前にちょっとこのブログでも書いたのですが、兵庫県のブロガー招待企画「兵庫・ブロガー100人戦国トリップ」に応募してみたところ、なぜか選ばれたので兵庫県のお城巡りに行ってきました。補助金をもらって兵庫県を旅して、ブログで紹介するという企画です。しかも、かみさんに岡山出張が入ったので、これにかこつけていけば2人で行ってもだいぶ経費が節約できるということで日程を決定。
私としても、かりそめにも兵庫県の予算をいただき、観光活性化という重要な役割の一端を担うことになった以上、いつものように気分まかせのいいかげんな旅ではよろしくない。そんなことを思い、私なりに野心的な計画を立ててみました。
兵庫県で行きたいところも数あるなかで、私としては圧倒的な第一位が「竹田城跡」でした。「天空の城」、「日本のマチュピチュ」など、いろいろ通称がありますが、前から不思議な城跡がある、と聞いてぜひ一度は行ってみたいと思っていました。こんな感じの写真を見たことがある人も多いと思います。(写真は和田山町観光協会のHPからお借りしました)
応募する段階で、旅の希望エリアとして竹田城跡がある但馬エリアを第一希望にしていたところ、それもそのまま通ったので、今回、竹田城跡に行くことを最大イベントとして計画を立案。豊岡、出石などの城下町を訪ね、最後は城崎温泉で〆るという、まさに万全の計画を立てました。
そういう事情なので、今回も安い宿を選んではいますが、けして“ボロ宿”が出てくるわけではないのでご了承願います。今回はいずれも立派な宿ばかり泊まっております。
さて、実際に行くと決まった後に、少し竹田城跡のことを調べてみました。写真で見るような雲海は、実は秋から冬にかけての早朝しか出ないので、普通は朝早く暗いうちから登る必要があること、それから城そのものに登るか、あるいは城の遠望を重視し、遠くから眺めることができる峠の眺望ポイントに行くか、いろいろ考えなければいけないということがわかりました。
車が入れるのは中腹の駐車場までで、そこからけっこう歩く必要があります。しかし、竹田駅からの登山路もあり、40分程で歩いて行けるルートもあるらしい。朝早く行くとなるとタクシーなどを頼む必要がありますが、台数も限られているそうな。
そんなわけであこがれの竹田城跡に行くのはけっこう面倒くさいことなのだ、ということを実感しました。
そうなると行ってみないとわからないことも多いので、最悪でも歩いて登ればいいと決めて、とにかく現地の宿を予約。しかし週末だったせいか、宿が少ないせいなのか、意外と手間取りました。
一応の手配を終えて出発。いろんなルートが考えられましたが、まず新幹線で姫路まで行って、そこから播但線に乗って竹田、和田山方面へというルートを選択。朝早い新幹線なので、今回も朝食は貧乏くさい海苔弁。最近はおにぎりより弁当に凝っています。タコウィンナやハンバーグもあって、のりたま付き。これで朝からビールを飲みつつ姫路に向かいました。
姫路駅到着。駅周辺は何やら工事中でした。そして本来なら正面に見えるはずの姫路城。しかし今は修復工事中なので、足場の囲いしか見えません。
私は昔仕事で姫路に来た時に、姫路城の外側を車で回ってもらったことがありました。その時の印象は深く、数ある城なの中でもダントツの迫力、重厚感でした。漆喰の白い外壁も年月を重ねて美しい。だいたい姫路の駅を降りて、正面に城を見た時の感動も忘れられません。こんな町中にあんな大きな城(しかも再建天守ではない本物)があるなんて。今回はせっかく来たからにはちょっと寄ってみたい気持もあり、修復中ながら行ってみることにしました。
駅前のバス発着所の案内にいたおっちゃんに「今、姫路城はどうなってるんですか。中に入れるんですか」と聞くと「入れる」と断言。バスについて聞くと「すぐに乗りたいのなら、案内所の前の停留所から出る路線バスがすべて城まで行く」ということでした。おそらくこのおっちゃんは年中同じようなことを聞かれるので、もはや効率的に回答することに熟練しきっている感じでした。実際は駅から城まで十分歩ける距離だと思います。
しかしバスが便利なので時間もかからないし、やはりちょこっと寄っていこうかな、とバスに乗車。姫路城に入ってみました。
天守は工事中で囲われていますが、隣の櫓だけでも、普通の城の天守くらいの規模があります。石垣なども本物の迫力。
天守の中には入れませんが、エレベーターで工事中の城を見学できる施設「天空の白鷺」というのをオープンしていたので入ってみました。
天守閣最上部を見学できます。すごい。アップで見る屋根は、逆に修復中でないと見ることができない光景かもしれません。
外を見ると、駅までまっすぐ続く道が見え、遠くにはうっすらと海や島も見えます。大天守は海抜91.9mの高さだそうですが、景色を見るともっと高く感じます。
城自体はすごく広いので、全部見るのはあきらめ、西の丸方面に行ってみました。百間廊下という長い渡櫓や、千姫様の化粧櫓などがありました。こういうのを見ると、つい写真を撮ってしまいます。
今日は和田山まで行く必要があるので、姫路城は修復工事後に改めてゆっくり来ることにして、再び姫路駅に戻りました。姫路駅では有名な立ち食いを食わないといけないので、早速寄ってみました。名物「えきそば」はラーメンの麺にそばやうどんのつゆを合わせた独特の立ち食いそばだそうで、食べてみたらちょっとほかにはない味でした。くせになりそうな感じ。
そしてだいたい予定通りの時間に播但線に乗車。いよいよ和田山に向かうわけですが、直行する特急もあるようでしたが、この時は普通列車に乗りました。
