去年道後温泉に行った時に、付近を散策して見つけた良さそうな宿がありました。最近、松山に行く機会があったので、ぜひそこに泊まりたいと思って、予約して出かけました。道後温泉本館のすぐ近くにある「常磐荘」です。

今回は昼間は仕事があり、チェックインできる時間も不明確だったので夕食はなしで、朝食だけ付けてもらうように頼みました。
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去年宿の前を通った時に、建物全体の古びた感じや、玄関を入るとすぐに2階にあがる階段がある造りなど、なかなか惹かれるものがあって、次回はぜひともここに泊まりたいと思っていた宿です。思ったより早くその機会がきました。

結局この日は午後3時くらいに松山市駅でフリーになったので、そのまま道後温泉に向うことにしました。市電の乗り場に行ってみると、ちょうど「坊ちゃん列車」が待っているところでした。普通の市電より料金が高い観光列車ですが、レトロな雰囲気でなかなか良さそうです。前に来た時には乗れませんでした。

それでせっかくなのでこれに乗って行くことにして、客車に乗り込むと誰もほかの客はいませんでした。一応2両編成ですが、運転士や車掌さんのほうが多い状況。

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それでも列車が発車すると若い車掌さんが客車に来て、観光案内を肉声でしてくれます。マンツーマンシステム。なんかしゃべり方がこなれすぎていて、よくわかりませんでしたが、とにかくいろんな歴史やら、観光の見どころなどを教えてくれます。

私はこのまま道後温泉まで乗るつもりだったのですが、松山城近くの「大街道」という駅に来ると、にぎやかな雰囲気で松山城も見えたのでおりてみることにしました。

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今回は大街道のアーケード街を少し散策。しかし東京でも大阪でもどこにでもあるチェーン店系の店が多く、そんなに地域色は感じませんでした。

そこらのカフェでアイスコーヒーを飲んでから、再び市電に乗り道後温泉へ。しかし松山はお城を囲むように市電が発達していてすごく便利。いい温泉もあるし、住んでみたくなるようないい雰囲気の街です。

去年来たのは3月で、あまり観光客がいませんでしたが、今回は観光シーズンなのかけっこうな人出。からくり時計の回りにも記念写真を撮っている人がたくさんいました。

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宿のチェックインは6時頃と伝えてあったのですが、まだ4時30分くらい。温泉に入ってもいいのですが、夕食なしなので食事をしようと思っていました。

しかしまだやっている飲み屋などはありません。とにかくまずは懐かしの道後温泉本館へ。

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やっぱりいい雰囲気の建物です。ここも去年と違って人が多く、観光人力車なども出ていました。

とにかく普通の飲食店がやっていないので、道後温泉ビール館でビールを飲むことにしました。去年も入った店で、けっこうおいしかったのです。

今回は鯛のお刺身だけ頼んで時間をつぶしました。鯛はもちろん「道後ビール」がおいしい。特に私としては、すっきりしたケルシュがおいしいと思います。

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ここで食事もできるのですが、私としてはどこかうらぶれた食堂でもあればいいなと思っていたので、さらに付近を歩いてみました。

商店街には観光客向けのコスプレサービスをやっている店も。裏道を行くとニュー道後ミュージックも健在でした。

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さらに裏道を行くと風俗店街に出て、その通り沿いにとんでもなく古そうなラーメン屋をみつけたので、そこで夕食にすることにしました。今回はチャーシューメン。営業しているのかどうかも疑わしい外見でしたが、普通にやってました。チャーシューメンは480円と、良心的価格です。

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これでだいたい6時くらいになったので宿に向いました。去年一回見ているので場所はわかっています。道後温泉本館のすぐ裏で、歩いても1~2分のところです。

これが外観。

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玄関から入ろうとすると、宿の若い女性がちょうど出て行くところだったのですが、私を見て戻ってきて笑顔で「いらっしゃい」と声をかけてきました。

「今日はお仕事ですか~」などと世間話をしながら部屋に通してもらいました。なんか女子高生くらいの感じに見える人です。こういう宿だとすごく年期の入った女将が出てくるかと思っていたのですが、ギャルだったのでちょっととまどいました。

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今回頼んだ部屋は、古い部屋ではなくリニューアルでできた離れの部屋です。本当は古い部屋に泊まりたかったのですが、諸般の事情でこっちにしました。

シンプルですがなかなかいい部屋です。まったく古びた感じはありません。

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「この宿はいつぐらいから営業しているんですか」と聞くと、「大正9年です。ただこちらの部屋は平成になってから手を入れています。もうこのあたりでもあまり古い宿はなくなってしまいました」と若い女性が教えてくれました。

部屋には観光ガイドのパンフレットなどのほか、夏目漱石先生の「坊ちゃん」と、坊ちゃん団子も置いてありました。

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部屋のすぐ前が洗面所。ここもリニューアルしたらしく、きれいで設備が整っていました。

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けっこう暑い日で、汗だくの私を見て「お風呂はどうされますか」と聞いてきました。ここのお風呂は道後温泉と同じ源泉を引いている温泉ですが、家族風呂形式なので、誰か使っているときは入れません。今はあいているということだったので、とにかくすぐに入ることにしました。

お風呂のある1階は部屋のすぐ下なので降りると、誰か宿の人らしきおばちゃんがいて「どうぞこちらです」と教えてくれました。内鍵がかかる家族風呂なので貸し切り使用。しかし、それにしては贅沢な広さです。夜になったらまた道後温泉本館のお風呂にも行こうかなと思っていたのですが、同じ源泉のこういう立派なお風呂があるのなら、あえて行かなくてもいいと思ったので今回はやめておきました。

