日本ボロ宿紀行

ボロ宿にあこがれ、各地のボロ宿を訪ねています。

栃木の宿

「ボロ宿」というのはけして悪口ではありません。
歴史的価値のある古い宿から単なる安い宿まで、ひっくるめて愛情を込めて
「ボロ宿」といっています。自分なりに気に入った、魅力ある宿ということなのです。
もともと、できるだけ安く旅行をしたいということから行きついた結果ではありますが、
なるべく昔の形を保って営業している個性的な宿を応援していきたいと思います。
湯治宿や商人宿、駅前旅館など、郷愁を誘う宿をできるだけ訪ねて、
記録に残していくこともいずれ何かの役にたたないかなと‥‥。

宇都宮駅前立地の明治元年創業・老舗旅館 [宇都宮 旅館藤江]

先月宇都宮に行く用事があり、駅前通りで発見したのが「旅館 藤江」です。見るからに古そうな風格のあるたたずまいなのですが、いままで聞いたことがありませんでした。あとで調べてみたら、明治元年創業の有名宿で、今も元気に営業をしているようで、食事もかなりおいしいみたいです。

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宇都宮というと東京に近すぎてなかなか泊まる機会がないのですが、今度宇都宮に泊まることがあったら絶対ここに頼んでみようと思いました。

宇都宮はいまや餃子の町として有名。駅前には餃子の像などもあるのですが、餃子店の前でも変な餃子キャラクターを見つけました。

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駅前の通りを東武宇都宮駅方面に歩いていくと、川を横切りますが、この周辺はビジネスホテルがたくさんありました。そしてその近くに「旅館 藤江」もあります。宇都宮も歴史のある町であると同時に、日本の近代化とともに急速に発展した町です。おそらく明治,、大正の頃はこのへんが旅館街になっていたのではないでしょうか。

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「旅館 藤江」の入り口は唐破風づくり。中を見ていないのでなんともいえませんが、かなり建て増しや改造をしているようです。

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昔はたくさんあったはずの典型的な駅前旅館風。清潔で感じの良さそうな宿です。ビジネスホテルとの競争の中、こんな宿が平気で駅前に残っているなんて、宇都宮もたいしたものだと思いました。

旅館の右サイドはもともと隣接していた建物が取り壊されたらしく、あまり整備されていないまま壁がむきだしになっていました。このへんを見ると古さを感じます。

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この日、ちょうどお昼にかかる時間帯だったので餃子を食べようと思っていたのですが、仕事の打ち合わせと食事が一緒になってしまい、こじゃれた店ですき焼きみたいなのを食べるはめになってしまいました。今度、ぜひともこの宿に泊まり、餃子も食べてきたい。駅中にも餃子店があり、おみやげ餃子もいろんな種類が置いてあったので、この時はおみやげを買って帰って食べました。

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[旅館 藤江](2010年7月見学)
■所在地 〒320-0811 栃木県宇都宮市大通り3-3-3
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廃墟のようなホラー系温泉宿に隠された絶品のお湯 [老松温泉 喜楽旅館(後編)]

喜楽旅館の後編です。

部屋に案内されて、おばあちゃんと少し話しをした後、とにかくまずはお風呂に入ってみることにしました。夕食は6時半とかそれくらいからで、「ふだんは2階の食堂だけど、一人分だから部屋に持ってきましょうかね」と、いうことになり、「ひと風呂浴びてきたらちょうどいいでしょう」というのででかけました。電話で予約したときに「うちはタオルも何にもないからね」といわれたのですが、浴衣はあったので、着替えて風呂に向かいました。

通された部屋は戸を開けると、目の前がすぐに水場という便の良さ。この日は群馬から来たという昔からの常連客が一人滞在していて、使ったお茶の葉を捨てたりするためにここまで何度も来ていました。

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またも例の廊下を通ってお風呂に向かいます。この1階部分は、谷の崖に密着したような感じで建っているため、上のほうに明かりとりの窓があるだけで、ほとんど外光が入りません。夕方でも照明をつけていますが、それでも薄暗い感じ。深夜、ひとりで歩くのはけっこう怖いかもしれません。

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お風呂は下の写真のような感じ。夜中、誰もいない時に撮影。木製の2つに分かれた浴槽の雰囲気は「雲海閣」にもやや似ています。温泉成分のせいかかなり古びていますが、風情のあるいい雰囲気のお風呂でした。

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夕方には5人くらいの地元おっちゃんたちがいて、「こんにちは」といって入っていくと、みんな「こんにちは」とあいさつしてくれました。私は温いお湯が好きなので、2つの浴槽のうち「温いのはどっちだべか?」と聞くと、奥の浴槽に入っていた2~3人が「ああ、こっちです」といって少しスペースをあけてくれました。

なかなかいい感じの温さで長湯できそうです。もうひとつの浴槽に手を入れてみるとかなり熱かったです。ここの温泉はもともと30度程度の鉱泉ですから沸かしています。浴槽に注ぐ蛇口のうちひとつは沸かした熱い源泉で、もうひとつは沸かしていない温度の低い源泉。これを自由に開けたり閉めたりする手動式のオーバーフローで、いずれも源泉なのでうめても温泉が薄くならないというのがいいです。

