今年のGWは村上に一泊した後、酒田に回ってさらに一泊する計画でした。

酒田にはどうしても泊まりたい宿がありました。「最上屋旅館」。大正末期の商家建築で、風情のある宿らしいのですが、2010年の2月に泊まり損ねた宿です。その時は秋田から回る予定でしたが、当日の大雪で羽越線、奥羽線、陸羽西線がすべて不通に。酒田に行く手段がまったくなくなり、やむなく当日キャンセルした宿です。

そのとき電話口に出たご主人は「そういう事情であれば致し方ありませんので、お気をつけてお帰りください。次の機会にぜひお立ち寄りください」といってくれました。

ついにそのときの雪辱を晴らす機会がきたわけです。

村上駅から普通電車で酒田に向かいました。ひと駅ひと駅の車窓の風景を眺めながらのんびり進んでいくと、鶴岡駅に到着。鶴岡も歴史のある町で、藤沢周平文学の聖地。せっかくなので、ここで途中下車してお昼でも食べていこうと思い立ちました。

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駅にある観光案内所に立ち寄って「1時間か2時間で見るとしたらどのへんに行ったらいいでしょうか」と尋ねました。案内所の人は「見どころは駅から少し離れていますが、旧商家跡や藩校跡、博物館などがありますので、そのへんに行ってみてはいかがでしょうか」と教えてくれました。

タクシーでいわれたあたりに行ってもらうと同時に、運転手さんに「鶴岡で軽く食事をするとしたら、どこがいいでしょう」と相談すると、鶴岡公園の周辺にいくつか店があり、「麦きり」といううどんみたいな鶴岡名物が食べられる、ということでした。

5分くらいで目的地に到着し、降り際に運転手さんが「この先が鶴岡公園で、到道博物館なんがあるけど、その近くに店があるから」と教えてくれたので、まずは安心して、最初に到着した「旧風間家住宅  丙申堂」を見学することにしました。

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ここにはガイドが何人かいて、けっこうていねいに説明をしてくれつつ、映画「蝉しぐれ」で、市川染五郎と木村佳乃の2ショットを撮影したという部屋で記念写真を撮ってくれました。逆行でほとんど顔が写っていませんでしたが(笑)。

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とにかく大きな商家で、石を置いた屋根や金庫蔵などいろいろ見どころがありました。ここを見るだけでもけっこう時間がかかります。

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この家の近くに「丙申堂」とセット料金で見学できる「無量光苑  釈迦堂」というのもあったので行ってみました。こちらは風間家の別邸だそうで、建物は小さいですが庭がかなり広い。かなり豪勢な建物で、大事なお客があった時はこちらに泊めたりしたそうです。

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ここの受け付けをやっていたおばちゃんとけっこう話し込んでしまいました。

以前の地震で庭の池が枯れてしまった話とか。実がなる植物は鳥が荒らすので植えられないとか。

私が東京からきて、今日は酒田の古い宿に泊まるというと、「私もやっぱりホテルなんかより、旅館と名のつくような宿がいい。このあいだ東京でホテルに泊まったけれど、カードか何かがないと電気もつかないし、わけがわからなかった」とこぼしていました。

そんなことをしているうちに、お昼を食べるような時間がなくなってしまいました。電車を1本逃すと、次がかなり遅くなってしまいます。駅まで20分くらいだと思いますが、おばちゃんが「タクシーを呼んでやる」というのでお願いしました。

また普通電車に乗って酒田へ。酒田駅のホームにはいろいろ変なのが置いてありました。

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駅前にもあまり食事ができそうな店がなかったのですが、立ち食いそばを発見。私はそれでなくてもこういうのを見ると入ってしまう癖があるのですが、ちょうどお昼を軽く食べるのにちょうどいいと思いました。

