去年の暮れの大雪の中、角館から弘前・五所川原あたりを回ってなかなかおもしろかったのですが、2月になってまた秋田方面に行く用事ができました。その帰りに盛岡に前から泊まってみたい宿があったので、一泊してみることにしました。

「旅館  大正館」です。かなり古い歴史を持った宿で、以前にも宿の前を通ったこともあり、機会があれば一度は泊まってみたいと思っていた宿です。近頃東北方面は、復興事業がらみで宿もけっこう混んでいるという話をどこかで聞いたのですが、電話をしてみるとサラッと予約がとれたので素泊まりでお願いしました。

とにかくこの日は日中、秋田市内で仕事があり、盛岡には何時につけるかよくわかりませんでした。

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結局秋田駅のなまはげから見送られ、こまちに乗ったのは夕方頃。

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車窓の景色からも冬の夕暮れらしい寂寥感を感じます。

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年末に泊まった角館駅などを懐かしく思い起こしながら、やがて盛岡に到着。すっかり暗くなっていました。

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もう7時くらいになっていたので、とにかく夕食をどこかで食べなくてはいけません。しかし雪が降っていて歩きにくいので、結局盛岡駅のすぐ前にある「東家」にしました。いわずと知れたわんこそばの名店。本店ではありませんが、その気になればこれからわんこそばに挑戦することもできます。

しかし私は奥の座敷に通され、ビールとおつまみ系の定食を注文。仲居さんが新聞を持ってきてくれました。

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ここで食べていると、隣のテーブルに年配の男性と若い男性のコンビ客が入り、わんこそばをやりはじめました。おもしろいので見ているとどうも素人みたいでした。若いほうがだいぶ食べたところでお椀のふたを勝手に閉めてしまったのですが、仲居さんがそばを持って戻ってくると「私たちがいる時にふたをしないとダメなんです」といわれて、また食べ続けさせられていました(笑)。

ようやくのことでふたをしたのですが、仲居さんが「本当にぜんぶ食べましたか?見せてください」といわれてふたを開けると、そこにまたそばを追加するという騙しうちをくらっていました。私も昔学生時代、まったく同じようにいじめられたことがあったので、同じ技が何年も受け継がれているんだなあ、と感動しました。

若いほうの客は結局100杯以上食べて、免状をもらっていました。私が2年前に本店で食べた時は87杯止まりだったので、たいしたものです。

駅前から宿までは歩いて5分程度なので、雪の中を歩き始めました。寒いし、滑りそうで歩きにくいです。

不来方橋付近。新しい橋みたいですが、なかなか風情がある橋です。写真は失敗。

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開運橋方面。盛岡も昔とはどんどん変わっていきます。どこにでもある近代都市になっていくのでしょうか。

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やがて宿が見えてきました。

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しかし「あれっ」という感じ。

私が以前に目撃したレトロモダン調の「大正館」は下のような感じ。この宿はどこに?

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(↑の写真は岩手県旅館ホテル生活衛生同業組合さんの「岩手の宿」からお借りしました)

まったく新しく建て替えられていました。

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私としてはすごいショックです。やはり来るのが遅かったのか。

瀟洒な一軒家みたいな玄関を開けてみると、すぐに受付のカウンターがあり、奥はラウンジみたいなおしゃれな空間になっていました。

しかも出てきたのが若い美人女性スタッフ2人。とてもボロ宿ブログなどで紹介できる雰囲気ではないような気が。インテリアや小物なども洒落ています。きれいで新しいということは普通の人ならむしろ喜ぶべきところではありますが。

私は素泊まりなので前金を払い、まだショックから抜けきれないまま部屋に通してもらいました。

部屋も当然のことながら、きれいでシンプルな和室に。空調もよくきいて暖かく、まったく快適な近代的旅館でした。私は古い宿が好きなのですが、唯一困るのが真冬の寒さです。そんな心配はまったくありませんでした。

