先日鹿島から潮来にまわり、一泊した後、その帰りに銚子に寄ってみました。 用事がすんだら早く帰ればいいのについ寄り道してしまいます。悪いクセなのです。

銚子は前から行ってみたかった街。フィリピン発の暖流が、高知や紀伊半島付近を通って房総半島まで続くという条件を考えると、昔の土佐の漁師が遭難して銚子付近に流れ着いてしまい、そのまま土着。そんなケースもあったように思えます。

北からは親潮もやってきます。千島のアイヌ人も漂流してきたかもしれません。古代の銚子という土地は、そうして流れ着いた人々が協力して一緒に住むという、コスモポリタニズムの聖地だったのではないでしょうか。


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当日は香取で乗り換えて成田線で銚子駅へ。駅前ロータリーが広く、魚介類などを売っているおみやげ屋さんがならんでいました。

ちょっと歩くと駅前なのにけっこう廃墟があります。泣く子もだまる漁業で栄えた街ですが、この感じだとかなり過疎化が進んでいるのかもしれません。

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この日はちょっと寄るだけの日帰りですが、次の機会のために駅前旅館を探してみました。すぐに見つかったのが、駅に至近の「旅館 銚子館」。


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間口は広くありませんが、奥にけっこう広がりがありそうな建物でした。一見したところそんなに古い建物ではないようです。しかし駅前旅館的ないい雰囲気を感じました。事情が許せば泊まりたいところでした。

突然行くことにしたので何の予備知識もなかったのですが、とにかく銚子電鉄には乗らなければいけない、ということがわかっていました。駅前から観光バスが出ていたので、それに乗って犬吠埼方面に行き、帰りに銚子電鉄に乗ればいいな、などと思っていたのですが、観光バスがしばらく出ないことがわかったので、いきなり銚子電鉄に乗ってみることにしました。

銚子電鉄の「銚子駅」はJRの改札の奥にあります。JRの改札に一声かけて素通りして、銚子電鉄駅に行くと、発車寸前の電車が。駅員が「とにかく乗って、あとで車内で切符を買え」というので飛び乗りました。

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聞きしにまさるボロ電車です。よく動いているものと、整備の人の技術に感心します。「犬吠駅」に行くつもりでしたが、どうせなら終点の「外川駅」まで行って、いろいろ散策しようと思い、1日乗車券を買いました。

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路線は住宅地から海沿いに抜け、なかなかいい感じの風景を通りすぎていきます。

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銚子電鉄は経営危機でヤバいというのが話題になりましたが、実際乗ってみると、地域の生活の足としての価値はもちろん、文化財的な意義も少なくないと思いました。けしてつぶさないようにがんばってほしいと思います。

終点の外川駅に着きました。あらためてじっくり見るといい車両です。駅の外にも鉄道ファンらしき人がいて、「シャッターを押してくれ」と頼まれました。田舎くさい古い駅舎ですが、なかなか味があるので人気なのでしょうか。

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駅で入手した市内地図を見ると、ここから外川の漁港まではそんなに遠くないので行ってみることにしました。駅から海方向に歩くとすぐに急な下り坂になり、遠くに海が見えます。

しかしこのへんは思いもよらぬボロ家の宝庫でした。住宅の廃墟?もありますが漁業関係の倉庫か何か、とにかくすごくボロい建物がいくらでもあって、私にとっては夢のような光景が続きます。

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こういう家に見とれて歩いているうちに、港につきました。

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天気があまり良くないのでさみしい感じもありますが、漁師のおっちゃんたちは元気に仕事をしています。仕事にかこつけて、こんなところまでサボりに来ている自分と比べてえらいものだと反省しました。

民宿もありました。ここは海に向かった坂道の途中にあって、眺めが良さそうです。

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港でしばらく海を眺めたあと、今度は「地球の丸く見える丘」の展望台をめざすことにしました。ここからそんなに遠くないはずです。でも大雑把な地図しかなく、しかも坂のある街の道路はわかりにくいので、けっこう迷いながら、いずれにしても高台にあるはずだからと、20分くらい歩いてようやく到着しました。坂道がきつかったです。

