日本ボロ宿紀行

ボロ宿にあこがれ、各地のボロ宿を訪ねています。

2011年09月

「ボロ宿」というのはけして悪口ではありません。
歴史的価値のある古い宿から単なる安い宿まで、ひっくるめて愛情を込めて
「ボロ宿」といっています。自分なりに気に入った、魅力ある宿ということなのです。
もともと、できるだけ安く旅行をしたいということから行きついた結果ではありますが、
なるべく昔の形を保って営業している個性的な宿を応援していきたいと思います。
湯治宿や商人宿、駅前旅館など、郷愁を誘う宿をできるだけ訪ねて、
記録に残していくこともいずれ何かの役にたたないかなと‥‥。

道後温泉本館に近くて便利な大正時代からの湯宿[道後温泉 常磐荘]

去年道後温泉に行った時に、付近を散策して見つけた良さそうな宿がありました。最近、松山に行く機会があったので、ぜひそこに泊まりたいと思って、予約して出かけました。道後温泉本館のすぐ近くにある「常磐荘」です。

今回は昼間は仕事があり、チェックインできる時間も不明確だったので夕食はなしで、朝食だけ付けてもらうように頼みました。
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去年宿の前を通った時に、建物全体の古びた感じや、玄関を入るとすぐに2階にあがる階段がある造りなど、なかなか惹かれるものがあって、次回はぜひともここに泊まりたいと思っていた宿です。思ったより早くその機会がきました。

結局この日は午後3時くらいに松山市駅でフリーになったので、そのまま道後温泉に向うことにしました。市電の乗り場に行ってみると、ちょうど「坊ちゃん列車」が待っているところでした。普通の市電より料金が高い観光列車ですが、レトロな雰囲気でなかなか良さそうです。前に来た時には乗れませんでした。

それでせっかくなのでこれに乗って行くことにして、客車に乗り込むと誰もほかの客はいませんでした。一応2両編成ですが、運転士や車掌さんのほうが多い状況。

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それでも列車が発車すると若い車掌さんが客車に来て、観光案内を肉声でしてくれます。マンツーマンシステム。なんかしゃべり方がこなれすぎていて、よくわかりませんでしたが、とにかくいろんな歴史やら、観光の見どころなどを教えてくれます。

私はこのまま道後温泉まで乗るつもりだったのですが、松山城近くの「大街道」という駅に来ると、にぎやかな雰囲気で松山城も見えたのでおりてみることにしました。

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今回は大街道のアーケード街を少し散策。しかし東京でも大阪でもどこにでもあるチェーン店系の店が多く、そんなに地域色は感じませんでした。

そこらのカフェでアイスコーヒーを飲んでから、再び市電に乗り道後温泉へ。しかし松山はお城を囲むように市電が発達していてすごく便利。いい温泉もあるし、住んでみたくなるようないい雰囲気の街です。

去年来たのは3月で、あまり観光客がいませんでしたが、今回は観光シーズンなのかけっこうな人出。からくり時計の回りにも記念写真を撮っている人がたくさんいました。

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宿のチェックインは6時頃と伝えてあったのですが、まだ4時30分くらい。温泉に入ってもいいのですが、夕食なしなので食事をしようと思っていました。

しかしまだやっている飲み屋などはありません。とにかくまずは懐かしの道後温泉本館へ。

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やっぱりいい雰囲気の建物です。ここも去年と違って人が多く、観光人力車なども出ていました。

とにかく普通の飲食店がやっていないので、道後温泉ビール館でビールを飲むことにしました。去年も入った店で、けっこうおいしかったのです。

今回は鯛のお刺身だけ頼んで時間をつぶしました。鯛はもちろん「道後ビール」がおいしい。特に私としては、すっきりしたケルシュがおいしいと思います。

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ここで食事もできるのですが、私としてはどこかうらぶれた食堂でもあればいいなと思っていたので、さらに付近を歩いてみました。

商店街には観光客向けのコスプレサービスをやっている店も。裏道を行くとニュー道後ミュージックも健在でした。

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さらに裏道を行くと風俗店街に出て、その通り沿いにとんでもなく古そうなラーメン屋をみつけたので、そこで夕食にすることにしました。今回はチャーシューメン。営業しているのかどうかも疑わしい外見でしたが、普通にやってました。チャーシューメンは480円と、良心的価格です。

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これでだいたい6時くらいになったので宿に向いました。去年一回見ているので場所はわかっています。道後温泉本館のすぐ裏で、歩いても1~2分のところです。

