4月に能代に行った時に泊まった宿です。

「十八番」のラーメンを食べるために早めに能代に到着し、その後夕方まで街を散策していました。

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その後夕方になって駅前に戻り、宿まで数キロを歩こうかと思っていたのですが、暗くなってきたことでもあるし、タクシーで行くことにしました。運転手さんに「水月」というとすぐわかりました。

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今回の宿は翌日仕事で行く予定のショッピングセンターに近いだろう、ということで選びました。能代駅からは少し離れていますが、たぶん高速道路のインターからは便利な立地にあります。「民宿」というくらいなので小さい宿をイメージしていたのですが、実際到着してみるとかなり大規模な新しい宿でした。私が日頃泊まっているような宿と比べると、明るくさわやかな雰囲気。

声をかけると“ちょい悪おやじ”風のおっちゃんが出てきて、部屋に案内してくれました。「なんだいタクシーできたのかい。電話してくれたら迎えに行ったのに」

とにかく部屋へ。全体的に新しく改築したような感じ。かなりの部屋数がありそうでした。私は入口の正面の階段をのぼってすぐの2階の部屋へ通されました。

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部屋はビジネス旅館風のさっぱりした感じですが、非常に新しくて清潔です。

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おっちゃんは秋田弁丸出しで、なかなか親切。「これからお風呂をわかすから、ちょっと待ってて。向こうにマンガとか週刊誌もたくさんあるから」といっていったん去っていきました。

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私がマンガを探してきて読んでいると、しばらくしておっちゃんが再び登場。「い~い湯加減だぜい(笑)」といってお風呂を知らせてきました。このおっちゃん、けっこうキャラが立っていておもしろい人です。おっちゃんとはいっても、実は私よりちょっと若い人でしたが(笑)

お風呂に行ってみて驚きました。温泉でもないのにとてつもなく大きなステンレスの浴槽です。普通の旅館でこんな大きな湯船は初めて見ました。

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長期滞在向けに洗濯機なども完備。見たところビジネス客の利便性をかなり意識しているようで、こういう大きなお風呂も、ビジネス客にとってはうれしいものです。

お風呂から出てしばらくして、いわれた時間になったので食堂へ。

ほかの客はいなくて、広い食堂におっちゃんがひとりで待機していました。食事の用意はテーブル席に4人分くらい出ています。

「どこでも好きに座っていいよ」といわれたのですが、私はこの宿に今日到着した新顔なので、一番手前の末席に座りました。

夕食のおかずもなかなか豪華です。2食付きで5250円という宿代を考えると、すごくお得な感じがします。

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私は部屋で飲もうと思って「喜久水」のワンカップを買ってきてあったのですが、いいつまみになりそうなメニューが多かったので、とりあえず生ビールを頼みました。

飲みながらおっちゃんにいろいろ聞いたわけですが、その話によると、この大きな宿はちょうどリーマンショック前の時期に思い切ってリニューアルしたものだそうです。

白神山地が世界遺産になって觀光客が増えたり、もともと発電所立地地域なのでビジネス客が多かったりして、それに対応するのが狙いだったそうです。

「建て替えたらと思ったらリーマンショックで急にお客が減って、参っちゃうよ」ということでした。

もともと宿の敷地はお父さんが商売をしていた場所だそうですが、ご主人自身は外でしばらく働いた後、地元に戻ってこの宿を開業したのだそうです。

それにしてもこのご主人は話題が豊富というか、非常におもしろい人でした。バイク好きだそうで、北海道ツーリングの話でも盛り上がりました。ビンテージバイクを数台所有しているそうです。第一印象で「ちょい悪おやじ」などといいましたが、お洒落な感じでなかなかハイセンスなご主人でした。ヒゲなんかもきちんと整えているし。全体の感じはぐっさん(山口智充さん)にちょっと似ているかも。しかしご主人がいうには、「ちょっと前までスキンヘッドだったんだけど、娘がそれじゃ恐すぎるというのでこんな頭にしたんだ」と笑っていました。

「一度北海道の山の中で故障して困ったときに、ネットでバイク屋を探して何とかなったわけだけど、その時、つくづくこれからはネットの時代だと思った。そういうわけでこの宿もじゃらんに登録してあるけど、あの手のやつは手数料もかかるから、なかなか厳しい」とか。容赦なく秋田弁でしゃべるのですが、私にとってはまったく問題ありません。実は私の正体が青森出身だということを後でバラすと、「東京から来た割には言葉が通じるんで変だと思った」といってました。

