初めて「肘折温泉」にいった時は、新庄からバスで行きました。バスが次第に山奥にのぼっていき、1時間ばかりたつと大きなカルデラ盆地に向かって急に下りはじめ、その中心に突然大きな温泉街が見えてきます。

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最初はこんな山奥にいきなりにぎやかな街を発見して、まるで狸に化かされたような、あるいは隠れ里を発見したような不思議な気持になりました。

「肘折温泉」は湯治場として有名ですし宿も多く、木造3階建ての歴史を感じる個性的な建物がたくさん残っています。宿は温泉の中心街にある程度集まっており、商店や酒店、おみやげ屋、旧肘折郵便局などを中心に独特の湯治場ムードをかもし出しています。

肘折郵便局
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↑は肘折郵便局の旧局舎と、隣接する住宅です。局長あたりが住んでいたのではないでしょうか。

結局ここがえらく気に入った私は計4回いっています。泊まったのは最初の2回が「亀屋旅館」、3回目が「若松屋六助」、今回が「松井旅館」です。どこも古い建物で部屋の独立性などはなく、襖や障子で仕切ってあるだけの昔風の湯治宿です。通に面した廊下には手拭いなんかを干してあり、まさに湯治場そのものです。

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宿も代々経営しているところが多いようで、湯治客の扱いにも慣れており気配りも行き届いています。湯治客がゆっくり自由に、何の気づまりもなく長逗留できる雰囲気が街全体にあります。

肘折温泉の特徴は昔ながらの湯治宿風情がただ残っているだけでなく、湯治場機能もしっかり残っていることです。いまだに長期滞在の湯治客にとって便利な仕組みが残されています。

例えば宿では普通の二食付きのプランで泊まることもできますが、湯治プランで長逗留することができます。その場合は食事なしということになっていますが、実際には非常に素朴な食事が出ます。ごはんと味噌汁とおかず1品(焼魚など)、漬物など。昼食も希望すれば別料金になりますが、なにか出してもらえます。

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↑は松井旅館の食事例。結局これだけで食事を済ませることもできるし、自炊設備が整っている宿が多いので、自分で煮染めとか作ったり1品付け足す人もいます。私も豚汁とか高野豆腐の煮物なんかを毎日食べたりしました。要は好きなものを気ままにプラスすればいいわけです。

食事ができる店はいくつかありますが、私が滞在中のお昼を食べるのは「寿屋」というそば屋です。典型的な山形の田舎そばですごく気に入っています。

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また、朝5時半頃からは温泉の中心街で朝市が開かれます。朝市は近在の農家が野菜や漬物などを持ち寄って売っています。ろくなものを置いていない観光朝市ではなく、地元の農家が野菜などを持ち寄ってたくさん売られています。湯治客もこれを目当てにしており、自炊の材料やおかずなどもここで手に入れることができるわけです。

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肝心のお風呂もなかなかいいです。飾り気のない小さな浴槽の宿が多いですが、温泉組合のお湯だけでなく自家源泉を持っていたりして、複数の浴槽があります。また共同浴場もあり、鍵がかかっていますが宿泊客は入ることができます。

上の湯

↑は共同浴場の「上の湯」です。温泉街のメインストリートに面していて「亀屋旅館」の隣にあります。以前の写真ですが、2009年に行った時は少し入り口のようすが変わっていました。そのほか古い民家などもけっこう残っており、散歩していると渋い家をよく見かけます。

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湯治場から発展した温泉街は数多いのですが、もっと儲かる温泉ホテルなどに変わっていくことが多く、「肘折温泉」のように基本的な湯治システムを残したままのところは貴重だと思います。ちなみに「肘折温泉」付近には近年になって日帰り入浴施設が2つできました。ちょっと雰囲気が違う近代的な施設ですが、こっちもなかなかいいお風呂でした。

[肘折温泉 松井旅館」(2009年8月宿泊)
■場所 山形県最上郡大蔵村大字南山491
■泉質 塩化物泉・炭酸水素塩泉・源泉かけ流し 

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