以前は東京から北海道ツーリングに船で行く場合、有明から苫小牧や釧路をつなぐフェリーを利用していました。その後フェリーは大洗発着になり、釧路便はなくなっているようです。特に釧路便は、道東狙いの場合は便利でした。いつもシーズン前の5月を狙って行ったので船は空いていて、風呂も貸し切り。フェリーでお風呂貸し切りなんてすごくぜいたくです。

船内の展望風呂

客室もガラガラで、長距離トラックの運転手さんはいましたが彼らは別室にいるので、あまり遭遇しません。伸び伸びとすごすことができました。しかし、こんな状況だと航路が廃止になるのもしょうがないか、と思います。帰りは修学旅行に当たって、逆にすごく混んでいましたけど。

釧路の「八芳園」という旅館に泊まったのは、「さんふらわあ」だったか「へすていあ」だったか、よく覚えていませんが苫小牧着のフェリーを使った時。夜に苫小牧に着いて、翌日釧路まで一気に走破。当日釧路駅の観光案内所で紹介してもらった旅館です。


釧路駅

非常に素朴で家庭的な宿で、当時素泊まりで4000円前後だったと思います。風呂も一般家庭の風呂と同じ程度の広さでしたが、通された部屋は意外に広く、古い冷蔵庫なんかがあって、今から思えばかなりいい感じのボロ宿でした。たぶん工事関係者などの利用が多い宿なのではないかと思います。

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駅からもかなり近く、港にも近い便利な立地の宿ですが、格別の風情はなく窓からみた景色が下の写真。建物自体に、いかにも昔の旅館らしいいい雰囲気があったのですが、写真を撮っていませんでした。

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さて、宿につくやいなやおかみさんが、「食事に出かけるならいい店がある」といって教えてくれたのが「炉ばた」です。おかみさんによると、「今では炉端焼きの店は珍しくないけど、もともとの発祥の地は釧路で、それが炉ばたという店だべや。いってみたらいいんでないかい?」というのです(「だべや」は嘘)。

そういうおすすめがあるとすぐに乗ってしまう私は、夜になってその「炉ばた」をめざしました。宿からもそんなに遠くなく5分か10分歩いた程度だったと思います。店の近くにはこんな銅像も。

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途中繁華街に入り、「炉ばた」の場所がわからなくなったので、歩いている人に聞くとすぐに教えてくれました。有名らしいです。店は外観からして真っ黒なあばら家というか、見方によっては風情のある古い建物で、まだ時間が早いのにカウンターのみの店内はほとんど満員でした。

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写真も一応撮ったのですが、かなり暗い店内なのであまりちゃんと写っていません。店の中央に焼き場があり、90歳くらいではないかと思われるおばあさんが仕切っていました。結局ずっとこのおばあさんが焼物の注文を一人でこなしており、ほかのスタッフは手を出さないことになっているようでした。

ここで食べたのがにしん、ほっけ、帆立などのほか、いかの刺身やうにや、ミニ三色丼など。すべてすごくおいしかったです。こんなに魚のうまい店はちかごろ来てなかったな、と思って喜んで食べていましたが、隣の客がお勘定しているのを聞いてやばいと思いました。2人で来ていたその客は2万円くらい払っていました。北海道にきて早々、とんでもなく高い店にきてしまった‥‥、と思ってあせりました。メニューには値段が出ていないのです。

しかしすでに食べてしまったものはしょうがないので、開き直って勘定してみると、確か一人2500円くらいでむしろ安い店でした。よくよく考えてみると隣の客は「キンキ」とか高級魚を食べたりしていたので、高くなったのでしょう。こっちはほっけとかにしんですから。

やれやれと思って外に出ると席待ちの列ができていました。早く来ないと入れないような人気店だったわけです。とにかくすっかり安心したので、もう暗くなっていましたが「幣舞橋」方面に散策してみることにしました。

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河口沿いにも屋台の炉端焼きの店がたくさん出ていて、かなり安かったです。「こっちでもよかったかな」と思ったのですが、やはり由緒ある「炉ばた」に一度は行くことができて良かったと思います。橋の周辺はライトアップされ、花壇なども整備されてきれいになっていました。大昔にも来たことがあるのですが、ずいぶん様子が違っていました。

「八芳園」では、この先北海道を巡る場合に利用できる安い宿を何軒か紹介してくれて、割引のクーポンをくれました。そういう協定を結んでいる旅館が各地にあるようです。結果的にこれがずいぶん役にたちました。その節はありがとうございました。

翌朝、当然のごとく「和商市場」に行きました。朝食に「勝手丼」を食べるのが狙いです。今ではいろんな観光市場で、好きなネタを買って食べるというシステムがありますが、やはりこれも釧路が発祥ではないでしょうか。
和商市場
勝手丼

実際に食べたのが上の写真。ごはんを買って、市場を回り、いろんなネタを自分でのせていきます。予算を気にしているせいかどことなく貧乏くさいです。ほかの観光客は山盛りにいろんなネタを盛っていました。でもこれで十分。カニ汁を買って、すごく豪華な朝食になりました。

釧路は霧が多い街で、本当にしょっちゅう霧が出ています。この日も深い霧が出て、この後、根室方面に向かって走り厚岸湖や霧多布岬にも寄ってみましたが、まったく何も見えませんでした。

納沙布岬のバイクちゃん
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5月だと、このへんはまだ寒く、バイクで走る場合はほとんど真冬と変わらない装備で行きます。それでも寒かったです。しかし、釧路という街は大きな街でありながら雄大な自然に囲まれていて、すごくぜいたくな街だと思います。それに北海道全般にいえることですが、何を食べてもおいしい。いまさらながら感動的でした。

[釧路・旅館 八芳園](2005年5月宿泊)
■所在地 〒085-0014 釧路市末広町10-2
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