工事関係者が泊まる長期滞在向けの宿が各地にありますが、この「旅館金勝寺」もそんな宿です。ここに泊まったのは2009年のゴールデンウィークにバイクで北東北をまわり、東京までの帰りの渋滞を警戒して、どこか中間地点で一泊しようというのが目的でした。白河までいっておけば、次の日渋滞したとしても午前中に東京に帰ることができるという狙いです。

そういうことで値段優先で探したのがこの「旅館金勝寺」でした。

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現場関係者向けの宿に紛れ込む観光客という立場からいえば、とにかく普通に泊まることができれば何の文句もありません。ここは2食付きで5500円という料金が良かったので、泊まることにしました。それに白河という、しょっちゅう通っていながらまともに行ったことがない街にも泊まってみたかったのです。

高速のインターからけっこう距離があり、新幹線の駅からも近くない立地ですが、国道沿いにありたぶん工事関係者にとってはいい立地だと思います。殺風景な国道に沿って、宿はありました。看板を見ると「湯の宿 金勝寺」とあったので、温泉なのかなと思いましたが、風呂の近くに「温泉ではありません」という表示があり、ある意味正直というか、最初から「湯の宿」などと名乗らないほうがいいのではないかともおもいました。

ただお風呂は岩風呂風で、古びた感じはあるものの、窓が大きくて展望も良く、おそらく窓がきれいな昔には、なかなかのいい風呂だったのではないでしょうか。ゆったりつかれる大きな風呂でした。これだけの風呂は普通の現場宿にはないので、確かにそこを何とか表現するために「湯の宿」としたいという気持は理解できました。

ロビーは節電のためかほとんど薄暗く、不気味な置物などが立ち並んでいて異様な雰囲気でした。置物の趣味には統一感がなく、鎧もあれば七福神もあり、フランス人形やディズニーもあるという、ちょっと気が弱い人なら、しり込みしそうな雰囲気を持っています。

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部屋に通されると、ふとんが丸めてあって、広げればいつでも横になれる体制ができており、その点、完璧でした。ふとんその他は清潔で、まったく問題はありません。窓の外には殺風景な国道と、工事中と思われるコーンや遮蔽用の青シートが目につき、まことに風情はありません。実は白河城がある丘にも遠くないのですが、この宿からはまったく見えませんでした。

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そもそもカーテンがピンクというのも……。

ただ、こっちとしては当然そういう感じを予想していたことでもあり、広い風呂を独占してゆっくり入浴し、いよいよ夕食に臨みました。夕食は広い食堂でとります。いわれた時間ちょうどにいってみるとまだ食事処の鉄トビラが鍵がかかっていて、ちょっと待ってから鍵があく音を聞いた瞬間に入りました。もちろんほかの客は誰もいななくて、自分たちだけでビールを飲み始めました。メニューはとりたてていうこともないものですが、だからといって家庭料理でもありません。温泉旅館風のメニューを貧相にした感じです。「すみれ」という部屋札がいい感じを出しています。
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ただ、この手の宿にはめしがうまいとか、何か売り物となる差別化戦略があるのが普通なので、それが何かと思っていたところ、結局ここの“美人若女将”ではないか、という結論に達しました。非常によく働く若女将がいるのです。夕食の時もいろいろ世話をしてくれましたが、ビールを終わって熱燗にしようかというところでも、ちょっと呼ぶとすぐにきてくれて、愛想も良くすごく親切なのです。

そのころにはほかの長期滞在客も食堂に集まってきていて、ビールを飲んだりしていましたが、みんな若女将になついているように感じました。

こっちも思いもかけず「白河の地酒です」などといわれて、熱燗のおかわりなどもしてしまい、それなりにゆっくりと食事を楽しむことができました。片づかないので早く飲め、という感じのプレッシャーはまったくかけてきません。

朝食もまあなんというか、まずいとはいいませんが貧相です。しかし、とにかく早起きした若女将が世話をしてくれるのでこちらはしては文句のいいようもないわけです。「コーヒーもあるので飲んでいってください」といわれ、セルフなのに喜んで飲んできてしまいました。

ここでは宿の人とあまり会話をしなかったので、彼女が本当に若女将なのか、ただのスタッフなのか実は知りません。だからからあまりてきとうなことはいえませんが、結局みんなに好感を持たれる彼女の存在が、この宿の集客のポイントになっていると思いました。

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チェックアウトする時もあいかわらずフロント付近は薄暗く、例の不気味なオブジェがたくさん取り囲んでいました。こういうものに惹かれて常連化する客はあまりいないと思うのです。たまたま中継地として選んだ宿でしたが、偶然とはいえ、安くて美人女将のいるこの宿に泊まれたことはラッキーだったと思っています。

[白河・旅館金勝寺](2009年5月宿泊)
■場所 〒961-0083 福島県白河市金勝寺37
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