姫路を出る時はかなり混んでいて座ることができませんでしたが、やがて人が減り、乗換駅の寺前当たりではかなり少なくなっていました。途中、「生野」という駅からは生野銀山というのに行けるとか。時間があればぜひ寄ってみたいところでした。
寺前で乗換時間が40分くらいあったのですが、途中下車すると前途無効になる券なので、しばらく駅で待機。しかし一応念のために駅員さんに聞いてみると、「途中下車はできませんが、ちょっと出るだけでしたらどうぞ」といわれたので、早速駅前に出てみました。
寺前駅は小さい駅ですが、駅前に神河町の観光案内所もあり、ラーメン屋もありました。このラーメン屋は、立地や造りからして、昔は宿屋でもやっていたのかもしれない、などという妄想も。
観光案内所には天然水の試飲もありましたが、寒い日だったのでつい水ではなくお湯を飲んでしまい、あまり味の違いがわかりませんでした。
この路地を少し歩いていくと商店を発見。入ってみるとなぜか駄菓子系が充実した店だったので、飴を買いました。40分くらいしかないのであまり深入りせず、また駅へ。
駅には「乗りたいなぁ 全線電化の播但線」の標語が。電化していない区間があるのでしょうか。
そして普通列車に乗って和田山へ到着。けっこう大きな駅で、意外なほど大きな町です。
今日予約してある宿「いずみ旅館」は駅から近いので、のんびりと歩いて向かいます。
いずみ旅館という看板もありましたが、実際に泊まった宿は、その奥にある4階建ての「ファーストホテル いずみ」。近代的なホテルでした。ちょうどこの同時に到着した工事関係者らしい数人の客が入っていったので、たぶんビジネス旅館的に宿泊する常連客もいるものと思われます。あとでわかったのですが、手前にある旧館も「いずみ旅館」として営業しており、大広間が中心の団体用に使っているようでした。私はよくわからないで予約したのですが、できることなら「いずみ旅館」のほうが良かった(笑)
玄関を入るとすぐにフロントがあり、ひじょうにていねいな応対の若いにいちゃんが出迎えてくれました。何はともあれ、「明日の朝、竹田城跡に行きたいんですが」と聞いてみました。送ってくれるものなのかどうか。
兄ちゃんは「朝5時に車を出します」という返事。結局、荷物を預けて朝5時の車で中腹駐車場まで送ってもらい、その後それぞれ勝手に下山し、荷物を取りにまだ宿に戻るという作戦を決めました。朝ごはんはおにぎりを作ってくれるそうな。やはり竹田城跡目当ての観光客も多いようで、非常に手慣れた感じ。
竹田城に行くと聞いて奥からきさくな感じのご主人が出てきて、「明日は天気がちょっと心配だけど、5時に起きてくれれば送っていきます。5時というと真っ暗だけど、懐中電灯は持ってきてる?」と聞かれて、「持ってない」というと、「まあ、前後に人がいればみんな持ってるからね。その明かりでけっこう歩けますけどね。だいたい5時半くらいになれば夜が明けてくるし」ということでした。われわれはどうも準備不足の無謀観光客だったようです。
とにかくそうと決まれば安心して部屋へ。ビジネスホテル的な設備なのですが、どことなくメルヘン調。廊下にはメルヘンチックなBGMも流れていました。あの主人には合わない感じですけど、誰の趣味なのでしょう? お風呂は2~3人入れる大きなのが1階にあったので、そっちを使わせてもらいました。
その後ちょっと散策へ。表通りに出ると、商店街があり、それなりに店もありました。このへんが和田山の中心市街地なのでしょう。
食事は大広間で。この部屋は「いずみ旅館」の時代から使われていた部屋だと思われます。ごはんのおかわりはセルフですが、フロントにいた若い兄ちゃんがだいたいよそってくれていました。工事のおっちゃんたちは、すでに本格的に飲み始めています。
この日の夕食は白身魚のフライと鍋焼きうどんが中心。あとで刺身も出てきました。寒い日の鍋焼きうどんは非常にいいですね。私たちは、ビールを飲んだあと、熱燗を注文してさらに温まるという作戦。
さらに熱燗のおかわりを重ねているところへ、ご主人がやってきました。
熱燗でしびれた頭で、詳細はよくわかりませんでしたが、とにかく地元の警察などとの取り決めで、朝8時前に一般車両は中腹駐車場まで通行止めになるとかなんとか。「たった今、急に連絡があって弱っているんだ」ということでした。そうなると、麓まで送ってもらったとしても、かなり歩くことになるそうです。
聞くところによると、最近竹田城跡への観光客が激増し、この前の3連休などは道路にまで車がはみ出して渋滞し、夜中から徒歩の観光客が列を作るほどだったとか。安全上の理由から何らかの規制が必要なのは理解できます。しかもあまりに急に観光客が増えたため、いろいろ試行錯誤もあるということでしょう。
ご主人は「正式決定でもないみたいだし、とにかく行ってみて行けるところまで行くか、それとも5時の出発はあきらめて、ゆっくりうちで朝ごはんを食べて、それから行くのも悪くないよ」といってくれました。しかし、せっかく兵庫県の使命を帯びてここまで来た以上、中途半端はよくない。「とにかく5時に城に向かうことにしたい」というと、「わかりました。意外と行けるかもしれないしね」ということで、話は決着。4時起きに決まったからには早く寝ることにしました。
さて翌朝4時に起きてみると外は真っ暗。それなりに雨が降っていました。竹田城跡の雲海は晴れた日に出やすいということなので、今回は無理と思いつつ、もうこうなったら行くしかありません。
[いずみ旅館](2013年10月宿泊)
■所在地 兵庫県朝来市和田山町寺谷712-10
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