GWに北海道から戻って1週間くらい後に、急きょ、またも北海道に仕事で行く用事ができました。今度は旭川です。
同じ方面での仕事が重なるというのはけっこうよくあるものですが、まさか戻ってすぐにまた北海道に行くことになるとは思いませんでした。
せっかく旭川に行くのであれば、今度はどこか古い旅館を探してみようと思い、いろいろ調べてみました。
市内にも渋いビジネス旅館があるのですが、そんなに古いわけでもなく、そこで思い立ったのが、少し旭川から遠いものの、芦別とか歌志内とか、炭鉱で栄え、その後さびれた町に行ってみるのもおもしろいのではないか、ということです。
いろいろ調べた結果芦別に古い旅館があってよさそうなのですが、あまり情報がないのでとにかく電話してみました。電話に出たおばちゃんに泊めてくれと頼んだところ、「うちはもう商売をやめてしまったんです」という残念な結果に。やはり古い宿はぐずぐずしているとなくなってしまう可能性があります。
芦別にはもうひとつ「ライフステージホテル天都」という大規模リゾートホテルがあり、ここもマニアの間では有名なのですが、「さすがにちょっと違うしな~」と今回の芦別泊はあきらめました。
それで最初に戻って改めて考えてみたのが、旭川から北方向の士別、名寄方面に行ってみようということです。昔バイクで通った時には士別駅付近にかなり古い宿があったのを見かけていました。そのへんを目当てに探していると、士別の少し手前の剣淵という駅付近に「駅前旅館」という宿があることをウェブ上で発見したわけです。
しかし少し妙なのは、ここは旅館とはいいながら食堂を併設しており、「ラーメンとカレーがうまい」という情報はたくさん出てきましたが、泊まったという話は見つかりません。ラーメンについてはかなりおいしいようで、わざわざ遠くからでも食べに行く人がおおぜいいるようでした。
それなら私もここのラーメンを食べてみようかと思い、まったく別の観点からこの宿に決定。しかし電話してみると、泊りはオーケーでしたが、当日は食堂が定休日でラーメンは食べられない、という衝撃的な事実に遭遇。しかし剣淵というまったく知らない町に一泊してみるのもおもしろいと思ったので、朝食付きでお願いしました。
そういうわけでまたも羽田空港から新千歳空港へと飛行機に乗りました。
目的地は旭川なのですが、現地の仕事の都合で新千歳に集合し、そこからクルマで旭川へ。朝早い便なので、新千歳空港で朝食にラーメンをまず一食。実はこの日、結果的に3食ラーメンでした(笑)
旭川では、仕事の前にまず食事をしようということになり、旭川ラーメン村へ。前にも来たことがあって、やたらと中国人がいた記憶があるのですが、今回もいました。比較的空いていた「いし田」に入ってみました。普通の旭川系醤油ラーメンでけっこうおいしかったです。
まあ旭川にはいろいろおいしい店があるので、地元の人はあまりラーメン村には行かないでしょうね。
そんなわけで、実際に仕事が終わり、同行者と旭川で別れたので3時過ぎくらいだったでしょうか。
買物公園でコーヒーを飲みつつ、このあとどうするかを考えました。外は雨。
とにかくひとつ重要な任務として行かなければいけなかったのが、市内にあるおみやげ屋さんです。
数年前に旭川で手にいれたモノと同じモノがどうしても欲しくて、ネット上でそのおみやげ屋さんに相談したことかありました。その店の主人が親切な人で、「すでに製造中止になっていて、店にはおいていないけれど、探せばどこかに売れ残っている可能性はあるので、少し周辺の店を探してみます」ということでした。
数日待っていると連絡があり、「美瑛のおみやげ屋さんで一個だけ残っているのを見つけました」といって送ってくれたのです。私は感激してお礼をしたいと思ったのですが、「そういうことをされるとこちらもまたお返しを、などということになってきりがないので、代金だけでけっこうです」ということでした。美瑛あたりまで探しにいったということは、それなりに時間やお金がかかっているはずです。
それほどまでに世話になったおみやげ屋さんに、せめてあいさつだけでもしていこうと思っていたわけです。その店はすぐに見つかりましたが、突然訪ねたので、ご主人は不在でした。ご主人は若い人だったので、そのお母様らしき方に事情を話し、名刺を渡してお礼を伝えておいてほしいとお願いして帰ってきました。
これで任務終了。旭川から剣淵までは宗谷本線で1時間くらいなので、そろそろ旭川駅に行くことにしました。
しかし駅に行ってたまげました。昔の古い駅舎がなくなっており、未来都市みたいなガラス張り建築の駅ができているのです。ちょっとみない間に。ロータリーはまだ工事中でした。
そうすると、いつも来ると必ず食べていた立ち食いそば屋はどうなったのか。これは2008年に行った時のかしわそばの写真↓
必死に探してみると、立ち食いそば屋はありました。しかし前にあった店とはメニュー構成が違うような気もします。食べてみればわかるのですが、今回は時間はずれだったため、次回訪問時には食べてみたいと思います。
