船もまだ着いていませんでしたが付近を少し歩いてみました。そこの看板を見ると。確かに特別ダイヤの注意書きがありました。

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いまさら「ご注意くだいさい。」といわれても。まあ、自分が悪いのですが。

窓口のおっちゃんに「じゃあ柳井まで1枚」といってチケットを買い、何とか柳井経由で周防大島上陸をめざすことにしました。本当にたどりつけるのかどうか、不安でいっぱい。

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ということで、この続きは次回にします。

[松山  浜本旅館](2012年1月宿泊)
■所在地  愛媛県松山市三津1-4-10
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四国の小さな町に残る富豪の旧家を改造した宿泊施設 [内子町 文化交流ヴィラ高橋邸]

このあいだ道後温泉に一泊した後、まっすぐ東京に戻ってもよかったのですが、今回は内子町に残る古い町並みをちらっと見学することにしていました。

特に内子の「高橋邸」という旧家を利用した宿泊施設については、出発前に知人から情報をもらっていたので、ぜひとも見学して、もし良さそうなら次の機会に泊まってみよう、などと考えていました。

道後温泉から市電でJR松山駅に行き、かなりの時間待ちをしたあげく「特急宇和海9号」に乗り込みました。内子駅も特急停車駅なので、松山から乗ってしまえばあっという間に到着します。

ただ松山駅のホームはわかりにくくて、高松や岡山方面へ行く特急も、宇和島方面に行く特急も、同じホームの前方と後方に分かれて乗り場があります。つまり同じホームに逆方向に行く電車が同時に止まっていることがあります。

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私もこの時ちょっと「??????」となりました。改札から入ったところのホームの電光表示は岡山行きになっていて、「宇和海9号」の乗り場が見つけられませんでした。結局、よく案内放送を聞いてみたら、同じホームの左手方向にずいぶん歩いたところが乗り場だということが理解できました。

そうやってうろうろしながらどうにか電車に乗り、松山駅を出てしばらくいくと何やら立派な球場が見えました。

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そして山間をくねくねと走っていくとやがて出てくるのどかな田園風景。やっぱり電車で知らない土地を旅するのはいいもんです。

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30分くらいで内子駅に到着しました。

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緑色の虫が駅舎でお出迎え。

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このへんは高架線になっていて、ガード下に駅があります。

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駅前には機関車が展示してあり、ベンチではどこかのおっちゃんが昼寝をしていました。

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すごく暑い日なので、とりあえずお茶を買おうと自販機に向うと自販機にも「おいでなはい内子」と書いてありました。これは愛媛弁なのでしょうか。

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とりあえず駅の出口のすぐそばに「旅里庵」という観光案内所があったので寄ってみました。地図を見ると、古い町並みが保存されているエリアは、駅から歩いてもいけそうですが、20~30分かかりそうな感じ。

目当ての「高橋邸」のほか、何カ所か回ってみたいと思っていたので、レンタサイクルを借りることにしました。案内所のおばちゃんに聞いてみると「少し坂になっているので、タクシーでいったん上までいって、歩いて観光する人が多い」ということでしたが、やはり自転車のほうが楽しそうだったので借りました。確か2時間で300円くらいだったような。

私も昔は自転車で北海道一周とかしたものですが、最近さっぱり乗っていないのでちゃんと乗れるかどうか。

とにかくさっそうと町並み方面に走り出し、昔の繁華街らしき通りに出て、そこに進入していきました。

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ちょっとみただけでもかなり古い家が多いエリアだということがわかります。

そしてすぐに到着したのが「内子座」。

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大正時代に作られた木造劇場ですが、今でも使っているところがすごい。中を見学してみると、すごく立派です。

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地下に降りると「奈落」の構造を見学することもできます。

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2階席にも上がってみました。こんなふうな劇場で、酒でも飲みながら芝居を観たら楽しそうです。

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「内子座」で見学料金を払う時に、ほかの資料館なんかとのセット券を勧められたので、次はそれで見学できる「商いと暮し博物館」に向いました。

ここは薬屋の跡です。愛車ママチャリ号とともに。

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最近各地にみられるように人形をディスプレイして、当時の暮しを再現しています。主人一家の朝食風景では、下男が下のほうで小さくなって一緒に食べていました。時代を感じる風景。主人も下男も、おかずは漬物と味噌汁だけ。

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ここの人形はセンサーがついていて、人が行くと音声が流れます。知らないでいくとちょっとびっくりします。

↓こんなやつもいました。

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2階に上がる階段は箪笥みたいに引き出しがついています。こういう立派なのはあまり見たことがありません。

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ご隠居様用の部屋から見える蔵。いい雰囲気。

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すごくいい感じの部屋が多くて、こんな家で暮してみたいと思わずにはいられませんでした。

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この先伊予銀行の古い建物があり、そこを左に行くと町並み保存地区。私はとりあえずまっすぐ坂道をのぼってみることにしました。

