日本ボロ宿紀行

ボロ宿にあこがれ、各地のボロ宿を訪ねています。

三重の宿

「ボロ宿」というのはけして悪口ではありません。
歴史的価値のある古い宿から単なる安い宿まで、ひっくるめて愛情を込めて
「ボロ宿」といっています。自分なりに気に入った、魅力ある宿ということなのです。
もともと、できるだけ安く旅行をしたいということから行きついた結果ではありますが、
なるべく昔の形を保って営業している個性的な宿を応援していきたいと思います。
湯治宿や商人宿、駅前旅館など、郷愁を誘う宿をできるだけ訪ねて、
記録に残していくこともいずれ何かの役にたたないかなと‥‥。

古い町家が残る東海道の宿場町で由緒ある旅籠を見学 [関宿 旧旅籠 玉屋]

四日市に行く用事があり、このついでに関宿を見学してくることにしました。これまで何度も通過する機会がありながら、見学する機会がなかった関宿。聞くところによると、JRの関宿で下車すれば、歩いてすぐのところにかなり魅惑的な町並みが残っているそうな。東海道の宿場町として有名ですが、もっと古代から鈴鹿関として知られていたところ。どんな感じの町並みなのでしょうか。

そういうわけで今回、宿泊はできなかったのですが、見学だけでもしてみようと思い、用事が終わって午後から関宿に向かいました。

まずは四日市駅。大都市の割に何だか“のぺっ”とした感じの駅ですね。

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四日市から関西本線に乗り、亀山で乗換。関駅に到着しました。何だかわくわくします。駅中に観光案内所があったので、寄ってみると、おっちゃんが地図をくれて、どれくらい時間があるのか聞いてきます。「1時間くらい」と答えると、それに見合ったコースを教えてくれました。観光案内の地図なども充実しております。

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私としては帰りの電車を1本延ばしてもまだ大丈夫なので、もし時間がかかるようであれば、それでもかまわないつもりでした。

駅からまっすぐ歩いていると古びた看板発見。

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やや坂を昇る感じで歩いていくと、それらしき通りにつき当たりました。この前の通りが、東海道の宿場町の跡なのでしょう。

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町並みの雰囲気に配慮した「百五銀行」。

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通りの両方にこんな感じの町並みが連なっています。どっちに行けばいいのかよくわかりませんでしたが、観光案内所のおっちゃんが「まず東追分に行ってみればいい」といっていたので、東方向をめざします。江戸に戻る方向ですね。

今でも商売をやっている家もあります。

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こういう格子や2階の手すりなんかで、かなり凝っている家がいくらでもありました。

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やがて道は下り坂に。少し前に降った雪がまだ残っています。通りはあまり人通りがないのですが、狭い道をけっこう車が通るので歩きにくいです。

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東追分到着。このへんは東海道と伊勢別街道の分岐点で、常夜灯が残っていました。伊勢別街道方面には大きな鳥居があったのですが、これは式年遷宮の時に伊勢神宮の宇治橋南詰のやつを、移築することになっているそうです。

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とにかく東追分を確認したので、次は西をめざします。平日の午後だというのに、観光に来たらしきモノ好きな人もいますね。私も人のことはいえませんが。

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本陣跡。ちなみにここの門は近くの延命寺というお寺に移築されていました。

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「まちなみ資料館」。近くに町並みを見渡すことができる展望台もありました。

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もうひとつ本陣跡発見。本陣がふたつもあったなんて、さすが関宿。脇本陣跡もいくつか見かけました。

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橋爪家というかなり渋い家も。今でも人が住んでいるのでしょうか。非常にうらやましいような風情を感じる家です。

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このあたりに地図で私が目をつけていた旧旅籠「玉屋」があり、見学できるようになっています。そのへんを写真に撮っていると、自転車で通りがかったおばちゃんが「そうそう、玉屋はちゃんと撮っておいたほうがいいよ」とアドバイスして走り去っていきました。

その玉屋の隣に「石垣屋」という宿もありました。外観は雰囲気のある古さですが旅籠風ではなく、元は商家のように思えます。しかしどうやら宿として営業しているようです。こういうのがあると知っていたらぜひ泊まってみたかった。

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開け放してあるので覗いてみると、何だか居心地の良さそうな座敷が連なっていました。今度行くことがあったら、ぜひとも頼んでみたいと思います。

さて玉屋は300円(まちなみ資料館と共通券)で見学できます。

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あがりの板の間。

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土間やかまども残っています。

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こういうのは最近どこに行ってもいますね(笑)

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奥に土蔵があり、浮世絵を展示してあるのですが、そこは写真撮影禁止でした。

座敷にあがってみます。欄間の見事さがすごい。「玉屋」は関宿でも名の通った旅籠で、昔は「関で泊まるなら鶴屋か玉屋、まだも泊まるなら会津屋か」と謡われたほどの宿。ちなみに鶴屋は見落としましたが、会津屋は何か商売をやっていました。いずれも建物が残っているというのがすごい。

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2階座敷にはお膳が出ていました。今でも十分営業できるような保存状態です。

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古い階段も残っています。

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かなり時間をかけて見学したので、どうやら西追分まで行く時間はなさそう。この先の地蔵堂を見学して駅に戻ることにしました。

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その向かいあたりに先程の「会津屋」がありました。

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駅に戻る途中、名物らしき「志ら玉」というきれいな団子を売っている店があったので、1個だけ買い、あとはひたすら駅へ。駅の商工会議所に売店があって、亀山ローソクがいろいろ売っていたので、チョコドーナツ型のローソクを買ったあたりでちょうど列車が到着しました。

あまりに短時間でもありじっくりと見たとはいえませんが、前から行きたかった関宿をようやく訪問できました。これほどの規模で町並みが保存・整備されているとは思いませんでした。こうやって下見をしておくと、後で実際に泊まる時に役にたったりもするわけです。

[関宿  旧旅籠  玉屋](2014年1月見学)
■所在地  三重県亀山市関町中町444-1
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激安ツアーで念願の伊勢神宮参拝へ [志摩市 セレクトグランド伊勢志摩]

この4月、5月に、2回にわたって旅行会社のツアーを利用しました。今回はその1回目である伊勢神宮ツアーの話。したがって、ボロ宿は登場いたしません(笑)

旅行会社のツアーが好きかというと、それほどでもないのですが、何といっても最近のツアーは安いので、新聞広告を見ているとつい惹かれてしまいます。今回の伊勢神宮ツアーも新聞で見た「1泊2日1万円!」に惹かれて参加することにしました。いまや伊勢神宮といえば、式年遷宮で話題のパワースポット。

しかしよく調べてみると1万円になるのは3人以上で参加した場合で、私はかみさんと2人なので1万3000円。それでも安い。東京から伊勢市までの片道交通費くらいに相当するでしょうか。

私の場合、ふだんは比較的自由な一人旅とか出張が多いのですが、それと比べるとツアーは費用が全然安く、あまり自分では行かないような観光地に連れていってくれるなど、捨てがたい利点があります。

伊勢神宮は2年くらい前に仕事のついでに寄ってみたのですが、その時は面倒なので内宮しか参拝しませんでしたが、後から「まず外宮を参拝しないと正式ではない」と指摘されました。今回は両方参拝できる念願のツアー内容。しかも帰りは鳥羽から伊勢湾フェリーで伊良湖港に渡るというひねりもあり、なかなかお得感いっぱいのツアーでした。

早朝、新宿駅近くの集合場所に行くとすでにバスがいて、運転手さんが名前をチェックした上でバスに入れてくれました。添乗員が来るはずなのがまだ来ていないそうです。

結局その添乗員は集合時間よりやや遅れて走ってやってきました。2つめの集合場所である東京駅に行ってしまったことに気づき、あわてて新宿に来たということです。今年専門学校を卒業したという若い女性添乗員でしたが、最初の集合場所をまちがえるようなことで大丈夫なのでしょうか。息を切らしながら客に謝っていました。

とにかく新宿から東京駅に向かい、そこでもツアー客を乗せていよいよ高速道路へ。

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安いツアーだけあって、バスの長旅になるわけですが、私はけっこうそういうのが平気なほうなのでわくわくしながら持ってきた朝食用のおにぎりを食べ、早くもビールなどを飲んでしまいました。

お昼は沼津あたりで積み込んだオプションの弁当。普通のお寿司弁当でしたが、わさびを自分ですりおろして食べるというところが、ちょっと凝っています。

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さらに私は浜松あたりのSAで、立ち食いそばも食べてしまいました。バスは新東名を走っていたので、初めてのSAに寄ったからには立ち食いをチェックしようと思ったわけです。あまり地域色のない、普通の業務用だしを使ったそばでした。

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何度か休憩をとりながら、ようやくバスは伊勢神宮の外宮に到着。時間はかかりましたが、大半は高速道路を使用し、平日なので渋滞もなく快適な道程でした。ここでツアーに付き物の団体写真を撮ったのですが、何と内宮の階段の写真をスクリーンに写したスタジオがあり、そこで撮影。こんなニセの記念写真を買う人がいるのだろうか、と不思議に思いましたが、あとでけっこう買っているツアー客もいました。

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さて、この外宮の入口には、前に来た時にちょっと寄ってみたのですが、中には入りませんでした。それ以来の訪問になります。入る前に写真スタジオのおっちゃんが正式な参拝の仕方などを教えてくれて、なかなかためになりました。二拝二拍手一拝が基本なのですが、拍手の時に手を合わせてから少し右手を引き、拍手するのが正式だそうな。そんなことは初めて知りました。せっかくのパワーをいただくためには、このへんも正式にやっとく必要があります。

ツアーでなければ参道なども歩いてみたいところ。しかし時間が限られています。前に来た時はすごく暑い時期で、長く歩くのがいやでパスしたのでしたが、実際に入ってみるとそんなに奥行きはなく、すぐに参拝所に着きました。