これが外観。

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玄関から入ろうとすると、宿の若い女性がちょうど出て行くところだったのですが、私を見て戻ってきて笑顔で「いらっしゃい」と声をかけてきました。

「今日はお仕事ですか~」などと世間話をしながら部屋に通してもらいました。なんか女子高生くらいの感じに見える人です。こういう宿だとすごく年期の入った女将が出てくるかと思っていたのですが、ギャルだったのでちょっととまどいました。

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今回頼んだ部屋は、古い部屋ではなくリニューアルでできた離れの部屋です。本当は古い部屋に泊まりたかったのですが、諸般の事情でこっちにしました。

シンプルですがなかなかいい部屋です。まったく古びた感じはありません。

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「この宿はいつぐらいから営業しているんですか」と聞くと、「大正9年です。ただこちらの部屋は平成になってから手を入れています。もうこのあたりでもあまり古い宿はなくなってしまいました」と若い女性が教えてくれました。

部屋には観光ガイドのパンフレットなどのほか、夏目漱石先生の「坊ちゃん」と、坊ちゃん団子も置いてありました。

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部屋のすぐ前が洗面所。ここもリニューアルしたらしく、きれいで設備が整っていました。

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けっこう暑い日で、汗だくの私を見て「お風呂はどうされますか」と聞いてきました。ここのお風呂は道後温泉と同じ源泉を引いている温泉ですが、家族風呂形式なので、誰か使っているときは入れません。今はあいているということだったので、とにかくすぐに入ることにしました。

お風呂のある1階は部屋のすぐ下なので降りると、誰か宿の人らしきおばちゃんがいて「どうぞこちらです」と教えてくれました。内鍵がかかる家族風呂なので貸し切り使用。しかし、それにしては贅沢な広さです。夜になったらまた道後温泉本館のお風呂にも行こうかなと思っていたのですが、同じ源泉のこういう立派なお風呂があるのなら、あえて行かなくてもいいと思ったので今回はやめておきました。

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お風呂から出てしばらくしてから少し出かけました。道後温泉本館や周辺の商店街が近いので、気楽に出かけられます。

ちょっと天気はあやしげで雲が異様な感じ。しかし正面に見える夜の道後温泉本館もなかなかよかったです。

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側面の夜景。手ブレしまくり。

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正面。とにかく前と比べて観光客が多い。みんな浴衣姿で散策しています。
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人力車は営業終了していましたが、中をのぞいたらプーさんがたくさん乗っていました。

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近くの広場にいた「坊ちゃん」の登場人物たち。マドンナはともかく、あとはあまり覚えてない。赤シャツはわかりますが。
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ぶらぶら歩いて商店街のおみやげ屋さんをのぞいてみたら、そこのばあちゃんに本格的につかまってしまいました。

「何、奥さんへのおみやげなの?」と聞かれたので、「いや、別に‥。でも義理の母親に何かいいのがあるかなあ」といってしまったところ、「そしたら、これですよ。ではクイズです。これ何かわかる?」と持ち出したのか、小さいポーチみたいなやつでした。「これは久留米絣のすごくいい品物なんだけど、お客さんにきいてもほとんどの人が何に使うかわからないのよ~」というので見ると、表面に「薬」と漢字で書いてあります。

「薬入れ‥ですか」というと、「今あなた字を読んじゃったでしょう。でも読まないとわからないんですよ。これはいいですよ。お義母さんはおいくつ?  薬も飲むでしょう」とたたみかけてきました。

ポーチの内側は朝、昼、夜と3つに分かれていて、これは薬を常用する人にはけっこういいから買おうかな、と思ったのですが、ちょっと高いし、松山まで来てなんで「久留米絣」のポーチを買う必要があるのかなあという疑問がどうしてもぬぐえませんでした。

「ちょっとは負けてくれるんですか」と聞いたら「何いうてんの、あんた。これはギリギリの値段で、すごくいい品物を出してるんですから」

う~ん。そうですか。「負けてくれたら買ってもいいけど」と、ばあちゃんにそういうと、「そしたらこっちはどう?  タオルスカーフ。これは最近大人気ですよ」というので見ると、確かにタオル地のスカーフみたいなやつにでっかい字で「坂の上の雲」と書いてありました。しかも安い。

「なるほど、これだと松山らしいですね」とはいったのですが、こんなのを買って帰ってもたぶん使ってくれないだろうと思って困っていると、外から酔っぱらった感じのじいちゃんが入ってきて、「これくれ」といって、店頭に置いてあった何か昔の駄菓子みたいなやつを持ってきました。

