日本ボロ宿紀行

ボロ宿にあこがれ、各地のボロ宿を訪ねています。

京都の宿

「ボロ宿」というのはけして悪口ではありません。
歴史的価値のある古い宿から単なる安い宿まで、ひっくるめて愛情を込めて
「ボロ宿」といっています。自分なりに気に入った、魅力ある宿ということなのです。
もともと、できるだけ安く旅行をしたいということから行きついた結果ではありますが、
なるべく昔の形を保って営業している個性的な宿を応援していきたいと思います。
湯治宿や商人宿、駅前旅館など、郷愁を誘う宿をできるだけ訪ねて、
記録に残していくこともいずれ何かの役にたたないかなと‥‥。

京都撮影所全盛時代の繁盛宿 [京都 太秦 富貴 若竹]

しばらく忙しくしているうちにだいぶ更新が滞ってしまいました。

今回は今年2月、京都で嵐山に寄った時の話しです。仕事は夕方くらいには終わったので、日帰りすることもできたのですが、行先が嵐山に近かったので寄ってみて、ついでに一泊して帰ってくることにしました。

行きの新幹線の弁当は例によってこんな感じ。

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お昼ごはんに食べたうどんと親子丼セット。

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桂駅から阪急で嵐山に向かいます。

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阪急嵐山駅。2月で寒い割にけっこう人がいます。

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私はこのへんに来るのは初めてなので、方向がよくわからなかったのですが、人の流れに沿って歩いていると渡月橋に出ました。少し前に洪水で大変なことになっているのをニュースで見たところです。

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そのせいかまだ何か工事をしているようでした。

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橋を渡った先はこじゃれた店も多く、カップルの観光客がたくさんいました。さすが人気観光地。

特にすることもないし寒いので喫茶店で休憩。どこか寄るべきところはないか、スマホで検索してみると、すぐ近くに天竜寺というのがあります。天竜寺といえば足利時代の天竜寺船が有名ですね。それ以外、何も知りませんでしたが、名の知れたお寺なのでちょっと見学していくことにしました。

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しかし行ってみると一部工事中で、庭園などの見学は有料だったので、適当にそのへんを散歩して、宿に向かうことにしました。天竜寺のすぐ前が嵐電嵐山駅でした。

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駅も和風モダンというのか、観光地らしくなかなか凝ったつくりになっています。京の宿はここから電車に乗って1本の「帷子ノ辻」駅近く。発車まで少し時間があったので、駅に隣接したタリーズコーヒーでホットココアを飲んで時間をつぶしました。周囲は外国人観光客が多かったです。

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時間が来たので乗車。

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この路線に乗るのも初めてでしたが、「嵐電嵯峨」とか「有栖川」とか、歴史の風情を感じる駅名が多いですね。さすが京都です。

しかし「かたびらのつじ」という何となく不気味な地名は、どういういわれがあるのでしょう。ちょっと調べてみたら、平安時代初期の嵯峨天皇の皇后の遺体が本人の希望によって打ち捨てられたところだという説もあるそうな。

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とにかく駅を降りて、少し行くと商店街があり、その途中を入った路地にめざす宿「富貴 若竹」がありました。この日は素泊まりで予約し、夕食はどこかで食べようと思っていました。

入口を入ると、カウンター席と座敷があって宿というより料理屋さんのような感じ。実際、料理屋も兼業しているようです。

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カウンター内におっちゃんがいて迎えてくれて、おばちゃんが風呂や洗面所などの場所を説明。それから部屋に案内してくれました。

こんな感じの家なら、外に食べに行くのも面倒なので、ここで食事もすませてしまおうかと思い、「食事もできますか」と聞いたら、おっちゃんが「できるよ」といって、その日仕込んでいた鍋のふたを開けて見せてくれました。確かふぐか何かを煮ていたような気がします。私は「そんなに本格的な料理ではなく、軽くビールとおつまみをがあればいいです。あとでまた降りてきますからよろしく」といって2階の部屋に上がりました。