しかし暑くなってきたことでもあり、意外と自転車がきつい。やはり電動アシスト付きにすればよかったのか。

でも町並みはなかなかいい雰囲気。上までのぼったので、また戻り、今度は途中で折れて町並み保存地区にいってみました。

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確かにかなりしっかりと保存されています。保存地区は各地にありますが、ここはなかなか活性化しており、町が生きている感じがします。

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私はローソク屋さんで和蝋燭を買いました。そのローソク屋の建物もたぶん明治、大正のものだと思います。

さて、ひと通り町並みをみたので、いよいよ高橋邸に向います。この高橋さんという家は、江戸時代からの庄屋で富豪ですが、日本のビール王と呼ばれる高橋龍太郎先生の家でもあります。アサヒビール、サッポロビールはもともと同じビール会社だったわけですが、その発展に大きく関わった人であり、貴族院議員から通産大臣も務めたという、すごく立派な経歴を持った人です。

古い野球ファンにとっては、プロ野球チーム「高橋ユニオンズ」のオーナーとしてのほうが有名かも。

とにかく、その当時のままに近い建物を、今は「文化交流ヴィラ」(?)として、ゲストハウスや集会所、文化活動などに利用しているそうです。

表通りから少し入ったところに高橋邸を発見。表から眺めて見ると、石垣を積んだなかなか立派な家ですが、威圧感はなく、風流なたたずまい。

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門のあたりもいい感じなのですが、よく見ると「本日休館」の札が。「ありゃ~、ついてねぇ~」と思いつつ、駐車場に自転車をとめて残念そうに眺めていると、近くで掃除をしていたおばちゃん(奥様)が、「中をご覧になりますか」と声をかけてきました。

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「えっ、休みでもみられるんですか?」というと「大丈夫です。どうぞ」と中に案内してくました。「宿泊棟の離れのほうは今日は都合が悪いんですが、広間は大丈夫です」

中に入ると高橋先生の小さな銅像が出迎え。

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応接間らしきところに入るとおばちゃん(奥様)がクーラーを付けてくれて、「今日はどちらからいらっしゃったんですか」とかから始まって、いろいろこの家の由来などを教えてくれました。

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高橋先生の話もさることながら、内子がいかに豊かな町だったのかという歴史的な話。

「木蝋、生糸のほか葉たばこ生産も盛んでした。山の中なので大きな田畑はできませんが、豊かな家が多かったので、子弟もみんな松山の学校に通わせているくらいでした。高橋龍太郎さんも松山中学に通っていました」ということです。

大広間は通産大臣になってから増築した部分だそうです。当時は天井板を張り付けた家が珍しく、これを作った大工さんはずっと自慢していたとか。

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とにかくやたらと博識のおばちゃんなので、町の学芸員みたいな人かと思って聞いてみたら、近所の主婦だそうです。

「高橋邸の管理は近所の主婦数人が共同でやっていて、宿泊されるお客さんがいる時は、朝食も私たちが作ります。一棟貸し切りで1グループ限定ですけど、部屋がいくつもあるので人数が多くても大丈夫です。料金も付近の旅館の営業の妨げにならない程度に安くなっていますよ(笑)」ということでした。

離れの宿泊棟もなかなか風情のある古い建物です。これが貸し切りならおもしろそうです。ただし残念ながら「ボロ宿」ではありません(笑)

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この家には「止談風月無用者可入」(ただ風月を談じるなら、用事がなくても屋敷に入りなさい)という墨書の看板が掲げられていたとか。そんな気分がなんとなく今でも感じられます。

そうなると、いよいよもって泊まってみたい。私が「せっかくこういうところに来たら、一泊くらいしないと来た気がしませんね」というと、

「ぜひ改めてお出かけになってお泊まりください。私も一度行った観光地を再訪することがよくありますが、やはり2度目は違う印象を受けます。内子は特急も止まる便利なところで、高速道路のインターも近く、本当に恵まれていると思います。ゆっくり来られたら、ほかにも見どころがいろいろありますよ」

そういうことなので、私としてはぜひまた機会を作って、この「高橋邸」に泊まってみようと思いました。

この大広間で暑い中を汗を拭きつつ、すっかり長話をしました。歴史に詳しいだけでなく旅行も好きなようで、なかなかおもしろい話ばかりでした。お礼をいって応接のほうに戻ると、そこはさっきつけたクーラーがきいていて快適な温度。「あら~、こちらの部屋でお話すればよかったですね~」と笑っていました。

奥様に別れを告げ、再びさっそうと自転車で走り出しました。

この町は確かにいろいろ見どころが多そうです。この日、私は東京に戻らなければならないので、再び内子駅をめざしました。もう特急の発車まであまり時間がありません。

途中で見かけた旅館。この宿もなかなか渋そうですが、なぜか1階にイタリアンレストラン(笑)

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山奥なのに、塩サバを店頭で炭焼きして売っている店もありました。これはうまいでしょうね。このへんの魚は八幡浜あたりから来るらしいです。

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再び特急に乗って松山へ。今回、松山からは電車でのんびり電車で帰るつもりでいたので、まずは駅をいったん出てラーメン屋に入りました。