一泊してわかったのですが、熱いお湯の蛇口を開けると、すぐに全体的に熱くすることができます。だいたいひとつの浴槽を熱め、もうひとつを温めというように、客が勝手に調整しているようです。窓から見える小川と周辺の新緑、その向こうに見える大きなホテルの廃墟などが、なかなかいい眺めだったのですが、明るいうちはお客さんが多く、写真を撮れませんでした。

お風呂からあがってしばらくすると、おばあさんが食事を運んできました。


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食事もなかなかのもので、けっこう意外。そのうえ、右上のれんこんのはさみ揚げの下に何とお刺身が隠されていました。けっこうおいしいやつでした。

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さて、この宿の自動販売機にビールが置いてないことは入浴時に確認してあったので、おばあちゃんに「ビールかお酒はありますか」と聞いてみたところ、おばあちゃんは「あっ‥」といって固まってしまい、「うちは最近、そういうものは‥‥」とうろたえているのですが、要するに置いてないということでしょう。そうと知っていたら、何か買い込んでおくべきでした。


すると廊下の向こうからご主人の声が。

ご主人「なに、ビールが飲みたいの~?」
私 「できれば」
ご主人「なに、350でいいの~?」
私 「はい」
ご主人「なに、銘柄はなんでもいいの~?」
私 「はい(本当はこだわりがあるけど、このさい何でもよい)」

声が聞こえなくなり、去っていく気配がしたので、おばちゃんに「ビールがあるっていうことなんですかね?」と聞くと、黙ってうなづきながら微笑みました。夕食にあたって、たとえ350ml1本でも、あるかないかの差は大きい。

ちょっと食事をつまみながら待っていると、ご主人が350mlのエビスビールを2本持ってきました。「これでいいかな。まあ1本でも2本でもどうぞ」というので、「じゃあ2本」といってご主人の手から2本奪取。

「俺が飲もうと思って冷しといたやつなんだけどね‥‥」というのですが、こっちとしては知ったことではないとばかりに、容赦なく2本とも奪い取りました。ビール確保に必死。今から思うと、「一緒にどうですか」と誘えば良かったと反省しております。

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このとき、ご主人とはじめてゆっくり話をしました。

「俺はここの息子だけど、後を継ぐつもりはまったくなかったんだ。でも10年くらい前に親や兄弟に続けざまに不幸があって、俺がやるしかなくなった。俺が60、ばあさんが80で、俺も足が悪いもんだからあんまり長くは続けていけないな。とにかくばあさんがやるといううちは、続けていこうと思ってるんだ」ということでした。まるで徳川吉宗のような運命の変転があったようです。

そういう状況なので、なかなか思うように宿泊客を受けることもできず、今回は一人常連客の滞在があったので「1人も2人も同じだから」私を泊めることにしたようです。

「お客さんはどこか具合が悪いのかい?」と聞かれたので、「あえていえば、昔からアレルギー性の肌トラブルがあるといえばあるんですけどね」と答えると、「うちのは、効くよ~」と不敵な笑みを浮かべました。泉質にはすごく自信を持っているようです。ご主人自身があちこちの温泉をまわってきたそうですが、「いろんな泉質があるけども、まずうちのお湯が一番いいと思う」ということです。

もともとは東京で会社勤めをしていたそうで、私の住んでいるあたりにも詳しいようでした。私のデジカメを見て、カメラの話もけっこう盛り上がったのですが、何と17台のカメラを持つマニアだそうです。

温泉の経営はなかなか厳しく、温泉成分が強いために、客室のテレビも1年でダメになり買い換えているそうです。私は「もともとお湯が目当ての人はテレビなんかあってもなくてもいいんだから、テレビなしの宿にしたらどうですか。実際にそういうところはけっこうありますよ」というと、「それは知ってるけども、やっぱり、今どきテレビがないというのもねえ。ありうるとしたら、広間に1台だけ置いといて、そこに来て見てもらうとかね」

いろいろ大変なようです。それにしても長話の間、ビールをすすめもせず、申し訳ありませんでした。

寝たくなったら、ふとんを自分で敷きます。蛍光灯のひもが延長されていて、寝ていても消灯できるというのは、なかなか便利。昔はけっこうどこの家でもやっていたものですが。

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深夜も何度もお風呂に入り、女性用の浴室も密かにチェックしてみましたが、男性用と向きが違うだけでまったく同じでした。とにかく夜中にひとりで独占していると、つくづくいいお湯だな~と思いました。好きなだけ源泉を出すことができるし、那須では珍しく飲泉もできるようになっています。


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翌朝も早くからお風呂に行くと、常連客とご主人がすでに入っていました。浴槽のひとつはお湯をためている途中で、かなり熱い状態。ご主人「毎朝、入れ換えてるんだ。そっちはまだ熱いんじゃないかな」といって、自分も入浴しながら湯加減をみています。

