日本ボロ宿紀行

ボロ宿にあこがれ、各地のボロ宿を訪ねています。

2014年04月

「ボロ宿」というのはけして悪口ではありません。
歴史的価値のある古い宿から単なる安い宿まで、ひっくるめて愛情を込めて
「ボロ宿」といっています。自分なりに気に入った、魅力ある宿ということなのです。
もともと、できるだけ安く旅行をしたいということから行きついた結果ではありますが、
なるべく昔の形を保って営業している個性的な宿を応援していきたいと思います。
湯治宿や商人宿、駅前旅館など、郷愁を誘う宿をできるだけ訪ねて、
記録に残していくこともいずれ何かの役にたたないかなと‥‥。

静かでほっとできる魚料理たっぷりの駅前旅館 [富山県 入善町 ちとせ旅館](特別寄稿 by ゆずぽんさん)

仕事関係で出張が多く、あえて駅前旅館などに泊まっているという、「ゆずぽん」さんから宿泊レポートの寄稿がありました。そのまま紹介します。


入善駅前です。

駅前には酒屋さんが1軒、あとは何もありません。改札を出てロータリーを右に進み、最初の路地を左に曲がります。

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駅の渡り通路から。向こうが富山市内方面。駅のそばに右手にNECと京セラの工場。

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駅から徒歩2分程度、外観は改装したのか小奇麗で趣があります。

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入口はこんな感じ。

暖簾が何とも言えない雰囲気を出しています。あまり目立たないので近づかないと判らない程です。周りには居酒屋が2軒程ありました。

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通されたお部屋です。

1Fの和室を襖で仕切ってあります。広さは8畳ほど。到着した時には既にストーブと炬燵がついており、部屋は暖かで布団もひいてありました。

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部屋数はかなりあるようですが、本日の宿泊客は私一人。宿は60過ぎの元気なおかみさんが一人で切り盛りされているようです。

「先に食事なさりますか?」との問いに寒いし一杯やる前にまずお風呂と思い「先にお風呂いいですか?」と私。「うちのお風呂温まるまで時間かかるので20分くらいお待ち頂けますか?」っとおかみさん。

「ゆっくり待ってま~す」と炬燵に入りお茶を一杯(茶菓子はチョコレートでした)。その間、部屋の中と周りを少し探索。2方を廊下で囲まれ左の障子を開けると中庭がありました。またSoftbankのWi-Fiが入っていました。部屋の作りから見ると1Fは宴会場にもなるような、繋げるとかなり広い部屋になるようです。

15分ほどで「お風呂出来ましたよ!」とのお呼び。アメニティは浴衣、羽織、タオルにバスタオル、それに歯磨きセットです。着替えと浴衣、タオルを持っていざ浴室へ。部屋から中庭を囲いながら進むと洗面所とお風呂がありました。

床の間から見た部屋の様子。

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部屋出ると廊下に面して中庭があります。その先を左に進むと洗面所とお風呂場があります。中庭を見ながらくつろぐのも良いのですが、寒くって1分で挫折しました。

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中庭はこんな感じです。

雪が降って風情がありますが、廊下はとっても寒いです。

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廊下を左に曲がると洗面所、その奥の引き戸を右に入ればお風呂場です。突き当りは洗濯室になってました。

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お風呂は、まずまずの広さで浴槽も深く広かったです。木の桶がなんともいいですね。カコ~ンと音が響いてお風呂気分が盛り上がります。

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浴槽はこんな感じ。ちょっと見づらいですが大人3人程度は入れる広さです。

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お待ちかねの夕食です。玄関の脇に食堂があり、テーブルが4卓あります。

この日のメニューは左から松葉ガニ(小)焼き魚2匹、煮物、ブリのたたき、漬物、舞茸天ぷらと小鉢、途中の酒屋で買ったワンカップ3本持ち込みで、ささやかに1人宴会スタート(笑)

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ここでおかみさんと飲みながらおしゃべり。

「お客さん、お仕事?」「はい、でも入善は初めて来ました」「何もないでしょ!(笑)」「そうですね、でも静かでいいところですね」「私はつまらんので、この前も40日程、ベトナムとラオスへバックパッカーの旅をしてきたんですよ!」この旅話で盛り上がり1時間30分後、お酒もなくなったので切り上げました。
 
翌日は7:00に朝食をお願いしました。基本的にご飯はコシヒカリなのでとてもおいしかったです。左から目玉焼き、湯豆腐とろろ昆布柚子載せ、昆布巻き、ひき割り納豆、梅干し、焼き魚(めざし)味付け海苔、インゲンのマヨネーズ添えになめこの味噌汁です。

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ご飯はお櫃に山盛り入っておりましたが、美味しくてほとんど平らげてしまいました。

その後出発まで1時間あったので近くを散歩しました。海まで15分くらいなのですが、寒くて途中で挫折しました(泣)宿に戻りお会計(2食付6,500円)を済ませ、電車の時刻までおかみさんとおしゃべりしてました。「先週は工事関係者が沢山泊まってたんだけど、今週は工事も終わり暇なんですよ…」っと、おかみさん。静かで、ほっとできる良い宿だったなぁと思える富山の出張でした。


宿から10分ほど歩いた海へ向かう道から。遠くに日本海が見えます。この後、雪が降り出しいそいそと宿へ戻りました。これぞ冬の日本海沿岸の街って感じです。

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時々投稿をいただくことがありますが、大歓迎です。いいネタがあったらぜひ原稿と写真を送ってください。

[富山県  入善町  ちとせ旅館](2014年3月宿泊)
■所在地  富山県下新川郡入善町入膳7100
■楽天トラベルへのリンク→ちとせ旅館
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古い町家が残る東海道の宿場町で由緒ある旅籠を見学 [関宿 旧旅籠 玉屋]

