日本ボロ宿紀行

ボロ宿にあこがれ、各地のボロ宿を訪ねています。

2012年12月

「ボロ宿」というのはけして悪口ではありません。
歴史的価値のある古い宿から単なる安い宿まで、ひっくるめて愛情を込めて
「ボロ宿」といっています。自分なりに気に入った、魅力ある宿ということなのです。
もともと、できるだけ安く旅行をしたいということから行きついた結果ではありますが、
なるべく昔の形を保って営業している個性的な宿を応援していきたいと思います。
湯治宿や商人宿、駅前旅館など、郷愁を誘う宿をできるだけ訪ねて、
記録に残していくこともいずれ何かの役にたたないかなと‥‥。

天神祭を目的に伊賀上野を再訪。鬼行列を見る [伊賀 薫楽荘(前編)]

一昨年、伊賀上野を訪ねて「薫楽荘」という宿に泊まりました。そのときに天神様のお祭りは一見の価値があると勧められ、さらにく だんじり会館で実際に行なわれるだんじりの曳行や鬼行列の様子を見て、ぜひ祭りの時期に再訪したいと思っていました。

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この秋、ついにその願いが叶い伊賀を再訪することができました。泊まるのは前と同じ薫楽荘さんの同じ部屋。前にこのブログでも紹介し、本でも紹介したのですがご主人や女将さんがそのことを覚えていてくれて、たぶん祭で忙しい時期であるにも関わらず、いい部屋を取ってくれました。

前回訪問時の記事。

ちょうど同じ週の週末に和歌山に行く用事ができたので、このときの企画は伊賀に一泊してから奈良経由で和歌山に抜けるというもの。合計3泊。

メインイベントである上の天神祭の宵山の日に一泊する予定で、今回は名古屋から高速バスで行くことにしました。本当は途中関宿に寄りたいと思っていたのですが、やはりせっかくの祭なので早めに伊賀上野に到着する計画に変更しました。

名古屋駅からバスで上野市駅前まで直行することができます。

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バスは途中の峠を超えて伊賀市内へ。

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前回来た時に印象深かった廃墟風のビジネスビル「産業会館」にバス停があったのですが、バスの案内によると、どうも現在取り壊されており建て替えが進んでいるようでした。バスは「ハイトピア伊賀」とかいう、近代的なビルの前に着くということでした。古いビルが消えたと聞いてなぜか残念な気持が。

とにかく上野市駅前に到着。あいかわらず芭蕉せんせいの像が健在。

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これが建て替え中の産業会館。奥にハイトピア伊賀の近代建築がちらっと見えています。私が前に親子丼を食べた食堂もなくなっていました。

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前回きたときも見かけた「伊賀のくみひも」のベンチが残されていました。

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駅前の観光案内所で地図をもらおうと思っていたのですが、観光案内所もなくなっていました。よく探してみるとハイトピア伊賀の1階に移動していました。前回あったくのいちも、こっちに移転していました。懐かしい再会。

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ここで祭の運行状況を教えてくれました。だんじりや鬼行列がどの時間にスタートしてどのへんを通るか。それが確認できたので、まず先に上野城に行くことにしました。

駅のコインロッカーに荷物を預けた時に、時間的にはまだお昼くらい。上野城では天守にはのぼりませんでしたが、城壁の絶壁はやはりすごい迫力です。前も思いましたが、ろくにてすりもなく、上からお堀を見下ろすとすごい高さなのでかなり恐怖心が出てきます。

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そして伊賀忍者屋敷も再訪。私は1回来ているので屋敷のからくりもすべてお見通し。まったく前回と同じなので省略します。今回はこの付近でそばを食べました。

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そして再び駅前に戻っていよいよだんじりや鬼行列を見に行きます。メインの銀座通りにはかなりの数の屋台が出ています。あとからわかったのですが、この日、屋台は町中の路地まであちこちに出ていて、その数はとんでもなく多かったです。近頃、これだけの規模の出店がある祭を見たことがありません。それだけ上野天神祭は大きなイベントなのでしょう。

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少し行くと銀座通りと交差する東西の通りに沿って群衆が群がっていて、鬼行列が通っているような音が聞こえてきます。しかし人が多すぎて前に行けず、まったく見ることができません。

