日本ボロ宿紀行

ボロ宿にあこがれ、各地のボロ宿を訪ねています。

千葉の宿

「ボロ宿」というのはけして悪口ではありません。
歴史的価値のある古い宿から単なる安い宿まで、ひっくるめて愛情を込めて
「ボロ宿」といっています。自分なりに気に入った、魅力ある宿ということなのです。
もともと、できるだけ安く旅行をしたいということから行きついた結果ではありますが、
なるべく昔の形を保って営業している個性的な宿を応援していきたいと思います。
湯治宿や商人宿、駅前旅館など、郷愁を誘う宿をできるだけ訪ねて、
記録に残していくこともいずれ何かの役にたたないかなと‥‥。

銚子で遭遇したボロ家の数々。駅前にはいい感じの駅前旅館が [銚子 旅館 銚子館]

先日鹿島から潮来にまわり、一泊した後、その帰りに銚子に寄ってみました。 用事がすんだら早く帰ればいいのについ寄り道してしまいます。悪いクセなのです。

銚子は前から行ってみたかった街。フィリピン発の暖流が、高知や紀伊半島付近を通って房総半島まで続くという条件を考えると、昔の土佐の漁師が遭難して銚子付近に流れ着いてしまい、そのまま土着。そんなケースもあったように思えます。

北からは親潮もやってきます。千島のアイヌ人も漂流してきたかもしれません。古代の銚子という土地は、そうして流れ着いた人々が協力して一緒に住むという、コスモポリタニズムの聖地だったのではないでしょうか。


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当日は香取で乗り換えて成田線で銚子駅へ。駅前ロータリーが広く、魚介類などを売っているおみやげ屋さんがならんでいました。

ちょっと歩くと駅前なのにけっこう廃墟があります。泣く子もだまる漁業で栄えた街ですが、この感じだとかなり過疎化が進んでいるのかもしれません。

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この日はちょっと寄るだけの日帰りですが、次の機会のために駅前旅館を探してみました。すぐに見つかったのが、駅に至近の「旅館 銚子館」。


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間口は広くありませんが、奥にけっこう広がりがありそうな建物でした。一見したところそんなに古い建物ではないようです。しかし駅前旅館的ないい雰囲気を感じました。事情が許せば泊まりたいところでした。

突然行くことにしたので何の予備知識もなかったのですが、とにかく銚子電鉄には乗らなければいけない、ということがわかっていました。駅前から観光バスが出ていたので、それに乗って犬吠埼方面に行き、帰りに銚子電鉄に乗ればいいな、などと思っていたのですが、観光バスがしばらく出ないことがわかったので、いきなり銚子電鉄に乗ってみることにしました。

銚子電鉄の「銚子駅」はJRの改札の奥にあります。JRの改札に一声かけて素通りして、銚子電鉄駅に行くと、発車寸前の電車が。駅員が「とにかく乗って、あとで車内で切符を買え」というので飛び乗りました。

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聞きしにまさるボロ電車です。よく動いているものと、整備の人の技術に感心します。「犬吠駅」に行くつもりでしたが、どうせなら終点の「外川駅」まで行って、いろいろ散策しようと思い、1日乗車券を買いました。

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路線は住宅地から海沿いに抜け、なかなかいい感じの風景を通りすぎていきます。

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銚子電鉄は経営危機でヤバいというのが話題になりましたが、実際乗ってみると、地域の生活の足としての価値はもちろん、文化財的な意義も少なくないと思いました。けしてつぶさないようにがんばってほしいと思います。

終点の外川駅に着きました。あらためてじっくり見るといい車両です。駅の外にも鉄道ファンらしき人がいて、「シャッターを押してくれ」と頼まれました。田舎くさい古い駅舎ですが、なかなか味があるので人気なのでしょうか。

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駅で入手した市内地図を見ると、ここから外川の漁港まではそんなに遠くないので行ってみることにしました。駅から海方向に歩くとすぐに急な下り坂になり、遠くに海が見えます。

しかしこのへんは思いもよらぬボロ家の宝庫でした。住宅の廃墟?もありますが漁業関係の倉庫か何か、とにかくすごくボロい建物がいくらでもあって、私にとっては夢のような光景が続きます。

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こういう家に見とれて歩いているうちに、港につきました。

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天気があまり良くないのでさみしい感じもありますが、漁師のおっちゃんたちは元気に仕事をしています。仕事にかこつけて、こんなところまでサボりに来ている自分と比べてえらいものだと反省しました。