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なかなか神聖な趣があります。

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けっこう若い人が多いのが印象的でした。

そんなわけで指定された時間にバスに戻り、次は添乗員が「御福餅に行く」というのですが、私は「御福餅」というのが何だかまったく知らなかったので、たぶん赤福みたいな店に無理やり寄るのかな、くらいに思っていました。

実際その通りでしたが、二見浦にある店では無料の試食品とお茶を用意してくれていたので、喜んで食べました。そういうことなら添乗員には事前に「試食がある」といってほしかったです。

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とにかくこの店も古そうな建物でしたが、この二見浦周辺は古い家が多く、いい雰囲気の渋いい町並みになっています。

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古そうな旅館も何軒かあり、なかなか惹かれる町でした。今度改めてやってきたぜひとも泊まってみたいと思いました。

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そのあと夫婦岩も見学。こういうのも自分一人だとまず寄らないので、ツアーのおかげで見学できました。

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さて当日の日程はこれで終了。5時過ぎくらいになっていてホテルに向かいます。このツアーは、オプションでホテルが選べるようになっていて、お金持ちは鳥羽湾に面した豪華ホテルに。私たちは志摩のホテルに泊まります。まず鳥羽駅で鳥羽宿泊組を降ろし、それからバスは志摩に向かいました。

到着したホテルは私の感覚としては十分豪華な南国風リゾートホテル。「セレクトグランド伊勢志摩」です。ツアーなので「もっとボロい宿がいい」というわがままはいえません。

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部屋もなかなか立派。

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2階に大きな浴場もあります。

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この日の食事はホテルのバイキングですが、渡された部屋割りの紙に「18:00から」と書いてあったので少し前に食堂に行ってみたのですが、まだ準備ができていないようで、フロントで聞いてみると、「6時30分からと承っております」という返事。「あの新人添乗員、またやりやがったな」と思ったのですが、飯の時間が違ったくらいで騒ぐのはあさましいので、そこは冷静にロビーにある真珠の売店などを冷やかして時間をつぶしました。

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しかし6時に誰もこなかったところを見ると、私の分だけ時間を書きまちがえていたのでしょうか????

とにかく無事にバイキングが始まり、生ビールをしこたま飲みました。バイキングメニューも和洋いろいろある中で、特に目玉は生ハムと各種の刺身でしょうか。刺身は後から追加もきたのでおかわりしました。

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小盛りの伊勢うどんもありました。伊勢うどんは柔らかすぎるのであまり惹かれないですが、せっかくご当地なので一応食べました。やはりコシがない。

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食事の後は、近くのコンビニでお酒を買って部屋に戻りました。バスに乗りっぱなしでけっこう疲れたので、お風呂に入り、お酒を飲んで寝てしまいました。

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しかし5時前くらいに起きてボヤッとしていると、けっこう大きな地震が。後から聞くと淡路島で震度6弱の大地震だったのでした。何かとトラブルが多い今回のツアーを象徴しているものなかどうか。

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朝食もバイキング。

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時間より早めに外に出てみましたが、すでにバスは準備完了していました。今回はただ寝るだけでしたが、志摩もゆっくり訪ねてみたいですね。

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この日はいよいよ内宮へ。再び鳥羽駅に寄って豪華ホテルチームの客をひろい、内宮をめざしました。

内宮到着。けっこういい天気になりました。この日は近くのお土産屋のスタッフが案内に立ちます。これについていくと、後で強制的にお土産屋に寄らされることになりますが、解説を聞きたかったのですおとなしくついていきました。

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まずは五十鈴川で手を清めます。

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いずれにしても本殿を見ることはできないので写真もあまり撮りませんでしたが、式年遷宮の準備が着々と進んでいました。今回も世界平和と人類の幸福を祈ってきました。

その後お土産屋の休憩所に連れていかれましたが、試食のお菓子やお茶なども出してもらい、それだけ食い逃げして、私たちはおはらい通りへ。ここでけっこう自由時間があり、弁当を頼んでいない客は昼食を各自で食べることになっています。

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赤福本店も繁盛していました。かみさんは赤福を食べたいといっていたのですが、かなり混んでいるようでしたので、先におかげ横丁を散策しました。

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おかげ横丁の中に、赤福のぜんざいがあったので、結局これを食べることに。

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前に来た時寄った伊勢うどんの店も、ちょっと寄ってみたいと思っていたのですが、昨夜のホテルで伊勢うどんを食べたので、今回はパスしました。

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そのかわりに寄ったのが「横丁そば」。牛骨だしのラーメンを食べてみました。ついでに生ビールも。

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前に寄ったおかげ参りを再現した歴史館「おかげ座」にも再度寄ってみたかったのですが、そこまでの時間はなく、お土産屋などをみながら散策して過ごしました。

バスに戻ると近くの猿田彦神社へ。ここもしばらく見学しました。ちなみにこのへんのマンホールのふたもなかなか凝っています。

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これでだいたい観光地巡りは終了。あとは東京に向かいますが、来た道を戻るのではなく、鳥羽から伊勢湾フェリーで伊良湖港に向かいます。前に来た時は伊勢湾フェリーは廃止になるという話を聞いたのですが、どうにかして存続したみたいです。

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バスに乗ってばかりいたので、フェリーのカーペット席で足を伸ばせるのがありがたい。

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天気がいいので、懐かしの神島も見えます。

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伊良港到着。この後はひたすら東京をめざしますが、一回袋井か掛川あたりのお土産屋にも立ち寄り。それしても渥美半島は長かった。

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高速道路に乗って道路状況の表示を見ていると、どうやら事故渋滞が発生しているようでした。東京駅到着は夜8時の予定だったのですが、どうも無理そうでした。

そのへんの情報も添乗員さんがまったくアナウンスせず、ようやく実際に渋滞にはまってから、「到着が遅くなりそうです」と告知。しかしこの手の安いツアーは、参加者も旅慣れした人が多いのか、みんな素直にあきらめているようでした。事故渋滞じゃしょうがないですし。終電前に東京駅につかないことを考えて、迎えのクルマを頼んでいる人もいました。それにしても時間が読めないにしても、わからないならわからないと、もう少しきめこまかくアナウンスしてほしい気がします。

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夜、長くつらなるテールランプを見ていると、本当にうんざりしてきますね(笑)。途中休憩で寄ったSAですでに8時くらい。渋滞はまだまだ続き、食事もできそうもなかったので、サンドイッチを買って車内で食べました。このへんで添乗員さんから「今日中には何とか着きそうです」とお知らせがありました。

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その言葉通り、12時前くらいに東京駅に到着。そういえば駅舎を改装した東京駅を見るのは初めてかも。私は電車さえあれば、東京駅から30分くらいで家に帰ることができるのでギリギリセーフでした。

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それにしてもやはりバスでの強行軍は想像以上に疲れる旅となりました。しかし安い予算でこれだけあちこち回ってもらい、宿や食事も十分に立派なものでしたので満足。トラブルもあった中で新人の添乗員さんはがんばっていたので、最後はツアー客みんなが拍手で応援しておりました。

[志摩  セレクトグランド伊勢志摩](2013年4月宿泊)
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天神祭を目的に伊賀上野を再訪。鬼行列を見る [伊賀 薫楽荘(後編)]

だいぶ間があいてしまいましたが、伊賀上野の薫楽荘の後編です。

夜も祭見物にでかける予定でしたので、とりあえずとっととお風呂に入れてもらい、食事の時間を待ちました。

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建物は古いですが、お風呂設備は近代化されております。

食事は前に泊まった時に朝食を食べた広間で。刺身と揚げた魚がメインかと思っていたら、その後にでっかいチキンカツも出てきました。

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女将さんがいうには一応名古屋風の味噌を付けていますが、好き嫌いがあるのでソースが良ければソースを使ってください。ということでした。私は、どっちかというとソースのほうがいいのですが、だいたい地元の食べ方に合わせるほうなので味噌で食べてみました。

味噌カツもなかなかおいしかったです。それにしてもボリュームがすごくて、全部食べるのがかなり大変でした。

デザートに柿が出ました。「これは蓮台寺柿という伊勢のほうで取れる名産の柿です」と教えてくれました。前に泊まった時に、味噌汁に入っていた地元の海草の名前を忘れてしまい、ブログにも「忘れた」と書いたので、今度は絶対忘れないように記憶することにしました。

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あとで調べてみたら、本当に収量の少ない貴重な品種で、値段もけっこうしそう。糖度も高く、すごく甘くておいしい柿でした。

食事が終わったあと、部屋の前のラウンジ風スペースでちょっと一服。ここも前と変わらない雰囲気です。こういうスペースがあるだけで、何となくくつろげます。外国人客もここでブラブラしていました。宿で外国人と遭遇するのにも慣れてきたので「ハ~イ」と軽くあいさつ。

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そしていよいよいい時間になってきたので宵山見物へ。

宿から歩いてしばらく行くと、一層にぎやかに、人手も多い状態のままでした。本当に大きな祭だということがわかります。

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最近のおめん屋さんのキャラクターは知らないやつが多いですね。

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提灯をたくさんつけた山が運行しています。

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すごく幻想的。これが電灯のない時代に動いていたわけですか、本当に華やかだったことでしょう。

おもしろかったのは、山が狭い路地を通る時には、屋台が屋根のテントをあげることでした。いつでもはね上げられるように屋台を設営しているようです。

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もともとこの祭は天神様の祭なので、神社にも行ってみましたが、ここもすごい人込み。神社なのに鐘楼があるという、変な神社でしたが、一応お参りしてきました。とにかく町中あちこちに大量の屋台が出ていて、全部見るのはとても不可能な感じ。

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各家の軒先には提灯の献灯がつられています。だいぶあちこち歩いてから宿に戻ったら、宿の前にも献灯が出ているのに気づきました。