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松山なのに、なぜか喜多方ラーメンののぼりが出ていましたが、中に入るとおでんをやっていたりして、何となく高松のうどん屋風情も。せっかくなのでおでんのダイコンと、チャーシューメンを食べました。

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松山から岡山に向う電車は「アンパンマン電車」でした(笑)。お遍路さんらしき人もいます。

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松山から瀬戸大橋を越えて岡山へ。岡山から新幹線に乗り換えて東京に帰りました。けっこう疲れたけれど、なかなかおもしろい体験でした。

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[内子町  文化交流ヴィラ 高橋邸](2011年9月見学)
■所在地  愛媛県喜多郡内子町内子2403番地
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道後温泉本館に近くて便利な大正時代からの湯宿[道後温泉 常磐荘]

去年道後温泉に行った時に、付近を散策して見つけた良さそうな宿がありました。最近、松山に行く機会があったので、ぜひそこに泊まりたいと思って、予約して出かけました。道後温泉本館のすぐ近くにある「常磐荘」です。

今回は昼間は仕事があり、チェックインできる時間も不明確だったので夕食はなしで、朝食だけ付けてもらうように頼みました。
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去年宿の前を通った時に、建物全体の古びた感じや、玄関を入るとすぐに2階にあがる階段がある造りなど、なかなか惹かれるものがあって、次回はぜひともここに泊まりたいと思っていた宿です。思ったより早くその機会がきました。

結局この日は午後3時くらいに松山市駅でフリーになったので、そのまま道後温泉に向うことにしました。市電の乗り場に行ってみると、ちょうど「坊ちゃん列車」が待っているところでした。普通の市電より料金が高い観光列車ですが、レトロな雰囲気でなかなか良さそうです。前に来た時には乗れませんでした。

それでせっかくなのでこれに乗って行くことにして、客車に乗り込むと誰もほかの客はいませんでした。一応2両編成ですが、運転士や車掌さんのほうが多い状況。

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それでも列車が発車すると若い車掌さんが客車に来て、観光案内を肉声でしてくれます。マンツーマンシステム。なんかしゃべり方がこなれすぎていて、よくわかりませんでしたが、とにかくいろんな歴史やら、観光の見どころなどを教えてくれます。

私はこのまま道後温泉まで乗るつもりだったのですが、松山城近くの「大街道」という駅に来ると、にぎやかな雰囲気で松山城も見えたのでおりてみることにしました。

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今回は大街道のアーケード街を少し散策。しかし東京でも大阪でもどこにでもあるチェーン店系の店が多く、そんなに地域色は感じませんでした。

そこらのカフェでアイスコーヒーを飲んでから、再び市電に乗り道後温泉へ。しかし松山はお城を囲むように市電が発達していてすごく便利。いい温泉もあるし、住んでみたくなるようないい雰囲気の街です。

去年来たのは3月で、あまり観光客がいませんでしたが、今回は観光シーズンなのかけっこうな人出。からくり時計の回りにも記念写真を撮っている人がたくさんいました。

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宿のチェックインは6時頃と伝えてあったのですが、まだ4時30分くらい。温泉に入ってもいいのですが、夕食なしなので食事をしようと思っていました。

しかしまだやっている飲み屋などはありません。とにかくまずは懐かしの道後温泉本館へ。

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やっぱりいい雰囲気の建物です。ここも去年と違って人が多く、観光人力車なども出ていました。

とにかく普通の飲食店がやっていないので、道後温泉ビール館でビールを飲むことにしました。去年も入った店で、けっこうおいしかったのです。

今回は鯛のお刺身だけ頼んで時間をつぶしました。鯛はもちろん「道後ビール」がおいしい。特に私としては、すっきりしたケルシュがおいしいと思います。

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ここで食事もできるのですが、私としてはどこかうらぶれた食堂でもあればいいなと思っていたので、さらに付近を歩いてみました。

商店街には観光客向けのコスプレサービスをやっている店も。裏道を行くとニュー道後ミュージックも健在でした。

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さらに裏道を行くと風俗店街に出て、その通り沿いにとんでもなく古そうなラーメン屋をみつけたので、そこで夕食にすることにしました。今回はチャーシューメン。営業しているのかどうかも疑わしい外見でしたが、普通にやってました。チャーシューメンは480円と、良心的価格です。

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これでだいたい6時くらいになったので宿に向いました。去年一回見ているので場所はわかっています。道後温泉本館のすぐ裏で、歩いても1~2分のところです。

これが外観。

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玄関から入ろうとすると、宿の若い女性がちょうど出て行くところだったのですが、私を見て戻ってきて笑顔で「いらっしゃい」と声をかけてきました。

「今日はお仕事ですか~」などと世間話をしながら部屋に通してもらいました。なんか女子高生くらいの感じに見える人です。こういう宿だとすごく年期の入った女将が出てくるかと思っていたのですが、ギャルだったのでちょっととまどいました。

