伊賀市に一泊した後の話です。

この日の目的地は橿原市にある今井町。
伊賀鉄道で伊賀神戸駅まで出て近鉄大阪線特急に乗り換え。ここから橿原方面に
向かう途中にもいろいろ寄ってみたいところが多いのですが、この時は最終日に和歌山まで行かなければならなかったので、残念ながらパス。

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たぶん2時か3時くらいに近鉄橿原線の八木西口という駅に到着。このあたりは電車の路線が入組んでいてわかりにくいのですが、どうやらめざす今井町の最寄駅にたどりつきました。

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今井町を知ったのは、だいぶ昔に司馬遼太郎の「街道をゆく」で読んだから。「街道をゆく」は、あまりメジャーな観光地には関心を向けていないので、サラッと書かれていましたが、戦国時代に成立した自治都市。江戸時代から“今井千軒”といわれるほど繁栄した、その古い家々が残る町並みを、長年見学してみたいと思っていました。

伊賀から和歌山に向かう今回のツアーは、途中で一泊するのにちょうどいい機会だったというわけです。

駅を出ると歩いて飛鳥川に架かる橋を渡るとすぐに今井町。

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それにしても、このへんは古墳やら史跡やら山ほどあるので、本当ならもっとゆっくり探訪するべき場所ですね。

事前に調べて予約した今井町の中の宿に寄って、まず荷物を預けようと思い、とにかく“今井千軒”の中に突入。一歩入ると、驚愕のタイムスリップ感です。

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右も左も、どこまでも古い家が続いています。しばらく呆然とします。

めざす宿もすぐに見つかりました。「嘉雲亭」。

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ここも18世紀に建てられた,元は呉服屋であった家を改造して宿にしているという貴重な宿。おばちゃんが出迎えてくれて、荷物を預かってくれました。夕食を食べる店についてもヒントをもらったので、とりあえず観光案内所に向かい、地図などを探してみることにします。

この観光案内所というのが、川沿いにあるのですが、正式には「今井まちなみ交流センター 華甍」という名称。時代は新しそうですが、すごい建物です。

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ここに地図のほか、今井町の復元模型や資料室などもあり、なかなかおもしろいところでした。

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ここでどの家が見学できるかとか、お茶が飲める喫茶店の場所などを確認し、再び今井町内へ。最初は観光案内所から近い「河合家」に行ってみると、この家の人がいろいろ解説をしてくれました。今井町とかの今井宗久の関係とか。物知りでおもしろいおばちゃんでした。この家はいまも造り酒屋をやっているそうな。

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それにしても町内に見学できる家は何軒かありますが、それ以外に立ち並ぶ家々もかなり迫力があり、これだけの規模で江戸時代の町並みが残っている場所というのは非常に珍しいのでは。まさに来てみないとわからないものだと思いました。

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あちこち巡り歩きながら、ちょっとした商店や飲食店がある本町筋を通り、途中の喫茶店でアイスコーヒー。この喫茶店も当然のように古い商家を改造したものでした。郵便局などもありますが、いずれも町の雰囲気を壊さないような建築デザインになっています。

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町の屋根にはいろんな珍しい瓦が付けられています。

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そして、西のはずれにある「今西家」も見学。この家はその昔、惣年寄の筆頭であり、領主、代官の町方支配の一翼を担っていた家。狭いくぐり戸を開けて中に入ると、すでに数人の觀光客がガイドの説明を受けていました。ガイドというより、今もこの家に住む子孫の方だそうで、まだ若い女性でした。

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自治権が委ねられていたので、この家の広い土間には牢屋というか、犯罪者を閉じ込める牢獄付き。くすんだ襖絵や座敷の造りなどもものすごく凝っており、とんでもないお金持ちの家だったということが実感できます。

しかも、戦国時代のことですから町の防衛を担う城郭的な役割もあったそうな。

さらに称念寺へ。あいにく重要文化財の本堂は工事中。

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もともとこの寺は、中世末に寺内町として成立した今井町の中核となった一向宗の寺です。本堂は17世紀初期頃の建造で、明治10年には天皇陛下の畝傍御陵行幸のときの行在所となったということです。

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そういうわけで、戦国時代にもしヘタをしていたら、本願寺と一緒に信長に攻められて燃やされていたかもしれないのですが、今井宗久などが調停に入り、明智光秀を通じて降伏したのでぎりぎり助かった、という感じらしいです。城郭都市とはいっても、堺の例で見るように、本気で攻められたらこの貴重な町もどうなっていたことか。

しばらくお寺を見学しているうちにだいぶ暗くなってきました。宿に戻る前に夕食を済ませたほうが面倒がないと思ったので、宿のおばちゃんが教えてくれたそば屋へ。

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ここも渋い建物でしたが、内部はおしゃれな雰囲気で、料理もなかなか凝った感じものが多かったですね。10月とはいえ、昼間かなり歩いて汗もかいたので生ビールを飲みまくったほか、冷や酒も。この日はドラフト会議の結果が気になり、スマホをにらみながらの食事となりました。

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そば屋から宿に戻る時は真っ暗。暗くなるとますますあふれる風情。

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宿に戻るとご主人がいて、待ち構えていました。

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荷物はすでに2階の部屋に入れてくれていました。「今日、お寺のそばで見かけたけど、声はかけなかった」とご主人がいます。そういえば、称年寺の前の「今井まちづくりセンター」付近で謎のおやじを見かけましたが、それがこの宿の主人だったのでしょうか。

この宿は古い家であることは確かですが、1階の座敷など、かなり手が入っていて、洗練された雰囲気になっています。

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箱階段を上がって2階に案内してもらい、いろいろ話をしていると、ご主人がいうには「今日は本当はお客さんたちだけの予定だったので、貸し切りでゆっくりしてもらおうと思っていたんだけど、急にもう一組入ったので、これからもう一組お客さんがきます」ということでした。

2階の部屋は道路に面した広い2間続きの部屋で、内装はかなりきれいになっています。

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私は奈良にくること自体が久しぶりで、しかも橿原には来たことがないというと、ご主人は橿原のガイドマップを持ってきて、いろいろ教えてくれました。話を聞いているとかなりこのへんの歴史に詳しい感じだったので、ついでに関係ないことまでいろいろ聞きましたが、面倒そうな顔もせず、長時間にわたってつきあってもらいました。

そのあとお風呂に入りましたが、お風呂も近代化されております。しかしこんな町に代々住み続けるというのはどんな気分なんでしょう。

ご主人の話によると、電線の地中化とか、町の価値を高めるための事業も着々と進んでいるそうですが、なかなか大変ではあるようです。しかし、単に利便性を高めるだけでなく、本来の形を残し、復元しようという努力は本当に大切だと思います。ほかにはない価値があるわけですから、なんとかがんばってほしいと思いました。

そんなわけで、この日は伊賀でもらった柿を食べつつ、早めに寝てしまいました。この続きは次回に。

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[橿原市  嘉雲亭](2012年10月宿泊)
■所在地  奈良県橿原市今井町2-8-25
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