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部屋に戻ってから、天神祭用の地酒も飲んでみました。

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だいぶ酔っぱらったので、寝てしまい、翌朝起きたのは朝食の時間間近。前に泊まった時とほぼ同じ内容の朝食で、すごくおいしかったです。ほかの外国人の方々もこれを食べていました。

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この日もお昼くらいまで伊賀にいる予定でしたので、ゆっくり宿を出ました。女将さんが出がけに例の「蓮台寺柿」を持たせてくれて感謝感激。今回は祭の忙しい時期に頼んだので、逆に申し訳ない気持もあったのですが、やはり行ってみてよかった。古い宿をやっていくのは大変だと思いますが、ここはご主人ご夫妻が若いのが心強い。

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そんなわけで、心からお礼をいいつつ宿を後にしました。本当にまた行きたいと思う宿です。

この後は、一応芭蕉ゆかりの蓑虫庵とか、神社を見物して、上野市駅方面に向かって歩きましたが、そこは前も紹介したので省略。

この日、行きたいと思っていたのは前回は立ち寄ることができなかった「旧入交(いりまじり)家住宅」。私は古い家が保存されているとつい寄ってみたくなるのですが、ここは藤堂家家臣の武家屋敷だった家です。

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探しあてて中にはいると、案内のおっちゃんがいたので「ここは入交家というさむらいの家だったわけですか」と聞いてみると「入交という名前で何か思い当たることはありますか」と聞かれました。実は私は「入交」という名前に記憶があったので、「私が知っているのは確か土佐に入交という家があったと思うんですが」というと、「そのとおり。元は長曽我部家の家臣だった入交家が、土佐から伊賀に移ってきたのです」と教えてくれました。

こういう文化財の見学をする時に、おうおうにして、ものすごく古いことに詳しい学のある人が留守番していたりしますね。このときにも藤堂家の歴史やら、祭の由来やら、いろいろ教えてもらったりして、話し込んでしまいました。

ちなみに「入交家」旧宅は、私が理想とするような家で、当時としてはそんなにお金持ちではないかもしれませんが、間取りもゆったりしていて庭も広く、できれば住んでみたいような渋い家でした。

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この日も鬼行列が出ていたので、少し見学。何だか武士のようなやつが歩いているのですが、これもなかなかおもしろい歩き方をするやつでした。

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すでに引退を発表していた中井はまぐり先生のポスターも発見。あの人はこのへんが地元だったんですね。

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ちなみにこの日は駅に近い食堂で早めのお昼を食べました。けっこう混んでいて待たされたのですが、私が食べたラーメンはまあ普通でしたが、連れが頼んだ定食は、なんとテイクアウト用の弁当仕様。ものすごくおかずが多くてお得感のある弁当です。しかしそうと知っていたら、もっとお酒を頼めばよかった。これだけあればずいぶんつまみになります。

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この日は近鉄で奈良方面に行く予定なので、まずは上野市駅から電車に乗りました。駅には忍者関連オブジェが多数。前に来た時に見た松本零士仕様の「くのいち電車」に乗りましたが、別のアニメキャラ風電車も発見。

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伊賀鉄道ののどかな車窓風景を眺めながら、伊賀神戸駅に向かいました。

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[伊賀  薫楽荘(再訪)](2012年10月宿泊)
■所在地  三重県伊賀市上野桑町1473
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天神祭を目的に伊賀上野を再訪。鬼行列を見る [伊賀 薫楽荘(前編)]

一昨年、伊賀上野を訪ねて「薫楽荘」という宿に泊まりました。そのときに天神様のお祭りは一見の価値があると勧められ、さらにく だんじり会館で実際に行なわれるだんじりの曳行や鬼行列の様子を見て、ぜひ祭りの時期に再訪したいと思っていました。

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この秋、ついにその願いが叶い伊賀を再訪することができました。泊まるのは前と同じ薫楽荘さんの同じ部屋。前にこのブログでも紹介し、本でも紹介したのですがご主人や女将さんがそのことを覚えていてくれて、たぶん祭で忙しい時期であるにも関わらず、いい部屋を取ってくれました。

前回訪問時の記事。

ちょうど同じ週の週末に和歌山に行く用事ができたので、このときの企画は伊賀に一泊してから奈良経由で和歌山に抜けるというもの。合計3泊。

メインイベントである上の天神祭の宵山の日に一泊する予定で、今回は名古屋から高速バスで行くことにしました。本当は途中関宿に寄りたいと思っていたのですが、やはりせっかくの祭なので早めに伊賀上野に到着する計画に変更しました。

名古屋駅からバスで上野市駅前まで直行することができます。

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バスは途中の峠を超えて伊賀市内へ。

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前回来た時に印象深かった廃墟風のビジネスビル「産業会館」にバス停があったのですが、バスの案内によると、どうも現在取り壊されており建て替えが進んでいるようでした。バスは「ハイトピア伊賀」とかいう、近代的なビルの前に着くということでした。古いビルが消えたと聞いてなぜか残念な気持が。

とにかく上野市駅前に到着。あいかわらず芭蕉せんせいの像が健在。

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これが建て替え中の産業会館。奥にハイトピア伊賀の近代建築がちらっと見えています。私が前に親子丼を食べた食堂もなくなっていました。

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前回きたときも見かけた「伊賀のくみひも」のベンチが残されていました。

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駅前の観光案内所で地図をもらおうと思っていたのですが、観光案内所もなくなっていました。よく探してみるとハイトピア伊賀の1階に移動していました。前回あったくのいちも、こっちに移転していました。懐かしい再会。

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ここで祭の運行状況を教えてくれました。だんじりや鬼行列がどの時間にスタートしてどのへんを通るか。それが確認できたので、まず先に上野城に行くことにしました。

駅のコインロッカーに荷物を預けた時に、時間的にはまだお昼くらい。上野城では天守にはのぼりませんでしたが、城壁の絶壁はやはりすごい迫力です。前も思いましたが、ろくにてすりもなく、上からお堀を見下ろすとすごい高さなのでかなり恐怖心が出てきます。

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そして伊賀忍者屋敷も再訪。私は1回来ているので屋敷のからくりもすべてお見通し。まったく前回と同じなので省略します。今回はこの付近でそばを食べました。

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そして再び駅前に戻っていよいよだんじりや鬼行列を見に行きます。メインの銀座通りにはかなりの数の屋台が出ています。あとからわかったのですが、この日、屋台は町中の路地まであちこちに出ていて、その数はとんでもなく多かったです。近頃、これだけの規模の出店がある祭を見たことがありません。それだけ上野天神祭は大きなイベントなのでしょう。

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少し行くと銀座通りと交差する東西の通りに沿って群衆が群がっていて、鬼行列が通っているような音が聞こえてきます。しかし人が多すぎて前に行けず、まったく見ることができません。

それで人が少ないところまで先回りして待ち伏せする作戦を決行。一度来て町中を歩いているところだと、だいだいの町の構造がわかるので便利です。魚町とか小玉町とかいう付近でした。

そしてついに念願の鬼行列に遭遇。と思ったら、まだ運行しておらず、子どもたちは準備中。

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やはりかなり気持悪い鬼です。

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やがて行列はゆっくりと出発。鬼は小さい子どもがいると寄っていって脅かすので、子どもは泣き叫んでいます。慣れてくると、遠くからでも子どもの泣き声で行列の居場所が読めるようになりました。

さらに釣り鐘を背負ってふらつきながら歩く鬼や斧を持って道路幅いっぱいに暴れ回る鬼もいました。これは「ひょろつき鬼」といって、上野天神祭の名物。

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私が写真を撮っていると釣り鐘鬼とちょっとぶつかってしまい「すみません」というと、向こうも「あっすみません」といっていたので、善良な鬼です。

それにしてなぜにこんな異様な行列が行なわれるようになったのか。もともとは上野天神宮のお祭だったそうですが、やがて各町が練り行列の趣向を凝らすようになり、そのときに鬼面も藩主から拝領したのだとか。かなり古い鬼面も文化財として保存されているようです。祭のイメージとしては京都や高山を思い起こさせますが、多様な鬼行列はまったく独特のものです。

前回来た時は祭の様子の説明を受けただけだったので、実際に目の当たりにするとすごく感激します。鬼行列もずいぶん長く続き、きりがないほど。豪華そうなだんじりの運行も見えましたが、この日は宵山で夜の運行があるので、だんじりは夜に見ることにして、鬼をおいかけ続けました。

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祭の期間中だからなのか、付近の商店では休憩用のベンチを出したりして、誰でも休むことができるようになっています。

かぎや餅店も大人気。

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トイレを貸してくれるという案内の忍者の看板もありました。

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屋台を冷やかしながら祭見物しているうちに、夕方になってきたので宿に入ることにしました。宿は中心町から少し歩きますが、昔の花街だったという通りに面しています。

薫楽荘に到着。

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以前お世話になったまだ若い美人女将が出迎えてくれて、以前と同じ部屋に通してくれました。

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やはりこの部屋はまれにみる風情豊かな部屋だと思います。どこも変わっていませんでしたが、テレビだけはチャンネル式からシャープの液晶に変わっていました。女将さんは地元だけに「シャープさんにはがんばってほしい」といっていました。

「ボロ宿」などという本で紹介したので恐縮していましたが、それを見て来たお客さんもいるとかで、特に怒られませんでした。地元のマスコミでも歴史のある和風宿として紹介されたりして、やはりすごく人気があるようです。

この日は外国人5~6人の家族客がいました。どこで探してくるのか、やっばり外国人はこういう古い和風宿が好きですね。私もどうせ泊まるならそのほうが日本観光の醍醐味が味わえると思います。

だいぶ長くなってしまったので、宿のようす、宵山のようすは次回に。

[伊賀  薫楽荘(再訪)](2012年10月宿泊)
■所在地  三重県伊賀市上野桑町1473
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まさに「島が丸ごと潮騒文学館」 [神島 山海荘]