「どうだい肌の調子は?」と聞かれて、確かにお肌がしっとりつるつるしていることが実感できたので、「いやあ、いつになく感じがいいです」というと、「そうだよ、1回入るだけだってそれなりに効果があるんだよ。もし時間があるんだったら、昼頃までいたってかまわないんだから、ゆっくり入っていけばいいよ」といってくれました。

ご主人が去ったあと、例の群馬から来たという常連のおっちゃんは「ここに来るのは3年ぶりくらいかな。ここも前はもっと混んでいて、だいたい浴槽に浸かっても足も伸ばせないような感じだったけどね。何にでも良く効くけど、飲むともっといいよ」と絶賛しておりました。

その後、朝から近所の人らしき立ち寄り客もきましたが、その人がいうには「だいたい地元の人間は、ここか雲海に行くね。やっぱりお湯がいいですよ。弱アルカリでね。鹿の湯は飲めないしね。昔は鹿の湯のお湯が強くて、肌がただれたりした人が、ここで少し仕上げて行くような感じだったね」

そうすると、草津温泉における沢渡温泉、四万温泉のような感じでしょうか。

朝食はご主人が持ってきて、「ごはんはそれで足りるかい」というのですが、足りるどころではありません。「いや、朝からこんなに食えませんよ」というと、「食うやつは朝からでも食うからね」と笑って、お膳を置いていきました。

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この日は朝のうちかなりいい天気だったのですが、お言葉に甘えてゆっくりしているうち、雷雨になりました。正午ごろにはけっこう降っていましたが、このままいると今日中に帰れなくなってしまうので、重い腰をあげました。荷物をまとめて母屋に行くと、おばあちゃんが一人だけいて、ご主人は「今、ちょっと買い物に出た」とのこと。請求書を見ると、ビールは1本250円で付けてありました。商売っ気なし。晩酌用のビールを奪ってしまい、まったくすまないことでした。

ちなみに母屋の入り口の左側に、地下洞窟に向かうような謎の階段がありました。この下には源泉口があるそうです。

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「ご主人によろしく。また来ます」といって、宿を後にしました。

このあと、近くのバス停には行かず、雨の中を少し下の一軒茶屋まで歩くことにしました。いつも寄っているキングハムの直売店でハムを買うためです。2kmくらいでしょうか。バイクやクルマならあっという間です。でも実際に歩いてみると思ったより遠く、風雨は強いし、車道のクルマはガンガン飛ばしていくので水がかかるし、泣きそうでした。

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ようやくキングハムに付くとほとんど小降りになっていたのは皮肉な感じ。ハムを買い、黒磯駅行きのバスを待って乗り込むと、またまた雷が鳴り、土砂降りになってきました。黒磯駅到着時には最も雨足が強くなり、バスは駅入り口に付けてくれたのですが、乗客はみんな必死に走って駅に飛び込んでいました。

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今回、念願かなっての1泊の滞在でしたが、思った以上にいいお湯で、何よりもご主人とおばあさんのへだてのない対応のおかげで、すっかりくつろぐことができました。ぜひとも近いうちに再訪したいと思っています。

[老松温泉  喜楽旅館](2010年6月宿泊)
■所在地 栃木県那須郡那須町大字湯本181
■泉質 不明(硫黄性の弱アルカリ泉と思われる)
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廃墟のようなホラー系温泉宿に隠された絶品のお湯 [老松温泉 喜楽旅館(前編)]

このあいだ那須塩原駅近くに行く用事があり、この機会に懸案だった宿に泊まってみることにしました。那須湯本温泉街の中にある「老松温泉・喜楽旅館」です。チラホラ聞こえる情報では、いま時まれに見るボロ宿だとか。しかし酸性の硫黄泉である那須湯本の中で、珍しく弱アルカリ性のすごくいいお湯だということです。前からぜひとも行ってみたいと思っていたところです。

ただブログなどを見ても実際に宿泊した、という情報がなく、様子がわからないのでとにかく電話してみることにしました。電話に出たおっちゃんとの会話。

私 「そちらは宿泊もやってますか」
おっちゃん「やってますよ」
私 「じゃあ、あさって1泊で一人お願いします」
おっちゃん 「‥‥でもねえ、うちはすごいボロだからね~」
私 「かまいませんよ。別に泊まれるわけでしょう」
おっちゃん 「いや、でもけっこうびっくりするよ」
私 「いや、かまいませんからお願いします」
おっゃちん 「そう。じゃあいいけど。でも、うちに来たことはあるの?」
私 「そちらにはないけど、那須湯本はけっこう行っているので場所はだいたいわかりますから」
おっちゃん 「いやあ、場所の問題というより、すごくボロだからね~。どうかなあ~」

とあくまでも警戒している様子。「ボロだから泊まりたいんだろうがっ」と口にするのも失礼なので困りましたけど、

私 「でも例えば那須だと雲海閣さんなんかも行ってますし、たいてい大丈夫です」
おっちゃん 「えっ、雲海に泊まってんの? じゃあ大丈夫だ。あそことはいい勝負だから」

