このあいだ道後温泉に一泊した後、まっすぐ東京に戻ってもよかったのですが、今回は内子町に残る古い町並みをちらっと見学することにしていました。

特に内子の「高橋邸」という旧家を利用した宿泊施設については、出発前に知人から情報をもらっていたので、ぜひとも見学して、もし良さそうなら次の機会に泊まってみよう、などと考えていました。

道後温泉から市電でJR松山駅に行き、かなりの時間待ちをしたあげく「特急宇和海9号」に乗り込みました。内子駅も特急停車駅なので、松山から乗ってしまえばあっという間に到着します。

ただ松山駅のホームはわかりにくくて、高松や岡山方面へ行く特急も、宇和島方面に行く特急も、同じホームの前方と後方に分かれて乗り場があります。つまり同じホームに逆方向に行く電車が同時に止まっていることがあります。

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私もこの時ちょっと「??????」となりました。改札から入ったところのホームの電光表示は岡山行きになっていて、「宇和海9号」の乗り場が見つけられませんでした。結局、よく案内放送を聞いてみたら、同じホームの左手方向にずいぶん歩いたところが乗り場だということが理解できました。

そうやってうろうろしながらどうにか電車に乗り、松山駅を出てしばらくいくと何やら立派な球場が見えました。

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そして山間をくねくねと走っていくとやがて出てくるのどかな田園風景。やっぱり電車で知らない土地を旅するのはいいもんです。

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30分くらいで内子駅に到着しました。

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緑色の虫が駅舎でお出迎え。

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このへんは高架線になっていて、ガード下に駅があります。

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駅前には機関車が展示してあり、ベンチではどこかのおっちゃんが昼寝をしていました。

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すごく暑い日なので、とりあえずお茶を買おうと自販機に向うと自販機にも「おいでなはい内子」と書いてありました。これは愛媛弁なのでしょうか。

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とりあえず駅の出口のすぐそばに「旅里庵」という観光案内所があったので寄ってみました。地図を見ると、古い町並みが保存されているエリアは、駅から歩いてもいけそうですが、20~30分かかりそうな感じ。

目当ての「高橋邸」のほか、何カ所か回ってみたいと思っていたので、レンタサイクルを借りることにしました。案内所のおばちゃんに聞いてみると「少し坂になっているので、タクシーでいったん上までいって、歩いて観光する人が多い」ということでしたが、やはり自転車のほうが楽しそうだったので借りました。確か2時間で300円くらいだったような。

私も昔は自転車で北海道一周とかしたものですが、最近さっぱり乗っていないのでちゃんと乗れるかどうか。

とにかくさっそうと町並み方面に走り出し、昔の繁華街らしき通りに出て、そこに進入していきました。

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ちょっとみただけでもかなり古い家が多いエリアだということがわかります。

そしてすぐに到着したのが「内子座」。

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大正時代に作られた木造劇場ですが、今でも使っているところがすごい。中を見学してみると、すごく立派です。

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地下に降りると「奈落」の構造を見学することもできます。

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2階席にも上がってみました。こんなふうな劇場で、酒でも飲みながら芝居を観たら楽しそうです。

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「内子座」で見学料金を払う時に、ほかの資料館なんかとのセット券を勧められたので、次はそれで見学できる「商いと暮し博物館」に向いました。

ここは薬屋の跡です。愛車ママチャリ号とともに。

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最近各地にみられるように人形をディスプレイして、当時の暮しを再現しています。主人一家の朝食風景では、下男が下のほうで小さくなって一緒に食べていました。時代を感じる風景。主人も下男も、おかずは漬物と味噌汁だけ。

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ここの人形はセンサーがついていて、人が行くと音声が流れます。知らないでいくとちょっとびっくりします。

↓こんなやつもいました。

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2階に上がる階段は箪笥みたいに引き出しがついています。こういう立派なのはあまり見たことがありません。

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ご隠居様用の部屋から見える蔵。いい雰囲気。

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すごくいい感じの部屋が多くて、こんな家で暮してみたいと思わずにはいられませんでした。

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この先伊予銀行の古い建物があり、そこを左に行くと町並み保存地区。私はとりあえずまっすぐ坂道をのぼってみることにしました。

しかし暑くなってきたことでもあり、意外と自転車がきつい。やはり電動アシスト付きにすればよかったのか。

でも町並みはなかなかいい雰囲気。上までのぼったので、また戻り、今度は途中で折れて町並み保存地区にいってみました。

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確かにかなりしっかりと保存されています。保存地区は各地にありますが、ここはなかなか活性化しており、町が生きている感じがします。

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私はローソク屋さんで和蝋燭を買いました。そのローソク屋の建物もたぶん明治、大正のものだと思います。

さて、ひと通り町並みをみたので、いよいよ高橋邸に向います。この高橋さんという家は、江戸時代からの庄屋で富豪ですが、日本のビール王と呼ばれる高橋龍太郎先生の家でもあります。アサヒビール、サッポロビールはもともと同じビール会社だったわけですが、その発展に大きく関わった人であり、貴族院議員から通産大臣も務めたという、すごく立派な経歴を持った人です。