鳥羽の港から「神島」に寄って東京にもどる──。この計画に沿って、答志島、神島、管島を順番に回るルートの市営船に乗り込みました。10時40分発。けっこう乗客がいます。

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まず答志島の和具港に寄り、そのあとが神島。神島は最初から遠くに見えていましたが、どんどん近づいていきます。よく晴れた日に、島の多い海を走る船の気分は最高!!   ほんとうに気持がよかったです。

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船は小型ですがけっこう近代的なやつで、スピードも出ていました。遠州灘と伊勢湾に面した狭い海峡なので、けっこう潮の流れが早いのかどうか、揺れが激しくて、立っていると危険な感じでした。しかし上層キャビンの客はみんなけっこう歩き回りながら周りの風景を見たり、撮影したりしていました。

「神島に寄ってから東京に帰る」というのは、かなり酔狂な企画だと思ったのですが、これだけ乗客がいるところを見ると、それなりに一般的な観光ルートなのかもしれません。

港に近づくと海岸に沿ってけっこう人家もあり、船もたくさん繋留されています。

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さらに意味もなく寄ってみた(©ドンさん)

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「山海荘」という民宿らしき建物の看板も見えました。もし日程があえばこの島に1泊したかった。

浮桟橋の船着場にはちょっとした待合室があり、ここはクーラーがきいていました。いちおう確認してみると、伊良湖岬に行く船は午後2時出航。だいたい2時間30分くらいこの島で時間がありました。

いよいよあの「潮騒」の島に上陸。まさかこんなふうにして突然訪問することになるとは思いませんでした。こんなに無計画でいいのでしょうか。しかし天候に恵まれて、桟橋から見ても本当に海がきれいでした。

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「潮騒」は小説も読んだことがありますが、私の場合、やっぱり印象が強いのは山口百恵・三浦友和版の映画です。

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その昔は吉永小百合・浜田光夫版もありますが、こっちはさすがに見てません。

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ほかにも何回か映画化されていますが、とにかく小説は、三島由紀夫としては珍しい純粋な恋愛小説で、島の漁師・新治と海女・初江の物語。「神島」は「歌島」という名称で舞台になっいてました。

桟橋のそばに小さな島の全体像がわかる観光案内版があったので、これを参考に計画を立てることにしました。 

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基本的には歩いて2時間ほどの島を周回する道路があり、これが一般的な観光コースのようです。これを回ると景色のいい灯台や、小説でも重要な舞台となった「観的哨」という旧軍施設の廃墟などを見学することができます。この廃墟では、有名なシーンが繰り広げられるのですが‥。椎名誠が書いた「わしらは怪しい探検隊」という本に出てくる浜もあるそうですが、しかしかなりの上り下りがある悪路のようで、迷いました。

待合所の人に聞いてみると、「この暑さでは、やめときなさい」という感じでした。ただ平地を2時間歩くならまだしも、スーツと革靴で山道はきついかも。しかもけっこう重い荷物を持っていて、それを預けられるようなコインロッカーなどもありません。まあ、頼めば港に一軒だけあった食堂あたりで預かってくれたかもしれませんが。

とにかくいったんその食堂に入ってアイスコーヒーを飲みながら、地図などを見て考えました。やはり普通に歩いて2時間かかるということであれば、船に遅れる危険もあることだし、一周するのはあきらめることにしました。しかし、港で一緒だったおっちゃん、おばちゃんたち15人ほどの団体は、最初から一周する計画だったらしくトレッキング装備で元気に出発していきました。同じ船に乗っていた若い男女のグループは、釣竿を持って埠頭へ。

ひとり残された私は、まあ、しょうがないので一応今度泊まる時のために「山海荘」をチェックして、そのあと映画にも出てくる「八代神社」にでも行ってみることにしました。

しかしどこに行くにもコンクリートの階段だらけの集落です。山に貼りつくように町ができているのでしょうがありません。

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「山海荘」もこんな階段の途中にあり、なかなか立派な旅館でした。見た感じ、あまり島の宿という風情はなく近代的な建物です。宿泊客もけっこういるらしく、若い女性客が歩いてきたので「これから一周するんですか?」と聞いたら「わたしたちはきのうから泊まっていて、もう一周してきました。けっこうきついですよ」と笑っていました。やっぱりやめておいてよかった。

この宿は日帰り客向けには昼食も出してくれるみたいです。ご当地ハンバーガー「とばーがー」ののぼりも出ていました。

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荷物を持っているのでけっこう大変なのですが、とにかく山の上にほうに向かってみることにしました。狭い路地に古びた民家が並んでいて、素朴ないい雰囲気です。

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少し行くと時計がありました。昔はここの時計台が島で唯一の時計で、島民はみんなこの時計に頼って生活していたそうです。

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このすぐ近くに昔の洗濯場がありました。ここも昔は島の生活にとっては貴重な水場で、また島民のコミュニケーションの場だったそうです。この前にある「寺田さん」というお宅は、三島由紀夫が滞在した時に世話をした家だということです。

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さらにのぼっていくと、「八代神社」に向かう別れ道があったので、そっちから神社に回ることにしました。この付近の高台の道は眺めがよく、集落全体を見渡すことができました。

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せまい土地に、けっこう家が立て込んでいます。向こうの丘にはお寺らしき建物もありました。しかし急斜面に町ができているので、生活するのは大変かもしれません。

このすぐそばが八代神社への石段だったのですが、とてつもなく長い階段で、はるか上に鳥居が見えました。私はふだん長い石段の上に社がある神社の場合、めんどうくさいので下から拝ませていただくことにしています。しかし今回ばかりはトレッキングをやめたので時間があるわけで、とにかく上がってみることにしました。

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この階段は吉永小百合ものぼったみたいです。映画のスチールが看板になっていました。

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しかし実際にのぼってみると、吉永小百合は笑いながらのぼっていますが、かなりきつい石段でした。200段以上。荷物があり、猛暑であることを別にしてもきつい。太股があがらなくなってきました。途中で何回も休みながら、ようやく上の境内に到着。もう全身、水浴びでもしたように汗だくです。

さらに上がったところにある最後の鳥居をくぐると、何か作業していたおっちゃんが「こんにちは」というので、私も息絶え絶えで「こんにちは」とあいさつしました。

しかし途中の眺めは最高でした。知多半島はすぐ近くにはっきりと見え、島のけっこう近くを伊勢湾フェリーらしき大きな船が通るのも見えます。渥美半島は方角が違いますが、もっと近いはずです。

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この景色を見ただけでも、「のぼってよかった」と思いました。境内は森があってまだしも涼しいので、ここで「海月」でもらったおにぎりを食べることに決定。

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なんだかよくわからない写真ですが、おにぎりは昆布とたらこの2種類。飲物は生ぬるいお茶しかなかったですが、実においしかったです。日陰で風が通ると一瞬涼しい気がします。シチュエーションと食べ物が関連づけられた記憶は強く残る。という私の法則からすると、この境内でのおにぎりのおいしさはずっと忘れないでしょう。「海月」の女将、「八代神社」のおっちゃん、その節はありがとうございました。

神社でけっこう時間を過ごしたので山をおり、集落をもう少し見て歩きました。桟橋から上がってきたところの通りには、さっき紹介した「タコめし」なんかを食わせる食堂があって、その前の通りがいってみれば島のメインストリートです。

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公共施設や郵便局などもこの通りにありました。
しかし車がまったく通らないので、子供がスケボーで遊んでいます。おそらく交通事故がほとんどない島。

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暑い中を神社にのぼったので、改めて自販機でアイスコーヒーを買い、公民館みたいな建物の前のベンチで飲みました。やれやれと思っていると、島一周トレッキングにでかけたおっちゃん、おばちゃんたちが、出かけたのとは反対の方角から戻ってきました。なんという体力。どうみても60~70くらいはいってそうなグループなのに。

元気なおっちゃん、おばちゃんたちを見ると、ヘタレてしまったことを反省しました。しかしたぶん一緒に歩いていたらみなさんに迷惑をかけることになったかもしれないので、やめておいて正解だと思います。

そんな感じで1時30分くらいになり、浮桟橋には伊良湖岬に向かう船も到着していました。すごく小さい船でした。近くにいって聞いてみると、「5分前くらいに来て、船の中で料金を払えばいいから」ということでした。

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狭い船室に乗船。船が小さいのですごく揺れるし、海面すれすれに座っているような感覚なのでかなりスリルがありました。神島は鳥羽市に含まれるのですが、距離的には伊良湖岬のほうが近いので、15分くらいであっという間に到着。

伊良湖岬にはさすがに大きなターミナルがあり、大きな売店もバスもタクシーもありました。結局そこからはバスで豊橋鉄道の「三河田原」という駅まで行き、そこから豊橋鉄道に乗って豊橋に到着。

新幹線で東京についたのは夜になりましたが、やはりほんの少しとはいえ「神島」に寄ってよかったと思いました。ただ、やはり少なくとも1泊はしたい。そして島一周のトレッキングをしないことには、本当に行ったことにはならないな、と思いました。

[神島  山海荘]
■所在地 〒571-0001 三重県鳥羽市神島町75
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商船向けの船宿として明治20年に創業 [鳥羽市 旅館 海月]

鳥羽市といえばまっさきに思い浮かぶのは「鳥羽一郎」だという人も少なくないと思いますが、私の場合は「真珠」と「海女」でした。ここも伊勢神宮と同様、高校時代に一度来ていますが、まったく記憶がありません。今回、伊勢から近鉄に乗って鳥羽駅についたのは3時くらいでした。

天気がいいので鳥羽湾がきれい。駅のすぐそばに「日和山」という小高い丘がありますが、ここは昔の漁師が天気を観望するのに絶好の場所だったのではないでしょうか。

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鳥羽での宿は「旅館 海月」を予約してありました。駅からも近く、「日和山」を背中にくっつけたような山の斜面ぎわに建っていました。