民宿もありました。ここは海に向かった坂道の途中にあって、眺めが良さそうです。

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港でしばらく海を眺めたあと、今度は「地球の丸く見える丘」の展望台をめざすことにしました。ここからそんなに遠くないはずです。でも大雑把な地図しかなく、しかも坂のある街の道路はわかりにくいので、けっこう迷いながら、いずれにしても高台にあるはずだからと、20分くらい歩いてようやく到着しました。坂道がきつかったです。

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それでようやく展望台に到着。確かに丸く見えるような見えないような‥‥。写真の場合は、レンズのせいで丸く見えるかもしれません。しかしこういう丘から海を見て育てば、当然広い海の向こうに何があるのか、という好奇心がわき、外界に向かっていく気概が生まれるのかもしれません。それが今の漁師街としての銚子の気風に、何か影響しているのかどうか。ちなみに銚子電鉄の1日乗車券を持っていると、展望台の入場料が少し割引になります。

そのほか1日乗車券を持っていると、「犬吠駅」で「濡れせんべい」が1枚もらえます。そのためこの丘から「犬吠駅」をめざしました。今度は下りで、そんなに遠くないはずなのですが、どうも方向に自信が持てないので、通りがかりのおばちゃんに「犬吠駅まではこっちでいいんですか」と道をききました。

するとおばちゃんは「いや、あっちですよ」とまったく正反対の方向を示すのです。しかも「口で説明するのは難しいけど、これから私も電車に乗るから一緒にくればいい」というのですが、正反対方向とはどうしても信じられず、悩みました。地元民の意見を尊重するか、あくまでも自分のカンを信じるか。だいたい丘の上から犬吠埼灯台なども見えていたし、だいたいの方向は合ってっているはずなのです。それが正反対とは‥‥。

しかし結局わが道を行くことにしました。もう一度慎重に地図を見て、あたりをつけて歩いていくと、すぐに「犬吠埼」という看板が出てきました。やはり私は正しかった。あのおばちゃんは地元民のくせに駅の方角もわからないような、あんな体たらくで無事に暮らしていけるのかどうか、などと心配しました。

「犬吠駅」に着いてみると、南欧風というのか、よくわからない建築様式を模していました。何かいわれがあるのかもしれません。

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次の電車まで30分程度。駅舎内には「濡れせんべい」をその場で焼いて売っている売店があったので、さっそくチケットを出して1枚もらいました。通常私はやわらかいせんべいをあまり好まないのですが、けっこうおいしかったです。おみやげ用にせんべい2枚と醤油をひとびん買いました。少しでも銚子電鉄の売上に貢献できれば‥‥。店のおねえさんは「今焼きたてができるので、それをさしあげます」といって、店に置いてあるやつではなく、焼きたてを渡してくれました。売店のおねえさん、その節はありがとうございました。

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再び銚子電鉄に乗ると、乗客10人のうち、私を入れて5人は鉄道ファンでした(笑)。一般客らしき人は5人。鉄道ファンのうち2人は中国語を話しており、一番前に陣取って、カメラ3台、ビデオ1台を駆使して撮影に熱中していました。外国人にまで銚子電鉄は人気があるのでしょうか。

その一般客のうち一人が、途中で道を聞いたおばちゃんでした????? ちょっと会釈して、席について考えたのですが、どうもあのおばちゃんは「外川駅」の方角を教えてくれようとしたみたいです。そうしてみれば正反対の方角をいっていたのも理解できます。私が道を聞いた場所からだと、「犬吠駅」より「外川駅」のほうが近かったのでしょう。とんでもない「方向音痴おばちゃん」と決めつけてしまい、すみませんでした。

銚子駅に着いたらお昼に何か魚を食べようと思っていたのですが、ちょうど東京行きの特急電車が出る10分くらい前でした。これに乗れば、同じ寄り道の結果としても、だいぶ早く帰ることができます。それで魚はあきらめて「しおさい10号」に乗りました。

食事は車内で買った駅弁。千葉の名産品を集めた弁当で、これが意外にていねいに作ってあっておいしかったです。

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そんなわけで、仕事をサボって訪ねた銚子は想像以上におもしろい街でした。古い街並みや魚定食など、心残りがたくさんあるので、再び訪問することはまずまちがいありません。

[銚子・旅館 銚子館](2010年3月見学)
■所在地 〒288-0044 千葉県銚子市西芝町14-2
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利根川水運で栄えた商業の町で、昔ながらの風情を守る宿 [佐原 木の下旅館]

