滋賀の彦根に用事があってでかけたので、ついでに一泊してくることにしました。彦根は前にも泊まっているので、今回は考えた結果長浜へ。米原から北陸に向うルートは、通るだけで降りたことがないエリア。この機会に初めての町をちょっと見物したいと思ったのです。
長浜といえば、なんといっても豊臣秀吉が若かりし頃の領地です。たしか今浜とかいう地名を、秀吉が長浜に変えたような気がしますけど、確かではありません。
彦根で用事が終わったのが5時くらいで、それから琵琶湖線の快速急行で長浜へ。宿にはちょっと到着が遅くなるといってあったのですが、夕食も頼んであるので、あまり遅くならないように、なるべく急ごうと思っていました。
長浜駅到着が6時くらい。なんだか新しいきれいな駅です。
駅で観光案内のパンフレットなどをもらっていて気づいたのですが、北近江といえば、旧浅井氏の根拠地であり、まさに大河ドラマのお江の故郷でありました。大河ドラマを見ていないので考えてもいなかったのですが、市内はあちこち「浅井三姉妹」だらけ。
何やらドラマ関連のイベントも行なわれているようです。そういえば、去年は長崎で龍馬ネタ、その前は直江津や米沢で、直江兼継ネタのイベントを見学した記憶がよみがえってきました。
大河ドラマの影響力はやはりすごい。地元としても、この機会に観光客を呼ぼうと、必死の努力をしているようでした。
そもそも、長浜自体は秀吉が作った町なので、駅前には秀吉と石田光成の出会いの像。
駅でもらった地図を見ると、宿まで行く間にもけっこう見どころがありそう。この日はもう遅いのでやめておきましたが、いろいろおもしろそうなところがありました。
子供歌舞伎の曳山博物館があり、その前には何かの像。
その向かい側のショッピングセンターの廃墟を利用して、「長浜黒壁・歴史ドラマ50選」という博覧会も開催されていました。
明治時代の銀行の建物を使った「黒壁ガラス館」というのもあって、ちょっと寄ってみたのですが、もう時間が遅く、入ったとたんに「蛍の光」が流れてきたので、翌日回しすることにしました。
ガラス製の常夜灯なんかもあって、本当にいい雰囲気です。
たぶん私が知らなかっただけで、けっこう集客力のある観光地なんでしょう。おみやげ屋さんなんかもたくさんありました。
こうした風情のある通りの一角に、めざす三谷旅館がありました。
三谷旅館前の通り。なかなか風情があります。
門構えも立派。いくら古い宿だといっても、これだと“ボロ宿”ブログに載せたら、まずいことになるかもしれないな、とふと思いました。
とにかく声をかけると若い女将さんが「まあ、予告通りぴったりのお時間のご到着ですね」と笑いながら出てきて、部屋に案内してくれました。建物はかなり古い感じなのですが、部屋は真新しく、すごくきれいです。入り口に小さな座敷がある2間続き。
ごく最近リフォームをやったそうで、水回りなども先端設備を利用した清潔な空間になっていました。
お風呂に入りたかったのですが、「今ほかのお客さんが入っている」ということだったので、しばらく待ちました。そんなに待つまでもなく呼びにきてくれたので、広くて快適なお風呂に入って汗を流しました。
その後食事ですが、最初に教えてもらった食事部屋に行くと、広い座敷に私ひとりでした。ほかの数人のグループは、隣の座敷にいるような気配がします。
食事はほとんど準備ができていたので、まずはビールを飲み始めました。
年齢を勝手に推定してはずしてもまずいことになるのですが、女将さんはまだかなり若い人で、この家にはお嫁にきた人だそうです。この宿は確か三代目といっていたような気がします。
結局夕食の間中、そばでずっと話につきあってくれました。
2人の息子さんがいて、子供歌舞伎にも出たそうです。「もし、曳山に興味がおありでしたら、代々参加しているので主人が詳しいです。呼びましょうか」というのですが、そんなにまでしてもらうのもなんなので、遠慮しておきました。
長浜は大河ドラマで観光客が増えたことは事実ですが、なかなか宿泊までする人は少ないということでした。似たような話はどこでも耳にします。結局交通が便利になったので、1箇所にじっくり滞在するより、なるべく多くのスポットを回るような観光が主流になっているのでしょう。
それでも宿をリニューアルし、なかなか盛況なようです。しかし長浜の商店街は10時くらいでないと店が開かないので、宿泊した人もそれまでは行くところがなくて困るようなこともあるようです。
それでもいろんな観光地が付近に多いので、見どころを教えてくれました。私としては話を聞いて、小谷城と竹生島とかに行ってみたいと思ったのですが、ちょっと時間的に難しそうでした。賤ヶ岳なんていう地名も、けっこうわくわくするものがあるのですが。
女将さんの言葉がまったくなまりのない標準語なので聞いてみると、北近江も関西といえば関西ですが、やはり昔から北陸や岐阜方面との関連が深く、言葉もちょっと瀬田や大津あたりとは違うそうです。「あのへんはむしろ京都の影響が強いですから」ということでした。
とにかくいろいろ話を聞いて、「震災の時はこのへんも揺れた」とか、そんなことまで話しているうちに食事を終えてしまい、夕食の写真を撮るのを忘れてしまいました。すごくおいしい家庭的な料理でした。味つけが実によかったです。
部屋に戻ってしばらくして、ちょっと夜の町を見てみようと思い立ち、玄関まで行くと、ご主人らしき若い男性がサンダルを出してくれました。
営業しているような店は見当たりませんでしたが、ただ歩いているだけでも飽きないような、いい雰囲気の町です。
こんなところに代々住んで、曳山なんかにも代々参加してきたような家の人は、やはりどこか戦国時代の気分を引き継いでいるのだろうか、などと思いながら。
ということで、ここまでずいぶん長くなってしまったので、続きは次回にします。
[長浜 三谷旅館](2011年6月宿泊)
■所在地 滋賀県長浜市元浜町19-19
■楽天トラベルへのリンク→三谷旅館(長浜市)