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今回頼んだ部屋は、古い部屋ではなくリニューアルでできた離れの部屋です。本当は古い部屋に泊まりたかったのですが、諸般の事情でこっちにしました。

シンプルですがなかなかいい部屋です。まったく古びた感じはありません。

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「この宿はいつぐらいから営業しているんですか」と聞くと、「大正9年です。ただこちらの部屋は平成になってから手を入れています。もうこのあたりでもあまり古い宿はなくなってしまいました」と若い女性が教えてくれました。

部屋には観光ガイドのパンフレットなどのほか、夏目漱石先生の「坊ちゃん」と、坊ちゃん団子も置いてありました。

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部屋のすぐ前が洗面所。ここもリニューアルしたらしく、きれいで設備が整っていました。

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けっこう暑い日で、汗だくの私を見て「お風呂はどうされますか」と聞いてきました。ここのお風呂は道後温泉と同じ源泉を引いている温泉ですが、家族風呂形式なので、誰か使っているときは入れません。今はあいているということだったので、とにかくすぐに入ることにしました。

お風呂のある1階は部屋のすぐ下なので降りると、誰か宿の人らしきおばちゃんがいて「どうぞこちらです」と教えてくれました。内鍵がかかる家族風呂なので貸し切り使用。しかし、それにしては贅沢な広さです。夜になったらまた道後温泉本館のお風呂にも行こうかなと思っていたのですが、同じ源泉のこういう立派なお風呂があるのなら、あえて行かなくてもいいと思ったので今回はやめておきました。

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お風呂から出てしばらくしてから少し出かけました。道後温泉本館や周辺の商店街が近いので、気楽に出かけられます。

ちょっと天気はあやしげで雲が異様な感じ。しかし正面に見える夜の道後温泉本館もなかなかよかったです。

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側面の夜景。手ブレしまくり。

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正面。とにかく前と比べて観光客が多い。みんな浴衣姿で散策しています。
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人力車は営業終了していましたが、中をのぞいたらプーさんがたくさん乗っていました。

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近くの広場にいた「坊ちゃん」の登場人物たち。マドンナはともかく、あとはあまり覚えてない。赤シャツはわかりますが。
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ぶらぶら歩いて商店街のおみやげ屋さんをのぞいてみたら、そこのばあちゃんに本格的につかまってしまいました。

「何、奥さんへのおみやげなの?」と聞かれたので、「いや、別に‥。でも義理の母親に何かいいのがあるかなあ」といってしまったところ、「そしたら、これですよ。ではクイズです。これ何かわかる?」と持ち出したのか、小さいポーチみたいなやつでした。「これは久留米絣のすごくいい品物なんだけど、お客さんにきいてもほとんどの人が何に使うかわからないのよ~」というので見ると、表面に「薬」と漢字で書いてあります。

「薬入れ‥ですか」というと、「今あなた字を読んじゃったでしょう。でも読まないとわからないんですよ。これはいいですよ。お義母さんはおいくつ?  薬も飲むでしょう」とたたみかけてきました。

ポーチの内側は朝、昼、夜と3つに分かれていて、これは薬を常用する人にはけっこういいから買おうかな、と思ったのですが、ちょっと高いし、松山まで来てなんで「久留米絣」のポーチを買う必要があるのかなあという疑問がどうしてもぬぐえませんでした。

「ちょっとは負けてくれるんですか」と聞いたら「何いうてんの、あんた。これはギリギリの値段で、すごくいい品物を出してるんですから」

う~ん。そうですか。「負けてくれたら買ってもいいけど」と、ばあちゃんにそういうと、「そしたらこっちはどう?  タオルスカーフ。これは最近大人気ですよ」というので見ると、確かにタオル地のスカーフみたいなやつにでっかい字で「坂の上の雲」と書いてありました。しかも安い。

「なるほど、これだと松山らしいですね」とはいったのですが、こんなのを買って帰ってもたぶん使ってくれないだろうと思って困っていると、外から酔っぱらった感じのじいちゃんが入ってきて、「これくれ」といって、店頭に置いてあった何か昔の駄菓子みたいなやつを持ってきました。

ばあちゃんは「あら~、懐かしいんでしょ」と笑いながら、じいちゃんのほうに向ったので、ようやくその隙に逃げてくることができました。でもいろいろ接客させておいて、何も買わずに逃げたのはちょっと悪かったかな、と反省しております。

そんな感じで散策しながら、コンビニでコーヒーなんかを買って、ニュー道後ミュージックにも寄らず宿に戻りました。この宿も夜になるとひときわいい感じです。

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離れは新しいのですが、母屋は階段のあたりも古くていい感じ。

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この日の夜はすることもないので部屋に置いてあった「坊ちゃん」を読んでみました。野だいことか、山嵐とか、うらなりくんとか、少しずつ思い出してきました。「坊ちゃん」ってけっこうおもしろいな、と思いつつ眠くなって寝てしまいました。

