朝来市いずみ旅館の続きです。

朝4時に起きると予報では降らないはずだったのですが、雨が降っていました。4時半頃に下にいってみるとご主人がちょうど起きてきてわれわれのおにぎりを作るところでした。

「やっぱり雨ですね。足元は大丈夫なんでしょうか」と聞くと、「歩くのは全部舗装してあるところだから問題ない」という答えでした。もはやこうなれば出発するしかありません。もし1時間くらい歩くことになったとしても、しょうがないと思いました。

5時に再び下に行き、荷物を預けて外に行くと、一人若いにいちゃんが車の助手席で待っていました。同乗者がいてよかった。どうやら映画かテレビのロケハンで来たみたいな雰囲気で、観光客らしくありませんでした。

私はカッパを着て、かみさんは傘を持ってとにかく出発。今回はあまり降られないとみて傘も1本しか持ってきていませんでした。

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車中でご主人がいうには、「最近は急に観光客が増えてきて、土日は道路の規制も厳しくなっている。もともと年間5万人くらいだったのが去年は20万人以上きたし、今年は50万人くらいいく勢いだから」ということでした。

大きかったのはやはり高倉腱主演の映画「あなたへ」だそうです。ちなみにこのご主人もエキストラで出演して、城で太鼓をたたいたそうですが「けっこう長く映っている」と、まんざらでもなかったようでした。ギャラについては「健さんが2億、こっちはおにぎり一個だ」と笑っていました。「最近は“歴女”も来るからね。このあいだも遠くから一人旅できた客がいたし」ということで、地の利のいいいずみ旅館はなかなか繁盛しているようです。

それにしても毎朝5時に客を送っていくのは大変ではないのでしょうか。「もう、よほど用事がない時以外は、ほとんど毎日車を出しているからね」というのですが、起きるだけでも大変なような気がします。

そんな話をしていると、検問に遭遇。大勢の係員が集まっていて車を規制しています。車をどこかに止めて、シャトルバスに乗れといっています。最近はそういうバスが早朝から出ているのでしょうか。しかしご主人は粘り、「〇〇さんと話して許可も得ているから」というので、向こうは無線などで連絡を取った結果、無事通過。

さらにのぼっていくともう一か所検問が。ここでも止められましたが、連絡を取った結果、通ることができました。この日、最終的にどういう取り決めになっていたのかわかりませんが、車で中腹の駐車場まで行った感触としては「雨の中を歩くのはとても無理だったな」という感じ。普通の登山道が通行止めになっていて、車両はかなり遠回りして中腹駐車場に向かうようになっているようでした。

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規制されている割には中腹駐車場にはけっこう車も人もいました。もちろんまだ真っ暗。ここに自販機やトイレもありました。

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この10月から入場が有料になったところでした。人が増えすぎたのと、石垣が崩れたりするので、補修などに使うためでしょう。

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私たちは懐中電灯も持っていませんが、とにかくここにいてもしょうがないので登ることにしました。ご主人が「帰り道は歩いても近いから」などを教えてくれたので、とにかく「竹田城跡」の門を潜ります。

門の先の階段を少し下ると受付。ここで300円払うと「気をつけて。そこの杖を使ったほうが楽ですよ」というので、竹の棒を借りて出発しました。

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しばらくはまったくの闇夜で、何も見えませんでした。ご主人が前後の客が懐中電灯を持っていたら、それでけっこう見えるといっていたのですが、前後に誰もいません。いずみ旅館から一緒に来たにいちゃんはさっさと先に行ってしまいました。

しかたないのでたまにスマホの灯で確認しつつ、歩いていると、私は道からそれてしまい、側溝に落ちそうになりました。右側はガードレールなので、それに触って歩くと一応安心。

そのうち真っ暗だと思っていたのが、目が慣れてきたせいか、すこし空と遠くの山が区別できるようになってきました。雨なので星も月もまったくないですが、道路はうっすらと見える感じ夜が明けてきたからかもしれません。

落ち着いてみると、下界の夜景などもかすかに見えます。

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そうやって歩いているうちに、道路は坂道から石段にかわり、たぶん城のエリアに入ったのだと思います。後から来る懐中電灯の灯も見えてきたので、しめしめと思い、追いついてくるのを待ちました。見ると若い女性2人。「こいつらを先に行かせれば便利」と思って「おはようございます」とあいさつをかわしたのですが、実際に歩いてみると石段を登るペースについていけませんでした。

しかしようやく少し平らなところに出て、どうやら城の一角に到達したようです。

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まだほとんど暗くてよくあたりはよく見えません。石が転がっていたのですわって休んでいると、「何時頃から来られたんですか」とどこかの奥様に声をかけられました。「5時に宿から送ってもらって、いま着いたところです。あいにくの天気で、今日はダメですね」というと、「今日は日の出もダメそうですけど、とにかくここまで来たからにはこないと」といっていました。

気がつくと周囲には徐々に人が増えています。ようやく少し明るくなってきたので、本丸跡と思われる方向に歩き始めました。

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この日は雲海というほどではなく、ちょっと雲がある程度。しかしなかなか幻想的な光景です。

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もうだいぶ明るくなりました。本丸付近はだいぶ人が多く混雑。天守台の上は記念撮影する人でいっぱいになっています。

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天守台からの風景。天守台の標高は353.7mあるそうな。確かにこの風景は見にくる価値がある。

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城はなかなか複雑な構造をしており、迷いながら歩きました。あちこちに石積みの跡や、櫓があったと思われる石垣が残っています。最近は人が増えて崩れるケースが出ており、保存が問題になっているようです。

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一段下から見た天守の石垣。人が多い。この日はテレビ局の取材も来ていて、観光客に感想などを尋ねていました。最近の観光地はどこも高齢者が多いですが、さすがにここはアクセスがきついので若いカップルか中心。