ということで急に話しがまとまって泊めてもらうことになりました。当然素泊まりのつもりだったのですが、食事も用意できるということなので2食付きでお願いしました。

当日は、那須塩原で用事が済んだのが午後3時頃。ここから那須湯本まで直行するバスもあるのですが、駅の観光案内所で聞いてみると、「もう今日のバスは3時前に終わっているので、在来線で黒磯まで行ってください。黒磯からだとたくさん出ています」ということなので、黒磯駅に向かいました。

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黒磯駅で少し時間があったので周辺を歩いてみましたが、けっこう渋い商家などがあり、いい雰囲気の駅前でした。でも全体的に寂れた感じが否めません。昔ほどのにぎわいは失われてしまったようです。

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バスに乗って那須湯本へ。何度も来ているところですが、けっこう久しぶりです。温泉神社も久しぶり。足湯なんかもにぎわっていました。このへんで時間としては5時くらい。雨がポツポツと降ってきました。

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泣く子も黙る那須の名湯「鹿の湯」もにぎわっていました。今回は時間がないのでパス。喜楽旅館は「鹿の湯」と同じ小川沿いの谷にあるので、いったん「鹿の湯」まで降りて、谷沿いの道を歩きました。

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本当はもっと宿に近いバス停がひとつ手前にあるのですが、今回は一応那須湯元まで行ってみました。どうせ歩いてもすぐの距離です。

この谷沿いの道をここまで歩いたことはありません。途中にライトアップされた変なお稲荷さんがあったり、ホテルの廃墟があったり、「鹿の湯のそばのそば」という蕎麦屋さんがあったり、ちょっとわからない通りでした。

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宿に行くにはどこかで小川を渡らないといけないのですが、どうも入り口が発見できません。いろいろ迷っていると、古いホテルの廃墟の脇道を発見。この道が正解でした。

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この細い道が入り口だなんて、なかなか気がつきません。というのも、喜楽旅館に行く本来の道は、もっと那須街道の下側に当たる駐車場経由になるので、こちらはメインではないのでしょう。

とても旅館があるとは思えないような雑草が生い茂った先に、やがて建物が見えてきました。

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雨がけっこう強くなってきてレンズに水滴がついてしまいましたが、そんなことを気にしている余裕も与えないような建物です。

もっと寄ってみました。

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キタ~!! これはすごい!!

さらに意味もなく寄ってみた!! (©ドンさん)

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これは宿というよりただの廃墟では???? 「雲海とはいい勝負だ」などといっていましたが、雲海閣さんにしてみると、一緒にされたくないのでは?

この見えている部分は建物の2階部分にあたり、谷底の下に1階がありました。

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もう崩れ落ちそうです。この部屋に泊まれといわれたら無理でしょう。日本人形が寂しげに転がっていたり、けっこう不気味なムードもあります。でも、事前にかなりボロだといわれていたので、気を取り直して、この建物に続く入り口に向かいました。

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この建物が客室とお風呂がある湯小屋棟です。その向かい側の母屋棟にご主人とおばあちゃんがこたつに入ってこちらを見ていました。

「電話したものですが」というと、「ああいらっしゃい。けっこう降ってきたね。部屋に案内しますから、とりあえず向こうの建物に行って、階段を下に降りてください」といわれたので、いよいよ建物に入りました。

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階段からしてもうかなりきています。この階段を下に降りてみると、どこか別の秘密の通路を通ってきたらしく、おばあちゃんが下で待っていました。

お風呂やトイレを教えてもらいながら部屋へ。お風呂の手前に自動販売機などもあって、「けっこう普通の感じじゃないの」と思ったのですが、さらに奥へ奥へと案内されていくと、客室に続く廊下がまたすごい。

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壁はボロボロにはがれています。強い泉気がもらたした結果でしょうか。天井あたりの染みを見ていると、「仄暗い水の底から」でしたっけ、あれを思い出しました。ホラーの館か。

ようやく到着した部屋は、けっこうまとも。ボロ宿好きといっても、やはり私も限度があるようで、ちょっと安心しました。

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お茶を入れてもらいながら、おばあちゃんと話していると、おばあちゃんはここの人ではなくよそから手伝いにきている「親戚みたいなもんだ」といってました。もともとの主人が、戦後この宿を始めたそうで、徐々に客室なども広げて現在の形になったそうです。

ここまでであまりにも長くなってしまったので、後編に続きます。

[老松温泉  喜楽旅館](2010年6月宿泊)
■所在地 栃木県那須郡那須町大字湯本181
■泉質 不明(硫黄性の弱アルカリ泉と思われる)
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設備の整った快適キャンプ場。意外なほどいい貸し切り温泉付き [塩原グリーンビレッジ 福の湯]

ちょっと古い話しになりますが、お金をかけずに温泉に行こうと思い立ち、キャンプ場付設の温泉に行くことにしました。それで行ってみたのが「塩原グリーンビレッジ」というキャンプ場です。静かな山のキャンプ場で焚き火を起こし、星を眺めながらバーボンでも飲もうかな、などと期待していました。