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まだチェックインには早かったのですが、駅のすぐそばなのでとりあえず行ってみました。この宿を選んだのは、宿のホームページで宿の歴史を読んだからです。 この宿がある通りは昔の鳥羽街道で、岩崎通りと呼ばれた主要街道だったそうです。

創業は明治時代で、船大工で棟梁の江崎久助さんという人が、日本伝統の木造船を造る造船所を立ち上げ、商売で江戸や上方、三河などを行き交う商人や船人が泊まる船宿を建てたのが前身ということです。宿のホームページには、昔の宿の写真も出ていましたが、実にいい感じです。

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宿のホームページには、昔の海女さんのようすも。写真はどちらもホームページからお借りしました。

宿の写真は、もう大正か昭和のような気がしますが、もしこんな建物で現在も営業していたら、本当に貴重な宿になっていたことでしょう。すでに建て替えられてこの写真の面影がないのは残念ですが、しかしそれだけの歴史を持った宿ということです。

一応宿の場所を確認した後、再び駅に戻り、駅に隣接した古びた商業ビルで食事をしました。近海の魚介類を出す店でした。この日は宿に夕食を頼んでいないので、3時くらいに食べてしまっても別に問題ありません。

ここで頼んだのが刺身の盛り合わせと大あさり焼きでした。

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この大あさりがあまりにもおいしかったので、今度はネギを加えて醤油焼きにした別バージョンの大あさりを追加で頼んでみました。

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これがまたおいしかったのですが、貝殻に出ている汁を飲んでやろうとして口を付けたら思った以上に熱く焼けていて、くちびるをやけどしてしまいました。店の人が出す時に「すごく熱いから気をつけて」といっていたのに、いいかげんにしか聞いていなかったのが失敗でした。

そのせいで唇を冷やす必要が生じたため、やむなく生ビールを3杯もおかわりしてしまいました。

このあとすぐにチェックインしても良かったのですが、宿方向に歩いていると、宿のすぐ近くで公開されている古民家を発見しました。こういうのを見ると、つい寄理道してしまいます。

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この家は鳥羽に町医者として長く住んでいた、「伊良子清白」という詩人の家だそうです。見学は無料。町医者をやっていたので診察室などもありました。私が中の様子をうかがっていると、「どうぞどうぞおあがりください」と、案内のおっちゃんが出てきました。伊良子清白という人はまったくの初耳で知りませんでしたが、「孔雀船」という有名な詩集の作者で、明治詩壇の鬼才といわれた人のようです。

この家の案内をしてくれたおっちゃんがいうには「伊良子清白の詩は文語調だったため、その後の自然主義のトレンドに乗り切れず、詩人としては、あまり評価されずに終わりましたが、その後再評価されました」ということでした。あちこちを漂白した末に鳥羽市に落ち付いて町医者をやっていたそうで、「鳥羽では詩人というより、医者として知られていました」ということでした。

この家が建っているのは、実際に住んでいた時とは違う場所なのですが、この家からも鳥羽湾の島々がよく見え、さらにちょっと角度を変えると、三島由紀夫の「潮騒」の舞台となった「神島」もはっきり見えるということでした。

とにかくこのおっちゃんは博識で、1階から2階にかけてマンツーマンで案内してもらいましたが、建物の構造から建築資材の特徴、さらに目の前に見える島の歴史や、江戸川乱歩が鳥羽に滞在していた話しなど、いろんなことを語ってくれました。本当におもしろかったです。ただ、あまりに熱心に説明してくれるので、内部の写真は撮り損ねてしまいました。とにかく、本当に住んでみたいようないい造りの古民家でした。

さらに歩いていくと、かの有名な「ミキモト真珠島」がありました。ここでは海女の仕事を見せるデモンストレーションなんかもやっているみたいでしたが、時間が遅いため入るのはやめておきました。その近くには鳥羽湾を遊覧する船も浮かんでいました。

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龍宮城だかなんだか知りませんが、どういうセンスなのでしょう。でも日本の観光地にはあちこちにこんな派手な遊覧船がありますね。鳥羽の海と龍宮城がどういう関係があるのか。よくわからないので、とにかくこれに乗ってやろうと思いましたが、発券所に行ってみると、最終の船がちょうど終わった後でした。

そういうことをしているうちに5時くらいになったので、「海月」にチェックイン。大女将なのか若女将なのかわかりませんが、とにかくとんでもない美人女将が登場。私は芸能人かと思ったくらいでした。言葉は暖かい感じの関西系アクセント。とても洗練された応対で、3階の部屋に案内してくれました。

宿自体は昔と違ってホテルのようなビルですが、部屋は20畳敷きの2間続きで、全体に古びてはいるけれど、私などはめったに泊まったことがないような立派な部屋でした。

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これだと広すぎて、私ひとりでは不便なくらい。ちょっと横になって休んでいるうち、けっこう時間が立って8時くらいになってしまいました。

そうなると、3時頃にビールとおつまみを食べただけで、まともな食事はしていないので、ちょっとお腹がすいてきました。それで、どこか近所でラーメンでも食べたようと思ってでかけることにしました。

宿の前の通りは昔の繁華街かもしれませんが、けっこう寂しい感じです。

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この通りには魚を食べさせる店は何軒もありました。ただ、午後に刺身と貝を食べたので、「できればラーメンがいいな」と思ってしつこく探していると、ついに発見。「中華食道 味一」。

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すかさず入ると店内はいい感じに寂れています。あとはラーメンが当たりかはずれか。

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普通のラーメンを頼んで出てきたのを見ると、スープの色はちょっと濃い感じがして、かまぼこが入っていたので、「和歌山ラーメン系の豚骨か」と思いました。それはそれで好きなのでいいのですが、食べてみると昔懐かしいシンプルな醤油ラーメンで、実においしかったです。チャーシューもおいしかった。ここのおやじ、店に入った時は中日スポーツかなんか読んでいて、あまり愛想は良くなかったけれど、ラーメンについてはただ者ではないと感心しました。

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これで無事食事も済んだので、ちんたら散策しながら宿に帰りました。女将さんが出迎えて「お風呂に入んなはれ」というので、すぐに4階大浴場に直行。このお風呂は翌朝にも入りましたが、海がよく見えて眺めのいい大浴場です。この日午前中は伊勢神宮付近を歩き回って疲れていたのかもしれません。すぐに寝てしまいました。

翌朝は7時30分頃に朝食を頼んであったので、食事処に行くと囲炉裏がいくつか切ってある大きな部屋でした。食事の内容はまあ普通だと思いますが、味噌汁にはやはりこのへんの物らしい海草が入っています。これが濃厚な磯の香りがしておいしかったです。

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フロントに降りてきて精算をしていると、女将さんが「お客さんはお仕事ですか? 今日はこれからどちらへ?」というので、「仕事で来たけど、もうとっくに仕事は済んで、遊んで歩いています。今日は東京に帰るつもりです。でも、どっか近くの島にでも寄ってみようかな」などと話していると「伊良湖まで行く伊勢湾フェリーが9月で廃止になるそうなので、乗ってみたらどうですか?」といわれました。

鳥羽から伊良湖岬へ。「その企画は、ただ電車で名古屋に戻って新幹線で帰るより、なかなかいいではないの」と思いましたが、どうせ船で渥美半島に向かうのなら、例の「神島」へ寄れないものか。三島由紀夫の「潮騒」は私の場合、小説よりも映画の印象が強いのですが、その舞台となった島。吉永小百合も山口百恵もこの島の若い海女の役で、純愛を繰り広げる名作です。小説では「歌島」という名前になっていました。

「神島に行くなら10時前くらいの市営船があるはずやから、今から行けばちょうどいいですわ」と美人女将がいうので、とにかく歩いて10分くらいの港に向かうことにしました。問題は島に渡ったあと、さらに伊良湖岬に行く船が都合よくあるかとどうか。さらにそこから新幹線駅である豊橋までのアクセスは大丈夫か?という点です。まあ港に行けばわかるはず、と思って行くことにしました。

出がけに女将がおにぎりを2個くれました。「趣味で作っているおむすびですけど、よかったらお持ちになりますか」と聞かれたので、ありがたくもらいました。これから孤島に渡れば、飲食店があるかどうかもわかりません。おにぎりを持っていればどれだけ心強いか。心から感謝して宿を後にしました。

港に行ってみると、旅客ターミナルもかなり古いのですが、なかなか大規模でした。いろんなルートの船が出ています。こっちにも変な遊覧船がいました。

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海女の像も置いてありましたが、地元の中学生か、あるいは観光客か誰かが乳首にいたずら。必ずこういうことやるやつがいますね(笑)。

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とにかくいろいろ時間を調べた結果、神島に行く船は10時40分頃に出るやつで「答志島」に寄ってから「神島」に行き、そのあともどって「管島」に寄ってから最後にまた鳥羽に戻るという周回船があることがわかりました。さらに神島からは伊良湖岬へは別の会社の観光船があるようで、おそらく神島では2時間ちょっとの時間が取れるということがわかりました。そうなればもう、気持は三島文学の世界へ。

ちょっと待ち時間があったのでターミナルのUFOキャッチャーなんかで遊びながら時間をつぶし、いよいよ市営の連絡船に乗って鳥羽を出港しました。

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このあと神島に寄ったのですが、その話は次回にします。

[旅館 海月](2010年8月宿泊)
■所在地 〒517-0032 三重県鳥羽市鳥羽一丁目10-52
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日本人の旅文化の原点を思わせる参道の木造3階建て [伊勢市 山田館]

伊勢にくるだけはきたものの、どういうふうに参詣していいのかさっぱりわかりません。宿で観光案内のリーフレットなんかを研究した結果、伊勢神宮には外宮と内宮があり、ちょっと離れているとか。どちらもかなりの規模らしいので、今回は内宮に参詣することにしました。とはいえ、伊勢市駅からは外宮は近いので、ちらっと寄ってみることにしました。