首都圏内にありながら、小江戸とも呼ばれるほど古い町並みが残っているのが佐原です。現在は広域合併によって香取市という名前になっていることからわかるように、香取神宮があることでも有名です。

まあ合併による新市名として「香取市」というのはできのいいほうだと思いますが、せっかく古雅な趣のある「佐原」という市名が消えたのは残念な気がします。

だいぶ前に香取神宮を参拝して以来、久しぶりに訪問しましたが、佐原の町並みを見るのは初めて。想像以上にすばらしいところでした。

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旧中心街は上の写真のような感じ。川沿いに古い家並みが続きます。こういう風景は日本の各地に残っていると思いますが、ここは街全体がそのまま残っている感じがします。しばらくいると感覚がマヒしてきて、明治くらいの建物だと別に?という感じになってきます。

泊まった宿は「木の下旅館」で、けっこう有名だそうです。ここのご主人の話しによると、「映画やドラマの撮影は数知れず、有名人もずいぶん来ているけど、俺はそういうのにはあんまり興味ねえんだ」と、ちょっと江戸っぽいべらんめえ口調の人でした。

佐原というのは小江戸とはいっても城下町でもなく、利根川水運で栄えた商業の町ですから、江戸の町人気質が残っているのでしょうか。

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「木の下旅館」は上の写真のような外観です。こういう外観だけで私の場合、けっこう感動してしまいます。到着した時間が遅かったので、当日はあまりよく見ませんでしたが、翌朝見ると目の前を利根川につながる小野川が流れていてその脇には柳の並木が。本当に風情がありました。

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部屋は川沿いの通りに面した8畳の部屋で、雰囲気は昔っぽいですが、とてもきれいでいい感じの部屋でした。最初から布団がしいてあるのも、私としては好きなのです。この日、ほかに宿泊していたのは、業務で泊まっている観光ボンネットバスの運転手さんだけでしたので、一番いい部屋に通してもらったのではないかと思います。

天気は良かったのですがとにかく寒くてすぐにお風呂に入りました。お風呂は妙に洗い場が広く、おそらく昔は薪で焚いていた釜のスペースを改造したのではないかと思います。そのへんは未確認です。途中の廊下に「手榴弾消火器」というのもありましたが、いまではほとんど見かけない手投げ式の消火器です。

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食事は一階の食事部屋でとりますが、この部屋は妙に新しい感じの部屋でした。ご主人によると「床板が少し割れたので修理してもらおうとしたら、きっちり打ち合わせをしたのに手違いがあって、床全部貼り替えられた。食堂は元の帳場で窓枠なんかも昔のままだったんだけど、今風に直されてしまって、大工に文句いったんだけど、謝るばっかりで話しにならなかった」と非常に憤慨していました。

あちこち手は入っているものの、やはり黒光りする階段とか、全体の古格は失われておらず、江戸時代の旅籠に泊まったような気分でした。食事も素朴な家庭料理ですが、けっこう凝っていておいしかったです。「今日は寒かったんで大根を炊いてみた」といってました。

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ここは1泊2食付き6300円だったのですが、食事はもう十分すぎるくらいの内容でした。ごはんそのものもおいしかったです。

ご主人はけっこう体格のいい一見こわそうなおっちゃんなのですが、翌朝いろいろ話しを聞いていると、やはりさっぱりした江戸人気質というか、祭り好きだということもわかりました。佐原には昔からの祭りがあるそうで「今度は祭りの時期にくればいいよ。今はさすがに寒くて人は少ないよ」といってました。

その祭りも昔は「木の下旅館」があるサイドの諏訪神社方と、川向こうの八坂神社方とに分かれて別々にやっていて、祭りの時期も違い、お互い行き来もしなかったそうです。しかし近年は、町の発展のために共同して相互に幣台(やだい)という山車が行き来して、それは盛んなものだそうです。女将さんによると、「このへんに生まれた人はみんな祭り好きだし、若い人も祭り目当てであんまり出ていかないんです」ということでした。

なお、ここにも例のホンジャマカ石塚の色紙がありました。あの人の色紙はほんとに日本中どこに行っても貼ってありますね。もはや宮田輝を超えたかもしれません。

「木の下旅館」は昔は利根川水運の船宿で、そういう家は昔は何軒もあったそうですが、いまも旅館をやっている家はほとんど残っていないみたいです。「目の前の川から荷物を上げ下ろししてそれは盛んなものだった」というご主人も、実はそんなに昔のことを知っている年ではないはずなのですが。

