3月に和歌山に行く用事があり宿を探してみたら、けっこう満室のところが多く、ようやくみつけたのが「巴旅館」でした。和歌山市駅から徒歩7分くらいの繁華街にあり、立地がなかなか良い割に空いていてラッキーでした。
当日は難波から特急「サザン」で和歌山へ。
宿は素泊まり4200円で予約してしてあったので、市内のどこかで食事をしてから宿へ行こうという作戦。まずは宿の近くの繁華街をめざしました。
宿は大きな通りから1本入ったところですぐに発見。小さいビジネス旅館風の建物です。こういう感じは私の好み。
場所が確認できたので、そのまま町歩きへ。和歌山市内に泊まるのは2回目で、前はお城の近くのビジネスホテルでした。その時も深夜になってから街中やJR和歌山駅付近をかなり歩いたのですが、この中心地あたりの土地勘はあまりありません。特にめざす店もなく、適当に歩きましたが、思ったよりにぎやかなエリアでした。
しかし食事をするとなると少し裏に入ったほうがいいと思い、路地へ。路地といっても、「中ぶらくり丁」と表示してある大きなアーケード街で、なかなか楽しそうな商店街でした。
その入り口でいきなりラーメン屋を発見。私は和歌山ラーメンでも食べようかと思っていたので、さっそくここに入ることにしました。まだ5時くらいで夕食には早い時間だったのでほかに客はいませんでした。
ラーメンはこんな感じ。特に珍しいこともない和歌山ラーメンでしたが、なかなかおいしかったです。
レジのそばで何か煮込んでいたので聞いてみると「どて焼き」だということです。すごいビジュアルですが、飲みながら食事をするとしたら、こんなのがあるといいですね。
川沿いの飲み屋街。まだ時間が早いのでやっている店はあまりありません。
そんな感じで宿に到着。女将さんがすぐに出てきて部屋に通してくれました。
部屋は典型的な古いビジネス旅館の雰囲気で、狭い部屋ですが、必要なものはすべて揃っています。
お風呂に降りる階段はかなり急なので、気をつけるようにいわれました。
すぐに布団を敷いて横になりましたが、この日は宿の廊下に置いてあった「ミナミの帝王」にはまってしまい、5冊くらい読んでしまいました。快適な居心地のいい宿で、すっかりくつろいでしまいました。
翌朝は仕事があるので早くから出発です。出掛けに見送ってくれた女将さんによると、私と同じ仕事の要件で泊まっている客が多く、市内の宿は混んでいたそうです。「やはり」と思いました。巴旅館に泊まっているお客さんも同じ件で長期滞在していたそうです。私もこの宿なら長期滞在して、食事の面倒まで頼みたかったと思いました。
前日は歩きましたが、翌朝は和歌山市駅までバスに乗ってみました。
朝食は南海そばの「きざみそば」。店のおばちゃんの「いってらっしゃい」の声に送られて、電車に向かいます。
この日用事が済んだのはお昼頃でした。まっすぐ帰っても良かったのですが、どこか和歌山近辺で寄ってみるところはないかと考え、調べた結果、南海の加太線というのがあり、その終点の加太駅まで行くと、海に近そうです。のんびりこういう支線に乗って見るのもおもしろいかと、行ってみることにしました。しかも加太には淡嶋神社という人形供養で知られた神社があるそうな。人形供養などとはおもしろそうです。
「紀ノ川駅」で加太線に乗り換え。のどかな支線の風景を眺めながら加太駅に到着。ちゃんと駅員もいる、立派な駅でした。
とはいえ、駅前にはおみやげ屋さんがあるだけで、あとはほとんど何もありません。タクシーの待合所が隣にありました。スマホのマップで見ると、淡嶋神社までは歩けそうな距離なのですが、かなり暑い日でもあり、タクシーに乗りたいところ。しかし車が来る気配はなく、仕方がないので歩くことにしました。
商店には「携帯品一時預り所」という看板が出ていたので、呼んでみるとばあちゃんが出てきて荷物を預かってくれました。確か200円か300円だったような気がします。
駅からすぐに下る道を降りていくと、下に観光案内所がありました。ここのおばちゃんが親切で、地図をくれた上に、もし必要ならタクシーを呼んでやるというので、頼みました。
タクシーはすぐにやってきて、乗りながら周囲の風景を見ていると、けっこう民宿などもあり、それなりに観光地として栄えているような感じでした。運転手さんに聞くと「まあ海水浴の季節になるとそれなりに観光客は増えるけど、こんな時期に来る人は珍しい」というので、「和歌山で仕事があったついでに寄ってみた」というと、「仕事できたついでに関係ないところに寄ってみるという、そういう好奇心は非常によろしい。感心なことです。お客さん、学があるね」とほめられました。
そのついでに和歌山の穴場温泉を教えてくれました。「今後こんな機会があったら、ぜひ行ってみるといい。地元の人しか行かないようなところだけど、本当にいい温泉場だから」ということでしたが、だいたいの場所はわかるのですが、名前を忘れてしまいました。あとで調べてみようと思います。
淡嶋神社へはすぐに到着。やはり歩いてもいいような距離でした。
大きな赤い鳥居があり、その奥の参道には海産物などを売る店や食堂が並んでいます。観光客らしき人もそれなりにいました。
この黒髪の人形は、何というか、ただの人形ではありますが、あまり夜中に遭遇したくない感じ。
この日人形を持ち込んで供養を頼んでいる人もいました。人形を手放すのにどんな事情があるのか。たぶんいろいろでしょうけど、愛着がある人形は捨てがたいので、こういう神社の役割があるのでしょうか。
かなり圧倒された気分で神社を出て、まだ時間があるので参道の食堂でビールを飲んでいくことにしました。
いかの焼いたやつを頼みましたが、ほかの客が近海魚や貝類を食べているのを見たらうまそうだったので、そっちにすればよかったと思いました。
古くからの港町らしいなかなか渋い町並みが続きます。
テングサも200円で無人販売していましたが、品物が切れていました。
途中に古そうな道標も。「右和歌山道」は読めそうですが、左は読めません。
ようやく駅前の荷物を預けた商店に戻ってきました。ばあちゃんが「今日は天気が良くて散歩にはいい日和でしたね」と声をかけてきました。いい日和というより暑すぎるくらいだったのですが、確かに雨でも降っていたらまた印象はまったく違っていたでしょう。
それにしても、人形の神社といい、まるで夢の中を歩いているような不思議な体験でした。それなりに人家も密集していて、観光地にもなっているエリアだと思うのですが、どこか懐かしさを感じさせる街でした。
そんなことで加太線経由で和歌山市駅に戻り、昼食を食べていなかったのでまたも南海そばに寄って、今度はかきあげうどんを食べて帰りました。
[和歌山 巴旅館](2014年3月宿泊)
■所在地 和歌山県和歌山市本町3-8
■楽天トラベルへのリンク→巴旅館