ばあちゃんは「あら~、懐かしいんでしょ」と笑いながら、じいちゃんのほうに向ったので、ようやくその隙に逃げてくることができました。でもいろいろ接客させておいて、何も買わずに逃げたのはちょっと悪かったかな、と反省しております。

そんな感じで散策しながら、コンビニでコーヒーなんかを買って、ニュー道後ミュージックにも寄らず宿に戻りました。この宿も夜になるとひときわいい感じです。

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離れは新しいのですが、母屋は階段のあたりも古くていい感じ。

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この日の夜はすることもないので部屋に置いてあった「坊ちゃん」を読んでみました。野だいことか、山嵐とか、うらなりくんとか、少しずつ思い出してきました。「坊ちゃん」ってけっこうおもしろいな、と思いつつ眠くなって寝てしまいました。

翌朝は食事付きなので早く起きて、再びお風呂へ。若い茶髪の兄ちゃんが上がりかけで、廊下で会ったら、「おはようございます」とていねいにあいさつされました。こういうやつは普通のホテルとかに泊まりがちだと思うのですが、あえて古い旅館を選ぶとはなかなか感心なやつだと思いました。とにかく朝から温泉を独占してつかるのもなかなかいい気分です。

部屋に戻って窓を開けてみるといい天気でまた暑くなりそう。なお、宿の裏は墓場でした(笑)

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朝食はボロい温泉宿というより、なかなか立派な旅館の和食風。じゃこ天も付いていました。すごくおいかったです。例のかわいらしい感じの若い女性が部屋まで持ってきてくれましたが、どうもこの人は若女将みたいです。おみそれました。全般的に朝食は洗練された感じ。

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このさわらの塩焼きがすごくおいしかったです。今回夕食は頼みませんでしたが、夕食もすごくおいしくて有名らしいです。

でかけに古い部屋も探ってみました。私としてはやっぱり古い部屋のほうが良さそうです。

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通りに面した外の景色もなかなか雰囲気がありました。

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そんなわけで宿を出る時にまたも若女将らしき女性が見送りで出てきて「きょうもお仕事ですか。またどうぞいらっしゃってください」といったので、たぶん次回も泊めてもらえると思います。「今日はもう帰るだけですから。お世話になりました」といって出てきました。

道後温泉駅も快晴。観光客が写真を撮っています。

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また市電に乗って松山駅に向います。暑くなりそうだけれど、窓から入ってくる風が気持良く、ちょっと秋の気配も感じました。

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何か、本当に気持のやすらぐような風情のある落ちついた宿でした。古い家とはいえ、部屋も洗面所もトイレも、掃除が行き届いていてきれいだし、たぶん「ボロ宿」狙いの私が行くような宿ではなかったわけですが、立地的にもすごく便利だし、できたらまたゆっくり夕食付きで泊まりたいと思うのでした。

[道後温泉  常磐荘](2011年9月宿泊)
■泉質  アルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)
■所在地  愛媛県松山市道後湯月町4-2
■楽天トラベルへのリンク→旅館 常磐荘

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効能の高い飲泉で有名な、谷底の一軒宿 [佐久市 初谷温泉]

このあいだ長野の佐久方面にキャンプに行った時に、初谷温泉に立ち寄り入浴しました。地元民の話では、昔はかなり古い湯治宿だったそうですが、近年はリニューアルしてきれいになっているということです。しかし明治時代創業の山奥の一軒宿というだけで魅惑的。しかし、今回は宿泊はしていません。

まずは佐久インター近くの「おぎのや」で峠の釜飯定食。

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このへんに来るとつい食べてしまいます。器はすでに家にいくつかあって、持って帰っても使い道がないので泣く泣く返却してきました。

初谷温泉に行くには、国道254号を群馬方面にのぼっていきます。この日は天気がはっきりせず、小雨模様。

国道からそれるといきなり狭い林道みたいになっていて、5分か10分くらい走るとすぐに看板が見えました。

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この下がどんなふうになっているのかわからないので、道路際にクルマを停めて、徒歩で谷を下っていくことにしました。国道から少しそれただけなのに、かなりの深い谷です。

しかし距離的には近く、すぐに宿に到着。きれいな建物ですが、なんとなく長屋風の湯治棟らしき雰囲気も残っているような気がします。できればリニューアル前に訪ねてみたかった。