そのほか、大きな売店の奥に「幌加内そば」という店もありました。ここはテーブル席があり。なかなか魅惑的に感じる店でした。
新駅はとにかくだたっぴろい感じ。人の数に比べて広すぎる気もしますが、いずれ新幹線が来ることを見込んでいるのかどうか。
設備なども、あまり東京近辺でもみかけないような新しいスタイルになっていました。昔駅前にあったアイヌの木彫り人形はどこに行ったのでしょうか‥。
さらに駅舎内にギャラリーなどアートの香りも。
石川啄木歌碑もありました。
こうやって世の中は変わっていくのだな~と感傷にふけりつつ、時間が来たので宗谷本線の普通列車に乗り込みました。通勤通学列車になっているらしく意外に混んでいました。
剣淵駅到着は7時前くらい。もう暗くなっています。
めざす駅前旅館は、まちがいようがないぐらい駅のすぐ前にありました。
夕食が付いていないため、まずは付近で飲食店を探します。しかし、駅前も駅前旅館以外は暗く、店などありそうな感じがしません。しかしとにかくやみくもに歩いてみることにしました。雨の夜、遠い明かりを頼りに歩きます。
やがて飲食店らしき看板が。
やれやれと思って入ってみると、営業している感じではなくて、食堂というより仕出屋みたいな感じです。おばちゃんが出てきたので「食事はできますか」と聞いてみると「うーん、お寿司くらいなら出せるけど、少し時間かかかってもいいでか」といいます。しかしほかになければそれでも仕方がないのではないか、と思ったわけですが「ほかに食事ができる店はありますか」と聞いてみると「駅前に駅前旅館という店があります」というので、「そこは今日、定休日なんです」というと、ほかの店を教えてくれました。
いわれた方角に少し歩き、大きな通りに沿っていくと「やまもと亭」というのがありました。これもジャンルがわかりにくい感じの店でしたが、赤ちょうちんが出ていたので居酒屋でもあろうと思い入ってみました。ほかに店を探す気力もすでになし。
入ってみると客は誰もいなくて、すごく照明を落した暗いカウンターに店のおっちゃんと若い女性がいて「いらっしゃい」といいます。照明はついていませんが座敷などもあり、広い店のようでした。
「これでとにかく夕食は確保した」と思うとホッとしました。とにかく生ビールを頼んでからメニューを見ると、居酒屋風のおつまみもあり、定食やラーメンもありと、その時の状況にはうってつけの店でした。まず焼鳥とモロきゅうを頼んで、宿に電話。少し到着が遅くなると連絡。
この店は結果的にすごくおいしい店で、焼鳥のつくねなどもすごくていねいに作ってありました。暗くて写真はうまく撮れませんでしたが、つまみがおいしいのでビールをさらに本格的に飲みました。
そして最後に味噌ラーメン。「これで今日は3食ラーメンだな」と思いつつ、ついオーダーしてしまいました。
ビールも飲み、おなかもいっぱいになったので、再び歩いて駅前旅館へ。もう後は風呂に入って寝るだけなので安心です。
「駅前旅館」では女将さんが出てきて、お風呂の場所などを教えつつ、2階の部屋に案内してくれました。朝食の時間を確認して、ようやく部屋で一息つきました。
思ったような古い宿ではなく、新しい建物です。内装もきれい。たぶん工事関係者など、ビジネス系の長期滞在を前提としているようで、部屋に洗面化粧台がありました。
また別室には洗濯機も完備。ここにマンガもたくさんありました。
お風呂は小規模な宿としてかなり広い湯船で、3人くらいは入れそう。この日てっきり貸し切りだと思ってくつろいでいたら、若い男性客が入ってきたのでびっくりしました。
部屋に戻ってマンガを読みながら布団に入りました。部屋には食堂のメニューが置いてあり、定休日でなければここのラーメン&カレーセットが食べたかったところです。残念。しかし私は、いずれは食べる機会が来ることを信じています。
朝食は一階の食堂で。普通の和食ですが、かなり一品一品がおいしく感じました。やはり食堂をやっているだけあって、味付けがいいです。久々のラーメン以外の食事。めし3杯食べてしまいました(笑)
聞いてみると、最近は旅館よりも食堂のほうが本業になっているようで、宿泊の場合も夕食は出していないそうです。そうなると長期滞在の客はどうしても毎日ラーメンというわけにはいかないので旅館としては難しい、ということでした。
ご主人も厨房の奥から出てきて、少し話ができたのですが、宿自体もそんなに古い時代からの旅館ではないそうです。旅館開業後に食堂を始めたのがけっこう人気店になってしまったということのようです。
確かに駅に近いとはいえ、剣淵という町にいったいどんな産業があり、どんなビジネス客が来るのかよくわかりません。駅前は本当に殺風景というか、何もない感じ。「絵本の館」というのと、アルパカ牧場があるみたいですが。
駅付近は主要国道からもちょっとはずれているし、逆にいえばこういう立地でありながら、ラーメンで客を呼び、やっていけるというのはすごいことかもしれません。
この日、予定ははっきり立てていませんでしたが、帰りの飛行機は旭川空港から7時過ぎの便をとっていたので時間はあります。やはり炭鉱の町芦別方を見るだけでも見てみたいと思い、列車に乗り込みました。