それで人が少ないところまで先回りして待ち伏せする作戦を決行。一度来て町中を歩いているところだと、だいだいの町の構造がわかるので便利です。魚町とか小玉町とかいう付近でした。

そしてついに念願の鬼行列に遭遇。と思ったら、まだ運行しておらず、子どもたちは準備中。

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やはりかなり気持悪い鬼です。

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やがて行列はゆっくりと出発。鬼は小さい子どもがいると寄っていって脅かすので、子どもは泣き叫んでいます。慣れてくると、遠くからでも子どもの泣き声で行列の居場所が読めるようになりました。

さらに釣り鐘を背負ってふらつきながら歩く鬼や斧を持って道路幅いっぱいに暴れ回る鬼もいました。これは「ひょろつき鬼」といって、上野天神祭の名物。

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私が写真を撮っていると釣り鐘鬼とちょっとぶつかってしまい「すみません」というと、向こうも「あっすみません」といっていたので、善良な鬼です。

それにしてなぜにこんな異様な行列が行なわれるようになったのか。もともとは上野天神宮のお祭だったそうですが、やがて各町が練り行列の趣向を凝らすようになり、そのときに鬼面も藩主から拝領したのだとか。かなり古い鬼面も文化財として保存されているようです。祭のイメージとしては京都や高山を思い起こさせますが、多様な鬼行列はまったく独特のものです。

前回来た時は祭の様子の説明を受けただけだったので、実際に目の当たりにするとすごく感激します。鬼行列もずいぶん長く続き、きりがないほど。豪華そうなだんじりの運行も見えましたが、この日は宵山で夜の運行があるので、だんじりは夜に見ることにして、鬼をおいかけ続けました。

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祭の期間中だからなのか、付近の商店では休憩用のベンチを出したりして、誰でも休むことができるようになっています。

かぎや餅店も大人気。

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トイレを貸してくれるという案内の忍者の看板もありました。

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屋台を冷やかしながら祭見物しているうちに、夕方になってきたので宿に入ることにしました。宿は中心町から少し歩きますが、昔の花街だったという通りに面しています。

薫楽荘に到着。

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以前お世話になったまだ若い美人女将が出迎えてくれて、以前と同じ部屋に通してくれました。

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やはりこの部屋はまれにみる風情豊かな部屋だと思います。どこも変わっていませんでしたが、テレビだけはチャンネル式からシャープの液晶に変わっていました。女将さんは地元だけに「シャープさんにはがんばってほしい」といっていました。

「ボロ宿」などという本で紹介したので恐縮していましたが、それを見て来たお客さんもいるとかで、特に怒られませんでした。地元のマスコミでも歴史のある和風宿として紹介されたりして、やはりすごく人気があるようです。

この日は外国人5~6人の家族客がいました。どこで探してくるのか、やっばり外国人はこういう古い和風宿が好きですね。私もどうせ泊まるならそのほうが日本観光の醍醐味が味わえると思います。

だいぶ長くなってしまったので、宿のようす、宵山のようすは次回に。

[伊賀  薫楽荘(再訪)](2012年10月宿泊)
■所在地  三重県伊賀市上野桑町1473
■楽天トラベルへのリンク→旅館 薫楽荘
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昭和初期の温泉風情を残す。伊東市指定文化財の観光施設[伊東温泉 東海館]

ケイズハウス伊東温泉に一泊し、翌日は隣にある文化財の観光施設で、内部を見学できる東海館に行きました。今回伊東をめざしたのは、この家を見学するのが最大の目的。

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チェックアウトしてから出かけましたが、荷物はケイズハウス伊東さんに預かってもらいました。

入り口付近の造作もかなり凝っています。この宿は平成9年まで営業していたそうですが、たぶんけっこう高級で料金も高い宿だったんでしょう。たぶん私が泊まれるような料金ではなかったはずです。

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入口左側に入り口があり、料金を払って見学。当時のままのお風呂は土・日・祝にお湯を入れて立ち寄り入浴もできるようになっています。もちろん入っていくつもり。