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玄関には「日本秘湯の会」の提灯もありました。

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中に入ると、女性が出てきたので料金を払いました。「お風呂から出たら、そこのラウンジを待ち合わせや休憩にお使いください」と、とても親切です。

とにかくお風呂が目当ての立ち寄りなので、とっととお浴室に向いました。なかなか雰囲気のあるきれいな内装。ボロ宿どころかむしろ洗練された高級感を感じます。こうなると、もう湯治宿という感じの客層狙いではないのでしょう。

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お風呂もなかなかきれいで快適です。鄙びた鉱泉宿の風情はなし。備品などもそろっています。

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手前側の浴槽が沸かした白湯で、奥が源泉だそうです。源泉といっても、14度くらいの冷泉なので沸かしています。成分の強さがうかがえる茶褐色。成分の固化層も少しできていました。源泉は温めなので長湯できそうです。

大きな窓が川に面していて、眺望もなかなか。すごく静かで落ち着いた感じなので、真冬の人の少ない時期に、ひっそりと連泊などしてみたい気がしました。

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初谷温泉の「しょや」は「塩谷(しおや)」の転訛であるという説もあるそうな。要するに塩分や炭酸が強い泉質のようです。宿の裏には「宝命水」という源泉が湧き出しており、これを飲みながら入浴するとますます効果的だということでした。

お風呂から上がって、タオルをパンパンならしながら体を拭いていると、脱衣所の窓から裏の細い山道を歩いていくおばちゃんが見えました。そうすると向こうからもこっちが丸見えだったのでしょうか。

とにかくお風呂からあがってラウンジで休息。やはり誰も人がいないので、静かな落ち着いた雰囲気です。

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私はあまり飲泉をしないほうなのですが、せっかくすぐ裏に出ているということなので、ちょっと飲んでみることにしました。

出がけにご主人らしき人が「ありがとうございました」と声をかけてきたので、「例の源泉を飲ませてもらってもいいですか」と聞くと「どうぞどうぞ。玄関を出て右手に回ってください」ということでした。

宿の裏には川があり、砂防ダムみたいなのもすぐ近くにありました。

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「宝命水」の看板と、観音様みたいな像もありました。

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炭酸が抜けないよう栓をしてあるそうです。とにかくすくって一口飲んでみましたが、何というか、はっきりいうと非常にまずかったです(笑)

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サイダーに塩を混ぜて、ぬるくして飲んでいるような感じ。健康にはよさそうですが、私はおかわりはしませんでした(笑)

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そういうわけで初谷温泉は、深い谷底にひっそりと立つ静かないい宿でした。あまりにもきれいなので、私としてはあまりそそられないのですが、聞くところによると佐久鯉のあらいや旨煮など、食事もかなりおいしいそうです。できれば泊まってみたいところでした。

[佐久市  初谷温泉](2011年8月立ち寄り)
■泉質  含二酸化炭素・ナトリウム・塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉
■所在地  佐久市内山352

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嵐の夜を名古屋の木賃宿で過ごす [名古屋 万保旅館]

名古屋の西口にはいろんなタイプの安宿が多いです。出張が多い人の間では知られたことかもしれません。

西口はもともとは戦後の闇市や寄場があったところだと思いますが、東京や大阪と違って、“ドヤ街”という雰囲気はありません。予備校なんかもありますし。

とにかくこの間名古屋で仕事があって夜7時くらいになりました。この日は朝から台風のニュースが繰り返されていて、東海地方を直撃するという恐れもありました。この台風は結局四国や紀伊半島に大きな被害をもたらしたわけですが、名古屋でも夜7時頃になると、かなり風が強くなっていました。それに断続的に雨が混じる程度。

新幹線のダイヤも乱れていたので、帰るのが面倒になってしまいました。そのまままっすぐ東京に帰れば何ということはないのですが、私は何かあるごとについつい出先で泊まりたくなる癖があるので、この日も名古屋で一泊することにしました。

グーグルマップの拡大図に出ている旅館名を目当てに太閤口方面に出て、いくつか簡易宿泊施設がありそうな東山線の亀島駅方面をめざして歩きました。風と雨が強まっています。

最初「平和館」というのをめざしました。「一泊1800円」の部屋に「空あり」の表示が出ていましたが、見た目、鉄筋風のビルで、あまりにも普通のビジネスホテル風だったので、どうかなと思い、もう1本先の通りにある「万保旅館」というのにたどりつきました。

