最近は一人旅をすることは少なくなりましたが、前はよく一人でバイクで遠くまで出かけていました。宮城県にある温湯温泉・佐藤旅館にいったのも、そんな一人でのバイクツアーでした。

佐藤旅館は温湯温泉の一軒宿で、日本秘湯の会の会員旅館です。けっこう有名だと思います。ここは昭和初期以前の木造建築が残っている由緒ある建物なので、「ボロ宿」というのは失礼かもしれません。建物の間を昔の街道跡が通っており、番所も置かれていたようで、かなりいい雰囲気でした。

佐藤旅館中庭2
佐藤旅館中庭
二棟の真ん中にあるのが昔の街道で、人通りもそれなりに多く、繁盛していたそうです。

宿に着くと、すごく親切なご主人が「きょうはお客も少ないから、のんびりしてってよ」といってくれました。確かに平日で雨も少し降っていたせいか、広い建物にひとけがありませんでした。食事は「大広間で」と時間になって呼ばれたのでいってみると、客が少ないどころではありませんでした。

佐藤旅館食事部屋
↑こんな感じ。広い部屋にひとりっきりでした。となりの大広間にも家族客が一組いるようだったので、貸し切りでもないのですが、この部屋の真ん中で食事するのは逆に落ち付きませんでした。でも食事そのものは温かくあるべきものは温かい状態で出してくれて、手作りの豆腐もかなりおいしかったです。

佐藤旅館夕食
とにかく私としては、本物の昭和初期の建物にほぼ貸し切り状態で泊まれて感激しました。なので夜中に館内を少し探検してみました。廊下は入り組んでいたり思わぬところに4~5段の階段があったりして、いかにも建て増ししてきたような昔の旅館風です。部屋数も多く、今は使っていないような古い部屋もありました。ただ、夜中に歩いていて暗いし、やや不気味なムードを感じたので、早々に部屋に戻りました。

佐藤旅館部屋
佐藤旅館廊下
お風呂はまあ岩風呂があったのと、混浴の内風呂もあったような気がしますが、何しろ風呂でも館内でも誰にもあわなかったのであまり印象に残っていません。たぶん良かったんだと思います。

佐藤旅館は2008年の岩手・宮城内陸地震で、被害を受けたそうです。それほどアクセスは悪くないのですが、途中から一部細い山道みたいになっており、道路が被害を受けたようです。でも建物には大きな被害はなかったようなので、貴重な建物が失われなくて何よりでした。

[温湯温泉 佐藤旅館](現在休業中・2003年9月宿泊)
■住所 〒987-2511 宮城県栗原市花山字本沢温湯8番地の1
■泉質 ナトリウム-塩化物泉・源泉かけ流し