今回ではボロ宿ではなく、廃墟探しのはなし。立派なホテルしか出てきません。

今年6月、急きょ佐賀にいく用事ができたので、いろいろ考えた結果、長崎に前泊してあこがれの「軍艦島」に行くという計画を立てました。軍艦島は小さな島に密集して作られた炭坑住宅の廃墟。あまりにも有名です。いまや観光フェリーなどが運行していて、観光客も簡単に訪問できるので、ハードな廃墟マニアの間では、すでに「何をいまさら」という存在かもしれません。

しかしこんな機会はめったにないと思ったので、とにかく船を予約しようと調べて、私は午後3時過ぎの4000円の船を予約しました。ただし、気象条件などで安全性に問題がある場合は、欠航したり、上陸をとりやめたりということがしょっちゅうあるようです。安全第一ということでしょう。

予定日の天気予報は曇りのち雨で、南九州のほうではかなりの大雨が続いていました。欠航の可能性もけっこうあるな、と思っていました。

当日朝早い飛行機に乗って長崎付近の上空にさしかかると、長崎らしい海と陸が入り組んだ複雑な地形が見えてきてわくわくしました。この時点で雨は降っていないようでした。

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長崎に着くと、まずはちゃんぽんを食べる必要があるわけですが、いきなり街はちゃんぽんや皿うどんだらけでした。

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実際に食べたのが下の写真。駅のすぐ近くの庶民的な食堂で、定食類はすべて500円均一。ちゃんぽんも500円でした。すごくおいしかったです。

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長崎駅にも寄ってみました。大きなおくんちの龍がディスプレイされていて、このときにはまだサッカーW杯で日本が残っていたので、「がんばれ日本代表」という文字が書いてありました。

3時過ぎの船までまだ時間があるので、少し近場を散策することにして、船が出る港近くに向かってブラブラ歩きました。まだ雨は降っていませんが、いつ降ってもおかしくない感じ。駅から10分くらい歩くと港に着きました。そこからさらに少し歩くと、鎖国時代にオランダ人が住んでいたという「出島」の史跡があったので即入場。

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今は完全に陸地になっていますが、昔は海に突き出した小さな人工島だったところ。なかなかおもしろいところでした。建物はすべて再建されたものですか、カピタンの部屋とか、オランダ船の模型とかいろいろ。

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出島のミニチュアもありました。オランダ人は、こんなせまいところに住み続けるのは、けっこうまいったのではないでしょうか。

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中には昔の役人か通詞みたいな武士がいて、観光客と一緒に写真におさまったりしていました。

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そんなこんなで、時間がせまってきたので再び港へ。すると観光船会社の人がきて、「大変申し訳ありませんが、天候条件が悪いため、今日は欠航です。このところ3日くらいずっと欠航なんです。すみません」と告げました。ある程度予想していたとはいえ残念。しかし、もう少し早く欠航が連絡される仕組みを作ってほしい。現地に行って告げられるのでは、時間のムダが大きい。

下の写真は乗るはずだった船。確かに向こうに見える稲佐山にも暗雲がかかっていて、ちょっと無理な天気ではありました。

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急にやることがなくなったので、近くのフェリーターミナルに立ち寄ってみました。ここには軍艦島の模型が。何とか上陸したかった。次の機会がいつあるかもわかりません。

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どこかへ行ってみるにしても、結局3時からだとあまり遠くにも行けないので、市内を散策してみることにしました。まず、適当に路面電車に乗って、思案橋駅まで。

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長崎で急にやることがなくなり、思案橋あたりにきてしまうと、多くの日本人は「ど~うすりゃ、いいの~さ、思案橋~」と口ずさんでしまいます。でも私はがまんして歌いませんでした。この時点で、もう雨がけっこう降り出しています。

それにもめげず繁華街を散策。思案橋から銅座、新地中華街など。唐人屋敷跡などもこの近くだったので行ってみました。 裏道の飲み屋街がなかなか昭和っぽい風情があります。中華街も狭いですが、なかなかにぎわっていました。

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そうしているうちいよいよ土砂降りになってきたので、浜町のアーケード街に逃げ込みました。通りの真ん中には坂本龍馬とお竜さんがいました。この時の長崎も「龍馬」一色。大河ドラマの影響力にはとてつもないものがあります。