いずれにしても、どうも近鉄の宇治山田駅がバスの発着とか、いろんな観光の拠点になっているようでした。とりあえず伊勢市駅から近鉄に乗って行こうと思ったのですが、どうも地図を見る限り宇治山田駅まで歩いてもたいしたことはなさそうなので、だいたいの見当で歩き始めました。「星出館」から歩いて近鉄のガードを抜けると、今度はJRの踏み切りがあり、それをさらに超えていくと急に目の前が広がって宇治山田駅が目の前に現れました。

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思った以上に豪華で風格のある駅でした。登録文化財になっている古い建物のようです。伊勢市駅周辺よりも栄えています。伊勢神宮参詣の玄関口として古くから利用されてきたのでしょう。

駅の中も広々としていて、最近の駅にはないレトロな雰囲気があります。近鉄が奈良観光を宣伝するために置いてあった「せんとくん」の後頭部もついでに入れてみました。

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ここのコインロッカーに荷物を預けて、とりあえず外宮に向かって歩きました。このへんの家は古い民家もあり、近代的な新築住宅もあり、いろいろですが、どの家も玄関にしめ飾りを飾っており、「笑門」と書いてあるのが不思議でした。正月でもないのにしめ飾りを付けるのは、神宮のお膝元ならではの風習なのでしょうか。ほとんどすべてといっていほどの玄関に飾ってありました。

適当に歩いていると、突如としてにぎやかな外宮の参道に出ました。この道は伊勢市駅前にもつながっていて、きのうその入り口だけは確認していた参道です。ここにとんでもない立派な宿がありました。「山田館」です。

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木造3階建ての3連構造になった不思議な旅館ですが、見たところ営業もしているようです。「こっちに泊まってもよかったな」と思ったのですが、そうすると「星出館」に泊まることはできなかったので、難しいところです。でも今度伊勢にくるとしたら、この宿に泊まってみたいと思いました。

玄関口には昔の写真も展示してありました。

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いつ頃の写真かわかりませんが、見た目はそれほど変わっていません。この状態で営業を続けるにはかなりの苦労があったと思いますが、よくぞ残っていたものと感心します。あとで調べてみると、この家の創業者が宮大工で、自分で作った家だそうです。だいたい100年前のことだとか。場所もいいので、これからも繁盛していけばいいなと思います。

この宿を発見してすっかりうれしくなって、そのまま外宮まで行ってみました。しかしやはりかなりの規模があって、奥行きも深そうなので、今回は内宮にだけ参詣することに改めて決定。朝からすでに暑い中、あまり長い距離を歩くのはしんどいと思ったからです。

外宮の前から出ている内宮行きのバスに乗りました。観光客が多くてけっこう混んでいましたが、私は仕事のついでなのでスーツに革靴姿。荷物はコインロッカーに預けたのでカメラだけをぶらさげた、かなり場違いな感じでした。

内宮もそんなに遠くなくバスで15分くらいで到着。降りてみるとおみやげ屋や飲食店や赤福の売店なんかが並んでいて、すごくにぎやかな雰囲気でした。とにかく「参道で遊ぶのはあとにして、まずは参詣しよう」と、鳥居から宇治橋を渡っていよいよ伊勢神宮の領域に入りました。

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橋の下を流れている川は五十鈴川というらしいです。鷺なんかも遊んでいてのどかな雰囲気ですが、平日とはいえ観光客がけっこういます。

だいぶ歩いて御正宮に到着。途中には五十鈴川で手を洗うことができる川原もありました。お宮自体の写真撮影は禁止で、階段の下からしか撮影できないことになっていました。混んでいるとは思ったのですが、すぐに参詣できました。ふだんは順番待ちで時間がかかることも多いようなので、たぶんこのくらいだと空いているほうなのでしょう。

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ポケットを探ったら12円出てきたので、12円を賽銭箱に入れて、世界平和と人々の幸せを祈ってきました。だいぶ歩くことを覚悟していたのですが、木々が繁っている中なので、それほど暑さを感じませんでした。それにしても長い砂利道なので、革靴とスーツで歩いているマヌケは私くらいしかいませんでした。

途中の休憩所に鶏がいましたが、これは神鶏なので、いじめたりしてはいけないそうです。この休憩所で、神宮にまつわるいろんな行事のようすをビデオで放映していたので、休憩がてらしばらく見てきました。なかなかためになるビデオでした。

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さて、無事参詣も終わったことでもあり、ゆっくり参道である「おはらい町通り」を散策しました。すごくにぎやかな通りです。

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この道は五十鈴川に沿っているので、川原にも出てみました。きれいに整備されています。

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とにかく暑いので、熱中症を防ぐためにカフェに入りました。もういったんクーラーのきいた部屋に入ると、動くのがいやになります。

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さらに歩いていくとついに赤福本店を発見。一時は問題を起こしたりしましたが、繁盛しています。茶店では赤福かき氷もやっていて、大混雑。私はあんこ系にあまりこだわりがないのでパスしました。

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このあたりが最大の中心地でしょうか。昔から有名な薬屋さんの変わった建物もありました。屋根の構造が変わっています。真ん中に貯まる雨水はどこにいくのでしょうか。

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赤福の前に「おかげ横町」という脇道があったので入ってみました。ここも古い建物を使ったにぎやかな横町で、大勢の観光客が集まっていました。まだ昼前だったのですが、「伊勢うどん」というのをやっている「ふくすけ」という店を発見したので、食べてみました。

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なんだか全然コシのない不思議なうどんでしたが、非常にシンプルなので、いかにも昔のお伊勢参りの人々が軽食として食べたような歴史を感じます。長い旅をしてきた江戸時代の人にとっては、これでもごちそうだったのだと思います。

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さらにいろんな店を見て歩きましたが、芝居小屋のような「おかげ座」という建物は、昔の「おかげまいり」の様子を再現したテーマ館だというので入ってみました。かなりおもしろかったです。「おかげ座」の前には変な猫もいました。

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300円払って入場すると、おかげまいりの話をからくり人形と映像で説明してくれて、さらに2分の1縮尺の人形で「おかげまいり」の様子を再現した展示物を、解説しながら案内してくれます。すごくリアルでよくできていました。私は写真を撮ろうと思って、集団から遅れがちになってしまいました。

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障子に移る人影が踊りを踊っていたり、なかなか細かいところに気をつかっています。「施行」は、四国のお遍路さんみたいに、旅人に食事などを無料でふるまうこと。信仰が前提かもしれませんが、外来者を労る文化というのはいいですね。この空間では、まるでお座敷で「間の山節」でも聴いているような、不思議なタイプスリップ感がありました。

「おかげまいり」は、日本人の旅文化の原点かもしれません。一般人はなかなか旅もできない時代、各地に庶民的な宿場や街道が発達したのは、「お伊勢参り」という口実があったからでしょう。この時代の旅には現代人が見ても郷愁を感じる部分があります。危険を伴う苦しい長旅ですが、ここで再現されているような木賃宿や旅籠が、今でもあればぜひ泊まってみたい。

そんな感じで内宮周辺でだいぶ時間を過ごし、炎天下を歩き回りました。この日の泊まりは鳥羽なので、バスで宇治山田駅に戻り、電車で鳥羽に向かいました。すごく名残惜しい感じがしましたが、「山田館」という良さそうな宿を見つけたので、再訪する機会をぜひとも作りたいと思います。

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[伊勢市  山田館](2010年8月見学)
■所在地 〒516-0074 三重県伊勢市本町13-1
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伊勢神宮の参詣客でにぎわった河崎町の歴史を伝える町宿 [伊勢市 星出館]

今年三重県の伊賀市にいった時に、ついでに伊勢志摩方面にも行きたいと思いつつ時間がなくてあきらめたのですが、わりと早くその機会がやってきました。四日市と伊勢市に用事ができたので、2泊くらいして、お伊勢参りをしてくることにしたのです。

ルートは名古屋からJR関西本線で河原田駅まで行き、そこで用事を済ませて今度は伊勢鉄道に乗って伊勢市駅まで向かいます。伊勢鉄道の河原田駅は無人の渋い駅でした。やたらと天気がいいので、暑い中でも気持良かったのですが、この無人駅のホームで1時間近く待つのは疲れました。このへんの田んぼはすでに稲刈りを始めていました。

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伊勢鉄道は途中に鈴鹿も通るので、もしかしたらF1ファンには知られているローカル線かもしれません。これで津駅まで行き、またJRに乗り換えて、伊勢市駅に到着しました。伊勢市でも仕事があったのですが、夕方くらいまでに終了。再び伊勢市駅に戻りました。駅は伊勢神宮の「外宮」のすぐ近くにあるのですが、もう6時過ぎなので参拝は翌日にすることにして、宿に向かうことにしました。

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この日はネットで調べて「星出館」という旅館を予約していました。なかなか渋そうな宿。伊勢市駅はJRと近鉄の駅が隣接していますが、「星出館」は近鉄サイドから少し歩いたところにありました。途中河崎商店街という寂れたアーケードがあって、なかなかの雰囲気です。

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6時半頃に汗だくになって宿に到着。期待以上に渋い宿でした。木造2階建てです。入り口は唐破風屋根になっていて、古い看板なんかもなかなか風格がありました。

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宿の脇の道にも古い家が並んでいます。さすが伊勢。このへんも昔は栄えた町なのだそうです。

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宿は若い女性スタッフが中心で、部屋に案内する前にひととおりお風呂やトイレなんかを説明してくれました。ここは海外のガイドブックで紹介されているため、外国人のお客が多いそうです。だいたいこういう古い宿は日本人より外国人が価値を評価してくれる傾向がある気がします。

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あちこちの表示や説明書きもけっこう英語で書いてありました。日本のお風呂の入り方の説明書きもあったし、だいたいお風呂自体、普通のお風呂とは別に、シャワーだけの部屋があり、主に外国人が利用しているようです。

