「佐藤旅館」に到着して、玄関口から声をかけても誰も出てこないので、同じ建物の別の方面にある食堂のほうに回ってみました。声をかけるとそこに女将さんがいて大量の洗濯物を畳んでいました。

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この女将さんは思ったより若い感じで元気が良く、ものすごく働き者でした。しかし一晩過ごしてみて感じたのですが、細かいところまでは手がまわらないというか、せっかちでものすごく動き回っているのに空回りしているというか、そんな印象を受けました。

部屋まで案内する途中、トイレの場所やお風呂の場所を聞きながら、3階の部屋に到着。想定もしていなかったのですが、クーラーがありませんでした。そのかわり扇風機がありました。「この暑い時期にしくじった」と思って逃げたくなりましたが、港にも近いこの家で、3階の風通しのいい角部屋だし、夜はすこしは過ごしやすいだろうと思い、あきらめました。

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それに古びた部屋の感じが、夏休みに海の近くにある田舎に帰ったような雰囲気で、なかなか好印象でした。現在、このブログのタイトルバックに使っております(笑)

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窓が開け放してありますが、それでも暑い。なにはともあれお風呂にいってみましたが、私が独り暮らしをしていたアパートの風呂よりさらに狭いようなユニットバスでした。お風呂あがりに食堂に行きました。食事は食事処になっている1階の店舗部分でとります。ほかに2人のビジネス客らしき客がいました。

食事は刺身と鯛のあら煮とサンマの塩焼きなど。港町らしい素朴なメニューです。しかし驚いたのは、ビールを飲み終わってごはんを頼んだら、出てきたのがラーメンライスだったことです。しかもかなり本格的な尾道ラーメン。あのしょっぱさがラーメンライスに最適です。この日の夜、宿を抜け出してラーメンを食べてやろうと思っていたのですが、その必要がなくなりました。

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旅館の食事でラーメンライスを食べたのは初めてですが、実に良かったです。この食堂だけはクーラーがきいていたので涼しかったし。

部屋に戻ると日は落ちているのにまだまだ暑い。窓を開け放っておくしかないのですが、電灯をつけると虫が入ってくる恐れがあるので、暗いままで過ごしました。テレビをつけて見ると、音声はするのものの画面は人影がわかる程度。古い室内アンテナなのでしょう。開け放した窓からはすぐ近くの山陽本線の線路を走る電車の音も聞こえてきます。

朝から歩き回って疲れてもいるし、もう早く寝るしかないな、と思い、扇風機を抱えながらうつらうつらしていると、つけっぱなしのテレビから聞こえる「えびぞうさ~ん、まおちゃ~ん、おめでと~~」という意味不明のフレーズが、夢の中でも延々とリピートされていました。

夜中にふと起きて、5分くらい歩いたところにあるローソン行きを決行。ペットボトルのお茶を凍らせたやつがあったので、「これは便利」とばかり、缶コーヒーなどとともに買って帰りました。それでも寝苦しさは変わりません。日頃エアコンをかけっぱなしの生活をしているので、ちょっと暑いと適応できないやわな現代人。

夜中にトイレにも起きました。トイレは2階にあります。もう深夜なのでパンツ一丁ででかけると、私の部屋に続く階段とは別の階段から足音がします。誰かおりてくるような、降りてこないような、逡巡しているような足音です。しばらくようすをうかがっていましたが、何者かの気配は消えないので、もしかして地縛霊か何かがいるのならチェックしてみようと思って、その階段を上がっていってみました。するとそこには食堂にいたほかの客が、やはりパンツ一丁で立っていました。トイレに起きたのですが、人の気配がするのでこの格好ではまずいと思って去るまで待っていたのでしょう。人騒がせなやつです。

そんなこんなで寝苦しい一夜を過ごしたあげく、5時前には起きてしまいました。早くも窓からは朝日が差し込んでいて、この日も暑くなりそうでした。

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寝苦しい一夜を過ごした夢の跡。扇風機はないよりましという程度でした。

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朝食も同じ食堂へ。朝からけっこうボリュームがあり、なかなかけっこうでした。このほかに後から納豆が出ました。食事中も女将さんは、冷たいお茶を持ってきたり、まだ食べ終わっていない食器を片づけようとしたり、店の前の植木に水をやったり、バタバタと動き回っていました。

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朝食後に女将さんに「この宿はだいぶ古いんですか」と聞いてみると、「94年」という答え。以下、その時の会話。

私「すると戦前からの建物ですか」
おばちゃん「そう、戦前になりますね。もう建物も古くて、直し直しなんとかやってますけどね。私は直接は知らないけれど、終戦直後は外地からの引き揚げ者で大混雑したと聞いてますよ」
私「ここは駅にも近くて便利だし、繁盛したんでしょうね」
おばちゃん 「そうでもないけど、元はこの宿のすぐ前を栗原川が流れていて、常連のお客さんはみんなすぐそこで釣りをしたりしてね。今は国道2号線の付け替えで、埋め立てられてしまったけど」
私「もしかして、こんな大きな宿をひとりでやってるわけですか」
おばちゃん「いやいや、主人はもう亡くなったたけど、近くで息子が料理屋をやっているので、忙しい時は人を出して手伝ってくれるから大丈夫。今度も20人くらい若い人の団体がくるけど、手伝いがきます。食事なしならいいけど、なにしろ食事の準備が大変ですからね。息子はいったん家を出たんだけど帰ってきてくれたからね。安心ですよ」

そんな話しを聞いてみると、少しのひまもなく働き続けている女将さんのおちつかない感じも、何となく許せるというか、逆に尊敬したいような気持になりました。年を取っても体が動くうちは働くという尊い気持。そのことが若々しさの維持につながっているのかもしれません。なるべく長くがんばってほしい。

この日は東京に帰ることにしていたので在来線で福山まで行き、新幹線に乗って一気に帰りました。福山の乗り継ぎで時間があったので、お城も見学。こっちは再建とはいえ歴史的背景をもった立派な城でした。福山駅の名店街には変なさるがいたので思わず写真を撮ってしまいました。

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売り物ではなかったけれど、この猿ほしかったな~。尾道にはぜひまた行きたいと思っています。

[尾道・佐藤旅館](2010年7月宿泊)
■所在地 〒722-0037 広島県尾道市西御所町3-1
■楽天トラベルへのリンク→佐藤旅館
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