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「まちなか龍馬館」というのも寄ってみましたが、中で観光ビデオが流されていて、軍艦島も紹介されていました。下の写真は、当時実際に住んでいた人が解説をしているようすをビデオから撮影。ああ、やっぱり上陸してみたかった。

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その後も雨はやまず、暗くなってきたので、このへんで皿うどんを食べてからホテルに行くことにしました。ホテルは朝食付きで予約してあったので、食事をすませて行く必要がありました。皿うどんを食べる店は数えきれないくらい、どこにでもあったのですが、もう一度思案橋横町に戻り、うらぶれた感じの中華料理店に入りました。こういう店が案外おいしかったりします。でも入った瞬間、逃げようかと思いました。

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店内にはまったく客がおらず、従業員がひとり飯を食っていて、あとは閑散としています。店も乱雑な雰囲気。奥からおかみさんが出てきたので、もう逃げられないと思い、あきらめてここで餃子と皿うどんとビールを注文しました。

出てきた料理も何となく貧乏くさい感じでしたが、食べてみてびっくり。すごくおいしかったです。ほかの店では食べていないので、長崎ではこれくらいおいしいのが普通なのかもしれません。

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さらに雨が降り続くのでとっとと宿に入ることにし、路面電車で再び駅へ。駅にはホテルの迎えのバスが来ていたので乗り込みましたが、客は私ひとりでした。バスは市街を抜けて急な坂をどんどんのぼっていきます。斜面にも多くの住宅が立ち並ぶ、長崎らしい風景。

この日泊まった「長崎にっしょうかん」は、夜景で有名な稲佐山とは反対側の丘にありますが、やはり夜景が売り物です。けしてボロ宿ではありません。しかし、この天気では夜景は期待できず、せっかく珍しくまともなホテルを取ったのに意味がないと思いました。やっぱり、がらにもなく夜景の見える宿などを予約した天罰かもしれません。

部屋はツインルームのシングルユースなのでけっこう広々。早速窓から夜景を見ると、写真はうまく撮れませんでしたが、けっこうきれいでした。雨に煙る夜景もそれなりに風情があるというか。

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ホテルの部屋で軍艦島のチラシを見てまた涙。翌日の朝の船もあるのですが、この天気では結局同じだろうと思い、今回はあきらめました。

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しつこいようですが、長崎で雨にあたると多くの日本人が口ずさんでしまう歌があります。バックコーラスも自分で歌ったりして‥。私はそんな陳腐な行動はとりたくなかったのでがまんしてきましたが、広いお風呂をひとりで独占してくつろいでしまい、つい、「さがしっ さがしもとめてえぇぇぇぇぇっ ひとりっ ひとりさまよえ~ばあぁあぁあ」と歌ってしまいました。心から反省しております。

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翌朝早く起きて窓の外を見ると、明るくなりかけた長崎の町はやはり今日も雨でした。

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こうなれば早く出発して佐賀に移動しようと思い、朝食バイキングが始まる7時ちょうどに食堂へ。なかなかおいしかったですが、特にへんてつもない普通の内容です。

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ひとりで窓際の席を占拠して食事をしていると、徐々にほかの客が来始めて、席に着きます。何気なく見ていると、そのへんの客の全員が、それぞれ食事前に手を組んでお祈りを始めたので驚きました。

あとでホテルの歓迎看板を見たら、東京のカトリック協会が主催した巡礼ツアーの客でした。その時は本当にびっくり。長崎の隠れキリシタンが集まる宿かと思いました。

出発前によく見ると、ロビーがステンドグラスで飾られているなど、なかなか雰囲気のいいホテルです。こんないいホテルに泊まってしまい、反省しております。

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そういうわけで、結局今回の長崎訪問では最大の目的である軍艦島訪問を果たせませんでした。長崎の街を少し見学して、それなりにおもしろかったのですが、天気も悪くあまりいい条件ではありませんでした。つまり、やはり再訪しないと納得できないという結論に至りました。飲み屋街をさまよっただけで、グラバー園とか平和公園も行ってないし。

[長崎・長崎にっしょうかん](2010年6月宿泊)
■所在地 〒850-0051 長崎県長崎市西坂町20-1
■楽天トラベルへのリンク→長崎にっしょうかん
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