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しかし廃業していました‥‥。

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残念。もう2時を過ぎていたので、どうしようかと思いましたが、駅の観光案内所でもらった地図を見ると、「最上屋旅館」の近くには「おくりびと」のロケで使った家などもあります。そこでまずいったん宿に荷物を預けて、それから付近を歩いてみることにしました。宿に電話すると、女将さんがこころよく引き受けてくれました。

駅から宿に行く途中は、どこか寂れた感じで、古い飲食店などが廃業しているのが目につきます。酒田といえば北前船で繁栄した町ですが、以前に大火にも遭っており、昔ほどのにぎわいはなくなっているようです。

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宿に荷物を預けて、身軽に付近を歩いてみました。とりあえず、「おくりびと」でモッくんが勤務していた葬儀屋の事務所「NKエージェント」をめざしました。

そこに行く途中にも、古い料亭みたいな豪華な建物や、時代がかったキャバレーなどがありました。昔の繁栄がしのばれます。

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宿から歩いてそんなに遠くないところに「NKエージェント」がありました。さすがGW、けっこう人がいます。映画の公開からだいぶ時間がたっているので、どうかと思いましたが、それなりに見学客が来るようです。

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映画に出てきた事務所のセットが、だいたいそのままの感じで残されていました。奥のほうに棺桶もディスプレイされたままです。

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ここの3階には山崎努とモッくんがふぐの白子を食べた社長室のセットも残されていました。火鉢やふぐの模型も置いてある、記念写真スポット。

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さらにここに行って初めて知ったのですが、銭湯のおかみさんである吉行和子の死化粧をした部屋もここの1階にありました。

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広末が座っていたあたりには、どこかのおばちゃんが写ってしまいました。

このふとんに実際に寝て記念写真を撮ってやろうかと思いましたが、そういうことをする人はたぶんめったにいないと思ったのでやめておきました。

「おくりびと」関係はここで充分堪能したので、何かお昼を食べる必要もあり、移動することにしました。地図を見ると港のほうに観光市場があるようです。港に向う途中の坂道にも古い大きな家や倉庫のような建物が残されています。このへんも大火の被害には遭わなかったのでしょうか。

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港に行ってみると、期待通り海鮮料理が食べられる店がありました。しかしどれもけっこう豪華で、いまさらこういうものを食べてしまうと、宿の晩ごはんが食べられなくなってしまいます。

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結局アゴだしのうどんを食べることにしました。このうどんがすごくおいしかったので、アゴだしの濃縮だしを買ってきてしまいました。

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港を少し見学したあと、酒田といえば欠かすことができない回船問屋の跡に向いました。「旧鐙屋」。港から市役所方向に坂をあがったところにあります。もうずいぶん歩いて疲れていますが、歩くしか移動手段がありません。

「旧鐙屋」は大きな回船問屋で、その前の通りは江戸時代には多くの回船問屋が軒を連ねていたそうです。建物の中は、変な人形が当時の様子を再現していました。

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回船問屋がどんなに儲かっていたか、よくわかるような、なかなかおもしろい建物でした。

さて、このへんで5時くらいになっていて、少し寒くもなってきたので宿に戻ることにしました。「最上屋旅館」には、3階に屋根裏部屋みたいな4畳半があるので、そこに泊めてもらうように頼んでありました。

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宿に着くととご主人が迎えてくれて「はしごみたいな急な階段ですからお気をつけください」といいながら、部屋に通してくれました。部屋にはすでに預けた荷物が運んでありました。

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4畳半とはいいながら、何と2間続き。思ったよりきれいで上品な感じですが、昭和元年ころの造りのままだそうです。間には小さな襖の仕切りがありますが、かがまなければ通れないサイズ。

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私としては、思ったよりきれいだったけれど、もうこの部屋の雰囲気だけで、うれしくなってしまいました。執念を持って泊まりにきて良かったと思いました。

というわけで、ここまでだいぶ長くなってしまったので、続きは次回にします。

[酒田  最上屋旅館](2011年5月宿泊)
■所在地  山形県酒田市中町2-2-16
■楽天トラベルへのリンク→最上屋旅館<山形県酒田市>
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