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また館内にある畳み敷きのカフェにも寄るつもりでしたが、まだ時間が早くて営業していなかったので、まず先に館内を見学させてもらうことにしました。

写真もたくさん撮ったのですが、きりがないくらいいい感じの部屋が続きます。1階には改築工事の様子を紹介する資料なども展示されており、中庭からは望楼を見上げることもできます。

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いろんな部屋があって、それぞれテイストが違います。

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各部屋にいちいち上がり込んで、火鉢の前に座ってみたり、松川沿いの縁に出てみたり。

飾り障子の造作や、電灯の造りなどに凝っているのは各部屋共通。とにかく感動的です。これだけの部屋がありながら、宿泊できないとは何とももったいない気がします。

廊下の雰囲気もなかなか最近では見られない独特の風情があります。

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階段で3階まで行くと、大広間や資料室などがありました。

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さらに望楼に上がると、伊東市内を一望できます。ケイズハウスにも望楼がありましたが、こちらのほうが広く、高さも少し高いようです。

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ひと通り見学するだけでも1時間くらいかかってしまいました。やがて喫茶店があいたので、広い和室でお茶などを飲んで休憩。

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お風呂は11時からなので、それまで待つつもりだったのですが、スタッフの人が少し早めに「準備ができた」と知らせにきてくれたので、早速お風呂に向かいました。お風呂は1階奥にあります。

浴槽は円形で古びた感じはなく、むしろちょっとモダンな感じ。昭和初期としては近代的なお風呂だったのでしょうか。

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現在この建物は伊東市の所有で観光・文化施設として大切に保存されています。泊まれないのは残念ですが、全部見学できますし、“保存目的”という意味では、すごくいい状況なのかもしれません。

伊東温泉ツアーの目的を果たしたので、この日は商店街のそば屋で、昼間っからいかの塩辛をおつまみにして風呂あがりのビールを飲み、そばを食べて、さらにあじの干物を買って帰ってきたというわけです。

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さて、話は変わりますが、書籍版「日本ボロ宿紀行」の続編が刊行されます。現在、1月発行をめざして作業中。表紙はほぼできていて、下の写真のような感じ。

日本ボロ宿紀行2 (1)

1冊目もごく一部の間では非常に好評で、たくさんの人が自分のブログで紹介してくれたり、マスコミでも紹介してもらいました。本当にありがたかったです。おかげで現在ほぼ品切れ中。増刷検討中だとか。

まるみや旅館のきくちゃん、ようやく本で紹介できます(笑)

とにかくブログに載っていないいい宿も、たくさん取材してきたのでお楽しみに。2冊目の発行スケジュールが決定したらまたここで宣伝します。

[東海館](2012年9月見学)
■所在地  静岡県伊東市東松原12−10

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プロフィール

もんすけ

 古い湯治宿や駅前旅館など、日本が高度成長時代に入る前からあったような雰囲気の宿が大好きで、各地を回っています。
 どこにいってもそれなりに立派な宿が多く、個性的なボロ宿に出会うことは少なくなりました。
 10年、20年前ならもっといろんな宿が残っていたと思いますが、しかしいま現在でも、10年後、20年後に比べたら多くの貴重な宿が残っているはずです。そうした宿を記録に残していけたら、と思っています。

楽天トラベルで予約できる宿(書籍・ドラマ登場の宿を含む)
北海道
大和旅館(洞爺湖温泉)
花びしホテル(湯の川温泉)
プレミアホテル‐CABIN-旭川(旭川市)
札幌プリンスホテル(札幌市)
つつじ荘(温根湯温泉)
洞爺サンパレス(洞爺湖温泉)
定山渓ビューホテル(定山渓温泉)
ホテルグランティア知床斜里駅前(斜里町)
えべおつ温泉(滝川市)
ホテルサハリン(稚内市)

青森県
酸ヶ湯温泉旅館(酸ヶ湯温泉)
飯塚旅館(温湯温泉)
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岩手県
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大沢温泉 自炊部(花巻市)
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元湯夏油(夏油温泉)
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いさぜん旅館(東鳴子温泉)

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湯口屋旅館(岩瀬湯本温泉)
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金具屋(渋温泉)
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