翌朝は食事付きなので早く起きて、再びお風呂へ。若い茶髪の兄ちゃんが上がりかけで、廊下で会ったら、「おはようございます」とていねいにあいさつされました。こういうやつは普通のホテルとかに泊まりがちだと思うのですが、あえて古い旅館を選ぶとはなかなか感心なやつだと思いました。とにかく朝から温泉を独占してつかるのもなかなかいい気分です。

部屋に戻って窓を開けてみるといい天気でまた暑くなりそう。なお、宿の裏は墓場でした(笑)

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朝食はボロい温泉宿というより、なかなか立派な旅館の和食風。じゃこ天も付いていました。すごくおいかったです。例のかわいらしい感じの若い女性が部屋まで持ってきてくれましたが、どうもこの人は若女将みたいです。おみそれました。全般的に朝食は洗練された感じ。

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このさわらの塩焼きがすごくおいしかったです。今回夕食は頼みませんでしたが、夕食もすごくおいしくて有名らしいです。

でかけに古い部屋も探ってみました。私としてはやっぱり古い部屋のほうが良さそうです。

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通りに面した外の景色もなかなか雰囲気がありました。

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そんなわけで宿を出る時にまたも若女将らしき女性が見送りで出てきて「きょうもお仕事ですか。またどうぞいらっしゃってください」といったので、たぶん次回も泊めてもらえると思います。「今日はもう帰るだけですから。お世話になりました」といって出てきました。

道後温泉駅も快晴。観光客が写真を撮っています。

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また市電に乗って松山駅に向います。暑くなりそうだけれど、窓から入ってくる風が気持良く、ちょっと秋の気配も感じました。

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何か、本当に気持のやすらぐような風情のある落ちついた宿でした。古い家とはいえ、部屋も洗面所もトイレも、掃除が行き届いていてきれいだし、たぶん「ボロ宿」狙いの私が行くような宿ではなかったわけですが、立地的にもすごく便利だし、できたらまたゆっくり夕食付きで泊まりたいと思うのでした。

[道後温泉  常磐荘](2011年9月宿泊)
■泉質  アルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)
■所在地  愛媛県松山市道後湯月町4-2
■楽天トラベルへのリンク→旅館 常磐荘

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ビル街に埋もれながらも伝統を残す駅前旅館 [今治 大崎屋旅館]

愛媛県の今治に行く用事ができたので、ついでに瀬戸内の島を訪問してみようと思い立ちました。昔、広島市に近い江田島に滞在したことがあります。25歳頃のことでした。

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このときは、ちょうどお盆の時期だったので、盆踊りや墓参りのようすも見学しましたが、とにかくすごかった。盆踊りがあるというので小さな寺の境内に行くと、中央のやぐらの上のおじいさん2人が交代で歌を歌い、それに合わせて踊っています。まるでお経を読んでいるような不気味な歌。ぜんぜん浮き立つような楽しい感じはないし、地元の人もみんな無言で、呪いの儀式のような不思議な手振りでやぐらのまわりを周回していくのです。山の斜面に並ぶお墓は提灯でライトアップされ、不気味な美しさでした。横溝正史の世界のような。

島といっても瀬戸内海は離島ではなく、古代から人が住んでいます。その歴史が古いまま残されていたりするので、江田島でも死者が主役の昔からのお盆のかたちが残っているのかもしれません。盆踊りも、もともと死者の踊りを模したものという説もありますし、そういう目で見れば、あの不気味さが本来の形のようにも思えます。

こんな思い出があるので、今回もどこかの島に渡って、独特の風俗というものをあらためて体感してみたいと思っていました。

とにかく早朝の飛行機でまず松山空港へ。松山が近くなると、飛行機からもたくさんの瀬戸内の島が見えてきます。今年の春にも松山に行き、今治も通りましたが、駅でおりるのははじめて。そもそも日本人が今治を「いまばり」と難なく読めるのは、高校野球のおかげです。

関係ないですが、今治といえば今の名所は、焼肉のタレを作っている宮殿ですかね。日本食研宮殿工場。ちらっと見学してみました。「宮殿、宮殿、やきにくのタレ、ほんとうに宮殿でつくってるっ」という歌が頭の中でリピート。実物はなかなかみごとなものでした。今治城より立派かも。

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今治ではタクシーの運転者さんに食事をする場所を紹介してもらい、なぜかラーメン屋がうまいというので連れていってもらいました。味噌ラーメンと焼き飯のセット。ボリューム感は文句なしなんですけどね~。

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そんなこんなで、午後2時30くらいには再び今治の駅に戻りました。この時点で今治には泊まらず、ほぼ島に渡るつもりでいました。最初はいわゆる「しまなみ海道」として観光PRが盛んに行われている、島づたいに高速道路を通って尾道まで行くバスに乗ろうかなと思っていたのです。

しかし、やはり瀬戸内は船に乗ってみたい。それにあまり聞いたこともない島に行ってみたい。そんな思いで、いろいろ調べた結果、「しまなみ海道」からはずれた広島県の「大崎上島」というのに渡ることにしました。ここは古い町並みが残っているということです。