入り口には古い柱時計もあり、典型的な古い和風旅館の趣があります。もう、私の場合、もうこの入り口付近の雰囲気だけで、この宿にして良かったと思ってしまいます。

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2階にあがると渡り廊下があり、小さい中庭が見えます。そんなに広い敷地ではありませんが、凝った造りになっています。中庭には「水琴窟」という仕掛けがあって、竹筒に水を流すと音がします。ちょっとやってたら、確かに楽器のようなきれいな音がしました。

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2階には中庭を見下ろす渡り廊下。なかなかいい雰囲気です。

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私が泊まったのは下の写真のつきあたりの格子戸の部屋。

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部屋の中はこんな感じ。落ち付いた感じのなかなかいい部屋でした。

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部屋は宿の正面に面していて、窓を開けてみると、ちょうど唐破風屋根の上の部屋でした。部屋に案内してくれたスタッフの方の話しによると、このへんは「河崎町」という川に面した古い商業町に近く、昔は伊勢神宮に参詣する人を乗せた船や物資が集まってにぎわった町だそうです。「古い町並みが残っているので、散歩でもされたらどうですか?」というので、あとででかけることにしました。

「食事はどうされますか」と聞かれ、「とにかく先にお風呂に入りたい」というと、「確かにすごく汗をかいてらっしゃるので、そのほうがいいですね。お風呂は家族風呂で、今ちょうどあいていますからどうぞ」といわれました。食事はそのあと、7時くらいからにしてもらいました。

食事は1階の広間でとります。7時に行くとまだ誰もいませんでしたが、そのうち中年夫婦とその母親らしき家族連れ、若い女子2人組、白人の20代くらいのカップルなどが入ってきました。若い女子2人は大学生くらいの感じで、すでに廊下で会った時にちょっとあいさつしたのですが、なぜか浴衣をたくしあげて脚を出して着ているので興奮しました。最近はこういうのが流行っているのでしょうか???

白人外国人カップルのほうは、私とほぼ同時間にチェックイン。このカップルの女の子のほうがえらいもので、食堂に入る時に脱いだスリッパを、みんなの分も並べ直していました。今どきの日本人でもなかなできない行動。白人カップルとはいっても、かなり日本滞在の長い人なのかもしれません。

食事はこんな感じ。かつおのたたきと天ぷら中心で、あといわしの焼いたやつがありましたが、このいわしがなぜかすごくおいしかったです。少しタレをつけて照り焼き風になっていました。この宿は、ビールをアサヒ、エビス、キリンと一通りそろえているようで、なかなか気がきいています。

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食事のあと、いよいよ散歩に出動。古い商家町ならぜひ見たいと思ったのですが、もう町は真っ暗でした。

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古い家や蔵が並んでいます。蔵もカフェなんかに改造して営業しているみたいで、雑貨屋さんや菓子店などもありましたが、もう遅いのでしまっていました。開いていたのは古本屋さんくらい。すごく風情を感じる町並みでした。この付近に伊勢神宮参詣の客が川船で到着したということになると、昔はずいぶんにぎやかだったのでしょう。

この町の裏に昔は船が着いたという川があります。勢田川という川で、大きな橋もかかっていたのでちょっとのぞいてみましたが、暗くて何もわかりませんでした。

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この日は月がやたらと明るいなあ、という印象くらい。でも天気が良くて、月も星もよく見えたので、「星出館」に泊まったかいがあったと思いました。クレーターまでよく見える。

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1時間くらい歩いて宿に戻ると、宿の近くも真っ暗ですが、なかなか風情がありました。人通りはほとんどありませんでした。

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中庭の上を通る渡り廊下も、夜はいちおう閉められています。

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翌朝は男性スタッフも見かけたのですが、全体的に若い女性スタッフが多くて誰がご主人なのかわかりませんでした。でも、非常に応対がていねいで、行き届いた気配りのある宿。私は自分の家のようにすっかりくつろいで、早寝してしまいました。

翌日は朝食の後、いよいよ伊勢神宮参詣へ。

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見送りに出た男性に、「伊勢神宮から鳥羽に回る予定です」というと、パンフレットなんかをくれました。伊勢神宮というと、高校の時の修学旅行以来。あれからだいぶ汚れてしまった私の心も、今回の参詣で清められるのかどうか。とにかく朝9時くらいに宿を出発しました。

[伊勢市・星出館] (2010年8月宿泊)
■所在地 〒516-0009 三重県伊勢市河崎2-15-2
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忍者の里をさまよい歩く・伊賀忍者屋敷編

伊賀市の「薫楽荘」が大変良かったので、宿泊した翌朝はきげんよく出発し、町の散策にでかけました。最終目的地は伊賀市駅近くにある上野城と伊賀忍者屋敷です。甲賀忍者屋敷は時間の都合で見ることができなかったので、ここが最大のハイライトになります。

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「薫楽荘」のちょうど斜め向かいに、もうひとつ古い宿がありました。「いとう旅館」。ここも花街時代からの宿で、もうこのへんにはこの2軒しか古い宿は残っていないようです。その隣も外見はなかなかいい感じの宿だったのですが、建て替えられた新しい建物のようでした。

「薫楽荘」の女将にだいたいの見どころを聞いていたので、まず松尾芭蕉先生が住んだという「蓑虫庵」を訪ねてみました。松尾芭蕉先生は伊賀の生まれで、実は忍者だったという説もけっこう聞かれますし、伊賀の有名人です。その現存する庵は、すがすがしい静寂に包まれた空間といいたいところですが、公開されて観光名所化しているためか、客もそれなりに多くてけっこう騒がしかったです。
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今の感覚からすると庭も広大だし、建物自体は質素で小さいですが、全体としてはけっこうぜいたくです。でもこの部屋でしばらく寝泊まりできたら、少しは俳句でも浮かんでくるかな、と思いました。

でも特にこういう名所をめざさなくても、伊賀の町並みに普通にいい雰囲気の古い家がいくらでもありました。

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もう写真をとっているとキリがないほどです。少しおもしろげな銭湯もありました。営業時間前ですが、かなり古い建物らしく、しかし看板はネオンサインになっていました。ここは夜にきたらぜひ寄ってみたいところでした。

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そうやって少しずつ北に向かって歩いているうちに、伊賀鉄道の踏み切りを渡って上野城の領域に入りました。ここの天守は再建なので中には入りませんでしたが、かなりきれいで優雅な天守です。それと石垣がけっこうすごくて、すごく高いにもかかわらず、ろくに手すりがないため、かなりの迫力がありました。

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石垣の縁からお掘の亀の親子をズームをめいっぱいにして撮ってみました。30mくらいあるので非常に危険な行為でした。マネしないように。

さていよいよ伊賀忍者屋敷です。お城の中の「伊賀流忍者博物館」という施設の中に忍者屋敷があります。よくシステムがわからなかったのですが、ある程度見学客が集まると、「くのいち」が、客を引きつれて、忍者屋敷の解説をしながら見学するという形でした。

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私もしばらく待たされたのですが、前の組が終わってもほかの客が来ないので、マンツーマンで解説してもらうことになりました。地元の女子高校生か何かのアルバイトなのか、すごくかわいい子に当たりました。

その「くのいち」が、どんでん返しとか、抜け道などが仕込まれている仕掛けを解説してくれます。単に解説するだけではなく、素早く姿を消すといった実演もしてくれるので、けっこう大変です。私は「どんでん返し」の部屋で「いまこの部屋を忍者が見張っています。どこに隠れているかわかりますか?」と聞かれてたのですが、さっぱりわかりませんでした。普通わからないと思いますが。「いや、わかりません」といったところ、「くのいち」がスイッチを押してちょっと影になった欄間の奥にライトを当てると、隠れて様子をうかがっている忍者が浮かび上がる、などなどおもしろい仕掛かけがたくさんありました。

私もどんでん返しをやってみましたが、隠れるのは簡単なのです。しかし勢いをつけて隠れると、そのまま戸がまわりすぎてまた出てきてしまうという間抜けなことになり、なかなか難しいのがわかりました。ここの「くのいち」たちはかなり訓練されていましたが、私の前の組の「くのいち」は縁側の隠し戸から素早く闘争する実演の時に、外に出たあと「いででで」といってました。どこかぶつけたのかもしれません。それだけ過酷な仕事なのでしょう。

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「くのいち」はすごく美人なのですが、迷惑がかからないよう顔はカットしました。

台所の屋根裏にはこんなやつもいました。こういうのがけっこう団体客には受けていました。

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このほか、いろんな展示物のある博物館や、忍者ショーをやるアトラクションもありました。私はさすがにショーを見るのはやめておきました。

当時の忍者村を再現したジオラマと、実物の手裏剣などの展示。上忍の屋敷を取り囲んで下忍の家があったのかどうか‥。ほかにも衣装などもありました。

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私もこういう展示物に影響され、売店でゴム製の手裏剣と、忍者刀のストラップを衝動買いしてしまいました。

さてこのあと、「薫楽荘」の女将が「城まで行くならおすすめ」といっていた「だんじり会館」に行きました。ここもお城のすぐ近くです。天神祭りの山車などを展示しているところです。ここには本物の山車のほかに、祭りの時に出てくる鬼の面をかぶった行列なども再現されていました。

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かなり気持悪いです。こういうのを眺めて、この祭りはどういういわれなのだろう?などと思っていると「だんじり会館」の人が私のほうに寄ってきていろいろ説明をしてくれました。またもマンツーマンシステム。だからおとなしく聞きました。

それによると、町ごとに山車が決まっていて、そこに生まれた人はずっと同じ山車を引く。また鬼の家に生まれた人は、ずっと鬼の面をかぶって練り歩くということになるそうです。昔からの決まりなのだそうです。

「でも最近は少子高齢化といいますか、子供の数が減ってきて、他の町からも応援を受けるようになっています。でもその応援する町もきちんと決められているんですよ」ということでした。このお面をかぶって歩いていいなら、私も応援してみたい‥。そんな気持になりました。

