甲賀から伊賀に向かうべく、夕方草津線に乗りました。柘植という駅まで行くと関西本線と接続します。関西本線の電車はけっこう渋い車両で、人家の少ないわりと平坦な線路を進んでいきます。高校生など乗客もたくさん乗っていました。

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これで奈良方面に折り返す感じで伊賀上野駅まで行くと、到着したホームとつながったホームから出ている伊賀鉄道伊賀線に乗り換えて上野市駅へ向かいます。すぐに電車が出るとは知らず写真をとっていたら、マイクで「お急ぎくださいっ!! 」と怒られたので、あわてて電車に飛び乗りました。

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今回の宿は伊賀鉄道の茅町という駅が最寄りになるのですが、たいした距離ではないので上野市駅から宿まで歩いてみようと思っていました。どうせ素泊まりなのでどこかで食事をしなければならないし、歩きながら店を見つけようという作戦でした。上野市駅到着は6時前くらい。

上は伊賀鉄道の車両。このほか、翌日駅のそばの踏み切りで「くのいち電車(下の写真)」が通りすぎるのを見かけました。これは松本零士仕様と思われます。

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とにかく上野市駅の駅舎は小さいけれどもけっこう立派で、甲賀地方の寂しい駅前を見てきた目には、かなりの都会に映ります。ロータリーもあるし、あやしそうな商店街もありました。
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 早速
あやしい商店街「新天地」へ。とにかく南に向かって歩けばいいので、道は簡単です。「新天地」の店はあまり開いていませんでした。この時間、まだ明るいですが、宿は素泊まりなので、どこかで食事をしてからチェックインしようと思っていました。

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このあと、きれいな大通りに沿って南に歩くと、駅にほど近いところで不思議な物件を発見。「電気湯」とあるので銭湯なのか、「忍びの館」という観光施設なのか、いまいちよくわかりせんが、黄色い忍者が屋根にいます。しかし、この後伊賀に一泊すると、町中忍者だらけなのでこの程度では驚かなくなりました。

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道は碁盤の目状にそろっていて、大通りから交差点ごとに路地をのぞくとなかなかいい雰囲気の小路がたくさんありました。そこでてきとうに路地に入ってみると、あるわあるわ、ボロ家を含む風情のある街並みがいくらでも並んでいます。

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住んでいるのか廃墟なのかわかりませんが、とても紹介しきれないくらいのボロ家がありました。

しかし食事ができる手頃な店がなかなかありません。とうとう宿についてしまいました。

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「薫楽荘」。なかなかいい感じの建物です。もう6時30分くらいにはなっていますが、まだ明るいです。しかしこうなると何でもいいから食事をしないと、またかっぱえびせんで一晩過ごすことになってしまう─。ここまでくる間にラーメン屋とかうどん屋があったのですが、「できれば伊賀牛のすき焼きでも食うかな」などと、えり好みしている間に、結局何もないエリアにきてしまいました。でもコンビニとカラオケスナックはあったので、最悪の場合、どちらかで食べものを確保することはできます。

この付近をさらにやみくもに歩きまわっていると、ようやく中華料理店を見つけました。もはや選ぶ余地もなくそこに入り、食べたのが餃子とチンジャオロースー(笑)。計画とは大きく異なるメニューになってしまいましたが、この日はずいぶん歩いたので生ビールがおいしい。料理もなかなかでした。

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三重県は西日本と東日本の境界エリアといわれていますが、やはり名古屋の勢力下なのか新聞は中日スポーツでした。

ここで食事をしている間に一気に日が落ちて暗くなってしまいました。再び「薫楽荘」へ。

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入り口を入って声をかけると若い女将さんが出てきてました。すごくていねいかつ愛想のよい美人女将で、「もうこの宿は100年になるので、あちこちギシギシいいます。すみません」といって2階の通路に面した部屋に通してくれました。

おもわず「おお~っ」と思ってしまう、絵にかいたような和室。100年前というと明治時代ですが、当時としてはなかなか結構な造りなのではないでしょうか。

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女将さんはお茶を入れてくれて、「今日はお仕事ですか?」などと話しかけてきましたが、言葉使いは関西弁アクセントでした。でも元は三重県の北のほうからお嫁にきたそうです。女性が関西弁でていねいにしゃべると、かなりいいですね。ちなみに旦那と知り合ったのは名古屋(笑)

「この宿は先々代が始めた宿ですが、二代目の時は休館していて、三代目のわたしたちになって再開したんです。もうほとんど建物は当時のままなので古くて冬は寒いし大変ですが、そこがいいんだというお客様もいらっしゃって、おかげさまでなんとかやっております」とかなんとか。2階の一部にくつろぎスペースが作ってあって、ちょっとした置物なんかにも女将さんが気を配って、居心地がいいように、という気持が伝わってきました。

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「テレビもチャンネル式で申し訳ないんですが、一応うつりますので」ということでしたが、チャンネル式のテレビなど、私にとっては子供の頃に慣れ親しんだ方式であって、素人じゃあるまいし、いまさらとまどうことなどありません。

いろいろ話しを聞いていると、ゴールデンウィーク中は大変な混雑で、この宿も5室しかないのでずっと満室状態だったそうです。でもこの日の客は私ひとりきりだったので、申し訳ないと思いました。

「連休中は、みんな忍者の衣装を借りてきて町中を散策するんです。それから秋になると天神様のだんじり祭りがあって、ちょっと京都や高山に似た感じの山車が出ます。鬼の面をかぶった行列も出ますが、とても珍しいんだそうです。そのときにまたいらっしゃってください」ということでした。

いやあ、「でもこの年で忍者の衣装で町を歩くのはいやだなあ」と思ったのですが、女将さんによると子供連れはもちろん、いい年のカップルも「この際だから」ということでけっこう着ているそうです。そのほかいろいろ市内の見どころを教えてくれました。

お風呂も貸し切りでゆっくりつかり、あとは部屋で女将さんがたくさんくれた伊賀のパンフレットを見たり、チャンネル式のテレビを見ているうちに眠くなったので、けっこう早く寝てしまいました。

朝めざめるとすごくいい天気になっていました。

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宿がある細い路地は昔の花街で、向かいにも2軒の宿屋がありました。しかし今では古いままの家は「薫楽荘」を入れても2軒だけになってしまったそうです。

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前日到着後、「簡単な朝食なら用意できる」といわれたので、それならぜひにとお願いしました。指定した時間に1階の食堂にいくと、かなり広い大広間を貸し切って一人で食事をしました。「少し冷えるので軽くストーブをつけておきました」ということで、その座席はテレビの真ん前にセットされており、テレビのリモコンと朝刊が脇に置いてありました。こんなに気配りの行き届いた女将さんを名古屋でつかまえたご主人は、私ほどではないにしても?ラッキーな野郎ですね(笑)

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ごはんと味噌汁がうまかったです。味噌汁は三重県特産の海草類だと教えてくれたのですが、名前を忘れてしまいました。

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出発する時、改めて1階の入り口付近を見ると、大きな柱時計が置いてあり、障子やふすまの感じがなかなかいいです。私としては、これだけのいい宿をみつけた喜びでいっぱいで、いずれ天神様の秋祭りに再訪しなければならないと思いました。“ボロ宿ブログ”で紹介してしまい、申し訳ないような気持です。

この日はいよいよ伊賀忍者屋敷を訪ねたのですが、えらく長くなってしまったのでその話は次に書きます。

[伊賀市・薫楽荘](2010年5月宿泊)
■所在地 〒518-0842 三重県伊賀市上野桑町1473
■楽天トラベルへのリンク→旅館 薫楽荘
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