ここは玄関に「一泊1400円~1700円」という貼り紙が出ている間口の小さな旅館でした。もうこれでいいと思って決定。ますます雨が強まり、後から食事に出かけるのも面倒なので、少し名古屋駅方面に戻ったコンビニで398円の弁当を買ってから、再び宿へ。

宿の引き戸を開けて入ると、思ったより奥に長く部屋が並んでいます。ボロいアパートみたいな感じ。

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廊下の柱にインターホンがあって、押すと「はい」と返事が。「今日泊めてください」というと、一番奥のガラス戸を開けて、女将さんらしき人が出てきました。

「ベットの部屋と和室がありますけど、どちらがいいですか」と聞かれたので「まあ、和室にしておこうかな」というと、一番手前の道路際の部屋を開けて、「ここが広めの和室で1700円」ということでした。

そのあと女将さんが「ちょっと説明しますね」と、奥のトイレや洗面台を教えてくれました。「これからお茶を飲むとか、お湯を使いますか」と聞かれたので「いや使わない」と答えました。使う場合は給湯器の元栓を開けてくれるみたいです。

玄関付近はこんな感じ↓

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2階もあるらしく階段がありましたが、中途半端な位置に謎のサンダルが。

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部屋に戻りつつ、私が汗を拭いているのを見て、女将さんは「そう、今日は暑いね(笑)。クーラーがないので、それで何とか‥‥」と扇風機を指差しました。さっき見てきた「平和館」は「空調完備」とか書いてあったので、「そっちにしたほうが良かったか」と少し悔やみましたが、台風のせいかこの夜は極端に暑いわけでもなく、まあ何とかなるだろうとあきらめました。

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広めの和室という通り、部屋は4畳半の広さ。テレビ台の下に靴を置く箱が置いてありました。

典型的な簡易宿泊所っぽい部屋です。昔「がんばれ元気」の父ちゃんは、こんな部屋を泊まり歩きながら、土方をして元気くんを育てたそうな。

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ドア窓には布きれがたらしてあり、明かりがもれないようになっています。

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テレビは隣に迷惑にならないようにイヤホンで聞きます。この日はサッカー日本代表の北朝鮮戦の後半に間に合ったので、それを見ながらコンビニ弁当を食べました。しかし、つくづく侘しい(笑)。

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近くに銭湯らしきものもあったのですが、今日はパス。門限は10時と書いてありましたが、女将さんが「もし出かけて遅くなるなら、電話をしてくれれば開けるけど」といってくれました。でももう、出かける気力がありません。

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クーラーがないとなると、虫が入らないように電気を消して、窓を開けておきたいところです。しかしこの日は風雨が強いため、あまり開けてもいられません。

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窓の外には宿の看板が見えます。
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サッカーが終わるともうやることもないので、横になりました。

トイレに行ってみると、ひもで流す方式の懐かしい水洗トイレ。貼り紙に「ヒモは真下に引いてください」うんぬんと書いてありましたが、その末尾に落書きで「ハーイ、ワカリマシタ」と書いてありました。どこかののんきなおやじが退屈まぎれに書いたのでしょうか。

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うとうとしていると、夜中にかなり雨風が強まり、この家は大丈夫かとちょっと不安になります。

翌日は午前10時くらいには東京にいる必要があったので、朝5時くらいに出立しました。早朝なので女将にも声をかけず、そのまま宿を出ました。

まだ外はまっくら。宿の前の通りも人けがありません。風と雨の様子はあまり変わりません。

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名古屋駅までは歩いて5分ちょっとくらい。路地裏を通って駅に向かいます。途中、小守地蔵がありました。ちょっと拝んでいこうかと思いましたが、面倒なので風雨が強いので今回はやめておきました。

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駅に着くと、多少人は集まっていましたが、どうやらまだ新幹線は動いていないようで、シャッターがおりていました。駅構内のマクドナルドがオープンしていたのでそこで6時くらいまで時間をつぶしました。

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そのうちかなり雨が強くなり、駅に集まる人々も傘があまり効かないので小走りでした。

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結局始発ののぞみに乗りましたが、やはり強風のため途中区間で徐行運転になっていました。ただ大きな遅れはなく、8時くらいに無事東京駅に到着。

今回の宿はボロ宿といってもあまり風情を感じるようなものではありませんでした。でもこういう安い宿はどんどん減っていきそうなので、私としては何とか長くがんばっていってほしいと思います。

[名古屋  万保旅館](2011年9月宿泊)
■所在地  名古屋市中村区亀島2丁目2(正確な住所は不明)
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「日本ボロ宿紀行」文庫版発行



ボロ宿紀行・続編




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