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お風呂から出てしばらくしてから少し出かけました。道後温泉本館や周辺の商店街が近いので、気楽に出かけられます。

ちょっと天気はあやしげで雲が異様な感じ。しかし正面に見える夜の道後温泉本館もなかなかよかったです。

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側面の夜景。手ブレしまくり。

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正面。とにかく前と比べて観光客が多い。みんな浴衣姿で散策しています。
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人力車は営業終了していましたが、中をのぞいたらプーさんがたくさん乗っていました。

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近くの広場にいた「坊ちゃん」の登場人物たち。マドンナはともかく、あとはあまり覚えてない。赤シャツはわかりますが。
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ぶらぶら歩いて商店街のおみやげ屋さんをのぞいてみたら、そこのばあちゃんに本格的につかまってしまいました。

「何、奥さんへのおみやげなの?」と聞かれたので、「いや、別に‥。でも義理の母親に何かいいのがあるかなあ」といってしまったところ、「そしたら、これですよ。ではクイズです。これ何かわかる?」と持ち出したのか、小さいポーチみたいなやつでした。「これは久留米絣のすごくいい品物なんだけど、お客さんにきいてもほとんどの人が何に使うかわからないのよ~」というので見ると、表面に「薬」と漢字で書いてあります。

「薬入れ‥ですか」というと、「今あなた字を読んじゃったでしょう。でも読まないとわからないんですよ。これはいいですよ。お義母さんはおいくつ?  薬も飲むでしょう」とたたみかけてきました。

ポーチの内側は朝、昼、夜と3つに分かれていて、これは薬を常用する人にはけっこういいから買おうかな、と思ったのですが、ちょっと高いし、松山まで来てなんで「久留米絣」のポーチを買う必要があるのかなあという疑問がどうしてもぬぐえませんでした。

「ちょっとは負けてくれるんですか」と聞いたら「何いうてんの、あんた。これはギリギリの値段で、すごくいい品物を出してるんですから」

う~ん。そうですか。「負けてくれたら買ってもいいけど」と、ばあちゃんにそういうと、「そしたらこっちはどう?  タオルスカーフ。これは最近大人気ですよ」というので見ると、確かにタオル地のスカーフみたいなやつにでっかい字で「坂の上の雲」と書いてありました。しかも安い。

「なるほど、これだと松山らしいですね」とはいったのですが、こんなのを買って帰ってもたぶん使ってくれないだろうと思って困っていると、外から酔っぱらった感じのじいちゃんが入ってきて、「これくれ」といって、店頭に置いてあった何か昔の駄菓子みたいなやつを持ってきました。

ばあちゃんは「あら~、懐かしいんでしょ」と笑いながら、じいちゃんのほうに向ったので、ようやくその隙に逃げてくることができました。でもいろいろ接客させておいて、何も買わずに逃げたのはちょっと悪かったかな、と反省しております。

そんな感じで散策しながら、コンビニでコーヒーなんかを買って、ニュー道後ミュージックにも寄らず宿に戻りました。この宿も夜になるとひときわいい感じです。

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離れは新しいのですが、母屋は階段のあたりも古くていい感じ。

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この日の夜はすることもないので部屋に置いてあった「坊ちゃん」を読んでみました。野だいことか、山嵐とか、うらなりくんとか、少しずつ思い出してきました。「坊ちゃん」ってけっこうおもしろいな、と思いつつ眠くなって寝てしまいました。

翌朝は食事付きなので早く起きて、再びお風呂へ。若い茶髪の兄ちゃんが上がりかけで、廊下で会ったら、「おはようございます」とていねいにあいさつされました。こういうやつは普通のホテルとかに泊まりがちだと思うのですが、あえて古い旅館を選ぶとはなかなか感心なやつだと思いました。とにかく朝から温泉を独占してつかるのもなかなかいい気分です。

部屋に戻って窓を開けてみるといい天気でまた暑くなりそう。なお、宿の裏は墓場でした(笑)

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朝食はボロい温泉宿というより、なかなか立派な旅館の和食風。じゃこ天も付いていました。すごくおいかったです。例のかわいらしい感じの若い女性が部屋まで持ってきてくれましたが、どうもこの人は若女将みたいです。おみそれました。全般的に朝食は洗練された感じ。

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このさわらの塩焼きがすごくおいしかったです。今回夕食は頼みませんでしたが、夕食もすごくおいしくて有名らしいです。

でかけに古い部屋も探ってみました。私としてはやっぱり古い部屋のほうが良さそうです。

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通りに面した外の景色もなかなか雰囲気がありました。

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そんなわけで宿を出る時にまたも若女将らしき女性が見送りで出てきて「きょうもお仕事ですか。またどうぞいらっしゃってください」といったので、たぶん次回も泊めてもらえると思います。「今日はもう帰るだけですから。お世話になりました」といって出てきました。

道後温泉駅も快晴。観光客が写真を撮っています。

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また市電に乗って松山駅に向います。暑くなりそうだけれど、窓から入ってくる風が気持良く、ちょっと秋の気配も感じました。

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何か、本当に気持のやすらぐような風情のある落ちついた宿でした。古い家とはいえ、部屋も洗面所もトイレも、掃除が行き届いていてきれいだし、たぶん「ボロ宿」狙いの私が行くような宿ではなかったわけですが、立地的にもすごく便利だし、できたらまたゆっくり夕食付きで泊まりたいと思うのでした。

[道後温泉  常磐荘](2011年9月宿泊)
■泉質  アルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)
■所在地  愛媛県松山市道後湯月町4-2
■楽天トラベルへのリンク→旅館 常磐荘

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