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昔からけっこうキャンプが好きで、テントひとつでどこにでも寝ていた時もありました。近頃世の中も世知辛くなり、キャンプ場でないところでテントを張るのは難しくなってきました。「塩原グリーンビレッジ」は、いかにもファミリー向けの甘っちょろいキャンプ場だとは思いましたが、温泉があるのが魅力で選びました。

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バイクなのであまり荷物は詰めません。その窮乏を楽しむのがキャンプの醍醐味であり、四輪で大量の物資を持ち込む最近のキャンプには与しません。ただ今回はテントをやめて、軟弱にもバンガローに泊まることにしました。行ってみるとまさに典型的なオートキャンプ場です。何しろ炊事場や水場、トイレなどの設備が完全に整っているのはもちろん、売店ではバーバキューや鍋物用の食材セットや燃料まで売られているのです。


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こんないたれりつくせりの環境でやってキャンプといえるのか、と思いましたが、やはり温泉だけはありがたかったです。塩原温泉郷の中でも「福渡温泉」は「岩の湯」とか「不動の湯」とか、ワイルドな露天風呂が有名ですが、現実問題として、女性が入れるような雰囲気ではありません。

このキャンプ場には「福の湯」という日帰り温泉施設が付いているほか、貸し切り風呂などもあるのです。料金は高いですが。私たちは貸し切りのひとつ「展望のゆ」というのに入ってみました。ここが想像以上にいい雰囲気の風呂で、箒川を見下ろす崖上の森の中にあり、すごく眺めがいいのです。お湯もふんだんにかけ流されていました。

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夏場のバイクツーリングはヘルメットの中がどうしても蒸れて頭がカッパみたいになるので、お風呂に入れるのはありがたいのです。ここですっかり気分もすっきりしたので、食材を買いに塩原の市街地に出かけました。


街の人に聞くと「一応スーパーがある」というので行ってみると、小さい店がありました。生鮮食品もおいてあるので、いつもキャンプの定番メニューになっているカレーを作ることにして、肉や野菜なんかを買い込みました。ここにあった牛肉は、半年くらい前に冷凍した合成肉でいかにもまずそうです。しかしほかを探すのも面倒なのでそれを買いました。

結果的にこのカレーは古い合成肉のおかげで、カレーとしてはありえないほどまずいものになりました。しかたなく食べましたが‥‥。およそカレーのような味の濃いメニューでも、あまりにひどい肉は使えない、という教訓になりました。それ以来、どこに行っても古い肉は買わないようにしています(笑)。

夜、少し近所を散歩してみたら、クリスマスでもないのにライトアップしていました。

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こういうものを求める観光客が実際に多いのか、あるいは静けさと自然を楽しむキャンプとしては場違いなところにきてしまったのか。よくわかりません。しかし考えてみれば、自分自身も「温泉があったほうがいい」とか、「カレーがまずい」とか、軟弱に流されていることに気が付きました。


そうしてみると、外でバカ騒ぎをしている高校生ぐらいのグループのうるささも、自業自得のこととあきらめる気持になったのです。

[塩原グリーンビレッジ](2005年7月宿泊)
■所在地 栃木県那須塩原市塩原1230
■泉質 ナトリウム・炭酸水素塩泉
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いろんな露天風呂が満喫できる山小屋風の人気宿 [奥鬼怒温泉郷 八丁湯]

ここも超有名な宿。建物の古さからいえばいい感じのボロさでしたが、全体的には「ボロ宿」とはいいにくいです。奥鬼怒温泉郷というと秘湯のイメージが強いですが、「八丁湯」あたりは車が入れるので、アクセスも問題ありません。

鬼怒川温泉駅からバスで夫婦渕駐車場まで行き、そこで宿のバスに乗り換えてさらに上がっていきます。温泉がいいので苦労して行くかいがあります。宿のバスの中で、到着後に食べる昼食の注文を取っていました。せっかくなので蕎麦を注文。宿についてから、食堂で注文した蕎麦が出ました。温かい山菜そばで、おいしかったです。

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宿は旧館とログハウス風の建物が並び、なかなかの風情でした。「八丁湯」に着く途中にやはり有名な「加仁湯」がありますが、ここもちらっと見た感じはかなり良さそうな建物でした。今度行ってみたいと思っています。

山奥の温泉ですが荒んだ山小屋という雰囲気ではなく、全体的にきれいで近代化されており、その面では少し意外でした。宿泊客も多く、人気をうかがわせます。食事は大部屋に集まってとります。普通の内容でした。

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ここはなんといっても滝見の露天風呂が有名です。ただ一番古いお風呂は男性用の内湯だそうで、木の浴槽が2つに仕切られたタイプの渋い雰囲気。露天風呂は女性用(下の写真)がひとつある以外、3つが混浴で、脱衣所のすぐとなりに大きな木製の浴槽があり、その下段にかなり大きな岩風呂があります。さらに滝の横の階段を昇っていくと小さな岩風呂風の露天があります。下の写真2点は宿のHPからお借りしました。