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出がけにもご夫婦で見送りに出てくれて、あがりのところでさらに20分くらい話し込みました。映画の撮影なんかはよく頼まれるそうで、まあ差し支えがなければ受けているそうです。ただ予定時間に終わらず宿泊客に迷惑がかかるようなこともあったので、面倒だといってました。「松たか子は、あれはきれいというよりかわいいって感じだったな。きれいだったのは真野響子だよ」などと、ほんとはけっこう好きなんじゃないの? と思いましたが。

「テレビの威力はすごいよ。この前“アド街”で佐原をやって紹介されたんだけど、番組が終わるか終わらないかくらいから予約の電話がなりっぱなしだった。それからちょっと前に週刊文春の記者が泊まったんだけど、朝まで正体をあかさねえんだ。朝になって記事で紹介したいので話しを聞きたいというから、こっちは忙しくて断ったんだけど、どうしてもというから、いろいろ話してやったよ。そしたら週刊誌に載って、その週は予約が殺到したけど、次の号がでたとたん、ピタッとこなくなった。マスコミで紹介されるのもいいんだか悪いんだか…」てなことをいってました。

でも、ある著名な芸能人が泊めてくれ、といって個人的に訪ねてきた時は感動したそうです。女将さんは「本当に気取らないいい人でした」といってました。ご主人が「ああいう芸能人は、自ずから人を惹きつけるものがあるんだな。特に歌手はさすがだよ。それと比べると俳優はだいたいあいさつくらいはするけど、あんまり俺らとは口を聞かないね」というと、「そうでもないわよ」と女将さん。この夫婦は同時にいろんなことをいうので、こっちはどちらを聞いていいのか迷うくらい話好きでした。

この宿も気取ったところのない気軽な宿で、とにかくご夫婦と、夕食の世話をしてくれた若い女性(娘さん?)も全員心がこもっていて、まったくもって旅先とは思えないくらいくつろぐことができました。娘さんもお酒をお代わりしても気持よく「どうぞごゆっくり」といって持ってきてくれるし、とにかく混んでいなかったせいもあって、最高の時間を過ごすことができました。女将さん、その節はみかんをありがとうございました。

このあと見どころをご主人に聞いたりして、まずは古い酒蔵を見学にいってみました。ちょうど団体旅行のバスがきていました。酒蔵の人にちょっと試飲させてくれというと、「いま鏡開きをやるところなので、一緒に飲んでくればいい」というお言葉に甘えて、団体に紛れ込んで見物に行きました。東薫酒造という造り酒屋です。団体旅行の酔っぱらいおやじたちが鏡開きで盛り上がっていて、木槌でチャンバラの真似をしたりして、酒蔵の人におこられていました。酒蔵の人によると、いい年をしても木槌なんかを持つと童心に帰ってしまうのだそうです。このあと馬場本店という酒蔵にもいってみましたが、ここも江戸時代そのものでした。

この団体旅行のおっちゃんたちとは、この後も伊能忠敬の旧居跡とか、いろんなところで遭遇してしまいました。小野川では川遊びの舟が出ていて、炬燵がセットされた舟で川をのぼりくだりしてくれるのですが、はしゃぎまくっているおっちゃんたちは、これにもすぐさまキャーキャーいいながら乗船していました。

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とにかく佐原のすごいのは、街の特定の一角に古い建物が残っているというのではなく、ちょっとした路地なんかにも昔の町割らしき痕跡があることです。だからどこを歩いていても飽きることがありませんでした。「木の下旅館」のご主人によると「戦災をまぬがれたのでけっこう古いまま残っている」ということです。表札を見るとやはり「伊能」さんが何軒かありました。

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この日、お昼は「小堀屋本店」という蕎麦屋さんに行きましたが、ここもすごく古い建物です。並びに似たような古い建物がいくつも並び、圧倒される感じでした。もりそばもおいしかったです。

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上の写真は「小堀屋本店」の外観と内部ですが、その下の3つ目の写真は、模型の「小堀屋本店」です。街の中の公営の休憩所にジオラマ風に展示してありました。本物そっくりに作ってあります。

さらにその並びには迫力のある蔵造りの「正文堂」という家があり、中ではおばあさんが一人、ずっと通行する人々を眺めていました。その向かいにある骨董屋さんに聞いたところ「2年前まで営業していた本屋さんで、このあたりでも格別古い建物だ」と教えてくれました。おばあさんは商売をやめたので、退屈していたのでしょうか。

この家は書籍を扱っていたので燃えにくい構造にしてあるのでしょう。この前の通りは香取神宮の参道だったそうで、昔から人通りが多く繁栄してきて、今でも車がたくさん通っていました。とにかくこんな調子で、古い家がいくつもあります。