このあと駅に戻り、再び伊賀鉄道と関西本線を乗り継いで名古屋に出るつもりでした。しかし駅に行ってみると関西本線が保守工事のため運休しているということです。ちゃんと計画を立てて歩かないとこういうことになってしまいます。

伊賀鉄道の係の女性は「大阪に行くなら伊賀神戸まで行って乗り換えてください」というので、「いや名古屋に生きたいんですけど」というと、「名古屋でも同じ。伊賀神戸に近鉄に乗り換えてください」ということでした。

関西線に乗るなら、関宿とか亀山で途中下車もしてみたかったのですが、あきらめました。それで高速バスを使って一気に名古屋に行くことにしました。名古屋への高速バスは駅前の「上野市産業会館」という古いビルの前から出ていて、けっこう本数がありました。

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待合室もなかなかのどかなムードです。その前には松尾芭蕉先生の像が。ちょっと時間があったのでお昼を駅前のうどん屋で食べました。

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食べたのは親子丼でけっこうおいしかったですが、漬物とか味噌汁の感じがやはり東日本とは違います。ちなみに超つゆだくでした。

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バス停のベンチにも「伊賀の組紐」の宣伝。なかなかローカル色豊かでいいです。これで忍者の里めぐりも終わりですが、今時の日本の中で、これだけ町全体がはっきりした個性を持ったところは珍しい。戦災を免れたのが大きいということですが、とても貴重なエリアだと思いました。観光目的でも何でもいいから、この雰囲気を大事にしてほしいと思いました。
 
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昔は伊賀盆地に入るには峠越えに多くの危険が伴ったそうですが、現代の高速越えはあっという間でした。このとき伊勢神宮とか志摩方面の標識も見えて、本当に行ってみたい衝動にかられたのですが、ここはこらえておとなしく名古屋から新幹線に乗って東京に帰りました。

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忍者の里をさまよい歩く・伊賀編 [伊賀・薫楽荘]

甲賀から伊賀に向かうべく、夕方草津線に乗りました。柘植という駅まで行くと関西本線と接続します。関西本線の電車はけっこう渋い車両で、人家の少ないわりと平坦な線路を進んでいきます。高校生など乗客もたくさん乗っていました。

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これで奈良方面に折り返す感じで伊賀上野駅まで行くと、到着したホームとつながったホームから出ている伊賀鉄道伊賀線に乗り換えて上野市駅へ向かいます。すぐに電車が出るとは知らず写真をとっていたら、マイクで「お急ぎくださいっ!! 」と怒られたので、あわてて電車に飛び乗りました。

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今回の宿は伊賀鉄道の茅町という駅が最寄りになるのですが、たいした距離ではないので上野市駅から宿まで歩いてみようと思っていました。どうせ素泊まりなのでどこかで食事をしなければならないし、歩きながら店を見つけようという作戦でした。上野市駅到着は6時前くらい。

上は伊賀鉄道の車両。このほか、翌日駅のそばの踏み切りで「くのいち電車(下の写真)」が通りすぎるのを見かけました。これは松本零士仕様と思われます。

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とにかく上野市駅の駅舎は小さいけれどもけっこう立派で、甲賀地方の寂しい駅前を見てきた目には、かなりの都会に映ります。ロータリーもあるし、あやしそうな商店街もありました。
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 早速
あやしい商店街「新天地」へ。とにかく南に向かって歩けばいいので、道は簡単です。「新天地」の店はあまり開いていませんでした。この時間、まだ明るいですが、宿は素泊まりなので、どこかで食事をしてからチェックインしようと思っていました。

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このあと、きれいな大通りに沿って南に歩くと、駅にほど近いところで不思議な物件を発見。「電気湯」とあるので銭湯なのか、「忍びの館」という観光施設なのか、いまいちよくわかりせんが、黄色い忍者が屋根にいます。しかし、この後伊賀に一泊すると、町中忍者だらけなのでこの程度では驚かなくなりました。

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道は碁盤の目状にそろっていて、大通りから交差点ごとに路地をのぞくとなかなかいい雰囲気の小路がたくさんありました。そこでてきとうに路地に入ってみると、あるわあるわ、ボロ家を含む風情のある街並みがいくらでも並んでいます。

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住んでいるのか廃墟なのかわかりませんが、とても紹介しきれないくらいのボロ家がありました。

しかし食事ができる手頃な店がなかなかありません。とうとう宿についてしまいました。

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「薫楽荘」。なかなかいい感じの建物です。もう6時30分くらいにはなっていますが、まだ明るいです。しかしこうなると何でもいいから食事をしないと、またかっぱえびせんで一晩過ごすことになってしまう─。ここまでくる間にラーメン屋とかうどん屋があったのですが、「できれば伊賀牛のすき焼きでも食うかな」などと、えり好みしている間に、結局何もないエリアにきてしまいました。でもコンビニとカラオケスナックはあったので、最悪の場合、どちらかで食べものを確保することはできます。

この付近をさらにやみくもに歩きまわっていると、ようやく中華料理店を見つけました。もはや選ぶ余地もなくそこに入り、食べたのが餃子とチンジャオロースー(笑)。計画とは大きく異なるメニューになってしまいましたが、この日はずいぶん歩いたので生ビールがおいしい。料理もなかなかでした。

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三重県は西日本と東日本の境界エリアといわれていますが、やはり名古屋の勢力下なのか新聞は中日スポーツでした。

ここで食事をしている間に一気に日が落ちて暗くなってしまいました。再び「薫楽荘」へ。

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入り口を入って声をかけると若い女将さんが出てきてました。すごくていねいかつ愛想のよい美人女将で、「もうこの宿は100年になるので、あちこちギシギシいいます。すみません」といって2階の通路に面した部屋に通してくれました。

おもわず「おお~っ」と思ってしまう、絵にかいたような和室。100年前というと明治時代ですが、当時としてはなかなか結構な造りなのではないでしょうか。

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女将さんはお茶を入れてくれて、「今日はお仕事ですか?」などと話しかけてきましたが、言葉使いは関西弁アクセントでした。でも元は三重県の北のほうからお嫁にきたそうです。女性が関西弁でていねいにしゃべると、かなりいいですね。ちなみに旦那と知り合ったのは名古屋(笑)

「この宿は先々代が始めた宿ですが、二代目の時は休館していて、三代目のわたしたちになって再開したんです。もうほとんど建物は当時のままなので古くて冬は寒いし大変ですが、そこがいいんだというお客様もいらっしゃって、おかげさまでなんとかやっております」とかなんとか。2階の一部にくつろぎスペースが作ってあって、ちょっとした置物なんかにも女将さんが気を配って、居心地がいいように、という気持が伝わってきました。

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「テレビもチャンネル式で申し訳ないんですが、一応うつりますので」ということでしたが、チャンネル式のテレビなど、私にとっては子供の頃に慣れ親しんだ方式であって、素人じゃあるまいし、いまさらとまどうことなどありません。

いろいろ話しを聞いていると、ゴールデンウィーク中は大変な混雑で、この宿も5室しかないのでずっと満室状態だったそうです。でもこの日の客は私ひとりきりだったので、申し訳ないと思いました。

「連休中は、みんな忍者の衣装を借りてきて町中を散策するんです。それから秋になると天神様のだんじり祭りがあって、ちょっと京都や高山に似た感じの山車が出ます。鬼の面をかぶった行列も出ますが、とても珍しいんだそうです。そのときにまたいらっしゃってください」ということでした。

いやあ、「でもこの年で忍者の衣装で町を歩くのはいやだなあ」と思ったのですが、女将さんによると子供連れはもちろん、いい年のカップルも「この際だから」ということでけっこう着ているそうです。そのほかいろいろ市内の見どころを教えてくれました。

お風呂も貸し切りでゆっくりつかり、あとは部屋で女将さんがたくさんくれた伊賀のパンフレットを見たり、チャンネル式のテレビを見ているうちに眠くなったので、けっこう早く寝てしまいました。

朝めざめるとすごくいい天気になっていました。

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宿がある細い路地は昔の花街で、向かいにも2軒の宿屋がありました。しかし今では古いままの家は「薫楽荘」を入れても2軒だけになってしまったそうです。

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前日到着後、「簡単な朝食なら用意できる」といわれたので、それならぜひにとお願いしました。指定した時間に1階の食堂にいくと、かなり広い大広間を貸し切って一人で食事をしました。「少し冷えるので軽くストーブをつけておきました」ということで、その座席はテレビの真ん前にセットされており、テレビのリモコンと朝刊が脇に置いてありました。こんなに気配りの行き届いた女将さんを名古屋でつかまえたご主人は、私ほどではないにしても?ラッキーな野郎ですね(笑)

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ごはんと味噌汁がうまかったです。味噌汁は三重県特産の海草類だと教えてくれたのですが、名前を忘れてしまいました。

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出発する時、改めて1階の入り口付近を見ると、大きな柱時計が置いてあり、障子やふすまの感じがなかなかいいです。私としては、これだけのいい宿をみつけた喜びでいっぱいで、いずれ天神様の秋祭りに再訪しなければならないと思いました。“ボロ宿ブログ”で紹介してしまい、申し訳ないような気持です。

この日はいよいよ伊賀忍者屋敷を訪ねたのですが、えらく長くなってしまったのでその話はに書きます。

[伊賀市・薫楽荘](2010年5月宿泊)
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もんすけ

 古い湯治宿や駅前旅館など、日本が高度成長時代に入る前からあったような雰囲気の宿が大好きで、各地を回っています。
 どこにいってもそれなりに立派な宿が多く、個性的なボロ宿に出会うことは少なくなりました。
 10年、20年前ならもっといろんな宿が残っていたと思いますが、しかしいま現在でも、10年後、20年後に比べたら多くの貴重な宿が残っているはずです。そうした宿を記録に残していけたら、と思っています。

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