それで今治駅から今治港まで歩いている途中、駅に近くで発見したのが「大崎屋旅館」です。

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小さな駅前旅館ですが、なかなかいい雰囲気です。あとで調べたらちゃんと営業していました。市役所がある大通りの並びに、ビルにはさまれるようにして建っていて、古くから営業していることがうかがます。こういうのがあるんなら、今治に泊まっても良かったなあと思ったのですが、もう「大崎上島」の宿を予約してしまったので、あきらめて港に向かいました。

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今治のフェリー乗り場はこじんまりしていて、設備や待合室もすごく古い感じです。1日ここで過ごしているようなホームレスみたいな方もいらっしゃいました。

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フェリーの路線はいくつもあって、待合室や乗り場が3つくらいに分かれています。「大崎上島」にわたるには、大三島ブールラインというのに乗るので、第3乗り場へ。船は5時近くまでないので、港でぼんやりしながら時間をつぶしました。待合室で寝ているおっちゃんもおります。

いよいよ船が到着。おばちゃんの案内放送が流れますが、何をいっているのかほとんど聞き取れませんでした。とにかく「かもめ号」に乗れというのはわかったので、船名を確認してこれに乗り込みました。

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今治の港からもたくさんの島が見えます。目の前のすぐ近くに大島があり、三連吊り橋で有名な西瀬戸自動車道の来島海峡大橋が、すごく巨大に伸びています。バスを選択していれば、あの橋を渡ったことになります。

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この橋は徒歩や自転車もオーケーなので、1週間くらい時間があれば、自転車でゆっくり島巡りをするというのもいいかもしれません。いずれはやってみたい。

大三島ブルーラインは今治から、最初大三島の「宗方」という港に寄り、次に大崎上島の「木江」という港に寄り、最後場再び大三島の「宮浦」という港まで行く快速船でした。私は「木江」でおります。

やがて見えてきたのが「宗方」。港というか、ほんの小さな桟橋があるだけで、あまり集落などは見えませんでした。ここで唯一相乗りしていたじいちゃんが降りたので、乗客は私ひとりに。今どき珍しく船室内は喫煙可で、各席に灰皿がついています。逆に禁煙室のほうがせまいくらいの、時代を感じる船でした。

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この島は大三島ですが、大三島は大きいので、次に対岸の大崎上島に寄ってから、再び大三島の宮内に向かうルートを取るわけです。「宗方」からは10分か15分くらいで「木江」に到着。今治からはだいたい1時間くらいでした。

ここから宮内に向けて乗り込む乗客もいました。みんな慣れた感じです。仕事で通っている人々なのでしょう。

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この日泊まるのは大きな観光ホテルなので、宿から迎えのクルマを出してもらっています。ホテルに電話した時は、ホテルのほうで船の時間を把握していて、「到着に合わせて迎えに行きます。小さい港だからすぐわかりますから」といってました。確かにピッタリの時間に到着。私が上陸した瞬間にクルマも到着して、すぐわかりました。

この先長くなりそうなので、続きは次回にします。

[大崎屋旅館](2010年7月見学)
■所在地 〒794-0028 愛媛県今治市北宝来町1丁目5-18
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「道後温泉本館」に近い便利な大規模温泉ホテル。明治レトロ調の趣も [道後温泉 ホテル椿館]

松山への旅は「道後温泉本館」に入るのが大きな目的だったので、宿も近いところをテキトーに選びました。それが「ホテル椿館」です。「道後温泉本館」の裏手に当たり、規模の大きな温泉ホテルで、こんな立派な宿に泊まるのは2年前に中野ブロードウェイの福引に当たって河口湖温泉に連れていってもらって以来です。

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アウトバス・シングル・朝食付きで6300円。安くもありませんが、夕食を付けるとかなりの値段になるようです。いつもボロ宿ばかり狙っていると、アメニティや設備が至れり尽くせりなのが新鮮です。安宿にありがちな心配がまったくありません。それが当たり前かもしれませんが(笑)。近代的とはいえ明治レトロ調を狙っているようで、なかなか趣のある館内でした。

この日はチェックイン前に松山市内見物をしました。なんといっても松山城。路面電車で松山城にのぼるロープウェイ乗り場の近くまで行けます。行ってみるとロープウェイのほかにリフトもあって、好きなほうを選べます。「ここはリフトだろ」と思ったのですが、雨と風が強くヘタレてしまいロープウェイにしてしまいました。申し訳ありません。

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とにかく例によって天守閣をめざします。松山城の天守閣は江戸時代創建ということでしたが、よく案内書を見てみると安政年間の再建なので、江戸時代といってもほとんど幕末です。櫓や小天守はもっと新しいようで、城としてはそれほど古い建物ではありません。

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雨とはいってもけっこう暖かく梅などは満開でした。寒桜も満開。すごくきれいでした。ここにも何かキャラクターらしきものがいましたが、この人はなんという名前でしょうか。それなりに観光客もいて、なかなかの人気でした。