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東京駅から高速バスでいくと1時間半くらいのところですが、これだけの規模で古い町並みが残っているというのは奇跡的なことです。すでに有名な町並み保存地区なのでしょうが、実際にいってみてとても感動しました。ご主人の勧めるとおり、祭りの時期にもぜひ行ってみたいと思います。

[佐原・木の下旅館](2010年1月宿泊)
■場所 〒287-0003 千葉県香取市佐原イ498
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迫力女将が仕切る豪華舟盛りの漁師民宿 [御宿 第八福市丸]

ボロ宿に泊まりたいと思えば、昔は田舎の民宿なんかにいけばたいていボロでした。その名の通り大きめの民家でしかなく、「ボロ宿遭遇率」はそれなりに高かったのです。最近は民宿とはいってもけっこう豪華な造りだったり、旅館と変わらない設備を持った立派な宿が増えています。

ここで紹介する御宿の「第八福市丸」は微妙なところで、それほどボロではありません。部屋も独立性が高くきれいなので、古い民家のような造りとはいえませんでした。ただいかにも漁師の家といった感じの料理や、女将さんがまさに漁師の女房といった感じで、漁師町の民宿ならではの風情を感じることができました。宿は浜の真ん前で部屋からも海がよく見えます。

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この宿を訪ねたのは、どこか外房のほうの漁村の民宿で冬の海でも見てみたくなったからです。御宿の駅から少し離れたところにあり、駅から電話したらおっちゃんがワゴン車で迎えにきてくれました。もう暗くなっていましたが、季節はずれで人通りは少なく、海岸に沿って宿に向かうと次第にとさびれた感じが出てきて、古い民家や干物屋さんなどの建物が目につきました。何となく期待通りの雰囲気なのでうれしくなっきたのを覚えています。

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たぶん夏ならまた違うのだと思いますが、付近には何となく昔の漁村らしい感じが残っていました。実際には御宿はリゾートマンションなどが立ち並び、別荘などもできて観光開発の盛んなところです。でも、ちょっとした部分に昔の漁村風情が残っているなあと思いました。

上の写真は翌日の昼間、駅までゆっくり散策しながらとったものですが、なかなか渋い雰囲気が残っています。こういう古い家はなるべく大事にしてほしいと思います。でもちょっと横を向くと下の写真のような風景が……。

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なんだかムードぶちこわしだと思いますが、なんでもこの付近が童謡「月の沙漠」のゆかりの地だそうで、記念館もありました。挿絵画家の加藤まさお先生が、病気療養のために滞在した御宿の海岸をモチーフにして書いた詩。それが今「月の沙漠」として歌い継がれているということです。

そういわれてみると何もいえませんが、古い日本の漁村文化とは相容れないこんなものが、大々的に目立っているのはいかがなものか、という気もします。でも観光客誘致という側面もあるのでしょう。せっかくなので、ついつい記念館にも寄ってきてしまいました。

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第八福市丸では舟盛りの刺身のほか、さざえの網焼きなども出て、なかなか豪華な食事。食事前に「まだかな~」と思って台所をのぞいていたら、迫力女将が「舟盛りを自分で部屋に運べ」と命令します。いつもそうなのか、台所をのぞいた客だけ罰として命じられるのかはわかりません。とにかく指示通りに部屋にでかい舟を運んでいると、そのほかにも伊勢海老とか鍋物などを持ってきてくれて、かなり豪快に食べました。白身魚には少し小骨が残っていましたが、漁師はそんなものは食べてしまうのだと思って、必死に食べました。

とにかく大雑把な感じはあるものの、魚は質量ともに最高でした。実際に漁をやっている家なので、魚は新鮮で安くできるのでしょう。料金は1泊2食付きで確か1万円ちょっとだったと思います。非常にお得感がありました。

かすかに昔の記憶が残っているどこかの海の民宿では、お寺の本堂みたいな広い部屋に雑魚寝したり、食事も人の家の台所みたいなところに集まって下男のように食べたことを覚えています。そんなのと比べるときれいな部屋で部屋食ができるこの宿は、いまどきの民宿なのかもしれません。ただ、あの迫力女将だけは、あまり近代化されずに末長く民宿をやっていただきたいと思います。その節はお世話になりありがとうございました。

[第八福市丸](2006年12月宿泊)
■住所 〒299-5105 千葉県夷隅郡御宿町岩和田946
■楽天トラベルへのリンク→第八福市丸
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