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洗面台やトイレも今どきのトレンドを取り入れたかっちょいいデザイン。トイレなどあちこちにセンサーライトが付いており、電気を無駄にしない最新型省エネ設計にもなっていました。

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建物の中央付近に大きな階段があり、吹き抜けのようになっています。

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この階段の下にお風呂があるのですが、ちょうど他の客が入浴中で、「空いたら部屋までお知らせにいきます」といってくれたので部屋で待ちました。

最初から布団が出してあったので、さっそく敷いてやれやれと横になりました。

それにしても、いったいいつ建て替えたのでしょうか。ちょっとしたリフォームではなく、全面的に建て替えたようです。昔盛岡駅周辺は古いおもしろい宿がほかにもあったのですが、もう残っていません。本当に残念。大正館はいろいろ大変な中で、まだ旅館を続けてくれているというだけでも、感謝しなくてはいけないでしょう。

そんなことを思っているとドアがノックされたので、「ああ、お風呂が空きましたか?」と立ち上がると、先程の若い女性スタッフではなく、まさにこれぞ本来の「大正館」という感じのおばちゃんが部屋に入ってきました。

「いやお風呂はまだなんだけど、どうぞこれ」といってくれたのがチョコレート。客のみんなに配って歩いているみたいでした。そういえばこの日はバレンタインデー。

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まさかきれいに建て替えられた大正館で、南蛮人の祭りがゆかりのチョコまでもらうとは‥‥。しかしその気持がうれしかったので、ありがたくいただきました。

その後お風呂へ。お風呂もきれいでゆったりしていて快適。

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廊下に共用の冷蔵庫があり、缶コーヒーなどの飲料がたくさん置いてありました。よくわかりませんでしたが、たぶんサービス品らしかったので2本もらいました。

とにかく部屋がきれいなので、私としては落ち着かず、改めて酒でも飲みに行きたい気分でしたが、ますます雪が降り寒そうなので、そのまま寝てしまいました。

翌朝も外は雪。

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8時前くらいになって、そろそろ出ることにしました。中央階段とは別の階段をおりて下に降りるとすぐに受付カウンター。勘定は済んでいるのでちょっと声だけかけると、昨夜のおばちゃんが見送りに出てきてくれました。

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私は「この家は最近建て替えたんですか?」と聞いてみました。

するとおばちゃんが「そう。道路の拡幅計画があって、前よりずいぶん小さくなりました」というので、私が「そうですか。でもきれいないい宿になりましたね」というと、「そうですね‥。前はこの3倍くらいはあったんですけどね。ちょうど100年目だったのに、すっかり建て替えてしまいました」と少し寂しそう。

私の勝手な印象ですが、どうもおばちゃんは前の家のほうが気に入っていたみたいです。やむを得ない事情とはいえ、こうして少しずつ街は変わっていくのでしょう。

見送られて宿を出ると、やはり雪。きれいになった大正館は、看板だけが伝統を伝えているような雰囲気を出しています。

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宿の前のこのへんが道路拡張部分になるのでしょう。駅から近い幹線道路沿いなのでしょうがありません。

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この日は、ちょっと盛岡駅ビルで買い物をしたい用事があったので、10時頃までコーヒーを飲んだり、立ち食いそばを食べたりして時間をつぶしました。ちくわ天そばがなかなかおいしかったです。

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さらに「はやぶさ弁当」も購入。容器が欲しかっただけなのですが、これは持ち帰って家で食べました。
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そんなわけで、今回は思った形とは違ったことになってしまったわけですが、普通のお客さんにとっては、非常に快適ないい宿であることはまちがいありません。料金も安いです。

とにかくこれも時代の流れというものでしょう。「古いほうがいい」という私のような変人は、もっとがんばって早めに泊まりにいくようにするしかありません。

[旅館  大正館](2012年2月宿泊)
■所在地  岩手県盛岡市大沢川原2-5-30
■楽天トラベルへのリンク→旅館 大正館
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