古い野球ファンにとっては、プロ野球チーム「高橋ユニオンズ」のオーナーとしてのほうが有名かも。

とにかく、その当時のままに近い建物を、今は「文化交流ヴィラ」(?)として、ゲストハウスや集会所、文化活動などに利用しているそうです。

表通りから少し入ったところに高橋邸を発見。表から眺めて見ると、石垣を積んだなかなか立派な家ですが、威圧感はなく、風流なたたずまい。

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門のあたりもいい感じなのですが、よく見ると「本日休館」の札が。「ありゃ~、ついてねぇ~」と思いつつ、駐車場に自転車をとめて残念そうに眺めていると、近くで掃除をしていたおばちゃん(奥様)が、「中をご覧になりますか」と声をかけてきました。

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「えっ、休みでもみられるんですか?」というと「大丈夫です。どうぞ」と中に案内してくました。「宿泊棟の離れのほうは今日は都合が悪いんですが、広間は大丈夫です」

中に入ると高橋先生の小さな銅像が出迎え。

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応接間らしきところに入るとおばちゃん(奥様)がクーラーを付けてくれて、「今日はどちらからいらっしゃったんですか」とかから始まって、いろいろこの家の由来などを教えてくれました。

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高橋先生の話もさることながら、内子がいかに豊かな町だったのかという歴史的な話。

「木蝋、生糸のほか葉たばこ生産も盛んでした。山の中なので大きな田畑はできませんが、豊かな家が多かったので、子弟もみんな松山の学校に通わせているくらいでした。高橋龍太郎さんも松山中学に通っていました」ということです。

大広間は通産大臣になってから増築した部分だそうです。当時は天井板を張り付けた家が珍しく、これを作った大工さんはずっと自慢していたとか。

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とにかくやたらと博識のおばちゃんなので、町の学芸員みたいな人かと思って聞いてみたら、近所の主婦だそうです。

「高橋邸の管理は近所の主婦数人が共同でやっていて、宿泊されるお客さんがいる時は、朝食も私たちが作ります。一棟貸し切りで1グループ限定ですけど、部屋がいくつもあるので人数が多くても大丈夫です。料金も付近の旅館の営業の妨げにならない程度に安くなっていますよ(笑)」ということでした。

離れの宿泊棟もなかなか風情のある古い建物です。これが貸し切りならおもしろそうです。ただし残念ながら「ボロ宿」ではありません(笑)

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この家には「止談風月無用者可入」(ただ風月を談じるなら、用事がなくても屋敷に入りなさい)という墨書の看板が掲げられていたとか。そんな気分がなんとなく今でも感じられます。

そうなると、いよいよもって泊まってみたい。私が「せっかくこういうところに来たら、一泊くらいしないと来た気がしませんね」というと、

「ぜひ改めてお出かけになってお泊まりください。私も一度行った観光地を再訪することがよくありますが、やはり2度目は違う印象を受けます。内子は特急も止まる便利なところで、高速道路のインターも近く、本当に恵まれていると思います。ゆっくり来られたら、ほかにも見どころがいろいろありますよ」

そういうことなので、私としてはぜひまた機会を作って、この「高橋邸」に泊まってみようと思いました。

この大広間で暑い中を汗を拭きつつ、すっかり長話をしました。歴史に詳しいだけでなく旅行も好きなようで、なかなかおもしろい話ばかりでした。お礼をいって応接のほうに戻ると、そこはさっきつけたクーラーがきいていて快適な温度。「あら~、こちらの部屋でお話すればよかったですね~」と笑っていました。

奥様に別れを告げ、再びさっそうと自転車で走り出しました。

この町は確かにいろいろ見どころが多そうです。この日、私は東京に戻らなければならないので、再び内子駅をめざしました。もう特急の発車まであまり時間がありません。

途中で見かけた旅館。この宿もなかなか渋そうですが、なぜか1階にイタリアンレストラン(笑)

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山奥なのに、塩サバを店頭で炭焼きして売っている店もありました。これはうまいでしょうね。このへんの魚は八幡浜あたりから来るらしいです。

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再び特急に乗って松山へ。今回、松山からは電車でのんびり電車で帰るつもりでいたので、まずは駅をいったん出てラーメン屋に入りました。

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松山なのに、なぜか喜多方ラーメンののぼりが出ていましたが、中に入るとおでんをやっていたりして、何となく高松のうどん屋風情も。せっかくなのでおでんのダイコンと、チャーシューメンを食べました。

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松山から岡山に向う電車は「アンパンマン電車」でした(笑)。お遍路さんらしき人もいます。

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松山から瀬戸大橋を越えて岡山へ。岡山から新幹線に乗り換えて東京に帰りました。けっこう疲れたけれど、なかなかおもしろい体験でした。

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[内子町  文化交流ヴィラ 高橋邸](2011年9月見学)
■所在地  愛媛県喜多郡内子町内子2403番地
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