部屋はこんな感じ。

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洗面所とお風呂。お風呂はなかなかお湯の出がよく快適なお風呂で、私は例によって長湯してしまいました。

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お風呂からあがって1階のカウンターに行ってまずはビールを頼みました。おばちゃんが何か作りましょうか」というので、「軽いものがいいです」というと、「それなら、おひたしでも出しますか」とホウレンソウのおひたしを出してくれました。さらに何か食べようかと考えていると「てっさと湯豆腐なんかはどうですか」といわれたので頼みました。あまりおなかがすいていなかったので「湯豆腐の豆腐も少なめで」お願いしました。

結局ここでおっちゃん、おばちゃんと話しながらビールとお酒をずいぶん飲むことになってしまい、食事の写真はまったく撮れませんでした。

この宿はやはりもともとは料理屋として始めたのだそうです。この家がある商店街は「大映通り」と名がついているように、周囲は大映や松竹などの撮影所があり、昔は映画やテレビ関係者でにぎわったそうです。そのうち、京都で滞在するスタッフのために宿をやってくれという要望があり、2階を改造して宿にしたそうな。現在はあまり客も多くはないようですが、京都観光に便利な場所でもあり、普通の宿として営業しているそうです。

京都の撮影所というのは、いろいろ紆余曲折があり、私も詳しい歴史はわかりません。おっちゃんとおばちゃんが話してくれたのはたぶんテレビ時代劇の黄金時代の話だと思いますが、実におもしろかったです。特にこの宿は松竹のすぐ近くにあたるようで、役者さんやスタッフとの交流を懐かしそうに話してくれました。

てっさと湯豆腐だけといっても、食べてみるとけっこうおなかがいっぱいになり、だいぶ酔っぱらったので寝ることに。ほかにもいろんな話が出ましたが、撮影所の全盛時代の話を聞けただけでも、ここに泊まった価値がありました。

翌朝は東京に帰るだけなので、8時くらいに宿を出て、JRの太秦駅まで歩いてみることにしました。宿の前にあたる大映通り商店街。

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これを歩いていくと大魔神像。普通のスーパーの前にかなり大きいやつがあるので、けっこうびっくりします。

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やがて太秦交差点に出ます。嵐山本線の「太秦広隆寺前」駅前に当たります。

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私は東映の太秦映画村をちらっと見ていこうかな、と思い歩きましたがこのへんの道はわかりにくく、すぐ近くだと思っていたのにけっこう迷ってしまいました。

ようやく映画村に到着しましたが、まだオープン前。残念ながら入場するはあきらめて、バスとJRで京都駅に向かい、東京に帰ったというわけです。

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京都といえば古い歴史をイメージしますが、昭和の想い出が実感できる太秦もなかなか良いところでした。

[京都市 富貴 若竹](2014年2月宿泊)
■所在地  京都府京都市右京区太泰堀ヶ内33
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風情ある花街にひっそりと立つ片泊まりの宿 [京都先斗町 三福]

先日、京都で2時間くらい時間があったので、四条河原町あたりでお昼を食べようと、京都駅からバスに乗って行ってみました。京都駅で何でも食べられるのですが、京都の知らない店でラーメンでも食べてみようかと。

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四条河原町はあいかわらず人だらけ。うんざりしていると「先斗町」と書いた看板を見つけたので、ゴミゴミした表通りから避難する意味もあり、ちょっとのぞいてみることにしました。「ぽんとちょう」というな変な名前の由来なども書いてあったような気がします。

長い歴史のある京都の中では新興の花街でしょうが、表通りの混雑とはうって変わって静かで、伝統を感じさせる情緒のある通りです。風流な宿でもあったら見学しようと思いました。

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「先斗町」と聞くと私の場合、反射的に古人が残したある一節を思い起こしてしまいます。「どのような場所にどんなきれいな雪が降ろうとも、いったん溶けてしまえば、どこにでもあるただの水に過ぎない    」という深遠な哲学。

それはともかく、せっかくなので先斗町に入る前に、鴨川の河川敷沿いを三条大橋まで歩いてみることにしました。その昔、出雲の阿国が人気を集めたまさにその現場です。いまではカップルが集まる名所。例の納涼床がたくさん並んでいます。