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私はこういうところに行くと夜中に探検するくせがあるのですが、昼間は混んでいた露天風呂も人がいなくなり独占できます。屋外の闇も山奥だけに何となく不気味で、全体が昼間とは違った雰囲気に見えてきます。建物も新旧入り交じってけっこう入り組んでいるので、おもしろかったです。

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上の写真は女性用露天風呂だそうです。滝の上のほうの小さな岩風呂には、夜中に行ってみました。誰か人がいたのでその客があがるのを下の露天風呂で待ち、かなりたってから降りていったので、入れ代わりに入りました。多少の灯はあったと思いますが、暗くて、手さぐり状態でした。

ここでのんびりしていると、さっき降りていった客がまた昇ってきて「ここにコーラありませんでしたか」といいます。あったとしても暗くてとても見えません。「さあ?」というと、「いや、いいんです、いいんです」といいながらまた降りていきました。あれは宿に棲む座敷わらしか何かだったのでしょうか。

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翌日はすごく人に慣れた大きな老犬がいたので少し遊びました。あの犬はいまも元気でいるのでしょうか。

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[奥鬼怒温泉郷・八丁湯](2007年8月宿泊)
■住所 〒321-2717 栃木県日光市川俣876
■泉質 単純温泉 
単純硫黄泉

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鹿の湯源泉を引く絶品泉質、迫力のボロ宿 [那須湯本温泉 雲海閣]

那須周辺は東京から近く便利なので、何かというと遊びに行っています。観光地として開発されきった感があり、アウトレットやテーマパーク、レストランなど何でもあるところで、今さらボロ宿を求めるのは難しいエリアだと思います。那須湯本温泉の「雲海閣」は、ぐうぜんネットで見つけて行ってみたのですが、かなりのボロ宿でした。当時は写真を取りまくる習慣がなかったので、あまり写真が残っていないのが残念です。近いうちにぜひまた行ってみたいと思っています。

だいたい電話予約をする段階から電話に出た人が「いや~うちは普通のきれいな宿でもないし、素泊まりしか受けてないですけど、それでもいいですか。びっくりするかもしれませんよ」と、念押しするのです。

こっちはたいていのボロ宿は慣れているつもりなので、まったく気にしませんでした。

那須街道からちょっと入り口がわかりにくいのですが、とにかく行ってみると確かにボロい建物でした。しかし別に不衛生なわけでもなく、掃除も行き届いていました。要するに古い建物だというだけのことです。大きな自炊用のキッチンもありましたが、本格的な調理器具が多くて、以前は食事を出していたのだと思います。

部屋に案内されて、ここに来る前に寄った温泉の話しをしていると、割と若い若旦那らしき人が「お客さん、温泉に本当に興味があるのなら、じっくりと語りますけどいいですか」と、実は語りたそうにいうわけです。そういう話しなら大歓迎なのでいろいろ話しを聞きました。当然かもしれませんが、すごく温泉に詳しいだけでなく、熱い思いを感じました。

雲海閣
荷物いっぱい

そのときの話しによると、この宿の源泉は、「鹿の湯」と同じ源泉を引いているが、「鹿の湯」は例によっていつも混んでいて、要するにそれだけお湯の鮮度が落ちているが、もっといい状態で入浴できるのがこの宿だということです。そのほか自家源泉もあり、お湯は本当にいいのだということでした。そのほか各地の温泉についての評価などもいろいろ話題になり、なかなかおもしろかったです。だいたいわざわざこの宿を選ぶ人は、かなりの「温泉好き」が多いと思いますので、ぜひ時間がありそうなら話を聞いてみるといいかもしれません。

ついでに近所のステーキ屋についても教えてもらい、「狭い店だけど、すごく安くておいしいところでテレビでも紹介された」というので行ってみました。確かに安かったですが、カウンター席中心のラーメン屋のような雰囲気の私好みの貧乏くさい店でした。カウンターの中ではおばちゃんが若い店員を叱り飛ばしたりしていて、バタバタした雰囲気でしたが、でも、肉はおいしくワインなども安いので繁盛していました。那須にいったら寄る価値はあると思います。
(※その後、2010年に訪ねた時はなくなっていました)

「雲海閣」のお風呂は2種類あって、ひとつは不気味なコンクリートのトンネルを抜けた先の古い木の階段をずっとおりたところにあります。宿に入った時から硫黄の臭いが漂っている感じなので、本物の温泉だということがわかります。湯船は木製で2つに分かれていて、熱い新鮮なお湯と、やや古いぬるめのお湯を選ぶことができます。すごくいいお湯でした。ほかに客がいなくて独占して長湯しました。写真を撮っていないのが残念です。

