池波正太郎著・「真田太平記」で、非常におもしろく展開する沼田城の攻防戦。上越2国を結ぶ要衝である沼田城は、上杉、武田、北条、真田などが入り乱れて、戦国時代から入れかわり立ちかわりで治めてきた落ち着きのないお城。

真田太平記(一)天魔の夏 (新潮文庫)真田太平記(一)天魔の夏 (新潮文庫)
著者:池波 正太郎
新潮社(1987-09-30)
おすすめ度:4.5
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

「真田太平記」の中で、たしか老神温泉に隠れて城の奪還の機会をうかがう土着豪族の話しが出てきたような気がします。それと関連して確か金子某という弱小土着勢力がいたはずですが、その金子氏が老神温泉付近に拠点を持っていたような記述があったような。てきとうな記憶ですが、そんな古い歴史を持つ「老神温泉」を訪ねようと、まだ寒い時期に出かけたことがあります。上越線の沼田駅から20kmくらいのところにあります。

沼田駅に着くと、改札の外にすぐ出発する老神温泉行きのバスが。あわてて走って乗ったところ、どうも様子が変なので、運転者さんに「このバスは老神温泉に行きますか?」と聞いたところ「いや、このバスは行かないよ」というではないですか。カン違いでした。

そうなるといったん駅に戻るしかないと思い、降りてまた反対側のバス停で沼田駅行きのバスを待つことにしました。しかし運転手さんが同情した顔で告げたのは、「次の沼田駅行きのバスというと、結局このバスが終点まで行って戻ってくるのしかないんだから、それまでは1時間くらいはかかるよ」という衝撃の事実でした。

知らない土地に行ってこういうはめになるのは、やはり慎重さに欠けていたということです。バスに乗る前によく確かめればよかったとしかいいようがありません。

とにかくバスを降りて、タクシーを呼ぶことにしました。ちょうどバッティングセンターがあったので、そこの休憩所に入って待たせてもらい、タクシーは10分くらいで来ました。それで駅まで戻って再びバスに乗る手もあったのですが、もう面倒なのでこのまま「老神温泉」に行ってもらうことにしました。運転者さんによると「5000円くらいで行ける」ということでした。

タクシーはバッティングセンターから老神温泉に向かって走ります。沼田の駅は谷底の平地にあり、そこから急激に登った高台に市街地や崖に沿った沼田城址があって、タクシーも付近を通過しました。運転手さんは話し好きというか、歴史好きで沼田城がいかにすばらしかったかを延々と語ってくれました。

「だいたい関東地方で五層の天守というのは、古くから江戸城と沼田城しかなかった。すごく遠くからでも沼田城は見えたと伝えられてる。城は壊されて昔の面影はないけれど、あれが残っていたら姫路城なんかめじゃない。名胡桃には付け城の跡も残っている」などと、やたらと詳しいのです。池波正太郎の本に影響された私にとっては、なかなかおもしろい話しが多かったです。

そのうちに山奥の閑散とした老神温泉街に到着。結局料金は6000円近くになり、メーターをにらんでいた私は「このクソオヤジ、5000円っていったじゃないか」と思っていましたが、到着すると運転手さんは5000円に負けてくれました。運転手さん、その節はいろいろありがとうございました。


老神温泉街は川沿いと起伏のある土地の上下に広がっていますが、廃業したような飲食店も多く、人かげも少ない。かなり寂れたムードでしたが、「伍楼閣」は思わぬ豪華旅館でした。

部屋に通してもらい、お茶菓子なんかをチェックしていると上品な女将が挨拶にきました。「このたびはご利用いただきましてありがとうございます」とかなんとか。女将がいちいちあいさつに出るとは、いつも泊まっているようなボロ宿ではありえないことで、「北温泉」のおやじに見せてやりたいものです。

こっちは緊張してしまい、「いや、まあよろしく頼みます」などと鷹揚にいいましたが、持ち込みの隠し酒のことも気になったり、落ちつきませんでした。貧乏そうな客にはあまりあいさつに出ないとか、少し客筋を見て配慮してもらいたいと思います(笑)。

roten-akagi

(↑宿のHPより)

DSCN4329DSCN4334

さっそくお風呂に行きましたが、内湯、露天風呂、貸し切り風呂など種類が多く、貸し切り露天も広くて、ずいぶんぜいたくにお湯をかけ流しているとてもいいお風呂でした。混浴露天は2段くらいに浴槽が分かれていて、お湯加減もちょうど良く、なかなかのいい風呂です。その割に人がいないので「これはけっこう穴場なのでは」と思いました。無色透明のクセのないお湯でした。

内湯にいってみるとバラの花が浮いています。これは女湯はともかく男湯にはいらないのでは、と思いました。バラの香りに包まれて入浴するオヤジの大群‥‥。仲間に入りたくない、まさに地獄絵図‥‥。それでも入りました(下の写真は宿のHPからお借りしました)。

daiyokujo-sibutu

食事も詳細は忘れてしまいましたが、かなり豪華で凝ったやつで、おいしかったです。確か、けっこう古い梅酒も出してもらい、ふだんあんまり梅酒は飲まないのですが、おいしかった記憶があります。

夜は結局風呂にばかり入っていて少ししか外に出ませんでした。一応歓楽街らしきものもあり、営業もしているようでしたが、あまり流行ってはいない感じでした。

「老神温泉」は、場所的には尾瀬や日光などの観光地にも近いいい場所にあります。しかしどうも温泉街としてアピールする場合、いまいち個性が足りないような気がしました。とにかく「伍楼閣」は私が求めるボロ宿ではありませんが、お風呂だけでもじゅうぶん価値があるいい宿でした。

翌日は遅めにバスで沼田駅に向かい、駅前のそば屋に行きました。沼田は上越方面に行く場合必ず通る場所で、バイクでも何回も行っています。沼田付近を通る場合、駅前食堂のような「あがりや」でそばを食べるのが恒例行事になっています。ここは自家製の手打ち麺を使っていて、太さが不揃いだったりするのですが、かなりおいしいです。

DSCN4343
DSCN4342修正版

昔沼田に来た時に、地元のおっちゃんに「うまいそば屋」を聞いて食べたのが最初です。地元の人々は意外とそばを食べずに親子丼とかを食べていました。それもまたおいしそうでした。

沼田駅前も再開発が終了し、最近は駅前の商業ビルにこぎれいなそば屋さんも入っています。ここも後で行ってみておいしかったのですが、やっぱり「あがりや」とは比較になるレベルに達していません。新店開業によって、もしかしたら観光客は減ったかもしれませんが、地元の人々にはあいかわらず支持されていると思います。

[老神温泉・伍楼閣](2007年3月宿泊)
■場所 〒378-0304 群馬県沼田市利根町老神602
■泉質 単純泉(弱アルカリ性低張性高温泉)
■楽天トラベルへのリンク→老神温泉 伍楼閣
人気ブログランキングへ にほんブログ村 旅行ブログ 温泉・温泉街へ