花巻南温泉峡は、花巻市の西側、豊沢川沿いに並ぶ温泉群。このなかで唯一行ったことがあった大沢温泉の自炊部は、すごく気に入っていて何回も訪ねています。

今回は違う温泉にも泊まってみようと、同じく湯治部という自炊システムのある鉛温泉の「藤三旅館」に行くことにしました。ここも有名な温泉です。前日遠野から湯治部に電話してみると、電話に出たおっちゃんが休前日だというのに「部屋はいくらでもあいております」というので、予約しました。その時、花巻駅から花巻南温泉峡を巡る無料シャトルバスと、路線バスについて、時間や乗り場などを詳しく教えてくれたので大変助かりました。

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花巻駅は新幹線が通る新花巻駅とはだいぶ離れていますが、どちらからでも無料シャトルバスに乗ることができます。バスの時間より少し前についたので、駅の周辺を散策してみましたが、特におもしろいものは発見できませんでした。今はなき岩手軽便鉄道・花巻駅の駅跡の石柱があったくらい。

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バスがきたので運転手さんに行く先を告げて乗り込みます。客は全部で15人くらいでした。志戸平温泉、大沢温泉など、宿泊客が申告した宿をすべて回ってくれます。こうしてみると、花巻南温泉峡も大規模な観光ホテルが多く、あまりそそられませんが、大沢温泉は山水閣の前に停めてくれたのですが、懐かしく感じました。やはりこっちは客が多そうでした。

鉛温泉に行く前にみんな降りてしまい、私だけがバス停でおりると、宿の迎えのワゴン車が待っていて、ここでさらに乗り換えて急な坂を1分ほど下って宿の前に付けてくれます。湯治部は、旅館部とは別の入り口になっていて、久しぶりに見る本格的なボロ宿でした。

旅館部と湯治部は、一応つながっていて相互にお風呂の一部を共用しているのですが、湯治部の客はスリッパの色でわかるようになっていて、旅館部のロビーやトイレなどの豪華近代設備を使っていはいけないことになっています。また日帰り客のスリッパの色も違っていて、それぞれの身分が明確にわかる厳しい身分制がとられていました。

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大きな帳場があり、そこに通されて宿帳などに書き込みます。数人のおっちゃんが手慣れた感じで働いていました。部屋に通される前に初めての客には温泉の説明があります。なんといっも混浴の「白猿の湯」が有名。男女別の時間帯などの説明があって、それから湯治部の廊下を延々と巡り、比較的売店や「白猿の湯」に近い部屋に通されました。

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写真だとそれなりにすっきりした感じで写っていますが、かなりボロくて建てつけなども悪いです。窓際には少し食器ややかんなどが置いてありました。窓に外には豊沢川が流れます。大沢温泉より上流なので、少し流れが早く感じます。

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とりあえず売店が7時くらいには閉まるといのうで、どんなものが入手できるのかチェックしてみることにしました。

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売店ゾーンはいくつかの店に分かれていて、木戸を閉めている店もあります。ばあちゃんやじいちゃんが店番をしていましたが、みんな意外なほど営業熱心で、「幾日泊まるんだ?」とかいろいろ話しかけてきて、何かと食べ物なんかを勧めてきます。あまり多くない客をつかまえようと必死なのでしょうか。

この日の夕食をどうするか特に考えていなかったのですが、この数日、毎日食べ過ぎ感もあったので、簡単なもので十分だと思っていました。釜石のスーパーで買った「ペヤングヌードル」も持っていたし、南部せんべいやせんべいの耳も入手済で、最悪の場合、そんなのでもいいかなと思っていました。

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結局ビールだけじいちゃんの店で買ったのですが、いろんなおつまみや惣菜なんかを勧めてきます。ビールも「うちは自販機より安いんだ」といってました。確かにけっこうなんでもそろっていて、数日滞在するのに十分な品揃えでした。今でも冬の湯治シーズンなんかにはけっこう繁盛しているのかもしれません。

お風呂はいくつかあって、旅館部のほうのお風呂にも一部入ることができます。ただ基本的に写真撮影は禁止と書いてあったので、宿のHPからお借りしました。

まず白猿の湯。この廊下の右側がお風呂になります。

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湯治部の露天風呂(桂の湯)。

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このほか滝が見える「白糸の湯」とか、全部で5種類くらい入ることができたのですが、ほとんど「白猿の湯」に入っていました。「白猿の湯」はおそらく湯底の岩の間から湧き出している源泉をかけ流しています。長い階段の下にあるすごく風情のあるお湯でした。でもやたらと深く、一応段差はつけてあるのですが、お年寄りなんかは危険かもしれません。けっこう入るのにコツが必要でした。

深いところに立つと肩くらいまでの深さがありました。すごくゆったりくつろぐことができます。そのほかに温くて浅い円形の湯船もありました。

結局この日はビールと持ち込んだおつまみを食べたくらいで夕食は抜き。売店で買った地酒も飲んでみました。ほかの部屋の様子を見ると、自炊部でも食事を頼んで出してもらっている人が多いようでした。廊下に食べ終わった器などが出ていました。

とにかく全体的に時間が止まったような昔の湯治場の雰囲気が漂っています。炊事場も大きなやつがありました。

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夜は川の音くらいしか聞こえず、こんな寂しい部屋には真冬にきて数日こもってみたいと思いました。翌朝も早く起きて「白猿の湯」に長湯しました。前日、宿のおっちゃんは、「こんなにすいている日は珍しい。ゆっくり入るといいよ」といってました。

朝も食事の準備がないので缶コーヒーを飲むくらいで、またもワゴン車とシャトルバスで駅に向かいます。朝になって改めて宿の様子を見ると、やはりかなりのボロさ加減がわかりました。

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江戸時代の湯長屋から発祥したという「藤三旅館」。建物はもちろん変わっていますが、今でもその湯治の雰囲気がどこか感じられるような気がします。帳場の前には「素人演芸大会」のポスターも。けっこうこういうイベントにも固定客がいるんだろうなと思いました。

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バス停の看板の近くの木には花も咲いていました。5月のまだ寒気の残る岩手の山に咲く花は、なんだかいじらしいですね。

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このへんに来るといつも「大沢温泉」にばかり泊まっていましたが、だいぶテイストが異なり、「藤三旅館」と比べると「大沢温泉」は同じ自炊部でもだいぶ洗練された感じがするくらいです。部屋もきれいだし。値段も素泊まりで比較すると「大沢温泉」のほうがかなり安いです。

温泉はどちらも捨てがたい。一度は行ってみたいと思っていた鉛温泉を体験できてよかったです。でも、普通の人におすすめできるかというと、微妙なところです。「白猿の湯」が狙いなら、料金は高くなりますが、けっこう渋い部屋もあるので旅館部にも泊まったほうが無難かもしれません。

翌朝の新花巻駅で、ようやくありついた立ち食いの山菜そば。すごくおいしく感じました。

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[鉛温泉・藤三旅館](2010年5月宿泊)
■所在地 〒025-0252 岩手県花巻市鉛字中平75-1
■泉質 単純温泉・アルカリ性単純高温泉(源泉かけ流し)
■楽天トラベルへのリンク→鉛温泉 藤三旅館
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