一昨年、伊賀上野を訪ねて「薫楽荘」という宿に泊まりました。そのときに天神様のお祭りは一見の価値があると勧められ、さらにく だんじり会館で実際に行なわれるだんじりの曳行や鬼行列の様子を見て、ぜひ祭りの時期に再訪したいと思っていました。
この秋、ついにその願いが叶い伊賀を再訪することができました。泊まるのは前と同じ薫楽荘さんの同じ部屋。前にこのブログでも紹介し、本でも紹介したのですがご主人や女将さんがそのことを覚えていてくれて、たぶん祭で忙しい時期であるにも関わらず、いい部屋を取ってくれました。
前回訪問時の記事。
ちょうど同じ週の週末に和歌山に行く用事ができたので、このときの企画は伊賀に一泊してから奈良経由で和歌山に抜けるというもの。合計3泊。
メインイベントである上の天神祭の宵山の日に一泊する予定で、今回は名古屋から高速バスで行くことにしました。本当は途中関宿に寄りたいと思っていたのですが、やはりせっかくの祭なので早めに伊賀上野に到着する計画に変更しました。
名古屋駅からバスで上野市駅前まで直行することができます。
前回来た時に印象深かった廃墟風のビジネスビル「産業会館」にバス停があったのですが、バスの案内によると、どうも現在取り壊されており建て替えが進んでいるようでした。バスは「ハイトピア伊賀」とかいう、近代的なビルの前に着くということでした。古いビルが消えたと聞いてなぜか残念な気持が。
とにかく上野市駅前に到着。あいかわらず芭蕉せんせいの像が健在。
これが建て替え中の産業会館。奥にハイトピア伊賀の近代建築がちらっと見えています。私が前に親子丼を食べた食堂もなくなっていました。
前回きたときも見かけた「伊賀のくみひも」のベンチが残されていました。
駅前の観光案内所で地図をもらおうと思っていたのですが、観光案内所もなくなっていました。よく探してみるとハイトピア伊賀の1階に移動していました。前回あったくのいちも、こっちに移転していました。懐かしい再会。
ここで祭の運行状況を教えてくれました。だんじりや鬼行列がどの時間にスタートしてどのへんを通るか。それが確認できたので、まず先に上野城に行くことにしました。
駅のコインロッカーに荷物を預けた時に、時間的にはまだお昼くらい。上野城では天守にはのぼりませんでしたが、城壁の絶壁はやはりすごい迫力です。前も思いましたが、ろくにてすりもなく、上からお堀を見下ろすとすごい高さなのでかなり恐怖心が出てきます。
そして伊賀忍者屋敷も再訪。私は1回来ているので屋敷のからくりもすべてお見通し。まったく前回と同じなので省略します。今回はこの付近でそばを食べました。
そして再び駅前に戻っていよいよだんじりや鬼行列を見に行きます。メインの銀座通りにはかなりの数の屋台が出ています。あとからわかったのですが、この日、屋台は町中の路地まであちこちに出ていて、その数はとんでもなく多かったです。近頃、これだけの規模の出店がある祭を見たことがありません。それだけ上野天神祭は大きなイベントなのでしょう。
少し行くと銀座通りと交差する東西の通りに沿って群衆が群がっていて、鬼行列が通っているような音が聞こえてきます。しかし人が多すぎて前に行けず、まったく見ることができません。
それで人が少ないところまで先回りして待ち伏せする作戦を決行。一度来て町中を歩いているところだと、だいだいの町の構造がわかるので便利です。魚町とか小玉町とかいう付近でした。
そしてついに念願の鬼行列に遭遇。と思ったら、まだ運行しておらず、子どもたちは準備中。
やがて行列はゆっくりと出発。鬼は小さい子どもがいると寄っていって脅かすので、子どもは泣き叫んでいます。慣れてくると、遠くからでも子どもの泣き声で行列の居場所が読めるようになりました。
さらに釣り鐘を背負ってふらつきながら歩く鬼や斧を持って道路幅いっぱいに暴れ回る鬼もいました。これは「ひょろつき鬼」といって、上野天神祭の名物。
私が写真を撮っていると釣り鐘鬼とちょっとぶつかってしまい「すみません」というと、向こうも「あっすみません」といっていたので、善良な鬼です。
それにしてなぜにこんな異様な行列が行なわれるようになったのか。もともとは上野天神宮のお祭だったそうですが、やがて各町が練り行列の趣向を凝らすようになり、そのときに鬼面も藩主から拝領したのだとか。かなり古い鬼面も文化財として保存されているようです。祭のイメージとしては京都や高山を思い起こさせますが、多様な鬼行列はまったく独特のものです。
前回来た時は祭の様子の説明を受けただけだったので、実際に目の当たりにするとすごく感激します。鬼行列もずいぶん長く続き、きりがないほど。豪華そうなだんじりの運行も見えましたが、この日は宵山で夜の運行があるので、だんじりは夜に見ることにして、鬼をおいかけ続けました。
祭の期間中だからなのか、付近の商店では休憩用のベンチを出したりして、誰でも休むことができるようになっています。
かぎや餅店も大人気。
屋台を冷やかしながら祭見物しているうちに、夕方になってきたので宿に入ることにしました。宿は中心町から少し歩きますが、昔の花街だったという通りに面しています。
薫楽荘に到着。
以前お世話になったまだ若い美人女将が出迎えてくれて、以前と同じ部屋に通してくれました。
やはりこの部屋はまれにみる風情豊かな部屋だと思います。どこも変わっていませんでしたが、テレビだけはチャンネル式からシャープの液晶に変わっていました。女将さんは地元だけに「シャープさんにはがんばってほしい」といっていました。
「ボロ宿」などという本で紹介したので恐縮していましたが、それを見て来たお客さんもいるとかで、特に怒られませんでした。地元のマスコミでも歴史のある和風宿として紹介されたりして、やはりすごく人気があるようです。
この日は外国人5~6人の家族客がいました。どこで探してくるのか、やっばり外国人はこういう古い和風宿が好きですね。私もどうせ泊まるならそのほうが日本観光の醍醐味が味わえると思います。
だいぶ長くなってしまったので、宿のようす、宵山のようすは次回に。
[伊賀 薫楽荘(再訪)](2012年10月宿泊)
■所在地 三重県伊賀市上野桑町1473
■楽天トラベルへのリンク→旅館 薫楽荘