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それでようやく展望台に到着。確かに丸く見えるような見えないような‥‥。写真の場合は、レンズのせいで丸く見えるかもしれません。しかしこういう丘から海を見て育てば、当然広い海の向こうに何があるのか、という好奇心がわき、外界に向かっていく気概が生まれるのかもしれません。それが今の漁師街としての銚子の気風に、何か影響しているのかどうか。ちなみに銚子電鉄の1日乗車券を持っていると、展望台の入場料が少し割引になります。

そのほか1日乗車券を持っていると、「犬吠駅」で「濡れせんべい」が1枚もらえます。そのためこの丘から「犬吠駅」をめざしました。今度は下りで、そんなに遠くないはずなのですが、どうも方向に自信が持てないので、通りがかりのおばちゃんに「犬吠駅まではこっちでいいんですか」と道をききました。

するとおばちゃんは「いや、あっちですよ」とまったく正反対の方向を示すのです。しかも「口で説明するのは難しいけど、これから私も電車に乗るから一緒にくればいい」というのですが、正反対方向とはどうしても信じられず、悩みました。地元民の意見を尊重するか、あくまでも自分のカンを信じるか。だいたい丘の上から犬吠埼灯台なども見えていたし、だいたいの方向は合ってっているはずなのです。それが正反対とは‥‥。

しかし結局わが道を行くことにしました。もう一度慎重に地図を見て、あたりをつけて歩いていくと、すぐに「犬吠埼」という看板が出てきました。やはり私は正しかった。あのおばちゃんは地元民のくせに駅の方角もわからないような、あんな体たらくで無事に暮らしていけるのかどうか、などと心配しました。

「犬吠駅」に着いてみると、南欧風というのか、よくわからない建築様式を模していました。何かいわれがあるのかもしれません。

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次の電車まで30分程度。駅舎内には「濡れせんべい」をその場で焼いて売っている売店があったので、さっそくチケットを出して1枚もらいました。通常私はやわらかいせんべいをあまり好まないのですが、けっこうおいしかったです。おみやげ用にせんべい2枚と醤油をひとびん買いました。少しでも銚子電鉄の売上に貢献できれば‥‥。店のおねえさんは「今焼きたてができるので、それをさしあげます」といって、店に置いてあるやつではなく、焼きたてを渡してくれました。売店のおねえさん、その節はありがとうございました。

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再び銚子電鉄に乗ると、乗客10人のうち、私を入れて5人は鉄道ファンでした(笑)。一般客らしき人は5人。鉄道ファンのうち2人は中国語を話しており、一番前に陣取って、カメラ3台、ビデオ1台を駆使して撮影に熱中していました。外国人にまで銚子電鉄は人気があるのでしょうか。

その一般客のうち一人が、途中で道を聞いたおばちゃんでした????? ちょっと会釈して、席について考えたのですが、どうもあのおばちゃんは「外川駅」の方角を教えてくれようとしたみたいです。そうしてみれば正反対の方角をいっていたのも理解できます。私が道を聞いた場所からだと、「犬吠駅」より「外川駅」のほうが近かったのでしょう。とんでもない「方向音痴おばちゃん」と決めつけてしまい、すみませんでした。

銚子駅に着いたらお昼に何か魚を食べようと思っていたのですが、ちょうど東京行きの特急電車が出る10分くらい前でした。これに乗れば、同じ寄り道の結果としても、だいぶ早く帰ることができます。それで魚はあきらめて「しおさい10号」に乗りました。

食事は車内で買った駅弁。千葉の名産品を集めた弁当で、これが意外にていねいに作ってあっておいしかったです。

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そんなわけで、仕事をサボって訪ねた銚子は想像以上におもしろい街でした。古い街並みや魚定食など、心残りがたくさんあるので、再び訪問することはまずまちがいありません。

[銚子・旅館 銚子館](2010年3月見学)
■所在地 〒288-0044 千葉県銚子市西芝町14-2
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