四日市に行く用事があり、このついでに関宿を見学してくることにしました。これまで何度も通過する機会がありながら、見学する機会がなかった関宿。聞くところによると、JRの関宿で下車すれば、歩いてすぐのところにかなり魅惑的な町並みが残っているそうな。東海道の宿場町として有名ですが、もっと古代から鈴鹿関として知られていたところ。どんな感じの町並みなのでしょうか。

そういうわけで今回、宿泊はできなかったのですが、見学だけでもしてみようと思い、用事が終わって午後から関宿に向かいました。

まずは四日市駅。大都市の割に何だか“のぺっ”とした感じの駅ですね。

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四日市から関西本線に乗り、亀山で乗換。関駅に到着しました。何だかわくわくします。駅中に観光案内所があったので、寄ってみると、おっちゃんが地図をくれて、どれくらい時間があるのか聞いてきます。「1時間くらい」と答えると、それに見合ったコースを教えてくれました。観光案内の地図なども充実しております。

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私としては帰りの電車を1本延ばしてもまだ大丈夫なので、もし時間がかかるようであれば、それでもかまわないつもりでした。

駅からまっすぐ歩いていると古びた看板発見。

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やや坂を昇る感じで歩いていくと、それらしき通りにつき当たりました。この前の通りが、東海道の宿場町の跡なのでしょう。

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町並みの雰囲気に配慮した「百五銀行」。

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通りの両方にこんな感じの町並みが連なっています。どっちに行けばいいのかよくわかりませんでしたが、観光案内所のおっちゃんが「まず東追分に行ってみればいい」といっていたので、東方向をめざします。江戸に戻る方向ですね。

今でも商売をやっている家もあります。

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こういう格子や2階の手すりなんかで、かなり凝っている家がいくらでもありました。

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やがて道は下り坂に。少し前に降った雪がまだ残っています。通りはあまり人通りがないのですが、狭い道をけっこう車が通るので歩きにくいです。

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東追分到着。このへんは東海道と伊勢別街道の分岐点で、常夜灯が残っていました。伊勢別街道方面には大きな鳥居があったのですが、これは式年遷宮の時に伊勢神宮の宇治橋南詰のやつを、移築することになっているそうです。

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とにかく東追分を確認したので、次は西をめざします。平日の午後だというのに、観光に来たらしきモノ好きな人もいますね。私も人のことはいえませんが。

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本陣跡。ちなみにここの門は近くの延命寺というお寺に移築されていました。

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「まちなみ資料館」。近くに町並みを見渡すことができる展望台もありました。

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もうひとつ本陣跡発見。本陣がふたつもあったなんて、さすが関宿。脇本陣跡もいくつか見かけました。

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橋爪家というかなり渋い家も。今でも人が住んでいるのでしょうか。非常にうらやましいような風情を感じる家です。

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このあたりに地図で私が目をつけていた旧旅籠「玉屋」があり、見学できるようになっています。そのへんを写真に撮っていると、自転車で通りがかったおばちゃんが「そうそう、玉屋はちゃんと撮っておいたほうがいいよ」とアドバイスして走り去っていきました。

その玉屋の隣に「石垣屋」という宿もありました。外観は雰囲気のある古さですが旅籠風ではなく、元は商家のように思えます。しかしどうやら宿として営業しているようです。こういうのがあると知っていたらぜひ泊まってみたかった。

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開け放してあるので覗いてみると、何だか居心地の良さそうな座敷が連なっていました。今度行くことがあったら、ぜひとも頼んでみたいと思います。

さて玉屋は300円(まちなみ資料館と共通券)で見学できます。

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あがりの板の間。

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土間やかまども残っています。

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こういうのは最近どこに行ってもいますね(笑)

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奥に土蔵があり、浮世絵を展示してあるのですが、そこは写真撮影禁止でした。

座敷にあがってみます。欄間の見事さがすごい。「玉屋」は関宿でも名の通った旅籠で、昔は「関で泊まるなら鶴屋か玉屋、まだも泊まるなら会津屋か」と謡われたほどの宿。ちなみに鶴屋は見落としましたが、会津屋は何か商売をやっていました。いずれも建物が残っているというのがすごい。

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2階座敷にはお膳が出ていました。今でも十分営業できるような保存状態です。

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古い階段も残っています。

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かなり時間をかけて見学したので、どうやら西追分まで行く時間はなさそう。この先の地蔵堂を見学して駅に戻ることにしました。

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その向かいあたりに先程の「会津屋」がありました。

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駅に戻る途中、名物らしき「志ら玉」というきれいな団子を売っている店があったので、1個だけ買い、あとはひたすら駅へ。駅の商工会議所に売店があって、亀山ローソクがいろいろ売っていたので、チョコドーナツ型のローソクを買ったあたりでちょうど列車が到着しました。

あまりに短時間でもありじっくりと見たとはいえませんが、前から行きたかった関宿をようやく訪問できました。これほどの規模で町並みが保存・整備されているとは思いませんでした。こうやって下見をしておくと、後で実際に泊まる時に役にたったりもするわけです。

[関宿  旧旅籠  玉屋](2014年1月見学)
■所在地  三重県亀山市関町中町444-1
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プロフィール

もんすけ

 古い湯治宿や駅前旅館など、日本が高度成長時代に入る前からあったような雰囲気の宿が大好きで、各地を回っています。
 どこにいってもそれなりに立派な宿が多く、個性的なボロ宿に出会うことは少なくなりました。
 10年、20年前ならもっといろんな宿が残っていたと思いますが、しかしいま現在でも、10年後、20年後に比べたら多くの貴重な宿が残っているはずです。そうした宿を記録に残していけたら、と思っています。

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