松山の中心にあるので天守閣からの眺めはとてもいいです。この日は雨が吹き込んできて大変でしたが、すごく立派な要害です。鎧などの展示物もけっこう見物で、なかなかおもしろいお城でした。

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このあと「道後温泉本館」にいったり、食事をしたりしてホテルに向かうわけですが、夕食が付いていないのでホテル近くの食事できる店を視察してみました。道後温泉の駅はレトロ調の立派な建物で、観光地として繁栄していることがうかがえます。

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一帯にはちょっと大きなアーケード街もあり、裏通りには飲食店街もありました。お寿司屋さん、ラーメン屋さん、さらには「ニュー道後ミュージック」などという店もあり、これは夜も安心だと思ってチェックインしました。


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ホテルに入るとすぐに部屋に案内してくれましたが、部屋のすぐ前が大浴場という便利な立地。「アウトバスのお部屋ということでしたので、お風呂の近くにいたしました。もうご準備もできておりますし、きょうは比較的館内は落ち付いておりますので、ごゆっくりご入浴ください」というていねいな挨拶に、やはり豪華ホテルは違うなあ、と感心しました。

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部屋は2階で、お風呂の門の奥にあります。いかにもビジネスユースの貧乏くさいシングルルームで、狭くてしょぼかったです。部屋に入って荷物をおろしているといきなり仲居さんが駆け込んできて、「すみません、ご案内が遅くなりました。いまお茶を入れるぞなもし」というのです(「ぞなもし」は嘘)。

やはり一応温泉なので、こういうビジネスホテルみたいな部屋でもお茶を入れてあげることになっているのでしょう。「フロントに呼ばれて急いで来たんですけど、もういらっしゃらないのであわててきました」といってましたが、こういう部屋で仲居さんにお茶を入れてもらうのも落ち付かないというか、変な気分でした。

とにかくすぐにお風呂へ。

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源泉はおそらくたくさんある道後温泉源泉のブレンドだと思いますが、やはり少し塩素臭がしました。かけ流しでもないと思います。しかし設備は立派。誰も客がいないのでゆっくりくつろぐことができました。露天風呂もあってこっちは少し熱めですが、なかなかいい感じです。タオルも石けんもないような宿にばかり泊まっていると、こういう宿の便利さがしみじみ実感できます。

館内にはラーメンコーナーもあったので、夕食はこれでもいいかなと思ったのですが、この日は客が少ないせいかオープンしていませんでした。結局3時過ぎまで外でビールを飲んでいたせいもあって、夜に外に出るのが面倒になり、夕食はとらず自動販売機のアイスクリームとお菓子でしのぎました。

その分朝食はめいっぱい食べました。じゃこ天はもちろん、豆乳豆腐やイカの刺身なども出ておいしかったです。

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この日は本来の目的である仕事がある日なので、再び路面電車にのって松山市駅へ。午前中に用事をすませ、あとは松山市駅付近を散策し、お昼ごはんを食べました。いろいろ店を探したあげく結局駅のすぐ近くにある食堂へ。ちょっとさえない感じの外観でしたが、こういう店が意外とうまい、ということもあるので入ってみました。

入り口付近におかずを並べてあるのは東京にはあまりない西日本スタイル。定食も魅力的だったのですが、やはり中華そばを注文しました。かなりおいしかったです。

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このあと、今度は高松方面に向かうため、また路面電車でJR松山駅に行ったのですが、松山市駅では観光蒸気機関車の「坊っちゃん列車」が方向転換します。これをたまたま見ていたら、人力で回していて、大変そうでした。いったんはずした客車も人力で連結していました。

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あっと言う間の松山滞在でしたが、念願の道後温泉にも入ることができ、お城も見ることができて、すごく満足しました。松山市内はやたらと「坂の上の雲の街」というフレーズであふれていましたが、それ以外にもいろんな見どころがあり、もっと長く滞在したらおもしろいだろうと思いました。

[道後温泉 ホテル椿館] (2010年3月宿泊)
■場所 〒790-0836 愛媛県松山市道後鷺谷町5-32
■泉質 アルカリ性単純泉
■楽天トラベルへのリンク→道後温泉 ホテル椿館
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共同浴場「西の横綱」と賞される名湯に、ついに初訪問!! [道後温泉 本館]

今年3月、長年の憧れであった「道後温泉」についにいってまいりました。

共同湯の西の横綱としてあまりにも有名ですが、これまで行く機会がありませんでした。「道後温泉本館」そのものには宿泊施設はないので、近くのホテルに宿泊。そこはそこでおもしろかったのですが、その話は別の機会にすることにして、「道後温泉」はやはり良かったです。

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この日は午前中に松山空港に到着し、とりあえずバスで松山駅まで行ってみました。到着日は「道後温泉」に行く以外なんの計画もなかったので、まず駅の立ち食いで「じゃこカツうどん」を食べてみて、それから路面電車に乗って、まずは松山城方面に行くことにしました。蒸気機関の「坊っちゃん電車」なども走っていて、なかなかおもしろかったです。