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この日は時間が早いのかカップルはいなくて、掃除中の店の人にちょっかいを出そうとしている猫がいました。

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舞妓さんが「鴨川をどり」を練習するという先斗町歌舞練場も見えます。

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三条大橋まで行って、今度は高瀬川に沿うような感じで折り返し、先斗町に入り込みました。ちなみにしつこいようですが、私は「高瀬川」と聞くと夕焼けの景色を思い出します。

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とにかく真っ昼間の先斗町はあまり店は開いてませんでしたが、やはりいい雰囲気の通りでした。町家風とはいっても、高そうな店が多いですけど、気軽にお昼を食べられそうな店もありました。

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軒がつらなる隙間から、鴨川を眺めて休憩している2人の美人旅行者もいました。


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宿も発見。「三福」という片泊まりの宿です。建物は古くて目立たないけれど、たぶん有名な旅館のような気がします。朝食だけ付いて、かなりの料金設定になっているはずです。でもその朝食がまたおいしいんでしょうね。宿自体がすごくいい雰囲気なので、一回くらい泊まってみたいと思いました。ここにひっそりと泊まって、実は祇園あたりで晩ごはんを食べる。このブログらしからぬふるまいかもしれませんが、やってみたい(笑)

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こうしてまた河原町駅付近に戻ってきました。この付近にもちょっと裏に入るとなかなかいい感じの通りがあります。

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京都というところは、日本特有の歴史遺産があちこちに残っている唯一無二の特別な都市なので、部分としてはすばらしい景観があるわけです。しかし全体としてはどこにでもあるただの雑駁な地方都市にしか見えません。いまさらいってもダメだと思いますが、せっかくの都市の個性を殺してきたのは、すごくもったいないと思います。

なお、お昼は高瀬川に面したラーメン屋に入ってみましたが、失敗に終わりました。

[三福](2010年9月見学)
■所在地   京都市中京区先斗町三条下ル
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今も泊まれる坂本龍馬とお竜さんの逸話が伝わる宿 [京都伏見 寺田屋]

京都・伏見の「寺田屋」は、歴史的な史跡で由緒ある宿ですので「ボロ宿」とはいえません。ただ古さからいえば相当なもので、幕末から維新にかけての逸話が伝わっています。2009年1月に近所にいったついでに見学に寄ってみました。もともとは淀川便の船宿で、寺田屋騒動や坂本龍馬の襲撃事件などで有名です。

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ただ現在の寺田屋は当時の建物とは別で、明治時代に再建されたもののようです。お竜さんが飛び出して坂本龍馬に危険を知らせたというお風呂や階段もありますが、これは事実ではないということになります。それにしても古い風格のある宿であることは確かで、現在でも営業しているので宿泊することもできます。

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中に入って見学すると2階に刀痕などが残っています。再建されたということになると、これもどこまで信じていいのか。まああまりそのへんにこだわらず、古い宿の雰囲気を味わえばいいのではないでしょうか。和室に座ってみると、やはり造りが現代とは違うので、なんとなく落ち付いた気分になりました。実際に幕末期に泊まってみたら、女主人のお登勢さんもいておもしろかったでしょう。今度伏見に行くときは泊まってみたいと思っています。

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だいたいこのエリア一帯は観光客が多いようで、坂本龍馬にちなむ「龍馬通り商店街」におみやげ屋さんなどがあり、立ち並ぶ伏見の酒蔵も見事でした。独特の江戸情緒が漂うおもしろいエリアです。

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たしか月桂冠の蔵だったと思います。NHK大河ドラマの影響は非常に大きいので、今ではひときわ人気スポットになっているのではないでしょうか。水路に垂れる柳の木など、周辺には独特の味わいがありますので、散策コースとして楽しめました。


[寺田屋](2009年1月見学)
■住所 京都府京都市伏見区南浜町263
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「日本ボロ宿紀行」文庫版発行



ボロ宿紀行・続編




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