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遠くから見ているとなんだかすごく危ないことをしているように見える人もいます。

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櫓の上で二人の世界に入りこむカップル。誰もじゃまできない。

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すっかり明るくなりました。

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途中、雲が激しく動くので、時々すごい雲海に包まれたようになります。

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それにしても、よくもこんな山の上にこんなに大きな城を築いたものです。竹田城は江戸時代は廃城になっていましたが、戦国時代にはずいぶんいろんな攻防があったようで、秀吉にも攻められています。いったいこんな城をどうやって攻めたのか。何だかわかりませんでしたが石碑もありました。

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再び最初の南千畳といわれる平地に戻り、だいぶ体力を使ったので帰りも元気に歩くために、おにぎりをとりあえず1個だけ食べることにしました。

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いずみ旅館のおっちゃんが早起きして作ってくれたシンプルな塩むすび。塩がきいていてすごくおいしかったです。残りは後で食べましたが、もち米を混ぜたやつとか、昆布の佃煮を混ぜたやつがありました。

食べていると通りがかりのおっちゃんが「おっ、おむすびか。いいな~」と物欲しそうに声をかけてきましたが、もちろんあげませんでした。

雨も小降りになったり、やんだりしている状態。ここにずっといてもいいのですが、さらに霧だか雲だかが増えてきました。寒いこともあって、山を降りることにしました。

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来た道の景色も改めて明るいところで見るとなかなか絶景。

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まず中腹駐車場に戻り、竹田駅まで歩こうかと思っていると、偶然客を乗せて来た空車を発見。すかさずこれを取り押さえて、タクシーで降りることにしました。今は一方通行の指定などができて、登るのは多少遠回りですが、「下りは近くて5分くらいですから」ということです。

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駐車場を出る時にどこかの子供がタクシーに向かって敬礼をしており、運転手さんもあいさつを返していました。

さらに少し下った道沿い(城の受付付近)でタクシーに手をあげる人を発見。このタクシーが少し前に乗せて来た客だそうで、ついでなので同乗して山を降りることにしました。

この運転手さんは、何者か不明ですがやたらと歌がうまい人で、「竹田城の歌」とかいうのを歌ってくれました。たぶん乗せた客にはみんなに聞かせているのでしょう。

竹田駅に到着。

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この日の最大イベントというか、この旅の最大イベントともいえる竹田城跡の見学が終わり、任務を果たした気分。この日の予定は城崎温泉泊まりですが、だいぶ早く竹田城跡見学が終わったので、豊岡で降りて出石城などにも行ってみようと計画。その前に和田山で宿に寄って荷物をピックアップしなくてはなりません。

それにしてもだいぶ時間的に余裕があるので、竹田駅付近を少し歩いてみることにしました。竹田駅の待合室はすごくきれいになっていたので、ここで残りのおにぎりを完食。

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竹田駅前のようす。

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土曜日ですが子供たちが通学していきます。それ以外、ほとんど人影がないのどかな風景。

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ここも宿のようです。なかなか良さそう。

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町屋カフェもまだ時間が早いので営業していないみたいでした。

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古い酒屋か醤油屋と思われる建物があり、ここは工事中でした。どうやら観光施設になるようです。このへんも観光客が増えたので、急ピッチで受け入れ体制を整えている感じ。

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確かにこの渋い通りだけでもかなりの価値があると思います。城下町の風情を感じます。北の山の中腹にも雲がかかっています。駅の反対側に寺町もあり、城主の居館跡もあるようでしたが、今回は行きませんでした。

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裏道を歩いていると、きれいに世話をされた地蔵発見。一応拝んできました。

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再び竹田駅へ。

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改めてみると駅前旅館もありました。食堂・居酒屋も兼業。ここも泊まってみたい気がしましたが、こういう宿は現地に来ないとなかなか存在がわからないので、難しい面があります。

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だいぶ早いですが駅のホームに入りました。

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ホームから、大手門に続く登山口が見えます。ここを歩くと竹田城まで40分とか。しかし今回は通行止めでした。

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和田山行きの普通列車に乗車。

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和田山駅前には昔の車両基地らしい古い建物がありました。これもなかなか渋い。DSCN3796

駅から歩き、ようやく懐かしのいずみ旅館に戻ってきました。ご主人は見当たりませんでしたが、とにかくお礼をいって荷物を受け取り、すぐに和田山駅に戻りました。今回は宿のご主人のおかげで、無事に竹田城跡を見学することができました。

和田山駅では待ち時間が40分くらいあったので、駅下にある喫茶店へ。

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ここで地元の高齢者の皆様が最近の観光動向について話していました。

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「竹田城の雲海はこの前の日曜がすごくよかったそうや」
「〇〇(近くの飲食店らしい)もだいぶもうかったやろ」
「あそこは6人くらいしか入らんで、しれてるわ」
「だいたい観光客は朝来には金を落とさんやろ」

などと。われわれも見るからに観光客なので、じいちゃんがいきなり標準語になって聞いてきました。

じいちゃん「これから竹田城ですか」
私「いや、今行ってきたところです」
じいちゃん「そうですか。雲海は見れましたか」
私「まあ雲海なのかどうか、けっこう雲が出ていてよかったです」
じいちゃん「そりゃよかった」

てな感じで、店主おばちゃん、客おばちゃん、じいちゃんに見送られて喫茶店を出ました。のどかな朝のひととき。このへんで朝の9時半くらいだったでしょうか。まだまだ1日は長いわけですが、すでにけっこうな達成感と疲労感。

そういうわけで、この続きは次回にします。

[いずみ旅館](2013年10月宿泊)
■所在地  兵庫県朝来市和田山町寺谷712-10
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朝来市 いずみ旅館

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