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途中、大手町という駅付近で、路面電車の線路が、別の線路と交差している部分を発見。前に何かの本で読んだ、日本では珍しい「路面電車と近郊電車の平面交差」というやつはこれではないかと思って、あわてて写真を撮りました。

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あとで調べてみたところ、やはりそうで、しかも鉄道好きの人にとっては「何をいまさら」というくらい有名すぎるほど有名なスポットであるということです。

この日は、あいにくかなりの大雨と突風という天候だったので、あまり遊び歩くこともできず、早々に温泉に行くことにしました。

松山城からタクシーに乗ったのですが、運転手さんによると「「3月20日を過ぎたくらいから観光客が増えるが、まだこの時期だし、時間も朝とか夕方は混むけど、今ならゆっくり入れるぞなもし」ということでした(「ぞなもし」は嘘)。

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行ってみると、お風呂が2種類あるのと、休憩室もいくつかあったのですが、私は「霊の湯2階」というコースをよくわからないまま選んで、1200円でした。皇族用のお風呂の見学料金も含まれるということでしたので、これにしたわけです。休憩所は下の写真のような感じで、入浴後にお茶とお菓子が出ました。

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天候が悪いせいか、かなりすいていて、「霊の湯」にはあがりかけのおっちゃん一人しかいなかったのて、勝手に湯船や脱衣所も撮影しました。

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なかなかいい雰囲気です。しかもお湯がすごくいいです。アルカリ単純泉なのですが、お肌がツルツルになる感じがしました。大量のお湯がかけ流されています。

このあと、皇族専用のお風呂である「又新殿」の見学に案内され、実際に豪華なお風呂や休憩室などを見学しましたが、いわばボロ宿の対極ともいえる金箔・銀箔張りの豪華な部屋で、浴槽のお風呂も大きな石を掘り抜いたというもの。いったいどれだけの費用がかかっているのか想像もできないくらいです。未使用だというトイレも一応見せてくれました。底に砂が敷いてありました。

撮影は禁止されているので、下の写真はHPからお借りしたものです。

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建物の裏側にあたる皇族専用の御成門は、下のような感じ。この風呂は最近は使われていないそうです。本来やんごとなきご身分の御方が使われるお風呂を、こんなブログで紹介していいのかどうか。とにかく、なかなか興味深いものでした。

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そのほか、1階にある「神の湯」用の休憩室も見せてもらいましたが、こっちのほうが広くていい感じでした。案内のおばちゃんは「柱はみんなが100年以上も寄りかかってきたので背中に当たる部分が白くなってるでしょ。もしかしたら少しはすりへって細くなってるかもしれないぞなもし」といってました。

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さらに3階には個室の休憩室がいくつかあり、そのひとつが夏目漱石先生が愛用していたということで、「坊っちゃんの間」ということになっていて、公開されています。「神の湯」もちらっと見てみましたが、こっちは少し混んでいて広いお風呂でした。多分こっちのほうが古くて本来のお風呂だと思うので、次の機会があればこっちに入ってみたいと思います。

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そういうことで、憧れの「道後温泉」体験を満喫したわけですが、お風呂を出たあと、近くの「道後ビール」の直営店で飲んだビールがおいしかったです。特にケルシュが。

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それと近所を歩いていて発見したのですが「常磐荘」という、かなりいい感じのボロい宿がありました。知っていたら当然こっちを選んだと思うのですが、あとで調べてみるとけっこう値段の高い高級宿みたいてす。見かけだけで「ボロ宿」認定してすみませんでした。

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そういうわけで、いろいろおもしろくて大変満足した初訪問だったのですが、問題もあります。実はこのお風呂は大量の源泉をかけ流していながら、塩素消毒をしているのです。脱衣所の壁に貼り出してあったのですが、その理由は愛媛県条例で、すべての公衆浴場は消毒しなけれぱならないことになっているからだそうです。せっかくのいいお湯をだいなしにしかねない塩素消毒。衛生上の問題の有無に関わらず義務づけるなんて、いかにもお役人が考えそうなことです。

何か問題が起こって責任を問われるのがこわいのでしょうが、温泉の価値をわかっていない愚かな行為だと思います。「道後温泉本館」としては、塩素消毒をせずに条例の条件を満たす方法を模索しているという感じのことが書いてありましたが、県条例を変えたほうが早いのでは? と思いました。

[道後温泉 本館](2010年3月立ち寄り入浴)
■場所 〒790-0842 愛媛県松山市道後湯之町5-6
■泉質 アルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)
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プロフィール

もんすけ

 古い湯治宿や駅前旅館など、日本が高度成長時代に入る前からあったような雰囲気の宿が大好きで、各地を回っています。
 どこにいってもそれなりに立派な宿が多く、個性的なボロ宿に出会うことは少なくなりました。
 10年、20年前ならもっといろんな宿が残っていたと思いますが、しかしいま現在でも、10年後、20年後に比べたら多くの貴重な宿が残っているはずです。そうした宿を記録に残していけたら、と思っています。

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