もうひとつお風呂は、宿泊棟にもっと近いところにあるタイル貼りの風呂で、こっちは少し泉質が違うようです。「鹿の湯」とは別の源泉だということでした。

那須というと豪華で近代的なホテルが多く、子供連れなどで出かけるにはいいところですが、まだこんな宿も残っていることは私としてはすごくうれしいです。純粋にお湯が目的なら、ぜひおすすめしたい宿でした。でも最近は行っていないので、現在の様子はわかりません。特徴のある温泉が好きな人も多いので、けっこう繁盛しているかもしれません。


[那須湯本温泉・雲海閣](2004年8月宿泊)
■住所 栃木県那須郡那須町湯本33
■泉質 含硫黄カルシウム硫酸塩塩化物泉(硫化水素型)
単純硫黄泉(硫化水素型)
(源泉かけ流し)
■楽天トラベルへのリンク→那須湯本温泉 雲海閣
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東京から便利な場所にある、東北の湯治場のような温泉街 [板室温泉 江戸や]

「板室温泉」は、那須とか塩原にいくと道路標識などで見かけて、前から気になっていました。一度はいってみたいと思いつつ機会がなく、ようやく2009年になって初めて行きました。黒磯インターができて便利になったこともあり、ついに行ってみようと思ったのです。行く前のイメージとしては、東京にも近く那須のリゾートにも近いので、何となく小規模ながらしゃれた宿が立ち並ぶ、お金持ちの定宿がある高級温泉街だと思い込んでいました。根拠はありませんでしたが。

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実際に行ってみたら全然違いました。ほとんど東北の山奥の湯治場みたいな雰囲気。しかもいい感じに寂れていて、すっかり気に入ってしまいました。宿の数も多く、長期滞在向けの安い宿もたくさんありました。温泉街の奥に入っていくにしたがって道も狭くなり、木造3階建ての宿や古ぼけた商店などが目につき、倒壊しそうな物置小屋などもあります。これは「当たり!!」と思ってわくわくしました。

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宿泊したのは温泉街の一番奥にある「江戸や」という宿です。ここに2泊しました。2食付きで8000円ちょっとだったと思います。宿につくとバイクを玄関の屋根の下に入れてくれて、「ここは湯治場だからなんにもないけど、お湯がいいからゆっくりしていって」と、歓迎してもらいました。全体的には湯治宿風なのですが、玄関前などはきれいになっていて、おそらく割と最近リフォームしたと思われます。タオルやバスタオルなども、洗練されたデザインのものが置いてありました。

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お風呂は浴槽が2つに分かれた大きめの内湯と、そこにつながる混浴の露天風呂がありました。2日間とも、ほとんどほかのお客さんに風呂では会わなかったので、何回もゆっくり長湯しました。お湯は比較的ぬるめで、長く入れます。露天風呂も解放感があり、なかなか良かったです。

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2泊したので、まるまる1日は温泉街で過ごすことになります。そこで外湯まわりをしてみました。板室温泉には温泉旅館の組合のような「温和会」というのがあって、宿泊客は「温和会」の宿のお風呂に無料で入ることができます。全部は入れないので、とりあえず適当に近いところを選んで、いくつか行ってみました。

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入ったのは「一井屋旅館」「加登屋」「水清館」などです。上の写真は「一井屋旅館」の風呂です。「水清館」では、混浴の露天風呂があるということなのでいってみました。おばちゃんが「誰もいないはずだからどうぞ」と案内してくれたのですが、いってみたらおっちゃんが一人入っていたので、やめて内風呂だけ入ってきました。内風呂は一般家庭の風呂のような狭さで悲しかったです。でも湯上がりにご主人が出てきて、コーヒーを入れてくれました。その節はありがとうございました。

そのあと何でもある食堂でラーメンとかそばを食べて、今度は川向こうにある日帰り温泉施設の「板室健康の湯 グリーングリーン」にもいってみました。ここは風呂が大きくて食堂や休憩所もあるのですが、とにかくやたらと混んでいてどうしようもありませんでした。もう露天風呂では隣のおっちゃんとお肌が接するような感じ‥。風呂自体の雰囲気はいいですけど、ちょっと厳いものがありまた。近隣の住民には大人気のようです。

マッサージ室もあったので頼んでみたのですが、これがすごく本格的なやつでよく効きました。バイク乗りの宿痾である肩とか腰のこりが取れ、すごく軽くなりました。

昼間の外食もそうだったのですが、宿の食事も含めてどうもめしは……です。少し離れたところに混んでいる蕎麦屋さんがあったので、そこはおいしいのかもしれません。とにかく湯治場なのでぜいたくはいえませんが。しかし、宿にあるビールがスーパードライというのはいただけません。近くの古びた酒屋さんに行ってみたらサッポロ黒ラベルがなかったので、一番搾りを買いました。ただこの店のおばあちゃんが缶ビール6本の値段を紙に書いて計算しようとするのですが、なかなかできなくて、最後は店にいた近所のおっちゃんが見かねて代わりに計算していました。こんなんで商売のほうは大丈夫なのでしょうか。

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1回行っただけなのでまだなんともいえませんが、ひなびた湯治場風情があり、のどかなところなので、私としては好きな雰囲気でした。