そんな話をしているうちに、ほかのお客さんも集まってきました。最初にきたのはまだ20代くらいの若い男性で、付近の地質調査か何かの仕事で数日滞在しているそうです。その後やってきた若い男性もやはり何かのビジネス客でした。そのときは仕事の内容も詳しく聞いたのですが、酔っぱらって忘れてしまいました。

とにかくこの4人で話していると、なかなかおもしろかったので生ビールをお代わりしたあげく、さらにお酒も頼みました。さらにお酒のお代わりも。おかずについていたイカの塩辛がなければ、こんなに飲まなかったのですが‥。

ほかの客は缶ビール1本くらい飲んでいる人もいましたが、たいてい自分でごはんと味噌汁をよそって食べています。

この時に能代市内の話題もいろいろ出て、私が「古い宿が好きなんだ」ということがわかると、昼間見学した竹内旅館のことなどもいろいろ教えてくれました。やはり昔木材でにぎわったせいか、能代はけっこう古い宿が多い町のようです。

「十八番」のラーメンの話題も出ました。食堂に集まった人々はみんな食べた経験があって、やはり外から来た人も一度は行く店のようです。「ちょっと変わっていて好みはあるけど、まあおいしい」という評価でした。

その後少し遅れて、やや年齢の高いお客も食堂に来ました。私はご主人の話しがおもしろくてついつい長居して飲み続けていたわけですが、いいかげんにしようとごはんと味噌汁をよそって食べ、部屋に戻りました。

もうずいぶん飲んで酔っぱらっているので、すぐに就寝。

翌朝も例によって爽快に目覚め、朝食の時間を待ちました。時間になってまたも食堂に行くと、ほかのお客さんはもっと早立ちだったらしく、食事が済んでいました。

ご主人に「ゆうべはずいぶん飲んでたね。大丈夫かい」といわれました。面目ない。きのう飲んだお酒がおいしかったというと、一升瓶を見せてくれました。「能代の安い酒なんだけど、これがけっこううまいんだ」といってましたが、これも「喜久水」だったような気がします。

朝食を食べている時に、今日はパイパス沿いのショッピングセンターに行く、と告げると車で送っていってくれることになりました。

朝食もおかずのほかに手作りのシソのふりかけとか、たくあんとかをすすめてくれて、とにかくアットホームでくつろげる宿です。観光にしてもビジネスにしても、ゆっくり滞在できる雰囲気の宿でした。

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ご主人は「こういう宿をやっていると、とにかく一回泊まったお客がまた来てくれるのが一番うれしい。前に泊まって気に入ってもらったということだから」といってました。確かにそうだと思います。この宿はリピーターも多いことでしょう。リニューアルして設備がいいということもありますが、ご主人のキャラクターが客を呼ぶような気がします。

出がけに若い女性とすれ違ったら「ありがとうございました」と声をかけられました。娘さんなのか、まさか奥さんなのか。わかりませんでしたが、お美しい方でした。

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車で送ってもらう途中「もしかしたらブログで宿のことを書かせてもらうかもしれません」と一応ことわってみました。以下、ご主人と会話。

ご主人「ブログだったら、どんどん書いてくれ。全然かまわないよ」
私 「いや、実はちょっと問題があるんです」
ご主人  「何が。けっこう辛口なのかい」
私  「いや、ブログのタイトルが“ボロ宿紀行”なんです」
ご主人  「‥‥(笑)。ボロ宿か~。まあ、なるべくいい宿だったと書いといてくれよ」
私  「もちろんです」

そんな感じでショッピングセンターに到着し、お礼をいって別れました。私としては本当にいい宿だと思ったのですが、こんなブログに載せてしまい、申し訳ない気持です。

そのあと仕事をすませて東能代から奥羽線で秋田駅へ。秋田駅では例によって比内地鶏スープを買いました。この日もお昼はラーメン。

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秋田駅は最近ますますなまはげが増えたような気がします。

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[能代市  民宿  水月](2012年4月宿泊)
■所在地  秋田県能代市河戸川字下大須賀145-12
■楽天トラベルへのリンク→民宿 水月
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