ただ長期滞在するとなると、さすがに食堂や商店が無さすぎて厳しいかもしれません。歓楽色もまったくありません。少し行けば那須のガーデンアウトレットや那須高原など、いろいろあるのですが、徒歩圏には遊ぶところもありません。あくまでも湯治目的で「じっくり風呂に入りたい」という場合にはいいと思います。

[板室温泉  江戸や」(2009年5月宿泊)
■住所 〒325-0111 栃木県那須塩原市板室860
■泉質 アルカリ性単純泉(源泉かけ流し)
■楽天トラベルへのリンク→江戸や
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江戸時代からの山中の一軒宿。巨大露天風呂や扉すらない混浴風呂 [北温泉]

那須の「北温泉」はもはや有名なので、ボロ宿とはいってもかなり繁盛している人気の温泉宿です。でも初めていった時はかなり衝撃的でした。突っ込みどころ満載の宿なのですが、なんだかんだいって気に入ってしまい、その後4~5回は行っていると思います。最近は違うと思いますが、2004年頃はビールの自販機が新札に対応していなくて、夏目漱石先生の千円札を貯めておいて持って行ったものです。

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上の写真は外観ですが、駐車場から徒歩で10~15分程度かかり、くだりの坂道になっているので、行きはいいのですが、帰りは荷物が多いと意外と大変です。

建物はかなり古く、江戸時代、明治時代の建物が残っていて、廊下も入り組んでいます。客室もそうとう古い部屋が残っていますので、どうせ行くなら古い部屋に泊まったほうがおもしろいと思います。トイレなどの設備は近代化されています。

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入り口を入るとロビーのようになっていて、帳場や売店がありますが、日帰り入浴の客も多くたいていかなり混んでいます。あまりにも人が多いので、客がきても気がつかない場合があるので、自分で帳場に声をかけたりします。

私はここに泊まると夜中の3時くらいに風呂に入り、そのあとロビーの火鉢に座ってお酒を飲むのが楽しみ。暗いので、そこに置いてある燭台のローソクに火をつけてひっそりと飲みます。ロビーには温泉神社に直結している通路などがあり、けっこう不気味なムード。誰もいない深夜の楽しみです。

一度これをやっていたらご主人が様子を見に出てきて「火に気をつけてくれよ」といわれましたが、そのついでに「もらいものの珍しい焼酎がある」といって一升瓶を持ってきて飲ませてくれました。その節はありがとうございました。このおやじは無愛想で有名な人ですが、けっこういい人でした。

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風呂はいくつもあって、どれもこれもおもしろいのですが、すぐ目につくのは入り口付近にあるプールのように巨大な混浴露天風呂で、昼間は水着をきて入っている人もいます。この風呂に隣接して男女別の内湯があります。

さらに建物の奥には、上の写真の天狗の面が飾ってある混浴風呂がありますが、ここは人が通る廊下に面していて、扉すらありません。湯治場そのものの雰囲気で、脱衣所も開けっぴろげの棚があるだけですが、それでもけっこう人が入っています

この奥のドアを開けて戸外にさらに行くと、古ぼけたお堂がありますが、この付近にも小さくてややぬるめのお湯と、打たせ湯があります。

このほかにも新設のきれいな男女別の露天風呂や、女性専用のきれいな内風呂などがありますので、まあ一通り入るだけでも一泊ではけっこう忙しいです。周囲には何もない一軒宿ですが、退屈に強い人は滞在してみたほうがおもしろいと思います。冷蔵庫やガス台などの自炊設備も多少あります。

ちなみに食事はまあなんというか、別に特筆すべきことはありません。そのへんで買ってきたようなおかずで豪華さはまったくありませんが、料金が安いことを考えると十分です。確か一番古い部屋が安くて2食付きで7500円くらいでした。いつもだいたい同じ内容で、鶏の唐揚げと刺身など。自炊設備もあるので、材料を持ち込めば自炊可能です。

朝食には袋入りのふりかけとヤクルトがつくという、昔の温泉の王道を歩んでいたんですが、最近はヤクルトは出していないような気がします。このへんは未確認です。

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「北温泉」周辺には那須の人気温泉がたくさんあり、おもしろい宿も多いのですが、北温泉はもっとも気に入っています。周囲の高い山に隔絶された世界ですが、独特の雰囲気がおもしろく、飽きることがないのです。


[北温泉](2005年5月宿泊)
■住所 〒325-0301 栃木県那須郡那須町湯本151
■泉質 単純泉、弱食塩泉、鉄泉
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プロフィール

もんすけ

 古い湯治宿や駅前旅館など、日本が高度成長時代に入る前からあったような雰囲気の宿が大好きで、各地を回っています。
 どこにいってもそれなりに立派な宿が多く、個性的なボロ宿に出会うことは少なくなりました。
 10年、20年前ならもっといろんな宿が残っていたと思いますが、しかしいま現在でも、10年後、20年後に比べたら多くの貴重な宿が残っているはずです。そうした宿を記録に残していけたら、と思っています。

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